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大泉 昭人; 福島 昌宏; 郡司 智; McKenzie, G.*; Amundson, K.*
International Criticality Safety Benchmark Evaluation Project (ICSBEP) Handbook (2022/23 edition) (Internet) , 313 Pages, 2024/11
本稿は、加速器駆動システム(ADS)の設計精度向上を目的として2015-2019年にかけて実施された米国ロスアラモス研究所との共同実験シリーズの内の低濃縮ウラン(LEU)体系炉心について、国際臨界安全実験データ評価プロジェクト(ICSBEP)への登録用にまとめられた、ベンチマーク評価結果である。体系は、高濃縮ウラン(HEU)及び天然ウラン(NU)を交互に装荷することで、LEUを模擬している。また、加速器駆動システム(ADS)の冷却材の一部である鉛の核データを検証するために、HEU, NUと共に鉛を交互に装荷した高速中性子スペクトル場を有する炉心となっている。本評価において、実効増倍率に対する実験誤差はおおよそ100pcmであることが明らかとなり、連続エネルギーモンテカルロコードMCNPと核データENDF/B-VIII.0及びJENDL-4.0を用いた解析結果との比較では、C/E-1値はそれぞれおおよそ-70pcm及び-145pcmとなった。
入澤 恵理子
耐火物, 76(8), p.326 - 332, 2024/08
液体鉛ビスマス共晶合金(LBE)は原子炉の冷却材として検討され、研究開発が長年行われてきた。しかし、LBEを冷却材として使用する際に最も懸念される課題として、高い運転温度と流動しているLBEにさらされることによる金属構造材料(主として鉄鋼材料)の腐食劣化が挙げられている。LBEによる鋼材の腐食は、LBE中に溶解している酸素による鋼材表面の酸化と、LBEへの高い溶解度を持つNi等の鋼材成分の溶解が同時に進行し、NiのようなLBEに溶解しやすい金属成分を含むオーステナイト鋼の場合には、LBE中の溶存酸素濃度を監視・制御した上で腐食量を評価する必要があることが知られている。本稿では、LBE中のステンレス鋼の腐食評価と溶存酸素濃度の関係に主眼を置き、その腐食劣化機構において重要な因子となる溶存酸素濃度とその測定方法、鋼材成分(Fe、Ni、Cr)を含む金属元素の溶解度について解説する。そして、著者が主に扱ってきたオーステナイト系ステンレス鋼のLBE中での腐食評価を例に、LBE中の溶存酸素濃度と腐食挙動や腐食速度の関係について紹介する。
西條 友章; 水田 直紀; 長谷川 俊成; 菅沼 拓朗; 島崎 洋祐; 石原 正博; 飯垣 和彦
JAEA-Technology 2024-002, 96 Pages, 2024/06
HTTR(高温工学試験研究炉)の炉心には、耐熱性に優れた原子炉級黒鉛材料が使用されている。この黒鉛材料は、温度や中性子照射により物性値が変化するとともに、照射変形やクリープ変形など複雑な挙動を示すため、黒鉛用の応力解析コードを開発してきた。これを用いて、中性子照射とともに蓄積する残留ひずみによる炉停止時応力などを評価してきたが、温度や中性子照射によるヤング率、熱膨張係数等の物性値の変化が炉停止時応力等に与える影響については、十分に把握されていない。そこで、物性値の変化や複雑な変形が及ぼす運転時及び原子炉停止時に発生する応力への影響を明らかにし、黒鉛構造物の長寿命化開発等に資することを目的として、簡易はりモデルを基にした評価モデルを開発した。本報告書では、本モデルを用いて、600Cから800
Cの温度域にある黒鉛構造物について、物性値の照射変化による運転時応力及び炉停止時応力への影響を明らかにした。
中山 梓介; 岩本 修; 木村 敦
EPJ Web of Conferences, 294, p.07001_1 - 07001_6, 2024/04
溶融塩炉などの革新型原子炉の減速材として黒鉛の利用が考えられている。減速材による熱中性子の散乱は炉心設計に大きな影響を与える。革新型原子炉の開発に貢献するため、原子炉級黒鉛の熱中性子散乱則の評価を行った。格子振動に起因する非弾性散乱成分は、第一原理シミュレーションから求めたフォノン状態密度に基づいて評価した。シミュレーションは理想的な結晶黒鉛に対して行った。結晶構造に起因する干渉性弾性散乱成分は、J-PARC/MLF施設で実施された中性子透過実験および散乱実験に基づいて評価した。中性子透過実験との比較においては、空孔などの結晶よりも大きな構造に起因する中性子小角散乱の定量が重要であることがわかった。以上の方法に基づいて、原子炉級黒鉛の熱中性子散乱則データを評価した。
岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 杉原 健太; 西尾 勝久; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(4), p.435 - 449, 2023/04
被引用回数:4 パーセンタイル:53.26(Nuclear Science & Technology)加速器駆動核変換システム(ADS)の研究開発及び京都大学臨界実験装置(KUCA)におけるADS未臨界炉物理の基礎研究を目的として、固定磁場強収束(FFAG)加速器を用いて107MeV陽子による鉄、鉛及びビスマス標的に対する二重微分中性子収量(TTNY)を測定した。TTNYは8個の中性子検出器(各検出器は小型のNE213液体有機シンチレータと光電子増倍管より構成される)からなる中性子検出器システムを用いて飛行時間法により得られたものである。測定で得られたTTNYを、粒子・重イオン輸送コードシステム(PHITS)に組み込まれたモンテカルロ法に基づく核破砕反応モデル(INCL4.6/GEM, Bertini/GEM, JQMD/GEM, JQMD/SMM/GEM)及び評価済み高エネルギー核データライブラリ(JENDL-4.0/HE)による計算結果と比較した。JENDL-4.0/HEを含む比較対象のモデルは、検出器角度5度における高エネルギーピークを再現しないなどの特徴的な不一致が見られた。測定で得られたTTNYとPHITSによって評価した20MeV以下のエネルギー及び角度積分中性子収率を比較した結果、INCL4.6/GEMがKUCAにおけるADS炉物理実験のモンテカルロ輸送シミュレーションに適していることが示された。
斎藤 滋; 山口 和司*; 吉元 秀光*; 大林 寛生; 佐々 敏信
JAEA-Technology 2022-032, 51 Pages, 2023/03
長寿命放射性廃棄物の核変換を実現するため、日本原子力研究開発機構(JAEA)が研究を進めている加速器駆動システム(ADS; Accelerator Driven System)では、核破砕ターゲット及び未臨界炉心冷却材として鉛ビスマス共晶合金(LBE; Lead-Bismuth Eutectic alloy)を採用している。将来のADSの開発に向けて材料照射データベースを構築するため、J-PARCでは陽子照射施設の検討を進めている。陽子照射施設にはLBEループが設置され、核破砕環境かつ流動LBE中での材料照射試験が可能である。陽子照射施設において、LBEを安全に利用するためにいくつか解決すべき課題の一つとして、運転停止後にループ内のLBEをドレンタンクに導くためのドレンバルブがスラグ等を噛み込むことによって発生するスローリークがある。この問題を解決するため、JAEAでは液体金属系統の一部を融点以下に冷却することで配管中のLBEを固化して閉止する、フリーズシールバルブ(FSV)採用を検討した。まず、水冷式及び空冷式のFSV試験体を製作し、既設の鉛ビスマス要素技術開発装置の試験部に取り付け、動作・性能確認試験を行った。試験の結果、水冷式FSVは設計通りの性能を発揮することが確認された。本報告書では鉛ビスマス要素技術開発装置ならびに各FSV試験体の概要と各部の詳細、動作・性能確認試験結果について述べる。
涌井 隆; 山崎 和彦*; 二川 正敏
Advanced Experimental Mechanics, 7, p.103 - 109, 2022/08
高放射化物を閉空間に閉じ込めた状態で切断・減容化する技術開発の一環として、鉛含有量が異なる放射線遮へいガラスに対して、Nd-YAGレーザーの照射条件(パワー及び照射回数)を変えた照射試験を実施した。鉛含有量、照射パワー及び照射回数の増加とともに、大きな黒色で凹形状の照射損傷とその周りにき裂が生じた。損傷に及ぼす機械的特性の影響を調べるために、非照射部及び照射部の一般的な機械特性を調べた。評価された機械的特性を基に算出された熱衝撃破壊靭性値は、鉛含有量の増加ともに減少する。黒色の照射領域の微小硬さは、非照射より10%小さくなり、レーザー照射による機械的特性の変化が確認された。
南川 卓也; 関根 由莉奈; 山田 鉄兵*
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 95(5), p.825 - 829, 2022/05
被引用回数:4 パーセンタイル:29.12(Chemistry, Multidisciplinary)環境を浄化するためには、排水中から有害金属を除去する技術が不可欠である。本研究ではワンポット水熱法によって合成されたTbシュウ酸塩フレームワーク(TOF)を利用して、Pb選択的吸着剤を開発した。TOFは、層間空間がイオン交換可能サイトとして機能する2次元シート構造を持つ。Pb, Cd
, Mn
, Co
, Ni
, Cu
, Na
, K
, Mg
、およびCa
を含む混合イオン溶液にTOFを添加した吸着試験では、TOFが他の金属イオンの中でもPb
に対して高い選択性を示した。Pb
に対するTOFの飽和吸着容量は276mg g
であり、従来の鉛吸着剤よりも高い吸着性能を示した。さらに、TOFは可逆的な鉛吸着/脱着を示し、繰り返しの使用可能である。TOFはPb
を除去するための吸着剤として優れた可能性を持っており、廃水浄化の有望な材料でもあることが明らかになった。
斎藤 滋; Wan, T.*; 大久保 成彰; 北 智士*; 大林 寛生; 佐々 敏信
JAEA-Technology 2021-034, 94 Pages, 2022/03
長寿命放射性廃棄物の核変換を実現するため、日本原子力研究開発機構(JAEA)が研究を進めている加速器駆動システム(ADS; Accelerator Driven System)では、核破砕ターゲット及び未臨界炉心冷却材として鉛ビスマス共晶合金(LBE; Lead-Bismuth Eutectic alloy)を採用している。ADSとともに、将来のADSの開発に向けて材料照射データベースを構築するためJ-PARCで検討を進めている陽子照射施設を実現するためには、LBEを安全に利用するために解決すべき課題が多い。特に、T91(改良9Cr-1Mo鋼)やSUS316LなどのADSの主要な鋼材に対して、400-550Cの温度範囲におけるLBE流動下の腐食データは、ADSや陽子照射施設の設計に不可欠である。その際、鋼材の腐食抑制に大きく影響するLBE中酸素濃度も腐食データベースの重要なパラメータとなる。そこで、JAEAはLBEと鋼材の共存性試験並びにLBE取扱いに関連した技術開発を目的として、"OLLOCHI(Oxygen-controlled LBE LOop for Corrosion tests in HIgh-temperature)"と名付けた大型の腐食試験ループを新たに製作した。OLLOCHIはLBE中酸素濃度を自動調整する機能を有し、高温部及び低温部の最高使用温度はそれぞれ550
C、450
Cであり、ADSの設計値を包含するように設定している。2,000時間以上に及ぶループの特性試験の結果、設計通りの性能を発揮することが確認された。本報告書ではOLLOCHIの概要と各機器の詳細、特性試験結果ならびに今後の試験計画について述べる。
有吉 玄; 大林 寛生; 斎藤 滋; 佐々 敏信
Proceedings of 19th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-19) (Internet), 10 Pages, 2022/03
液体重金属を核破砕ターゲットおよび冷却材として利用する核変換施設の建設には、液体重金属の流動特性を事前に明らかにしておくことが重要となる。鉛ビスマス共晶合金(LBE)は、加速器駆動システムや高速炉等の革新的原子力システムにおける核破砕ターゲットや冷却材の候補材料とされており、J-PARCではLBEを利用した核破砕ターゲットシステムの構築に向けた技術開発を推進している。通常、LBEの流動特性は汎用数値流体力学(CFD)コードを用いて予測・把握されるが、このようにCFDコードが多用される一つの要因は、高温液体重金属流れに対する計測手法の確立が不十分なことである。そこで原子力機構では、小型電磁石を使用した局所流速計を開発した。開発した流速計は480CのLBEへ適用され、誘導起電力と流速の良好な相関が得られることが実証された。
佐々 敏信
加速器, 18(4), p.233 - 240, 2022/01
鉛ビスマス共晶合金(LBE)は、長寿命放射性廃棄物の放射性毒性を低減する加速器駆動核変換システム(ADS)の核破砕ターゲットとして有望な選択肢である。LBEは重金属であり、核変換システムの核破砕ターゲットや冷却材として良好な性質を持つ。しかしながら、LBEは構造材の腐食性が高いことでも知られている。この論文では、腐食を抑制するための酸素濃度制御技術や高温での運転などのLBE利用における課題解決のための最新の技術開発をADSターゲットの概要とともに解説する。
Klotz, S.*; Baptiste, B.*; 服部 高典; Feng, S. M.*; Jin, Ch.*; Bneut, K.*; Guigner, J. M.*; Est
ve, I.*
Carbon, 185, p.491 - 500, 2021/11
被引用回数:1 パーセンタイル:3.66(Chemistry, Physical)二硫化炭素(CS)は、その最も近い類似体であるCO
とともに、二重共有結合からなる最も単純な分子系の一つである。高圧下では、この分子構造は分解され、拡張された結晶性またはポリマー性の固体を形成すると考えられる。ここでは、大容量高圧技術を用いて300Kで約10GPa (100kbar)まで圧縮することにより、瞬間的な反応で純粋な硫黄とC
Sに近い化学組成を持つ化合物の混合体が得られ、常圧まで回収できることを示している。中性子回折,X線回折,ラマン測定の結果、この物質は硫黄がナノメートルオーダーのsp
グラファイト層に結合していることがわかった。電気抵抗の温度依存性からこの化合物は45meVのギャップを持つ半導体であることが明らかになった。200
C以上の温度でアニールすることで、硫黄含有量をC
Sまで減らすことができた。この物質の構造的・電子的特性は、過去に行われたCS
の高圧実験で報告された「ブリッジマンブラック」とは根本的に異なる。
濱本 真平; 大橋 弘史; 飯垣 和彦; 島崎 洋祐; 小野 正人; 清水 厚志; 石塚 悦男
Proceedings of 2021 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP 2021) (USB Flash Drive), 6 Pages, 2021/10
HTGRは、炉心内に大量の黒鉛材料を有しているため、原子炉圧力バウンダリが損傷した際は、炉心内に空気が流入して黒鉛が酸化する事故を想定する必要がある。本事故時、酸化反応の熱によって燃料温度が上昇し、事故が進展しないことを確認することは重要である。そこで本研究では、黒鉛材料の不燃性を評価する方法として、材料の発熱量と放熱量を比較する方法を提案した。発熱量の計算には高温ガス炉HTTRの構造材料をリファレンスにした。構造材料と接触する空気の量は、煙突効果から決定される値とした。放熱量は、煙突効果を生む空気の加熱分と、材料外表面の対流と輻射の合計値とした。発熱量と放熱量を比較した結果、放熱量は発熱量よりも大きいことがわかった。この結果から、黒鉛材料は空気浸入事故時に事故条件に依存せず、温度が低下に向かうため、燃焼しないことが分かった。HTGRのシビアアクシデントへの対処法を決定する際には、黒鉛材料の不燃性を明確に説明することが重要である。本提案のようにシンプルな理論に基づく評価法は、黒鉛材料全体に適用できるため、有用と考えられる。
中村 詔司; 遠藤 駿典; 木村 敦; 芝原 雄司*
KURNS Progress Report 2020, P. 94, 2021/08
マイナーアクチノイド核種の一つであるNpの熱中性子捕獲断面積の精度向上のために照射実験を行った。京都大学研究用原子炉(KUR)の黒鉛照射設備を用いて、放射化法にて行った。950Bqの
Np試料、及び中性子束モニタとして、Au/Al合金線, Co, Sc, Mo, Ta箔のセットを一緒に、黒鉛照射設備にて、30分照射した。中性子束モニタの反応率を、Westcott's Conventionに基づき解析して、照射場が良く熱化されていることを確認した。
Np試料の量は、放射平衡の関係にある
Paのガンマ線収量から求めた。
Np(n,
)の反応率は、試料量と生成された
Npからのガンマ線の収量から求めた。
Npの反応率を熱中性子束で割り込むことで、熱中性子捕獲断面積を導出する。
橋立 竜太; 加藤 章一; 鬼澤 高志; 若井 隆純; 笠原 直人*
Proceedings of ASME 2021 Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2021) (Internet), 9 Pages, 2021/07
過大地震荷重下における構造物の破損メカニズムを明らかにすることは非常に重要である。一方で、実際の構造材料を使用した構造物試験は非常に難しく、費用もかかる。そのため、過度の地震荷重下での構造破損メカニズムをシミュレートするために、模擬材料として鉛合金を用いた試験技術を提案した。この研究では、鉛合金を使用して材料試験を実施し、模擬材料試験の有効性を検証した。さらに、一連の材料試験の結果に基づいて、鉛合金の非弾性構成方程式(最適疲労破損式と動的応力-ひずみ関係式)を作成した。提案した式を用いることで、有限要素解析等の非線形解析も実行可能にした。これらの結果から、模擬材料試験技術が、過大地震荷重下での構造物の破損メカニズム解明に有効な手法として提案することができた。
斎藤 滋; Wan, T.*; 大久保 成彰; 大林 寛生; 渡辺 奈央; 大平 直也*; 木下 秀孝; 八巻 賢一*; 北 智士*; 吉元 秀光*; et al.
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011041_1 - 011041_6, 2021/03
原子力機構(JAEA)では、鉛ビスマス共晶合金(LBE)を核破砕中性子発生のターゲット並びに炉心冷却材として使用する、核変換用の加速器駆動システム(ADS)の研究をしている。中性子は、1.5GeVの陽子ビーム入射による核破砕反応によって生成される。ADS開発に重要な材料照射データを取得するため、J-PARCにLBE中性子生成ターゲットを備えた照射施設の建設を提案している。LBEターゲット実用化のためには多くの技術的な課題があり、JAEAでは様々な研究開発を行っている。腐食研究に関しては、OLLOCHIの調整運転と機能試験が開始された。LBE使用する上で重要な技術である酸素濃度制御技術の開発も行っている。大型LBEループ実験では、IMMORTALを使用して、定常および過渡状態の試験を行った。機器の分野では、LBEループシステムの重要な技術として、超音波流量計とフリーズシールバルブの開発を進めている。照射施設の設計に重要なLBE中の不純物挙動の研究も開始した。本論文では、JAEAにおけるLBE関連研究の現状と研究計画について報告する。
佐々 敏信; 斎藤 滋; 大林 寛生; 有吉 玄
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011051_1 - 011051_6, 2021/03
マイナーアクチノイド核変換のための加速器駆動システム(ADS)実現のため、JAEAはJ-PARCに陽子ビーム照射施設の建設を提案している。施設は鉛ビスマス液体合金(LBE)を安全に利用するための技術課題の解決のために計画されている。LBE冷却ADSの運転温度域を包含する陽子・中性子ビーム照射が可能な施設として250kWのLBE核破砕ターゲットを設置する。施設建設に不可欠な酸素濃度制御技術や遠隔操作によるターゲット保守技術、核破砕ターゲット設計などの研究開発が行われており、ターゲットモックアップや材料腐食試験のための大型LBE試験ループが整備されている。最新の250kW鉛ビスマス核破砕ターゲットの開発状況を報告する。
左近 敦士*; 中嶋 國弘*; 高橋 和暉*; 芳原 新也*; 佐野 忠史*; 深谷 裕司; 橋本 憲吾*
EPJ Web of Conferences, 247, p.09009_1 - 09009_8, 2021/02
黒鉛反射熱中性子炉では、燃料領域から遠くに配置された検出器であっても、ある程度の相関振幅を検出する可能性がある。これは、黒鉛中の中性子の平均自由行程が水やポリエチレンよりも長いためである。そこで、本研究の目的は、原子炉騒音分析のためのグラファイト反射器への中性子検出器配置の高い柔軟性を実験的に確認することである。京都大学臨界集会(KUCA)の黒鉛減速反射炉心において炉雑音解析を実施した。BF比例中性子計数管(直径1インチ)を黒鉛反射領域に配置し、検出器を炉心からそれぞれ約35cmと30cmの厚さの黒鉛で隔離した。臨界状態と未臨界状態で、検出器からの時系列信号データを取得し、高速フーリエ変換(FFT)アナライザーにより分析し、周波数領域でのパワースペクトル密度を取得した。炉心から遠く離れた検出器から得られたパワースペクトル密度には、有意な相関成分を含むことが確認できた。また、パワースペクトル密度理論式にデータに最小二乗法で適合さることにより、即発中性子減衰定数を決定した。臨界状態での減衰定数は63.3
14.5[1/s]となった。2つの検出器間の相互パワースペクトル密度とコヒーレンス関数データから決定された減衰定数とよい一致を示した。予想通り、炉心から約35cmの位置に検出器を設置することで、原子炉のノイズ解析が可能であることが確認された。
深谷 裕司; 後藤 実; 中川 繁昭; 中嶋 國弘*; 高橋 和暉*; 左近 敦士*; 佐野 忠史*; 橋本 憲吾*
EPJ Web of Conferences, 247, p.09017_1 - 09017_8, 2021/02
日本原子力研究開発機構は高温ガス炉の核的予測精度向上のための研究開発を始めた。その目的は、初めての商用高温ガス炉のためのフルモックアップ試験を省略できる一般化バイアス因子法とHTTR試験で未臨界度を測定するための炉雑音解析の導入である。そのために、B7/4"G2/8"p8EUNU+3/8"p38EU(1)と名付けた黒鉛減速炉心をKUCAのB架台に構成した。炉心は、燃料集合体,ドライバ燃料集合体,黒鉛反射体,ポリエチレン反射体で構成されている。HTTRの平均濃縮度と炉内スペクトルを実現するために、燃料集合体は濃縮ウラン板と天然ウラン板と黒鉛板から構成される。しかしながら、小さな炉心で臨界に達するためにはドライバ燃料が必要となる。この炉心は、一般化がイアス因子法導入のための基準炉心だけではなく、炉雑音解析技術開発のために炉雑音の測定を行う。本研究では、臨界実験の概要を報告する。黒鉛減速体系の炉心構成はKUCAでも珍しく、高温ガス炉開発だけではなく、溶融塩炉のような、他の黒鉛減速炉心開発にも期待できる。
Wang, H.*; Yu, H.*; 近藤 創介*; 大久保 成彰; 笠田 竜太*
Corrosion Science, 175, p.108864_1 - 108864_12, 2020/10
被引用回数:44 パーセンタイル:91.05(Materials Science, Multidisciplinary)核融合先進ブランケット材として新たに開発を進めているAl含有高Mnオーステナイト鋼について、ADS炉内機器への新たな適用性評価のために、450Cにおける飽和及び低酸素濃度の鉛ビスマス共晶金属(LBE)中での腐食挙動を調べた。その結果、Alの添加により、腐食環境の厳しい条件である低酸素濃度のLBE中においても、Alを含む耐酸化性の皮膜が形成した。一方、飽和酸素濃度では酸化皮膜形成量が多く、Al添加の効果は見られなかった。