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濱田 一弥; 高橋 良和; 松井 邦浩; 加藤 崇; 奥野 清
Cryogenics, 44(1), p.45 - 52, 2004/01
被引用回数:21 パーセンタイル:60.66(Thermodynamics)日本原子力研究所は、国際熱核融合実験炉(ITER)の工学設計活動の一環として、中心ソレノイド・モデル・コイルとCSインサート・コイル(CSIC)の通電試験を行った。その結果CSICの圧力損失が通電時に減少することや結合損失が電流値とともに大きくなることを観測した。これらは、電磁力によりジャケット内部で撚線が圧縮変形し、新たに流路ができたこと、また、圧縮により素線間の接触抵抗が低減し、結合時定数が増加したことが原因と考えられる。本論文では、これらの現象を定量的に説明することを試みた。その結果、電磁力によって撚線は最大1.4mm変形することが予想される。この結果から、電磁力による結合時定数の変化を考慮して結合損失を計算すると、通電電流値と共に結合損失は増加する計算結果を得ることができ、実験結果を定量的に説明することができた。
松井 邦浩; 高橋 良和; 小泉 徳潔; 礒野 高明; 濱田 一弥; 布谷 嘉彦; CSモデル・コイル実験グループ
低温工学, 38(8), p.410 - 416, 2003/08
ITER計画の一環として、中心ソレノイド・モデル・コイル、CSインサート・コイル、NbAlインサート・コイルを製作し、2002年までにそれらの試験を実施した。これらのコイルの交流損失測定は、コイルの特性を明らかにするために重要な試験項目の一つである。CSインサート・コイルとNbAlインサート・コイルの交流損失を、それぞれ熱量法及び磁化法で測定した。両コイル内には、複数の時定数を持つ結合損失が存在し、コイルに取り付けられた電圧タップやホール素子で循環電流が観測された。結合損失は、素線間の焼結が電磁力を受けることで剥がれ、素線間の接触抵抗が大きくなり、ある減衰定数をもって指数函数的に減少した。また、圧力損失の測定及び解析結果より、撚線とコンジットの間に電磁力により発生する隙間が、導体内を流れる冷媒の圧力損失に依存することが示されている。本論文では、結合損失の減衰定数が導体内に発生する隙間に依存することを明らかにした。仮に、コイルの本運転前にこの減衰定数を知ることができ、減衰定数に相当する電磁力をコイルに加えることができるならば、コイルの運転開始時には損失が低下した状態で使用することが可能となる。
濱田 一弥; 松井 邦浩; 高橋 良和; 中嶋 秀夫; 加藤 崇; CSモデル・コイル実験グループ
低温工学, 38(8), p.417 - 424, 2003/08
日本原子力研究所は、 ITERの工学設計活動の一環として、NbAlインサート・コイル等を製作し、13Tの磁場下で国際共同実験を行った。これらの実験の結果、通電中の導体の圧力損失の変化を調べることによって、コイル状態では見ることのできない導体内部の撚線の動きを推測できることが明らかとなった。今回、NbSn素線とは機械的性質が異なるNbAl線材を用いた導体について、電磁力に対する圧力損失の挙動に注目して圧力損失を測定し、過去に行われた導体の測定結果とともに解析してまとめた。その結果、(1)定常状態における圧力損失は、NbSnを使用した導体とNbAl導体は、撚線構造が同じであれば、同様の特性を示すことがわかった。(2)同じ撚線構造でも、圧力損失特性にはばらつきが見られる。これは4次撚線とジャケット,中心チャンネル間に発生する隙間の効果であり、撚線ピッチが長い導体に発生し易いと考えられる。(3)圧力損失に対する電磁力の影響は、同じ撚線構造のNbSn導体よりもその影響は小さく、NbAl撚線は剛性が高いことがわかった。(4)ボイド率が小さくなるにつれて、圧力損失に対する電磁力の影響は少なくなり、撚線の動きを低減できることが明らかとなった。
二ノ宮 晃*; 新井 和昭*; 高野 克敏*; 津川 一仁*; 石郷岡 猛*; 海保 勝之*; 中嶋 秀夫; 奥野 清; CSモデル・コイル実験グループ
低温工学, 38(8), p.425 - 433, 2003/08
国際熱核融合実験炉(ITER)では大型超伝導コイル・システムの安定な運転が、その成功の鍵を握ると言っても過言ではない。このため、アコースティックエミッション(AE)技術を用いて超伝導コイルの状態を常時監視し、コイル内部の状態を推定することが重要となる。このような観点から、平成12年から14年に渡り実施されたCSモデル・コイル及びNbAlインサート・コイルを含めた三つのインサ-ト・コイルの通電試験では、AE信号の頻度,強度等を長時間にわたり計測し解析を行った。その結果、AE信号のエンベロープ波形の記録・解析で状態推定が行えること、及び、一定間隔毎に一定量のデータを記録する方法により、長時間に渡って超伝導コイルの状態監視が可能であることが示された。また、AE計測結果からは、これら開発されたコイルが安定した状態で運転されていると判断され、超伝導コイルの技術開発成果を裏付ける結果を得た。
杉本 誠; 小泉 徳潔; 礒野 高明; 松井 邦浩; 布谷 嘉彦; 堤 史明*; 押切 雅幸*; 若林 宏*; 奥野 清; 辻 博史
JAERI-Tech 2002-080, 100 Pages, 2002/11
CSモデル・コイルの第3回実験が2002年3月より開始した。第3回目の実験では、CSモデル・コイルの内側にNbAlインサート・コイルを設置し、実験を行った。CSモデル・コイルとNbAlインサート・コイルの予冷は同年3月4日から開始して、約1ヶ月を費やした。その後直ちに4月3日より通電試験を行った。同年5月2日に通電試験を完了した。その後コイルの昇温を行い、全ての実験を同年5月30日に終了した。この間、実験番号は102を数え、収集したデータはバイナリ形式で5.2GBに達した。本報告書は5週間にわたる実験のログ(日誌)とそのリストを集めたデータベースである。
布谷 嘉彦; 杉本 誠; 礒野 高明; 濱田 一弥; 松井 邦浩; 奥野 清; CSモデル・コイル実験グループ
低温工学, 37(10), p.523 - 530, 2002/10
国際熱核融合実験炉(ITER)の工学設計活動(ITER-EDA)を、 ITER参加国である米国, 欧州, ロシア, 日本によって進めてきた。ITER-EDAの一環として、 日本原子力研究所は ロシア・エフレモフ電気物理研究所が主体になり製作したTFインサート・コイルの性能評価実験を原研の試験装置を用いてITER参加国と共同で行った。電圧タップより測定される電圧と、導体内の素線に発生している電圧の関係を定量的に考察することにより、分流開始温度の評価が正確に行われるよう考案した。これにより、定格条件(磁場12T,電流46kA)においての導体性能を把握することができ、ITER TFコイルの超伝導性能の実証を行った。
濱田 一弥; 高橋 良和; 松井 邦浩; 加藤 崇; 奥野 清
低温工学, 37(6), p.257 - 264, 2002/06
日本原子力研究所は、国際熱核融合実験炉(ITER)の工学設計活動の一環として、中心ソレノイド・モデル・コイル(CSMC)及びCSインサート・コイル(CSIC)の通電実験を行った。その結果、CSICの圧力損失が通電時に減少することや結合損失が電流値に依存することが観測された。これらの原因は、電磁力によってジャケット内部で超伝導撚線が圧縮変形して、新たに流路ができたことや、撚線部の変形により素線間の接触抵抗が変化したことが考えられるので、本論文ではこれらを定量的に説明することを試みた。その結果、電磁力によって撚線が約1.3mm変形すると実験と同様に圧力損失が低下することがわかった。また、圧力損失の検討結果等から導体の結合時定数を電磁力の関数として評価しCSICの結果損失を計算した。その結果、計算値は測定値とほぼ一致し、電磁力の影響を定量的に説明できた。
杉本 誠; 礒野 高明; 松井 邦浩; 布谷 嘉彦; 堤 史明*; 田宮 忠俊*; 押切 雅幸*; 若林 宏*; 奥野 清; 辻 博史
JAERI-Tech 2001-085, 104 Pages, 2001/12
CSモデル・コイルの第2回実験が2001年8月より開始した。第2回目の実験では、CSモデル・コイルの内側にTFインサート・コイルを設置し、実験を行った。CSモデル・コイルとTFインサート・コイルの予冷は同年8月20日から開始して、約1ヶ月を費やした。その後直ちに9月17日より通電試験を行った。同年10月19日に通電試験を完了した。この間、実験番号は88を数え、収集したデータはバイナリ形式で4GBに達した。本報告書は5週間にわたる実験のログ(日誌)とそのリストを集めたデータベースである。
礒野 高明; 松井 邦浩; 加藤 崇; 高橋 良和; CSモデル・コイル実験グループ; 長谷川 満*
低温工学, 36(6), p.373 - 380, 2001/06
ITER-CSインサートコイルのクエンチ特性について報告する。常伝導伝搬速度は、今までと比較して遅く、圧力上昇も少ない結果であった。温度上昇は、ホットスポット計算結果と一致していることがわかり、設計条件の150K以下を満足していることが判明した。常伝導伝搬速度を断熱的な伝搬速度と比較すると5~30%と遅く、時間依存性もほとんどなく、従来測定された0.5~0.6乗という結果とは、違った測定結果となった。
松井 邦浩; 布谷 嘉彦; 河野 勝己; 高橋 良和; 西井 憲治*; CSモデル・コイル実験グループ
低温工学, 36(6), p.361 - 367, 2001/06
CSインサート・コイルは超伝導導体の特性を評価するための単層ソレノイド・コイルである。このコイル用の導体には、NbSn超伝導線を1152本撚り合わせたケーブル・イン・コンジット導体が使用されている。このような導体ではその構造が複雑なため、導体で発生する交流損失を評価するのが困難である。CSモデル・コイルの試験を通じてCSインサート・コイルの交流損失を熱量法により測定した。また、短尺導体の交流損失を測定し、コイルの試験結果と比較・検討した。
礒野 高明; 西島 元; 杉本 誠; 布谷 嘉彦; 若林 宏*; 辻 博史
JAERI-Tech 2000-084, 393 Pages, 2001/02
世界最大の超電導パルス・コイルであるITER中心ソレノイド(CS)・モデル・コイル及びCSインサート・コイルの通電実験は2000年4月11日に開始され、同年8月18日に終了した。この間、実験番号は356を数え、収集したデータは20GBを超えた。本報告書は4ヶ月にわたる実験のログ(日誌)とそのリストを集めたデータベースである。
島川 聡司; 田畑 俊夫; 小向 文作
JAERI-Data/Code 99-045, p.31 - 0, 1999/11
従来、動特性解析に用いられてきたアナログ計算機に替わるものとして、複雑な反応度印加条件に対して簡易かつ迅速に解析可能なデジタル計算機用プログラム「REARA (REActivity Response Analyses program)」を開発した。このプログラムでは、自動制御棒効果や温度フィードバック効果などを考慮した解析、パルス中性子打込みに対する応答解析が可能となっている。本プログラムの解析結果の妥当性は、アナログ解析結果と比較することにより確認した。このプログラムを使用することにより、計算準備作業にかかる時間を飛躍的に節約することができる。また、原子炉運転員の訓練時に、動特性シミュレーションプログラムとしても利用できる。
杉本 誠; 礒野 高明; 小泉 徳潔; 中嶋 秀夫; 加藤 崇; 濱田 一弥; 布谷 嘉彦; 松井 邦浩; 澤田 健治*; 高橋 良和; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 9(2), p.636 - 639, 1999/06
被引用回数:1 パーセンタイル:17.08(Engineering, Electrical & Electronic)CSインサート・コイル製造のため、応力下酸化割れ(SAGBO,Stress Accelerated Grain Boundary Oxidation)を回避するためのR&Dを、短試験片を用いて行った。この結果について報告する。短試験片でのSAGBO発生試験では、導体に施工されたクロム・メッキの有無ならびに、溶接箇所により、SAGBO割れの発生がみられた。これに回避するための溶接箇所の変更を行い、かつCSインサート製造工程をすべて反映したサンプルを製作した。本サンプルにてSAGBO発生実験を行い、SAGBO割れを発生することなく、CSインサートの熱処理が可能であることを実証した。
杉本 誠; 寺澤 充水*; 礒野 高明; 小泉 徳潔; 中嶋 秀夫; 加藤 崇; 布谷 嘉彦; 松井 邦浩; 高橋 良和; 安藤 俊就; et al.
Proc. of 15th Int. Conf. on Magnet Technology (MT-15), p.409 - 412, 1997/00
1992年より開始したITER-EDAの主要R&D項目であるCSモデルコイルの開発が進行中である。このCSモデルコイル開発のなかで、導体特性評価のためにCSインサートコイルが開発されている。CSインサートコイルの開発におけるR&D結果について報告する。ジョイント部開発やSAGBO(応力酸化割れ)回避のための熱処理要領開発について報告する。ジョイント開発においては、実機導体による抵抗測定結果について述べる。またNbSn生成のための熱処理基準について述べる。併せて試巻線の結果を報告する。
杉本 誠; 寺澤 充水*; 礒野 高明; 小泉 徳潔; 中嶋 秀夫; 加藤 崇; 西 正孝; 高橋 良和; 安藤 俊就; 辻 博史; et al.
IEEE Transactions on Magnetics, 32(4), p.2328 - 2331, 1996/07
被引用回数:6 パーセンタイル:50.73(Engineering, Electrical & Electronic)ITER工学設計段階(EDA)において、CSモデルコイル計画が遂行されている。CSモデル・コイルは4つの部材から構成されている。内層モジュール、外層モジュール、インサート・コイル、支持構造物である。このうちインサート・コイルの設計について報告する。CSインサート・コイルの内径は1.6mであり、巻線高さは1.7mである。CSインサート・コイルは、CSモデル・コイルの内側に設置して試験される。導体はCSコイル実機とまったく同じものを用いている。試験は磁束密度/3Tで行われ、導体の性能が評価できる。
金子 義彦*; 山根 剛; 島川 聡司; 山下 清信
日本原子力学会誌, 38(11), p.907 - 911, 1996/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)積分計数法は原子炉の臨界未満度を決定する制御棒落下実験で広く使用されてきた。制御棒の挿入開始にともなって起る中性子密度の減衰は、その挿入度が低いと遅れる。一点動特性に基づく解析によると、これまで使われてきた積分計数法では、たとえ挿入時間が1~2秒の領域でも反応をかなり過小評価してしまう。高温工学試験研究炉(HTTR)については挿入時間は4~6秒に拡大される。この問題に対処するため遅れ積分計数法を提案する。この方法では、制御棒の落下が完了してから積分計数を始め、また、それ以前の計数に対する補正は瞬時挿入を仮定した一点炉動特性モデルを用いた計算により実施する。その理由は、制御棒落下の遅れの中性子密度減衰の遅れへの影響はその時点でほとんど消失するからである。この方法によれば20ドルもの大きな負の反応度が系統誤差2%の範囲で決定し得る。
礒野 高明; 河野 勝己; 尾関 秀将; 齊藤 徹; 名原 啓博; 諏訪 友音; 下野 貢; 海老澤 昇; 佐藤 稔; 宇野 康弘; et al.
no journal, ,
原子力機構ではITER中心ソレノイド(CS)用導体の調達を進めており、今回、その超伝導性能をCSモデル・コイル試験装置を用いて評価した。試験において、16000回の繰り返し通電、3回の室温までの熱履歴を行い、分流開始温度(Tcs)の変化を測定した。また、試験コイルがフープ力により歪むことのTcsへの影響及びクエンチ試験を実施した。本稿では、これらの試験方法について報告する。
尾関 秀将; 諏訪 友音; 礒野 高明; 高橋 良和; 河野 勝己; 名原 啓博; 齊藤 徹; 布谷 嘉彦
no journal, ,
原子力機構では、ITERのCS(セントラル・ソレノイド)導体の導体性能試験を実機と同じソレノイド形状で行うため、CSインサートコイルという直径1.44m、巻数8.875ターンのソレノイド型サンプルを製作し、実機運転条件である最大外部磁場13T、最大通電電流45.1kAまでの条件で通電試験を行った。一連の通電試験の中では、CS導体のクエンチ特性を評価するために、外部から導体中へ誘導加熱を起こす誘導ヒーターを設け、誘導加熱試験を行った。誘導ヒーターは、別の試験装置によりエネルギー投入量を評価した。この誘導加熱試験により、導体への熱エネルギー投入量とCS導体の温度上昇の関係を温度センサーにより明らかにした。さらに、CS導体がクエンチを生じるときのエネルギー投入量を求めた。