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日高 昭秀
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 332(6), p.1607 - 1623, 2023/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所事故時に初めて放出されたタイプA Cs含有微粒子(以下、タイプA)の生成機構について、これまで様々な生成機構説が議論されてきた。筆者は、3号機の非常用ガス処理系(SGTS)のHEPAフィルタが水素爆発時に溶融して微粒化したことにより生成したと考えた。しかし、その仮説は、熱水力と大気拡散及びその学際領域にも及んで複雑であり、まだ推論が多く含まれている。このため、今後は様々な専門家による検証や、タイプA生成に関する再現試験が必要と考えた。さらに、もし仮説が正しいとした場合、HEPAフィルタは安全上重要な機器であり、水素爆発防止対策やHEPAフィルタの設計等にも影響するかもしれないと考え始めていた。そこで、これらの検討を進めるため、タイプAの生成機構に関して、総合的に解説したレビューが必要との結論に至った。本稿では、筆者がこれまでに執筆した論文等に基づき、仮説の根拠、検証及びその仮説が正しいとした時に実際に何が起こったと考えられるか、今後の課題、原子力安全性の更なる向上の観点からの提言について述べる。
田代 信介; 大野 卓也; 天野 祐希; 吉田 涼一朗; 渡邉 浩二*; 阿部 仁
Nuclear Technology, 208(10), p.1553 - 1561, 2022/10
被引用回数:1 パーセンタイル:16.36(Nuclear Science & Technology)グローブボックス(GB)火災における放射性物質の閉じ込め安全性の評価に寄与するために、代表的なGBパネル材料であるポリメチルメタクリエート(PMMA)およびポリカーボネート(PC)の燃焼試験を比較的大型の試験装置を用いて行った。閉じ込め安全性を評価するための重要なデータとして、燃焼物質から発生した煤煙の放出割合と粒径分布を得た。さらに、煤煙負荷による高性能エア(HEPA)フィルタの差圧(P)の上昇も検討した。その結果、PCからの煤煙の放出割合はPMMAの場合よりも約7倍大きかった。さらに煤煙粒子の体積負荷の効果を考慮することにより、煤煙負荷体積量が低い領域における差圧の上昇挙動は、燃焼物質の種類によらず統一的に表現できる可能性を見出した。
田代 信介; 内山 軍蔵; 大野 卓也; 天野 祐希; 吉田 涼一朗; 阿部 仁
Nuclear Technology, 208(7), p.1205 - 1213, 2022/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)再処理施設の溶媒火災事故時の高効率粒子除去エア(HEPA)フィルタの目詰り挙動を調べた。本研究では、30%リン酸トリブチル(TBP)/ドデカン混合溶媒ならびにドデカンの燃焼速度と国内の実施設の換気系で用いられている多風量型HEPAフィルタの差圧変化を測定した。この混合溶媒の燃焼の初期段階では主にドデカンが、後期段階では主にTBPが燃焼することを確認した。また、混合溶媒燃焼の後期ではHEPAフィルタの差圧の急激な増加が生じることが分かった。浮遊粒子の経時的な放出割合において、未燃の粒子成分(TBP, TBPの分解による劣化溶媒ならびに無機リン化合物(PO
))の割合の経時的な増加がフィルタの急激な差圧増加に影響したものと考えられる。混合溶媒燃焼時にHEPAフィルタの急激な差圧増加に至る前までの、差圧とHEPAフィルタへの浮遊粒子の負荷重量の関係を表す実験式の導出を行った。
日高 昭秀
Nuclear Technology, 208(2), p.318 - 334, 2022/02
被引用回数:6 パーセンタイル:58.63(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所事故時に放出されたガラス状セシウム含有微粒子(タイプA)の生成機構として、著者は、以前、3号機の水素爆発時に、非常用ガス処理系(SGTS)のHEPAフィルタのガラス繊維が溶融し微粒化したことが原因である可能性を指摘した。この仮説が正しければ、ガラス繊維には炭素を含むバインダが塗布され、その近くには活性炭フィルタがあるため、623K以上で自然発火する炭素は、水素爆発の短い加熱期間中に燃焼し切らず、タイプAの中またはタイプAの近くに残っている可能性がある。従来の類似研究は、粒子固定用に炭素テープを用いていたため炭素の同定が困難であった。そこで、本研究では炭素以外のテープと電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて測定を行った。その結果、タイプAはバインダ由来の炭素を含み、タイプAに付随する非球形粒子やタイプAを覆う被膜には、活性炭フィルタ起源と考えられる炭素を含むことを確認した。この結果は、従来の生成機構では説明できず、著者が提案した仮説によって説明可能である。タイプAの生成機構を決定するのは時期尚早かもしれないが、本情報は生成機構の温度条件を制限するのに有用と考えられる。
日高 昭秀
Proceedings of 2021 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP 2021) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2021/10
福島事故時に放出されたType Aガラス質Cs含有微粒子の生成機構として、3号機の水素爆発時に非常用ガス処理系のHEPAフィルタ材(グラスファイバ: GF)が溶融・微粒化した可能性を指摘した。本検討では、EPMAを用いてType Aを覆うSiOとGFの構成元素を調べた。その結果、両者の元素は、炉内で生成してHEPAフィルタに運ばれた微粒子中に含まれていたと考えられるCs, Fe, Snを除き、ほぼ一致していた。また、高真空下でGFにEPMAの電子線を照射すると、数ミクロンの球形粒子が容易に生成した。これらはType Aが水素爆発の火炎で生成したことを強く示唆している。さらに、水素爆発直後に重力ダンパが閉じて、ダンパ前が亜真空、ダンパ後が大気圧となって粒子表面温度やSiO
表面張力に差があったことが球形と非球形の微粒子を生成させた可能性を示し、Type Aの生成機構を詳細化した。
日高 昭秀
日本原子力学会誌ATOMO, 63(9), p.679 - 680, 2021/09
福島第一原子力発電所事故時に放出されたタイプA難溶性Cs含有微粒子(以下、Cs微粒子)の生成機構について、様々な議論がなされてきた。筆者は、3号機の非常用ガス処理系のHEPAフィルタが水素爆発時に溶融して微粒化により生成したと考えてきたが、2020年11月に同フィルタ室が解体され、その是非がまさに確認されようとしている。本稿では、筆者が考える生成機構について紹介するとともに、現在、原子力規制委員会で行われている福島事故の分析に係る検討会で、まもなく明らかになる同フィルタの解析結果に対する期待を述べる。筆者の仮説が正しいとした場合、Cs微粒子の生成は、まさに原子炉側と環境側の学際領域で起きており、生成機構解明が遅れた一因となったと考える。Cs微粒子の生成を防ぐためには、水素爆発の防止はもちろん、HEPAフィルタに対して何らかの燃焼防止対策を講じることが望まれ、それによって原子力発電所の安全性がさらに向上することが期待される。
日高 昭秀
Journal of Nuclear Science and Technology, 56(9-10), p.831 - 841, 2019/09
被引用回数:12 パーセンタイル:74.06(Nuclear Science & Technology)2011年3月15日午前中に関東地方(つくば市)で観測された不溶性Cs粒子(Aタイプ)は、Cs/
Cs同位体比や炉の温度状況等から、福島第一原子力発電所2号機の炉内で生成されたと考えられてきた。しかしながら、AタイプCs粒子はほぼ純粋なケイ酸塩ガラスに覆われて急冷の痕跡があること、1号機起源のBタイプCs粒子より小粒径であること等を考えると、3号機の水素爆轟(3/14, 11:01)時に、爆轟の火炎により非常用ガス処理系(SGTS)内の高性能特殊空気(HEPA)フィルタが溶融してシリカ源となり、爆風による微粒化とそれに伴う急冷が同時に起きて粒子は生成された可能性が高い。また、爆轟時の風速場から、粒子の大部分は海方向に流されたが、一部が爆風で原子炉建屋(R/B)深部に移動し、3/15未明の3号機の炉心注水再開時に発生した蒸気の流れによって再浮遊して環境中に放出されたとすることで、観測データを矛盾無く説明できる。
大野 卓也; 渡邊 浩二; 田代 信介; 天野 祐希; 阿部 仁
Proceedings of 25th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-25) (CD-ROM), 7 Pages, 2017/07
福島第一原子力発電所事故以降、重大事故に対する対応策が日本における原子力施設の認可要件として求められている。セル内溶媒火災は重大事故の一つとして定義された。溶媒が燃焼すると煤を含むエアロゾルが発生する。これらは、換気系HEPAフィルタを目詰まらせ、差圧の上昇によって破損を生じさせる可能性がある。さらに、火災は、HEPAフィルタを通過する揮発性を有するガス状の放射性物質を放出させる可能性もある。これらの現象は、施設が有する閉じ込め機能の健全性及び公衆の被ばくを評価する上で重要である。我々は、溶媒火災に伴う目詰まり挙動とエアロゾルの放出挙動及び揮発性物質の放出挙動に着目して検討を行ってきた。本報告では、最近の研究における試験データと評価結果を報告する。
塚本 導雄; 高田 準一; 小池 忠雄; 渡邊 浩二*; 宮田 定次郎*; 西尾 軍治*; 村田 幹生*; 内山 軍蔵
JAERI-Tech 2001-031, 47 Pages, 2001/03
再処理溶媒(溶媒)と硝酸との異常化学反応に起因した爆発は、再処理施設のDBAに選定されている。そこで、原研では爆発がプルトニウム濃縮缶で起きた場合を想定し、セル換気系の安全性とHEPAフィルタの健全性が確保できることを実証するため、溶媒と硝酸とを反応容器に貯え、密封し、種々の加熱条件下で生成した硝化溶媒(TBP錯体等)を急激に熱分解させて、爆発を誘起させるニトロ化溶媒爆発試験を実施した。試験の結果、以下に述べる知見を得た。硝化溶媒の熱分解により溶媒1kgが噴出して爆発を起こした場合、実験的方法により導出した最大質量放出速度と最大エネルギー速度は、0.59[kg/s]と3240.3[kJ/kg・s]である。この爆発による波及がセル換気系に与える影響は小さく、HEPAフィルムの健全性が確保できることを実証した。
村田 幹生; 高田 準一; 塚本 導雄
KURRI-KR-30, p.5 - 11, 1998/00
昨年3月に動燃(現・核燃料サイクル開発機構)のアスファルト固化処理施設において固化体の火災・爆発事故が発生し、排気系フィルタに大きな影響を与えた。再処理施設のアスファルト火災挙動を解明するためには、基盤となるセル内におけるアスファルトの火災状況や煤煙の挙動及び放射性物質の閉じ込め効果を十分に把握しておくことが重要である。そのため、模擬アスファルト廃液塩混合物(BWP)を製作し、BWPの熱的性質を調べるとともに、再処理施設のセル換気系の1/4モデルセルの中で燃焼させることにより、燃焼率、煤煙発生率、Csエアロゾル放射率、エアロゾル粒度分布、放出ガス成分、HEPAフィルタの目詰り係数を評価した。
角田 昌彦; 北野 匡四郎; 池沢 芳夫
保健物理, 32(2), p.185 - 191, 1997/00
放射性廃棄物の低減化のためには、HEPAフィルタの有効使用が必要対策のひとつであり、長期間使用における性能変化の特性を知っておくことは大変重要である。本試験では、大気じんとほぼ同一の粒度分布を有する線香燃焼粒子を重量濃度0.84mg/mでHEPAフィルタユニットに負荷し続け、圧力損失及び透過率の変化を調査し、以下の結果を得た。圧力損失は、負荷量の増加とともに2次関数的な上昇傾向を示し、負荷量が約60g/m
に達したとき、圧力損失が初期圧力損失の2倍に達する。その負荷時間は約550時間である。透過率は、圧力損失の上昇とともに増加し、その増加は粒子径に依存し、粒子径が最大透過率粒子径から大きくなるにしたがって高くなる。面速が3.42cm/secにおける0.5
mの場合において、圧力損失が初期圧力損失の2倍に到達したとき、透過率は無負荷時の約16倍である。
高田 準一; 鈴木 元衛; 塚本 導雄; 小池 忠雄; 西尾 軍治*
JAERI-Tech 96-054, 237 Pages, 1996/12
原研では、再処理施設の安全性研究の一環として、溶媒/硝酸の急激な熱分解反応に起因した爆発的燃焼が再処理施設のセル内で起こった場合の安全性実証試験をセル、ダクト、ダンパー、HEPAフィルタ及び排風機からなる大型装置を使用して実施した。実証試験では、セル換気系内の圧力上昇の影響を調べるため、加圧したタンクから装置のセル内に空気を吹き込み、装置内を通過する圧力応答を測定した。その結果、有効な圧力減衰が装置内のセルやダクトの配置により与えられた。また、実証試験ではHEPAフィルタや排風機の健全性を調べるために、空気の吹き込みによりHEPAフィルタや排風機の過渡応答を調べた。その結果、HEPAフィルタと排風機の健全性は圧力負荷において十分であった。この報告書に記載された内容は、再処理施設で爆発的燃焼が起こった場合のセル換気系の安全評価に資することができる。
高田 準一; 鈴木 元衛; 塚本 導雄; 小池 忠雄; 西尾 軍治
JAERI-Tech 95-024, 339 Pages, 1995/03
原研では、科学技術庁の委託を受けて、再処理施設のセル内で想定される急激燃焼がセル換気系の安全性に与える影響について大型試験装置による安全性実証試験を実施した。再処理施設では、溶媒と硝酸の急激な熱分解反応による爆発的な燃焼を想定している。本実証試験では、再処理施設モデルプラントのセルやダクトを模擬した試験装置を用いて、セル内で溶媒のミストや熱分解ガスが爆発的に燃焼した場合を想定して、固体ロケット燃料を燃焼させ、爆燃領域の爆圧や温度上昇の影響がセル換気系内を伝播・減衰する挙動を明らかにした。この報告書に記載された試験データは、セル換気系の放射性物質閉じ込め安全性解析コード(CELVA)の検証に利用されることを念頭において整理された。
池沢 芳夫
最近の研究施設, 0, p.304 - 311, 1995/00
研究用原子力施設において発生する空気汚染の性状は原子炉、核燃料、ラジオアイソトープ取扱施設の種類によって異なるので、日常の空気管理(汚染防止、クリーン化、放射線モニタリング)はその性状を十分に把握したうえで行う必要がある。本報では、主要な研究用原子力施設において、日常の放射線作業中に発生する空気汚染の性状、モニタリング方法、空気汚染防止対策、環境への放射性物質の放出低減対策の考え方と維持管理などについて概説する。
阿部 仁; 西尾 軍治; 内藤 俶孝
JAERI-M 93-220, 107 Pages, 1993/11
再処理施設の事故時安全性を評価する目的で事故解析コードTRANS-ACEの開発を進めている。TRANS-ACEには、米国ロスアラモス国立研究所で開発された1次元熱流動解析コードEVENTの機能に、ソースターム解析機能、壁面への放熱計算機能さらにHEPAフィルタ捕集解析機能が付加されている。今回の作業では、初期定常状態設定時に対する流量による収束判定機能の追加、フィルタ・ブロアの初期流動抵抗自動計算機能の追加さらに入力データ形式の整理・簡素化、の3点について改良を行った。本報告書は、改良を行った第2次版TRANS-ACEの使用手引書であると同時にコードの解析機能解説書でもある。
加藤 一憲*; 宮原 信哉
PNC TN9410 93-282, 92 Pages, 1993/10
高速増殖炉では、事故時に発生する放射性物質が格納施設内から環境中へ漏出するのを防ぐため、その雰囲気をフィルターで浄化している。高速増殖原型炉「もんじゅ」では、鋼製の格納容器とその外側のコンクリート製格納施設の間にアニュラス部を設け、常時その雰囲気をフィルターで浄化しながら負圧に維持することによって、放射性物質の環境中への漏出を防止している。このアニュラス循環排気系に設けられたフィルターは粒子状物質を補集するためのエアロゾルフィルター(多層式、中性能、HEPA)とガス状ヨウ素を補集するためのチャコールフィルターから構成されている。これらの補集効率等についてはエアロゾルフィルターについてはナトリウムエアロゾルを使用した試験によって、チャコールフィルターについては単体ヨウ素(I2)とヨウ化メチル(CH3I)を使用した試験によって、各々の性能が既に確認されている。しかし、ガス状ヨウ素についてはエアロゾル用フィルターによっても補集されることが報告されており、また、ナトリウムエアロゾル環境下ではそれがさらに加速される事も考えられる。そこで将来炉に向けた国の安全研究年次計画の一環としてナトリウムエアロゾル環境下におけるガス状ヨウ素のエアロゾルフィルターとチャコールフィルターによる補集効率に関する試験を実施した。その結果ナトリウムエアロゾルとガス状ヨウ素(I2)が混在する条件下において、エアロゾルフィルター、チャコールフィルターが実機で期待する性能を有していることが確認された。また、この条件下においてガス状ヨウ素(I2)はエアロゾルフィルターで良く補集される(99%以上)ことがわかった。これにより、ガス状ヨウ素(I2)がエアロゾルフィルターで補集される効果が、フィルター性能評価上十分期待できることが明らかとなった。
池沢 芳夫
クリーンテクノロジー, 3(4), p.41 - 45, 1993/04
原子力施設において発生する空気汚染の性状は、原子炉、核燃料取扱施設、RI取扱施設等施設の種類によって異なるので、日常の空気管理はその性状を十分に把握したうえで行う必要がある。本報では、主要な原子力施設において、日常の放射線作業中に発生する空気汚染の性状、そのモニタリング方法、空気汚染防止対策、環境への放射性物質の放出低減対策の考え方と維持管理の方法などについて概説した。
西尾 軍治; 鈴木 元衛; 高田 準一; 小池 忠雄; 塚本 導雄
JAERI-M 93-019, 209 Pages, 1993/02
原研では、科学技術庁の委託を受けて、再処理施設のセル内で想定される急激燃焼がセル換気系に与える影響について大型装置による安全性実証試験を実施した。実証試験では、再処理施設の抽出工程において想定されるセル内溶媒火災の状況と火災に伴うボイルオーバー燃焼の挙動を把握した。試験では、再処理モデルプラントを模擬した試験装置を用いて、溶媒火災時の定常燃焼の状況と煤煙によるHEPAフィルタの目詰り効果を調べた。さらに、溶媒火災時に発生する爆発的なボイルオーバー燃焼の挙動を調べ、燃焼の規模を明らかにした。この報告書に記載された試験データは、セル換気系安全性解析コード(CELVA)の検証に利用されることを念頭において整理された。
橋本 和一郎; 西尾 軍治; 早田 邦久
Nuclear Technology, 101, p.218 - 226, 1993/02
被引用回数:8 パーセンタイル:63.29(Nuclear Science & Technology)わが国の再処理施設では、抽出工程における溶媒火災が想定事故の一つとなっている。抽出工程には高濃度の核分裂生成物(FP)と多量の核燃料物質が存在するため、想定溶媒火災事故時において換気系がこれら多量の放射性物質の閉じ込め機能を有することを実証する必要がある。このため、高性能粒子エアーフィルタ(HEPAフィルタ)を含む火災事故時フィルタ実証試験装置(FFF)を用いた大規模試験が実施された。実証試験の結果、換気系のHEPAフィルタは、想定溶媒火災事故に対してその健全性を維持し、火災により発生した放射性物質を含むと考えられる煤煙粒子に対し十分に高い除染係数をもつことが実証された。
鈴木 元衛; 西尾 軍治; 高田 準一; 塚本 導雄; 小池 忠雄
JAERI 1328, 90 Pages, 1993/01
再処理施設のセル内で溶媒火災にともなう急激燃焼、あるいは溶媒のニトロ化反応による急激燃焼が想定上発生した場合でもセル換気系の安全性が確保されることを実証する目的で、再処理施設のセル換気系を模擬した大型試験装置を用い、4種類の実証試験を実施し、急激燃焼によって発生する圧力と温度のパルスがセル・ダクト構造により有効に緩和されることを明らかにした。ボイルオーバー燃焼試験においては、燃焼皿表面積を主要パラメータとしてセル内溶媒燃焼実験を実施し、ボイルオーバー燃焼を規定する要因に関する分析を行った。その結果、ボイルオーバー燃焼の強度は、セル内酸素と溶媒蒸気の蓄積量及びそれらの相対的比率に強く依存することを見いだした。穏やかな爆発試験においては、急激燃焼源として固体ロケット火薬を燃焼させ、発生した圧力と温度のパルスがセル、ダクト系によって有効に減衰され、換気系の健全性は保持されることを見いだした。排風機健全性試験においては、定格の約6倍の流量の空気を遠心型ターボ排風機に吹き込み、過渡応答性を調べ、排風機の健全性が維持されることを確認した。