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Quach, N. M.*; Ngo, M. C.*; Yang, Y.*; Nguyen, T. B.*; Nguyen, V. T.*; 藤田 善貴; Do, T. M. D.*; 中山 忠親*; 鈴木 達也*; 末松 久幸*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 332(10), p.4057 - 4064, 2023/10
被引用回数:2 パーセンタイル:65.72(Chemistry, Analytical)テクネチウム-99m(Tc)は世界で最も広く使用されている医療用ラジオアイソトープであり、モリブデン-99(Mo)から生成される。核不拡散の観点から中性子放射化法によるMo生成は核分裂由来のMoの代替法として注目を集めているが、Mo比放射能が極めて低いという欠点が存在する。本研究では、Mo抽出による比放射能向上を目的に、照射ターゲットとしてポーラス-MoOワイヤーを準備した。ポーラス-MoOワイヤーは、2段階の加熱手順によって金属Moワイヤーから調製する。中性子照射後のポーラス-MoOワイヤーおよび抽出に用いた水の放射能測定と同位体測定からMoのホットアトム効果を確認した。また、ポーラス-MoOワイヤーと市販の-MoO粉末でのMo抽出率を比較した結果、同等の抽出率が得られた。
Ngo, M. C.*; 藤田 善貴; 鈴木 達也*; Do, T. M. D.*; 関 美沙紀; 中山 忠親*; 新原 晧一*; 末松 久幸*
Inorganic Chemistry, 62(32), p.13140 - 13147, 2023/08
被引用回数:3 パーセンタイル:61.82(Chemistry, Inorganic & Nuclear)テクネチウム-99m(Tc)は放射性医薬品として最も用いられるラジオアイソトープである。TcはMoの娘核種であり、Mo/Tcの生成には核分裂(n, f)法と中性子捕獲(n, )法が存在する。この内、(n, f)法は世界の生産量の約90%で使用されているが、高濃縮ウランの使用、高放射性廃棄物の発生、核不拡散の観点からも問題となっている。そこで、(n, )法は、(n, f)法の代替法として開発が進められている。本研究では、熱蒸着法で作製した-MoOウィスカーと-MoO粒子を中性子照射してMo/Tcを生成し、水に分散させることでMo/Tcを抽出した。その結果、-MoOと比較して、-MoOウィスカーでは高いMo抽出率が得られた。また、水に溶解したMo濃度を比較した結果、サンプルからMoが水に移動するホットアトム効果を-MoOウィスカーではより顕著に示した。本研究は、中性子捕捉法の照射ターゲットとして-MoOの使用を初めて実証したものであり、-MoOは、中性子捕捉によってMo/Tcを生成し、水による放射性同位体抽出するための有望な照射ターゲットになると期待される。
つくば特区プロジェクト6会合メンバー
JAEA-Review 2021-016, 102 Pages, 2021/11
2011年12月に内閣総理大臣によって「総合特別区域」につくば市と茨城県内の一部の地域が指定された。つくば国際戦略総合特区では、つくばの科学技術の集積を活用したライフイノベーションやグリーンイノベーションの推進による産業化を推進することを目的とし、9つの先進的な研究開発プロジェクトが進められている。その中で、核医学検査薬(テクネチウム製剤)の国産化は、2013年10月に新たなプロジェクトと認定され、日本原子力研究開発機構をプロジェクトリーダーとして、関係機関と連携して研究開発を実施している。日本は、米国、欧州に次いでモリブデン-99(Mo)の世界第3位の消費国であるにもかかわらず、そのすべてを輸入している。海外の製造用原子炉のトラブルによる停止や、火山噴火や事故による輸送(空輸、陸送)の停止により、供給が不十分になることから、早期の国産化が強く求められている。本プロジェクトは、診断薬として用いられている放射性同位元素のテクネチウム-99m(Tc)原料であるMoの国産化を目指した技術開発である。本報告書は、第12期計画(20142020年度)に行った活動をまとめたものである。
西方 香緒里; 木村 明博; 石田 卓也; 椎名 孝行*; 太田 朗生*; 棚瀬 正和*; 土谷 邦彦
JAEA-Technology 2014-034, 34 Pages, 2014/10
JMTR再稼働後の利用拡大の一環として、照射試験炉センターでは、医療用ラジオアイソトープ(RI)として用いられるモリブデン-99(Mo)/テクネチウム-99m(Tc)の材料試験炉(JMTR)を用いた放射化法((n,)法)による製造に関する要素技術開発を行っている。Moは、一般的に核分裂法((n,f)法)で製造されているが、放射性廃棄物量及びコストの低減化や核不拡散上の観点から、(n,)法によるMo/Tc製造に着目した。しかしながら、(n,)法によるMo/Tc製造では、(n,f)法に比べ単位体積当たりの比放射能が低いという欠点がある。本報告書は、照射ターゲットの単位体積当たりのMo含有量を増加させるため、高密度MoOペレットの製造方法を確立し、得られた高密度MoOペレットの特性試験結果をまとめたものである。
T.V.Hung*
JAERI-Research 98-037, 14 Pages, 1998/07
ダラット研究所原子炉(U-Al合金36%濃縮U燃料)において照射されたTeO及びMoOサンプルに関して輸送用鉛容器の必要厚さを、ORIGEN2コード及びQAD-CGGP2コードで計算した。計算において、ORIGEN2内蔵のPWR型(低濃縮ウランUOの燃料)断面積ライブラリーを用いた。計算結果を実験データと比較しやすいように計算条件はできる限りダラット研究所原子炉での実験条件に合わせた。計算値と実験値は上記の断面積データの仮定にもかかわらず、よい一致を示した。このことから、ORIGEN2コード及びQAD-CGGP2コード並びに、PWR型(低濃縮UOの燃料)断面積ライブラリーを用いることに問題がないことが明らかとなり、今後のダラット研究所原子炉での他の照射サンプルについても放射能と必要な遮蔽の計算に利用できると考えられる。
佐々木 貞吉; 馬場 祐治; 吉井 賢資; 山本 博之; 中谷 健*
Physical Review B, 50(21), p.15519 - 15526, 1994/12
被引用回数:17 パーセンタイル:71.45(Materials Science, Multidisciplinary)Mo2p4dの共鳴励起で生成する励起状態4dのオージェ崩壊過程を放射光光電子分光法により検討した。共鳴励起光によるオージェ電子スペクトルでは、スペクテータオージェ、ノーマルオージェに起因するMo(LMM)線の分裂が認められた。これらのうち、スペクテータオージェ線は励起光のhとともに4.5-12eVのエネルギーシフトを起こした。この現象は非軌道がバンドライク構造であるとするモデルで理解された。パーティシペータオージェ崩壊のチャンネルについても検討し、Mo3d線及びMo3d線の強度が共鳴h領域で激しく増減するとともに、両者の強度比も大きく変動することを見出した。
馬場 祐治; 佐々木 貞吉
JAERI-M 84-071, 41 Pages, 1984/04
4d還移金属とその酸化物について、半球型電子エネルギー分析器によりX線光電子分光スペクトル(XPS)及びエックス線励起オージェ電子スペクトル(XAES)を測定した。金属の真正表面は、2通りの異なる方法、すなわち超高真空中やすり研摩法及びアルゴンイオンエッチング法で得た。アルゴンイオン照射した金属試料では、内殻電子の結合エネルギー及びオージェ電子の運動エネルギーは、やすり研摩した場合と異なった値を示す。このエネルギーシフトは、イオン照射で誘起された結晶格子の表面損傷によると考えられる。また、YO,ZrO,NbO,MoO,RuOなどの酸化物についても測定を行なった。本報は4種のワイドスキャン、33種の内殻スペクトルから、10種の価電子帯スペクトル及び12種のZAESスオエクトルから成る。内殻電子の結合エネルギー、オージェ電子の運動エネルギー及びオージェパラメーターは、化学シフトと共に表にまとめた。
末松 久幸*; 佐藤 壮真*; 南口 誠*; 土谷 邦彦; 西方 香緒里; 鈴木 常生*; 中山 忠親*; 新原 晧一*
no journal, ,
プラズマ焼結MoOが、試験研究炉を用いた(n,)法によるMoからTc製造のために行われた。試験は、平均粒子径0.8m、純度99.99%のMoO粉末を用いて、直径20mmの黒鉛ダイの中に装荷し、加圧した。これを、プラズマ焼結装置に装着し、真空中、100200C/minで500600Cで焼結した。焼結体は、結晶構造同定のためのXRD分析、化学結合状態の分析のためのEELS分析及び結晶粒子径測定のためのSEM観察を行った。550Cで焼結した試料について、焼結密度98%を得るとともに、Tc抽出やMoリサイクルに適した十分な特性が得られた。
土谷 邦彦; 西方 香緒里; 木村 明博; 石田 卓也; 竹内 宣博*; 小林 正明*; 河村 弘
no journal, ,
放射化法によるMo/Tc製造開発の一環として、プラズマ焼結法による高密度MoOペレット(目標焼結密度: 9095%T.D.)の製造方法に着目し、(n,)法による照射ターゲットの製造技術開発を行い、MoOペレット製造特性に与えるMoO粉末の影響及び開発した高密度MoOペレットの照射特性を調べた。この結果、焼結温度がMoO粉末特性(平均粒子径及び2次粒子の存在)に影響していることが分かった。次に、照射済MoOペレットの照射後試験により、低中性子照射量では、照射済MoOペレットの粒子径は、未照射MoOペレットと比べほぼ同程度の大きさであること、結晶構造に大きな変化がないことが分かった。さらに、溶解したMo溶解液中のMo放射能を測定し、Mo生成量評価には全中性子エネルギーを考慮する必要があることも分かった。
末松 久幸*; Ngo, M. C.*; Quach, N. M.*; 藤田 善貴; Do, T. M. D.*; 中山 忠親*; 鈴木 達也*; Nguyen, V. T.*; 新原 晧一*
no journal, ,
放射性医薬品はさまざまな医療診断/治療に使用されており、その市場は15年間で10倍に成長している。その中でガンマ線診断に広く使用されるTcの原料であるMoは、現在高濃縮ウランを原子炉で照射することで核分裂生成物として生成されている。しかし、核不拡散の観点からウランの低濃縮化が世界的に進んでおり、Mo(n,)Mo反応によるMo製造が注目されている。本研究では、中性子照射ターゲットとしてMoOの低温相である-MoOが、ホットアトム効果によりターゲットから水へのMoの拡散を促進することを明らかにした。この現象を利用することで、MoおよびTcの安定供給に貢献できる。本成果では、ベトナム原子力研究所のダラット原子炉において-MoO粉末ターゲットを用いた初の核反応中・水分散実験を実施し、ホットアトム効果を確認した後、ベトナムの学生と職員が新たに-MoOウィスカーターゲットを用いることで水への拡散効率を飛躍的に向上させた。本研究における彼らの貢献についてプレゼンテーションで説明する。