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竹田 武司
JAEA-Data/Code 2023-012, 75 Pages, 2023/10
ROSA-V計画において、大型非定常実験装置(LSTF)を用いた実験(実験番号: TR-LF-15)が2014年6月11日に行われた。ROSA/LSTFTR-LF-15実験では、加圧水型原子炉(PWR)のポンプシール冷却材喪失事故(LOCA)を伴う、補助給水機能喪失を特徴とするTMLB'のシナリオでの全交流電源喪失時のアクシデントマネジメント(AM)策を模擬した。ポンプシールLOCAは、0.1%低温側配管破断により模擬した。このとき、非常用炉心冷却系(ECCS)である高圧注入系及び低圧注入系の全故障とともに、ECCSの蓄圧注入タンクから一次系への非凝縮性ガス(窒素ガス)の流入を仮定した。蒸気発生器(SG)二次側水位が特定の低水位まで低下すると、一次系圧力は上昇に転じた。SG二次側水位喪失後、加圧器の安全弁が周期的に開いたため、一次冷却材の喪失につながった。故に、高圧条件でボイルオフによる炉心露出が生じた。模擬燃料棒被覆管表面温度の10Kの上昇を確認した時点で、SG二次側減圧を一番目のAM策として開始した。このAM策では、両SGの安全弁を開放した。また、一番目のAM策開始後少し遅れた時点で、加圧器の安全弁の開放による一次系減圧を二番目のAM策として開始した。さらに、一番目のAM策に従いSG二次側圧力が1.0MPaに低下した時点で、低水頭ポンプによる給水ラインから両SG二次側への注水を三番目のAM策として開始した。三番目のAM策の開始直後、SG二次系からの除熱が再開したため、一次系圧力の低下が促進された。蓄圧注入系から両低温側配管への冷却材注入による炉心水位の回復により、全炉心はクエンチした。窒素ガスがSGU字管内に蓄積したため、一次系の減圧率は低下した。本報告書は、ROSA/LSTFTR-LF-15実験の手順、条件および実験で観察された主な結果をまとめたものである。
小野田 雄一; 内田 昌人*; 時崎 美奈子*; 岡崎 仁*
Proceedings of 29th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 29) (Internet), 6 Pages, 2022/08
炉内配管破損に対する安全保護系の機能の十分性を確認するために安全評価を実施した。対象プラントは、現在日本で開発中の軸方向に均質な炉心燃料を装荷した、約600MWeクラスのタンク型SFRである。タンク型SFRでは、一次系配管が一次系ポンプと燃料集合体の入口にあたる高圧ナトリウムプレナムとを接続し、「炉内配管」と呼ばれている。この配管は原子炉容器内に配置されているため、この配管の小規模なナトリウム漏洩を検出することは困難であり、このためギロチン破断のような大きな配管破損を想定し、設計基準事象として評価する必要がある。安全保護系の信号による炉内配管破損事象の検出性を確認するために、炉内配管破損事象の解析評価を実施した。反応度係数の不確実性を考慮するための感度解析も実施した。炉内配管破損に対する安全保護系の機能の十分性は、タンク型SFRの安全保護系の開発目標としている、事象の検出のために少なくとも2つの信号が送信されるという解析結果によって確認された。
酒井 健二; 奥 隆之; 奥平 琢也; 甲斐 哲也; 原田 正英; 廣井 孝介; 林田 洋寿*; 加倉井 和久*; 清水 裕彦*; 広田 克也*; et al.
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011116_1 - 011116_6, 2021/03
中性子基礎物理学において、パリティ非保存(PNC)項や時間反転非保存項と干渉する中性子スピンと標的核スピンの相関項は重要な研究テーマである。中性子共鳴ピーク付近でPNC項の増大が測定され、スピン交換光ポンピング(SEOP)法によりの偏極が得られるキセノン(Xe)は、本研究にとって興味深い原子核である。我々は小型SEOPシステムを用いた偏極Xe標的を開発し、核破砕中性子源で得られる大強度の熱外中性子ビームを利用した項の研究を計画している。その第一段階として、我々はXeの9.6eV共鳴ピーク付近でのXe偏極時と非偏極時の中性子透過率比の変化を捕らえることで、項に起因する中性子偏極能力の測定をJ-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)のBL10で試みた。実験では、本測定系がドップラーブロードニングの影響()を検知できることを実証した上で、初期結果として有意なの値を得ている。現在はをより詳細に評価するために、核磁気・電子スピン共鳴法によるXe偏極度の導出を進めている。
竹田 武司; 大津 巌
Journal of Energy and Power Sources, 2(7), p.274 - 290, 2015/07
An experiment on accident management (AM) measures during a PWR station blackout transient with leakage from primary coolant pump seals was conducted using the ROSA/LSTF under an assumption of non-condensable gas inflow to the primary system from accumulator tanks. The AM measures are steam generator (SG) secondary-side depressurization by fully opening safety valves (SVs) in both SGs and primary-side depressurization by fully opening SV in pressurizer with the start of core uncovery and coolant injection into the SG secondary-side at low pressures. The decrease was accelerated in the primary pressure when the SG primary-to-secondary heat removal resumed soon after the coolant injection into the SG secondary-side. The primary depressurization worsened due to the gas accumulation in the SG U-tubes after accumulator completion. Remaining problems in the RELAP5 code include the predictions of pressure difference between the primary and SG secondary sides after the gas inflow.
玉井 広史; 秋場 真人; 疇地 宏*; 藤田 隆明; 濱松 清隆; 橋爪 秀利*; 林 伸彦; 堀池 寛*; 細金 延幸; 市村 真*; et al.
Nuclear Fusion, 45(12), p.1676 - 1683, 2005/12
被引用回数:15 パーセンタイル:45.44(Physics, Fluids & Plasmas)トカマク国内重点化装置の設計研究をまとめた。装置の設計は、プラズマのアスペクト比と形状制御性に関して自由度を広く確保できることが求められている。これは、ITERと平行して研究を進めるとともに、定常高ベータプラズマ運転についての科学的なデータベースをDEMOへ提供する観点から重要である。この目標に合致するように、プラズマのアスペクト比と形状の自由度の確保について、これまで比較的困難であったダイバータ排気性能との両立が図られるように装置設計を行った。この装置設計に基づいて、閉じ込め,安定性,電流駆動,ダイバータプラズマ等の物理性能を評価し、主目的である定常高ベータプラズマを実現するための制御方法を検討した。
桐山 博光; 山川 考一; 影山 進人*; 宮島 博文*; 菅 博文*; 吉田 英次*; 中塚 正大*
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 44(10), p.7464 - 7471, 2005/10
被引用回数:2 パーセンタイル:9.28(Physics, Applied)高平均出力・高繰り返しチタンサファイアレーザーの小型化,高効率化を目的として半導体レーザー(LD)励起Nd:YAGレーザーMOPA(Master-Oscillator-Power-Amplifier)システムの開発を行った。本システムは、低い入力エネルギーで高いエネルギー抽出効率を達成するため、レーザービームが励起領域を6回通過できる多重パス増幅方式を採用している。高ビーム品質の増幅を行うためにジグザグスラブ型増幅器で、さらにファラデーローテーター及びSBS位相共役鏡を用いて、それぞれ熱複屈折効果と熱レンズ効果を保証できる構成としている。また、高い変換効率で第二高調波光を発生させるために、非線形光学定数の大きいKTP結晶を採用した。本システムの動作試験を1kHzの高繰り返しで行った。平均のLD入力パワー2.6kWにおいて362Wの高平均出力(1064-nm)を達成した。1500の増幅度並びに14%の光-光変換効率を得た。また、波長変換試験において222Wの入力パワーに対して132Wの高平均第二高調波出力光(532-nm)が60%の高い変換効率で得られた。
丸山 庸一郎
Optical Engineering, 44(9), p.094202_1 - 094202_3, 2005/09
被引用回数:1 パーセンタイル:7.74(Optics)発振繰り返し数0.5kHzのNd:YAGレーザーによってポンピングされるバリウムボーレイト(BBO)結晶を用いた光パラメトリック発振器を開発した。これにより、タイプ-IBBOパラメトリック発振器で平均出力5.4W,エネルギー変換効率45%を達成した。出力は依然上昇傾向を示し、また出力ビームにも熱的な影響は観測されなかった。
桐山 幸治*; 塩飽 秀啓
JAERI-Tech 2005-044, 16 Pages, 2005/08
原研アンジュレータービームラインBL11XUの輸送部配管に接続されている真空排気ユニットの振動対策を行った。排気ユニットはターボ分子ポンプとスクロールポンプから構成されており、これらを運転させることで必然的に生じる振動が何らかの経路で分光器に伝わってしまうと、分光結晶の平行度が崩れて出射光の安定に影響を及ぼす可能性がある。そのため、排気ユニットの振動対策はビームラインの安定運転のために必要である。特に大きな振動を生じるスクロールポンプの振動をオフラインでさまざまな測定条件で測定した結果、スクロールポンプの振動を抑えるには、(1)スクロールポンプに制振装置を取り付ける,(2)排気ユニットの架台にスクロールポンプを置かず、床に置く,(3)フレキシブルチューブとスクロールポンプを床に固定するとよいことがわかった。これらの排気ユニットの振動対策を行った結果、分光結晶ホルダーにセットされた振動計の測定では、排気ユニットから分光器へ伝播していたスクロールポンプの振幅は従来の約5分の1に減少した。今回BL11XUで施した手法は、排気ユニットを導入している他ビームラインのスクロールポンプの制振対策としても十分有効な手段であろう。
丸山 庸一郎; 久保村 浩之*; 笠松 直史*; 松岡 伸一*; 中野 文彦*; 菅 博文*
JAERI-Tech 2004-056, 14 Pages, 2004/09
リアルタイムモニター用高平均出力波長可変固体レーザーは、単一周波数で発振する高繰り返しNd:YAGレーザー(ポンプレーザー)の第二高調波によって駆動される。ポンプレーザーは単一周波数で発振する発振器とその増幅器より構成され、光の質は発振器の特性によって決定される。発振器を外部から周波数幅の狭いシーダー光を入射させて単一周波数発振させる場合、ポンプレーザー発振器の共振周波数をシーダーの発振周波数と一致させなければならない。このためポンプレーザー発振器の共振器長を長時間一定に維持するための制御システムを試作し、その制御特性を測定した。この結果、開発した制御システムは3時間以上にわたって共振器長を一定に制御でき、共振器長が変化した場合でも1ショットで単一周波数発振にフィードバックできることを確認した。発振器光のパルス時間幅は約36ns,波長1064nmの基本波を波長532nmの光に変換して測定したポンプレーザー発振器の周波数幅は116MHzであった。また、横モードはTEM00であった。さらに、制御時の発振器のパルスエネルギーは3mJで、増幅器への入力エネルギーとしては十分高い値であった。
菊地 賢司; 斎藤 滋; 倉田 有司; 二川 正敏; 佐々 敏信; 大井川 宏之; 若井 栄一; 梅野 誠*; 水林 博*; 三浦 邦明*
JSME International Journal, Series B, 47(2), p.332 - 339, 2004/05
加速器駆動システム(ADS)による核破砕中性子源ターゲットと未臨界炉冷却材を鉛ビスマス共晶合金を用いて構築するための技術開発として配管及び機械要素の材料と鉛ビスマスの両立性,鉛ビスマスの制御性を調べた。その結果、オーステナイトステンレス鋼受け入れ材の腐食量は3000時間当たり最大0.1mmだが、あらかじめ表面を研磨すれば腐食量を減らせること、鉛ビスマスの温度制御は安定だが、流量制御は不安定であることがわかった。不安定の主な原因は、溶解度差による高温部から低温部への質量移行で低温部に析出する物質がフェライトとなって電磁ポンプの磁場中流路に鉛ビスマスと一緒に残存することであった。対策は流路幅を広げれば良い。
倉田 有司; 菊地 賢司; 斎藤 滋; 鎌田 勤也*; 北野 照明*; 大井川 宏之
Proceedings of 4th International Workshop on the Utilisation and Reliability of High Power Proton Accelerators, p.267 - 277, 2004/05
加速器駆動システムのための鉛ビスマス技術に関する研究開発が行われてきた。酸素制御なしで3000h、JLBL-1を用いた316SSの結果より、高温部から低温部への質量移行が観察された。電磁ポンプの円管流路に沈着した鉛ビスマスとFe-Cr結晶粒が流路閉塞と流量の低下を引き起こしたことがわかった。ループシステムの改良はループの運転によい結果をもたらした。MES(三井造船)ループを用いた10wt.%酸素濃度の1000h試験では、著しい腐食/エロージョンは観察されなかった。静的腐食試験の結果は、450Cでは鋼材中Cr量の増加とともに腐食深さは減少するが、550Cでは316SS, JPCAの腐食深さはNi, Crの溶出,Pb, Biの浸入により著しい増加を示す。Si添加鋼は550Cで優れた耐食性を示す。
木下 秀孝; 羽賀 勝洋; 神永 雅紀; 日野 竜太郎
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(3), p.376 - 384, 2004/03
被引用回数:3 パーセンタイル:23.51(Nuclear Science & Technology)J-PARC計画の下で建設を進めている核破砕中性子源において、核破砕水銀ターゲットに水銀を安定供給する循環システムの設計開発は不可欠である。このため、循環ポンプの性能試験が必要であり、また、配管のエロージョン量や配管内に残る水銀量を明らかにすることは配管の寿命評価やシステムのメンテナンスシナリオを確立するうえで重要事項となる。そこで、水銀流動基礎実験装置を用いてポンプ試験,エロージョン試験及び水銀残留量評価を、実機と同形式のギアポンプを使用して行った。その結果、実験用ギアポンプの吐出量等については実機を実現するうえで十分な性能を示しており、また、回転数と流量の関係は比例的な関係を示した。エロージョンについては非常にその量も小さく、実機配管で30年間の運転に対して安全側に評価した場合に、減肉量として660mという値を得た。残留水銀量については50.7g/mという結果を得た。
大道 博行
Reports on Progress in Physics, 65(10), p.1513 - 1576, 2002/10
被引用回数:190 パーセンタイル:75.22(Physics, Multidisciplinary)X線レーザー開発は1960年代の再結合型の提唱に始まる。本論文では、初期の提案,70年代の分光学的研究,80年代の疑う余地のないX線レーザーの実現,その後の短波長レーザー,放電型レーザー,長波長レーザーの発振について詳細にレビューしている。方式は電子衝突励起型,再結合励起型を中心に紹介している。次に極短波長域X線レーザー(h,1keV)の開発につながる光励起方式,内殻電離方式等、これまで成功は収めてないものの、超短パルス高出力レーザー励起方式により新しい展開の望める方式を紹介している。最後に主として電子衝突励起方式X線レーザーを用いたX線レーザー干渉計,ラジオグラフィー,モアレディフレクトメーター,顕微鏡等のX線レーザー応用研究の系統的レビューを行っている。最後のまとめで、今後の開発計画に対する見解を述べている。
廣木 成治; 阿部 哲也; 丹澤 貞光; 中村 順一*; 大林 哲郎*
JAERI-Tech 2002-056, 11 Pages, 2002/07
ITER粗引システム設計の妥当性を評価するため、2段ルーツ真空ポンプシステムの軽元素ガス(軽水素H,重水素D,ヘリウムHe)及び窒素ガスNに対する排気特性(排気速度及び圧縮比)の試験をITER R&Dタスクとして実施した。試験では、エドワーズ社ルーツ真空ポンプEH1200(1台,公称排気速度1200m/s)と同EH250(2台,同250m/s)及びロータリーポンプ(1台,同100m/s)を直列に接続し、ヨーロッパ真空規格に準拠して実験を行った。そして、2段ルーツ真空ポンプシステムのD及びNに対する最大排気速度はそれぞれ、1200と1300m/hであり、公称排気速度を満たすことを確認した。本試験結果は、2段ルーツ真空ポンプシステムからなるITER粗引システム設計の妥当性を裏付けるものである。
Guillemet, L.*; Jager, B.*; Haange, R.*; 濱田 一弥; 原 英治*; Kalinin, G.*; 加藤 崇; Millet, F.*; Shatil, N.*
Proceedings of 19th International Cryogenic Engineering Conference (ICEC-19), p.105 - 108, 2002/07
ITER国際チームは、日本原子力研究所との共同で、国際熱核融合実験炉(ITER)の超伝導コイルを冷却するためのヘリウム冷凍システムを設計した。本冷凍機は、核融合試験装置用としては世界最大規模であり、4Kで48kWの冷凍能力と0.16kg/sの超臨界ヘリウムの供給能力を有する。本設計には、原研のITER中心ソレノイド・コイルの冷却で実績のある、超臨界ヘリウム・ポンプと低温排気圧縮機の技術が採用されている。ITERでは、低温熱負荷がプラズマ燃焼試験と共に変動するので、冷凍機の動作が不安定になることを避けるために、熱負荷を平準化する機構を冷凍システムに設けた。この様な工夫により、冷凍システムの規模を極力小さくすることができるとともに、コイルを安定に運転することが可能となった。
Kritmaitree, P.; 秋山 光庸*; 日野 竜太郎; 神永 雅紀; 寺田 敦彦*
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(1), p.101 - 107, 2002/01
被引用回数:6 パーセンタイル:39.48(Nuclear Science & Technology)大強度陽子加速器計画では、物質・生命科学実験施設の中性子源に用いる冷減速材システムの設計を進めており、システムの合理化のために液体水素を循環させる体積型スクロールポンプの開発が急務となっている。スクロールポンプは、原理的に高効率,低騒音低振動,高信頼性が期待できるため、冷媒圧縮機などとして実用化され、運動性能の向上を目的に広く研究開発が進められている。本報では、液体水素への適用性を調べるため、ポンプ内の流れ場について低レイノルズ数型k-乱流モデルを用い数値解析を実施し、歯形の並進回転運動に伴う圧力変動を移動境界アプローチにて検証した。その結果、円滑な吐き出し流動を実現できる見通しを得た。
杉本 誠
JAERI-Research 2000-069, 134 Pages, 2001/03
強制冷凍超電導コイルでは、この運転条件により、冷媒である超臨界ヘリウムの供給流量が低下することを本研究において初めて見いだした。この流量低下現象には、コイルのパルス運転(定常流量低下現象)によるものと、コイル内の常伝導転移(非定常流量低下現象)によるものがあり、それぞれの場合で流量低下量を精度良く予測できるようにした。これにより、コイルのパルス運転では、必要な最小流量を算出できる手法を確立した。また、常伝導転移による流量低下から、内部で消費されたエネルギーを予測し、精度のよい動作判定方法を開発した。
東島 智; 久保 博孝; 杉江 達夫; 仲野 友英; 木島 滋; 玉井 広史; 清水 勝宏; 逆井 章; 朝倉 伸幸; 櫻井 真治; et al.
Journal of Nuclear Materials, 290-293, p.623 - 627, 2001/03
被引用回数:6 パーセンタイル:44.06(Materials Science, Multidisciplinary)トカマク型核融合炉の実現には、ダイバータ板の損耗を防ぐために低温・高密度ダイバータの生成が急務である。しかし、高閉じ込めプラズマを得るためには、主プラズマ周りの中性粒子密度を低い状態に維持することが望ましく、ダイバータ部から主プラズマへの中性粒子逆流を抑制する必要がある。そこで、JT-60Uでは、平成9年5月に開ダイバータから排気付W型ダイバータ(内側排気)へと改造した。さらに平成10年12月には、高密度における排気効率改善を目的とし、外側ストライク点付近にも排気口を設けた両側排気へと改造した。本講演では、(1)内側排気ダイバータと両側排気ダイバータにおける炭素不純物挙動について示すとともに、(2)ガスパフと排気を組み合わせることによるX点MARFE発生の制御について報告する。内側排気ダイバータと両側排気ダイバータで、外側排気との相関が強いと思われる外側セパラトリックスとダイバータドームとの距離(gap-out)をスキャンし、X点MARFE発生密度及び炭素不純物遮蔽効果を比較したが、両者に顕著な違いは見られなかった。また、最近計測可能となったダイバータ領域の高い(Z軸)方向の炭素不純物や重水素からの発光強度分布の時間変化等といった新しいデータを示す。X点MARFE発生密度、ダイバータ排気の有無で約10%異なる(両側排気ダイバータ、L-modeプラズマ)。そこで、まずダイバータ排気無しでX点MARFEを発生された後、ダイバータ排気によってX点MARFEを消滅される試みを行った。ダイバータ排気実施後は、外側ストライク点付近の中性子圧力が減少、外側ストライク点付近がアタッチ(接触)状態に戻り、X点MARFEが消滅した。これより、ダイバータ排気はダイバータデタッチメント発生及びX点MARFE発生の制御に有効であるとの結果を得た。
加藤 崇
ターボ機械, 28(9), p.536 - 545, 2000/09
核融合炉用超伝導コイル冷却に必要な超臨界圧ヘリウム・ポンプについて、これまで原研が開発してきた3台のターボ・ポンプを中心に解説し、展望する。核融合炉用超伝導コイルにおける超臨界圧ヘリウム循環冷却方式の必要性、並びにその冷却にターボ・ポンプを使用することの優位性について解説を行う。そして原研が開発した世界最大容量を有する超臨界圧ヘリウム・ターボポンプについて、設計・性能を紹介し、極低温ヘリウムにおけるターボ機械応用の有効性を述べる。
内海 隆行*; 佐々木 明
第14回数値流体力学シンポジウム講演要旨集, 4 Pages, 2000/00
超短パルス・高ピーク出力レーザー光をポンプ光と超短X線パルスプローブ光生成に分岐し、ポンプパルスにより試料物質中に誘起した物性変化をX線回折像として取得することができる。すなわち、試料中にポンプ光で衝撃波を発生させることによりX線回折像から結晶中の過渡現象に伴う原子配列の動的変化を観測することができる。X線回折像解析からは、結晶格子間隔の動的変化が計測されるが、これを連続体運動方程式でモデル化した場合の密度変化に対応させられる。これらは超高速現象であるために、実験の準備,X線回折像解析には数値シミュレーションが重要な要件である。本報告では、3次補間擬似粒子法(CIP: Cubic-Interpolated Propagation)とC-CUP(CIP-Combined Unified Proedure)法に基づき開発したコードでレーザー誘起衝撃波を解析した。これにより、レーザー照射実験に重要なデータであるレーザー吸収係数,熱伝導係数,状態方程式(EOS)の妥当性をX線回折と数値シミュレーションにより検証することが重要であることがわかった。