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中村 秀夫; 柴本 泰照; 安濃田 良成; 久木田 豊*; 三島 嘉一郎*; 日引 俊*
Nuclear Technology, 125(2), p.213 - 224, 1999/02
被引用回数:8 パーセンタイル:52.99(Nuclear Science & Technology)高温(≦773K)で液状の鉛ビスマス合金の水中あるいは空の模擬容器への落下挙動を、高速度撮像の中性子ラジオグラフィで観察した。高速ビデオカメラ、イメージインテンシフィヤ及びJRR-3Mの高速中性子ビームにより、溶融及び固化金属と水、沸騰による水蒸気との激しい相互作用を、最高500フレーム毎秒で明瞭に可視化した。さらに、金カドミニューム合金のトレーサー粒子を混入することで、水中に落下した溶融金属の流速分布計測をPIV法を用いて実施した。以上の結果から、本可視化手法が、金属/気相/液相混合物の、高速でかつ複雑な現象の観察に適用可能なことを示した。
丸山 結; 山野 憲洋; 工藤 保; 森山 清史; 杉本 純
JAERI-memo 08-127, p.269 - 275, 1996/06
TMI-2事故では、大量の溶融炉心が圧力容器下部ヘッドに移行したが、そこで溶融炉心が冷却され、事故が圧力容器内で終息した。残念ながら下部ヘッドにおける、溶融炉心の冷却メカニズムは未だ解明されていない。原研で進めている事故時格納容器挙動試験(ALPHA)計画では、平成8年度より圧力容器内溶融炉心冷却性実験を開始すべく準備を進めている。この実験では、テルミット反応により生成した酸化アルミニウムを溶融炉心模擬物として使用する計画である。熱損失、溶融炉心上部に形成されるフラストの成長速度に関する検討を行い、酸化アルミニウムの適用性、試験体の規模等を定めた。本検討から酸化アルミニウムの適用性を確認するとともに、溶融物の重量を50kg、試験体の直径を0.5mとすることとした。
中村 秀夫; 柴本 泰照; 安濃田 良成; 久木田 豊; 三島 嘉一郎*; 日引 俊*
Fifth World Conf. on Neutron Radiography, 0, p.665 - 672, 1996/00
TMI-2事故時には、溶融炉心が圧力容器下部ヘッドに落下、固化して高温のデブリを形成し、高圧条件下で長時間下部ヘッドを加熱した。しかし、その際下部ヘッドの健全性を維持させた機構については、充分解明されていない。溶融炉心の固化過程では、蒸気発生を伴う固気液3相の流動が生じたと考えられる。ここでは、固化後の形態を左右すると思われるこのような混相流動に関する基礎的知見を得る為、下部ヘッドを模した偏平U字断面の小型容器を用い、JRR-3Mの中性子ラジオグラフィによる可視化と高速ビデオによる観察を試みた。高増倍率のイメージインテンシファイヤの使用で、比較的ノイズが少なく明るいビデオ画像が得られた。その結果、大気圧下で300~500CのPb-Bi合金を空の容器、又は水中に落下させた場合につき、固化過程での金属内の流動や、混合、蒸気発生、気液流動、固化形態、及びこれら現象に及ぼす落下時の合金と冷却水の温度や量の影響に関する知見を得ることができた。
丸山 結; 山野 憲洋; 森山 清史; H.S.Park*; 工藤 保; 杉本 純
Proc. of Int. Topical Meeting on Probabilistic Safety Assessment (PSA96), 3, p.1367 - 1374, 1996/00
原研の事故時格納容器挙動試験(ALPHA)計画において、圧力容器内溶融炉心冷却性実験を実施している。この実験ではテルミット反応により生成した高温の溶融酸化アルミニウムを溶融炉心模擬物として使用する。これまでに実施した2回の実験においては、30kgあるいは50kgの溶融酸化アルミニウムを、圧力容器下部ヘッドを模擬している実験容器に流し込んだ。実験容器内の初期水位は30cmである。実験後に冷却固化した酸化アルミニウムを観察し、表面が非常に粗いこと、クラックが形成されていること、等を確認した。また、溶融物及び実験容器壁の温度履歴測定結果は、実験容器内で固化した酸化アルミニウムと容器壁との間に水が浸入した可能性を示唆した。実験容器壁の温度減少速度から、容器内壁における熱流速は概ね300~400kW/mと評価された。
杉本 純; 上塚 寛; 日高 昭秀; 丸山 結; 山野 憲洋; 橋本 和一郎
Thermophysical Properties 17 (17th Japan Symp. 1996), 0, p.163 - 166, 1996/00
シビアアクシデント時の伝熱挙動は、一般に多成分・多相流が関与するとともに、現象として極めて複雑・多様であることに大きな特徴がある。このうち溶融炉心の挙動としては、炉心の溶融進展、溶融炉心の自然対流、溶融炉心と原子炉圧力容器壁との反応、原子炉圧力容器外部冷却法による溶融炉心の冷却、溶融炉心と冷却材の相互作用、溶融炉心と格納容器床コンクリートとの反応などがある。これらの現象を明らかにするとともに、解析的な評価を行うためには、溶融炉心の融点である2,800Cを越える高温での溶融炉心の比熱、熱伝導率、熱拡散率、密度、表面張力、粘度等の熱物性値が必要である。また、関連する実験とその解析を行うためにも実験体系における同様の熱物性値が必要である。しかし、これらについては非常に限られたものしか得られていないのが現状である。本稿では、シビアアクシデント時の溶融炉心挙動と熱物性について、研究の現状と今後の課題について述べている。
石神 努
Journal of Nuclear Science and Technology, 32(7), p.691 - 701, 1995/07
被引用回数:2 パーセンタイル:27.03(Nuclear Science & Technology)日本原子力研究所では、原子力発電プラントで万一の事故が発生した時の緊急時に、国の緊急技術助言組織に対して有用な情報を提供することにより同組織の活動を支援する緊急技術助言対応システム(COSTA)の開発を進めている。COSTAの重要な機能の1つに、緊急時にプラントから通報される事故情報に基づくプラント状態把握と事象進展予測がある。本稿では、この機能についての性能評価を行うことを目的に、COSTAをTMI-2事故に適用した。COSTAへの入力となる事故情報の量、内容、および通報間隔を変化させたケーススタディを行い、これらが予測結果に及ぼす影響を評価した。その結果、事故の内容に即した事故情報が適度の時間間隔で通報される場合、COSTAの予測結果は妥当であることがわかった。
丸山 結; 山野 憲洋; 工藤 保; 森山 清史; 杉本 純
Proc., Seminar on the Vapor Explosions in Nuclear Power Safety,Kanzanji 1995, 0, p.54 - 69, 1995/00
1979年米国ペンシルベニア州で発生したTMI-2事故では、炉心の約45%が溶融し、その内の約19トンが下部プレナム領域に移行したと推定されている。本講演では、TMI-2下部ヘッドの損傷状態、下部ヘッド鋼材の安全裕度、溶融炉心の移行シナリオ等と評価することを目的に実施されたTMI-VIP計画から得られた知見と併せて、原研の事故時格納容器挙動試験(ALPHA)計画で予定されている実験の概要を報告する。ALPHA計画の炉内デブリ冷却性実験(スコーピング実験)ではAlO
を溶融炉心模擬物として用いる。スケーリング解析から下部ヘッド試験体の直径を50~70cm、Al
O
の重量を~100kgと定めた。この実験では溶融物の温度等を計測するとともに、固化した溶融炉心模擬物の性状を計測する。
TMI-2の事故調査翻訳グループ
JAERI-M 93-111, 464 Pages, 1993/06
本報告書は、1989年8月から12月に刊行された4分冊の米国原子力学会ニュークリア・テクノロジ誌TMI特集号(Vol.87)の論文を翻訳し紹介するものである。これらの特集号には、スリーマイル島2号機(TMI-2)事故の全容について最終的な総括が示されており、10年間に亘る膨大な活動を通して得られた、事故調査研究と復旧活動に関する成果と教訓が集約されている。これらは我国における原子炉安全性向上にも重要な貢献をするものと考え、米国原子力学会の許可を得て翻訳・刊行することにしたものである。本報告書の構成は、2章に示す全訳の論文等33件、3章に示す抄録のみの論文紹介86件および訳者の2人が記述したその後のTMI関連研究の動向(4章)から成り、翻訳部分は2章と3章である。全訳部分は原典全頁の約1/4に相当する分量であり、上記特集号4分冊から訳者が重要と考える論文を選んだものである。
LOFT専門部会
日本原子力学会誌, 33(12), p.1112 - 1120, 1991/12
OECD LOFT計画は、熱出力50MWのPWRを用いて、LOCAおよび運転時の異常な過渡変化に関する総合実験を行い、それらの事故および異常時における原子炉プラントの熱水力挙動、ECCSの有効性、さらにはFPの移行挙動を明らかにすることを目的として実施された。OECD LOFT計画では、熱水力実験6回とFP移行実験2回の合計8実験が行われた。熱水力実験の結果から、ECCSの有効性および現行の安全基準の妥当性が改めて、確認された。一方、最後に行われたLP-FP-2実験は、LPIS配管の破断を含む極めて苛酷な多重故障によるシビアアクシデントを模擬し、燃料集合体の損傷過程並びにFP移行に関するデータを提供した。本稿は、OECD/LOFT計画の成果と、国内での関連研究の概要をとりまとめたものである。
鈴木 光弘
JAERI-M 91-038, 108 Pages, 1991/02
一昨年3月、米国原子力規制委員会(USNRC)はTMI事故後10年間に実施した原子力発電所の安全改善策をまとめ、NUREG-1355報告書を出した。米国におけるその安全改善策の出発点になったのは、事故発生2週間後に指名された大統領委員会(通称ケメニー委員会)による包括的調査と勧告であった。NUREG-1355は、広範な分野に亘り原子力規制行政と施設の安全管理に抜本的検討を加えることになったこの大統領委員会勧告に照らして、対応の現状をまとめたものである。本報告書はその全訳である。訳に当ってはできるだけ原文に忠実に訳し、正確さを期する為にいくつかの分野の研究の協力を頂いた。NUREG-1355の内容は規制行政のみならず、事業者と運転員訓練、種々の技術的評価、保健と安全、緊急時対応計画など7章76項目から成り、わが国における安全改善策や安全研究の進展を考える上で大変参考になる資料である。
早田 邦久
Journal of Nuclear Science and Technology, 19(10), p.813 - 820, 1982/00
被引用回数:4 パーセンタイル:47.16(Nuclear Science & Technology)加圧水型原子炉(PWR)の自然循環は、TMI事故後、強制循環を喪失するような事故または遷移時の代替冷却法として、また、回復手段として、近年大きな関心を集めてきた。自然循環の3つのモード(単相、二相、リフラックス)のうち、リフラックス冷却については、PWRでの十分な検討がされていない。本報告では、自然循環のリフラックス冷却に注目し、PWRのホットレグ内の液速を推定する解析方法を導いた。本報告の結果から、代表的なPWRのリフラックッス時(2%炉心出力、6.9MPa)には、上部プレナム側のホットレグ入口で、流速は2.7m/s、液深さは、3.0cmであることがわかった。この結果から、蒸気流路の凝縮液流による閉塞は、ホットレグ内で殆んどおこらないことがわかった。この結果は、リフラックス冷却実験を行なう実験装置で、液連および液深さを測定する計測器を設計するのにも有用である。
田辺 文也; 松本 潔; 吉田 一雄; 下桶 敬則
Nucl.Eng.Des., 69(1), p.37 - 42, 1982/00
被引用回数:2 パーセンタイル:32.55(Nuclear Science & Technology)TMI事故での燃料棒挙動および炉心損傷の程度を推定するための解析を、事故発生より三時間にわたる期間についてTOODEE2-Jを用いて行った。解析に必要な炉心水位、蒸気流量、炉心入口流量等のデータは、RELAP4/MOD6/U4/J2の熱水力学的解析結果を基に作成した。解析結果より、炉心周辺部の出力の低い燃料棒以外のすべての燃料の被覆管は、事故後7600から8000秒の間に破裂し、炉心の上半分のジルカロイは大部分が溶融し、事故発生後三時間の間に、全ジルカロイの43.5%が酸化したと推定される。この酸化量は、797.7ホンドの水素発生に対応する。以上の解析結果より、TMI事故での炉心損傷は事故発生後3時間の間に起ったのもと推測される。
田辺 文也; 吉田 一雄; 松本 潔; 下桶 敬則
Nucl.Eng.Des., 69(1), p.3 - 36, 1982/00
被引用回数:2 パーセンタイル:32.55(Nuclear Science & Technology)TMI事故の熱水力学的解析を事故発生より三時間にわたる期間についてRELAP4/MOD6/U4/J2を用いて行なった。操作員の動作、蒸気発生器2次側条件の時間的変化など一部の解析条件はプラント・レコードによっている。解析では、加圧器ヒータの効果、金属-水反応による水素の発生と存在などを模擬している。解析結果はプラント・レコード又はそれらから推定されたものとよく一致している。加圧器ヒータは加圧器内冷却水のエンタルピを高めるため逃し弁からの流出流量を小さくしその結果、炉心水位はヒータを無視した場合よりも高くなることや8000秒以降の圧力上昇は水素の存在による分圧と水蒸気凝縮熱伝達係数の減少が主たる原因であることが本解析により明らかになった。また燃料棒の蒸気中への露出は事故後6490秒より始まり炉心下部より3.4ft~4.5ft以上の部分の露出が約40分続いたと推定される。
田辺 文也; 下桶 敬則; 吉田 一雄; 松本 潔
JAERI-M 8653, 79 Pages, 1980/01
本報告書はTMI事故の全貌を理解する目的で、TMI事故発生後比較的短時間に実施された解析的研究の結果について報告している。解析は、最初に炉心が露出したと推定される時間帯、即ち、事故発生後3時間の範囲を対象とし、この間の1次系ループ内熱水力学的挙動をRELAP4/Mod6/U4/J1コードで、炉心内燃料棒ヒート・アップ現象をTOODEE2コードでそれぞれ解析している。第1次解析は、NRCが4月5日に発表した事故経過表に、第2次および第3次解析は5月17日のNRC本会議に提出された新「事故経過表」に基いて成されたものである。解析は改訂を重ねるに従い、一部のプラント量について発表されている事故記録データとの一致性が改善されて来た。本報告書ではこの他、解析コードを使用して始めて詳細に知り得るプラント内諸量およびこれら諸量間の関係について、解析の示す所を記述している。
森嶋 淳好
JAERI-M 8373, 143 Pages, 1979/05
本報は、TMI-2の最終安全解析報告書とTMI-2の事故について、初期にNRCから発表された有力な情報をもとに、TMI-2事故の技術的検討を行なった速報的報告書である。内容は事故の時間経過を含む事故状態の総括的解析と、炉心および1次系の熱水力的挙動、燃料破損にいたる挙動、水素発生と水素爆発、放射性物質の放出経路など、事故と密接に関連した主要な技術的項目の検討から成っている。附録には主要な技術的項目を検討するための基礎資料が記されている。
高野 公秀; 小野澤 淳; 鈴木 美穂; 小畑 裕希
no journal, ,
福島第一原子力発電所の燃料デブリ取出しの検討に必要な基礎機械特性として、種々の方法で作製した(U,Zr)O模擬デブリとTMI-2デブリの微小硬さを測定し、元素組成・組織とともに比較検証した。TMI-2デブリの代表的な組織は、立方晶単相(主に上部クラスト部)、Zrリッチな正方晶及び単斜晶、及び両者が微細に入り交じった2相分離組織(主に溶融プール部)の3種類に分類され、立方晶単相組織が12
13.5GPaで最も硬かった。溶融固化過程を経た単相の(U,Zr)O
模擬デブリは、13
14.5GPaの硬さであり、急冷・徐冷による差はほとんど見られなかった。またTMI-2デブリの単相組織と大きな差は見られなかったことから、硬さに関しては模擬性を有していることを確認した。一方、模擬デブリを酸化雰囲気で焼鈍して得た、組成の異なる複数の斜方晶が微細に入り交じった組織では、TMI-2デブリの2相分離組織と同様に、硬さが顕著に低下した。このような組織では、構成する各相の硬さ以外に、粒界すべりの効果による硬さの低下が示唆された。
外池 幸太郎; 山根 祐一
no journal, ,
福島第一原子力発電所(1FNPS)事故では大量の燃料デブリが生じたと考えられている。その量は最小臨界量よりはるかに多く、臨界管理が必要である。本発表では、まず、同様に燃料デブリが生じたスリーマイル島原子力発電所2号機(TMI-2)事故における臨界管理を振り返り、これと比較しつつ1FNPS廃炉における臨界管理の課題を述べる。さらに、1FNPSの臨界管理で必要となりそうな技術及び研究開発について紹介する。1FNPSでは中性子毒物を含まない水中環境で、つまり臨界となるリスクが存在する下で、燃料デブリを取り出すことがあり得る。この場合、リスク管理、具体的には臨界になった場合の影響を緩和する手段が、廃炉の安全性に係る重要な因子となる。
松村 太伊知; 永石 隆二; 片倉 純一*; 鈴木 雅秀*
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故における汚染水処理では、使用済みの吸着塔付近は高線量下であり容易に近づけない環境であるが、外側から放射線等を測定することで内部の吸着核種や吸収線量の分布を評価することが期待できるため、これまで放射線輸送・遮蔽計算を用いた汚染水処理等での吸収線量や放射線分解等に関する解析的研究を進めてきた。本研究では汚染水処理の代表例として、情報が広く公開されているTMI-2事故時の汚染水処理に用いた水没式脱塩システム(SDS)に対して、SDS吸着塔内のゼオライト充填層の吸収線量と、吸着塔のスキャニングの結果と充填層内の核種分布との関係について評価を試みた。
松村 達郎; 飯嶋 孝彦; 石井 翔; 高野 公秀; 小野澤 淳
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故においては、原子炉内の多くの燃料が溶融し、燃料デブリとなっていると推定されている。これらの燃料デブリには、被覆管構成元素のZrの酸化物や炉内構造物構成材料が混合していると共に、コンクリートと高温で反応したMCCI生成物も生成していると考えられ、破損履歴、冷却履歴等に依存して複雑な様相を呈すると判断される。これらの物質は、酸に対して非常に難溶性であると推定されていることから、今後、実施される燃料デブリ試料の元素分析のため、前処理として定量性が確保された溶解法を確立する必要がある。そこで、難溶解性試料の溶解法として知られているアルカリ融解法による試料の分解と酸溶解を組み合わせた手法を検討し、これまでの試験によって融剤として過酸化ナトリウムを用いることにより、模擬デブリ試料を硝酸に完全に溶解させることができる成果を得ている。本研究では、福島第一原子力発電所と類似の事故が発生した米国TMI-2の実デブリ試料に前述の溶解法を適用し、完全に溶解可能であることを確認した。
高野 公秀; 小野澤 淳; 鈴木 美穂; 小畑 裕希
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故で生じたコリウム(燃料デブリ)取り出しに向けて、その性状を予測するために種々の手法・条件で模擬コリウムを実験室規模で作製して生成相、組織、機械特性等のデータ取得と整理を進めている。一方で原子力科学研究所の燃料試験施設には、米国TMI-2事故で生じた炉心溶融物の試料が保管されており、これを再度観察、分析することで模擬コリウムの模擬性を検証するために用いた。急冷及び徐冷条件で作製した模擬コリウムと、TMI-2の上部クラスト部(急冷)及び熔融プール部(徐冷)をそれぞれ比較した結果、急冷条件では緻密な立方晶単相組織ができやすいのに対し、徐冷条件では高ウラン濃度の立方晶と低ウラン濃度の正方晶がミクロンサイズに分離した組織ができやすいという共通の傾向を確認した。