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報告書

放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明(委託研究); 令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*

JAEA-Review 2024-026, 80 Pages, 2024/10

JAEA-Review-2024-026.pdf:1.96MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という。)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和元年度に採択された研究課題のうち、「放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明」の令和元年度から令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、放射化学、核化学、核物理、燃料材料科学の専門家に環境微生物の専門家を加えた研究者により、模擬デブリの作製から、照射、化学的作用及び生物作用による溶出試験を行い、富岡町の国際共同研究棟等にJAEAが有する先端分析機器を駆使してデブリの性状の変化、元素の溶出挙動を分析し、放射線損傷と酸化環境下における化学的及び生物学的損傷の複合作用による燃料デブリの劣化機構を解明することを目的とした。令和4年度には、放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明のため、$$gamma$$線照射下における微生物の模擬燃料デブリ劣化試験、Feと錯形成能を有するシデロフォアであるdesferrioxamine (DFO)あるいは代替物とFe、Uの錯形成能、模擬燃料デブリやマイクロ粒子を計測できるマイクロ流路を用いた溶解試験、Fe酸化物への収着へのシデロフォアなどの影響、モデル微生物や1F付近で採取した菌種による模擬燃料デブリの劣化に関する知見を実験により得た。更に、模擬デブリの劣化を時間の関数として表すモデルを作成し、計算を行った。

報告書

再処理施設の高レベル廃液蒸発乾固事故での廃液沸騰時の貯槽内化学挙動試解析

吉田 一雄; 桧山 美奈*; 玉置 等史

JAEA-Research 2024-007, 24 Pages, 2024/08

JAEA-Research-2024-007.pdf:2.1MB

再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウム(Ru)の揮発性の化学種(RuO$$_{4}$$)が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。RuO$$_{4}$$の発生現象には、廃液の溶媒である硝酸の放射線分解で発生する亜硝酸が沸騰段階でのRuO$$_{4}$$の発生を抑制することが実験的に示されている。この現象を解析的に取り扱うには、廃液の当該事故時の硝酸及び亜硝酸を含めた窒素化合物の化学変化の解析が必要となる。廃液貯槽沸騰模擬コード:SHAWEDでは、硝酸-水-FP硝酸塩系での気液平衡の仮定に基づき廃液の温度上昇、硝酸及び水の蒸発量、気泡破裂に伴う飛沫生成量を計算する。現状の解析では、廃液中の亜硝酸濃度等の変化を模擬できない。より現象に即した模擬を可能にするため当該事故時の施設内の化学的な挙動を解析するSCHERNをSHAWEDと結合させ、放射線分解による亜硝酸の生成も考慮した廃液貯槽内の熱流動挙動解析及び化学挙動解析を同時に可能とするよう改良した。本報では、両計算コードを結合した計算の流れ、両者間でのデータの授受を概説し模擬結果の一例を示す。

報告書

バックエンド技術部年報(2022年度)

バックエンド技術部

JAEA-Review 2024-004, 124 Pages, 2024/07

JAEA-Review-2024-004.pdf:3.39MB

本報告書は、日本原子力研究開発機構原子力科学研究部門原子力科学研究所バックエンド技術部における2022年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)の活動をまとめたものであり、所掌する施設の運転・管理、放射性廃棄物の処理・管理、施設の廃止措置に関する業務、これらに関連する技術開発及び研究成果の概要を取りまとめた。2022年度の放射性廃棄物の処理実績は、可燃性固体廃棄物が約262m$$^{3}$$、不燃性固体廃棄物が約113m$$^{3}$$、液体廃棄物が約203m$$^{3}$$(希釈処理約72m$$^{3}$$を含む)であった。新たな保管体の発生数は、200Lドラム缶換算527本であった。公益社団法人日本アイソトープ協会への保管体の返還作業及び保管廃棄していた廃棄物の減容処理を行うことにより、保管体数の削減に取り組んだ結果、最終的に2022年度末の累積保管体数は2021年度から3,902本減の122,925本となった。保管廃棄施設・Lの保管体健全性確認作業は、本格運用を継続して実施した。また、放射性廃棄物処理場が新規制基準に適合していることの確認を受けるため、設計及び工事方法の認可申請を原子力規制庁に対し、順次、実施した。廃止措置に関しては、再処理特別研究棟において、機器の撤去等を実施した。バックエンドに関連する研究・技術開発においては、廃棄物放射能評価法の構築に向けて、採取した廃棄物試料の放射能分析を実施した。また福島第一原子力発電所事故に伴い発生した除去土壌の埋立処分に関する実証事業について、埋立完了後のモニタリングを継続した。

報告書

化学計測技術とインフォマティックスを融合したデブリ性状把握手法の開発とタイアップ型人材育成(委託研究); 令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 福島大学*

JAEA-Review 2023-024, 109 Pages, 2024/03

JAEA-Review-2023-024.pdf:5.42MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和元年度に採択された研究課題のうち、「化学計測技術とインフォマティックスを融合したデブリ性状把握手法の開発とタイアップ型人材育成」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、新しい化学分析法の構築によるインフォマティックスとの融合技術の実現を目指し、少ない情報量で全体像を推定するシステムの開発を実施することを目的とする。JAEA研究者とのタイアップ方式による研究を実施することで、博士前期課程$$sim$$ポスドクまでの研究者の地域実践型の深化する横断的な人材育成を行うとともに、国際感覚豊かな人材の育成を目指し、実施している。

論文

Atomic position and the chemical state of an active Sn dopant for Sn-doped $$beta$$-Ga$$_{2}$$O$$_{3}$$(001)

Tsai, Y. H.*; 小畠 雅明; 福田 竜生; 谷田 肇; 小林 徹; 山下 良之*

Applied Physics Letters, 124(11), p.112105_1 - 112105_5, 2024/03

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Applied)

Recently, gallium oxide (Ga$$_{2}$$O$$_{3}$$) has attracted much attention as an ultra-wide bandgap semiconductor with a bandgap of about 5 eV. In order to control device properties, it is important to clarify the chemical state of dopants and doping sites. X-ray absorption near edge structure (XANES) and hard X-ray photoemission spectroscopy were used to investigate the dopant sites and chemical states of Sn in Sn-doped $$beta$$-Ga$$_{2}$$O$$_{3}$$(001) samples. The results show that the chemical state of the Sn dopant is the Sn$$^{4+}$$ oxidation state and that the bond lengths around the Sn dopant atoms are longer due to the relaxation effect after Sn dopant insertion. Comparison of experimental and simulated XANES spectra indicates that the octahedral Ga substitution site in $$beta$$-Ga$$_{2}$$O$$_{3}$$(001) is the active site of the Sn dopant.

報告書

放射性微粒子の基礎物性解明による廃炉作業リスク低減への貢献(委託研究); 令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 茨城大学*

JAEA-Review 2023-021, 112 Pages, 2024/02

JAEA-Review-2023-021.pdf:7.1MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、平成30年度に採択された研究課題のうち、「放射性微粒子の基礎物性解明による廃炉作業リスク低減への貢献」の平成30年度から令和3年度分の研究成果について取りまとめたものである(令和3年度まで契約延長)。本研究は、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故で環境へ放出された放射性セシウム(Cs)を高濃度に含有する、不溶性の性状を持つシリカ(SiO$$_{2}$$)主材微粒子の基礎的な物性(粒径、組成、同位体組成、静電特性、光学特性)や$$alpha$$放射体の濃度等について、一定の成果をもつ我が国の放射化学、分析化学、エアロゾルの科学者らが英知を集め英国側と協力して更に研究を進め、炉内事故事象の解明、生成要因の解明を行い、廃炉手順の確立、溶融燃料等の回収、作業員、現場・周辺環境の安全確保等の達成に寄与することをねらいとした。

論文

An Analytical model to decompose mass transfer and chemical process contributions to molecular iodine release from aqueous phase under severe accident conditions

Zablackaite, G.; 塩津 弘之; 城戸 健太朗; 杉山 智之

Nuclear Engineering and Technology, 56(2), p.536 - 545, 2024/02

 被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)

Radioactive iodine is a representative fission product to be quantified for the safety assessment of nuclear facilities. In integral severe accident analysis codes, the iodine behavior is usually described by a multi-physical model of iodine chemistry in aqueous phase under radiation field and mass transfer through gas-liquid interface. The focus of studies on iodine source term evaluations using the combination approach is usually put on the chemical aspect, but each contribution to the iodine amount released to the environment has not been decomposed so far. In this study, we attempted the decomposition by revising the two-film theory of molecular-iodine mass transfer. The model involves an effective overall mass transfer coefficient to consider the iodine chemistry. The decomposition was performed by regarding the coefficient as a product of two functions of pH and the overall mass transfer coefficient for molecular iodine. The procedure was applied to the EPICUR experiment and suppression chamber in BWR.

論文

Characterization of Cs deposits formed by the interaction of simulated fission product CsOH in the gas phase and concrete at 200$$^{circ}$$C

Luu, V. N.; 中島 邦久

Mechanical Engineering Journal (Internet), 11(2), p.23-00446_1 - 23-00446_11, 2024/01

Cesium distribution is crucial for decommissioning Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (1F). Several experimental studies confirmed Cs retention on stainless steels by performing chemical reactions at high temperatures (typically above 800$$^{circ}$$C)), but the Cs retention on concrete, used in large quantities in light water reactors, is not fully understood. This study demonstrated that Cs might have been deposited and retained on the concrete structures where the temperature was not so high during the 1F accident. Results showed that the CsOH/concrete interaction at around 200$$^{circ}$$C occurred in water-insoluble Cs-(Al,Fe)-Si-O deposits and water-soluble phases, i.e., cesium carbonate hydrate and possibly cesium silicate if Al and Fe are not present. CsOH might be trapped on concrete by chemical reaction with CaCO$$_{3}$$ to form Cs$$_{2}$$CO$$_{3}$$ hydrate, and with aluminosilicate and SiO$$_{2}$$(quartz) to form Cs-Al-Si-O and Cs-Si-O deposits, respectively. This output could help elucidate the trapping mechanism that caused extremely high radioactivity on concrete shield plugs at 1F and develop an effective decommissioning practice for concrete structures.

報告書

JRR-3、JRR-4及び再処理特別研究棟から発生した放射性廃棄物に対する放射化学分析,2

飛田 実*; 後藤 勝則*; 大森 剛*; 大曽根 理*; 原賀 智子; 青野 竜士; 今田 未来; 土田 大貴; 水飼 秋菜; 石森 健一郎

JAEA-Data/Code 2023-011, 32 Pages, 2023/11

JAEA-Data-Code-2023-011.pdf:0.93MB

日本原子力研究開発機構の研究施設等から発生する放射性廃棄物は、放射能レベルに応じて将来的にトレンチとピットに分けて浅地中埋設処分される予定であり、埋設処分を開始するまでに、廃棄体の放射能濃度を評価する方法を構築する必要がある。そこで、原子力科学研究所バックエンド技術部では、研究施設等廃棄物に対する放射能濃度評価方法の検討に資するため、JRR-3、JRR-4及び再処理特別研究棟から発生した放射性廃棄物よりコンクリートを試料として採取し、放射化学分析を実施した。本報告書は、令和3年度から令和4年度に取得した23核種($$^{3}$$H、$$^{14}$$C、$$^{36}$$Cl、$$^{41}$$Ca、$$^{60}$$Co、$$^{63}$$Ni、$$^{90}$$Sr、$$^{94}$$Nb、$$^{rm 108m}$$Ag、$$^{137}$$Cs、$$^{133}$$Ba、$$^{152}$$Eu、$$^{154}$$Eu、$$^{rm 166m}$$Ho、$$^{234}$$U、$$^{235}$$U、$$^{238}$$U、$$^{238}$$Pu、$$^{239}$$Pu、$$^{240}$$Pu、$$^{241}$$Am、$$^{243}$$Am、$$^{244}$$Cm)の放射能濃度データについて整理し、放射能濃度評価法検討のための基礎資料としてまとめたものである。

論文

Optimization of dissolved hydrogen concentration for mitigating corrosive conditions of pressurised water reactor primary coolant under irradiation, 2; Evaluation of electrochemical corrosion potential

端 邦樹; 塙 悟史; 知見 康弘; 内田 俊介; Lister, D. H.*

Journal of Nuclear Science and Technology, 60(8), p.867 - 880, 2023/08

 被引用回数:2 パーセンタイル:38.50(Nuclear Science & Technology)

PWR一次冷却水中の腐食環境評価の1つの主要な目的は、主な構造材への悪影響を抑えつつ、PWRにおける一次冷却材応力腐食割れ(PWSCC)を抑制するための最適水素濃度を決定することにある。この目的に資するため、本研究ではラジオリシス解析と腐食電位(ECP)解析を併用したECP評価手法を提案した。前報では、ラジオリシス解析結果について報告した。この結果を踏まえて本報ではECP解析結果を報告する。ECP解析は混成電位モデルと酸化物層成長モデルを組み合わせたものであり、元々BWR用に開発したものである。本研究ではこれにLi$$^{+}$$とH$$^{+}$$のアノード分極曲線への影響を取り入れ、PWR用に拡張した。解析結果を過去のINCAインパイルループでの実験結果やその他の実験結果と比較し、本解析により$$pm$$100mVの誤差でECPを再現可能であることを示した。

論文

A Coupled analyses of water radiolysis and ECP for evaluation of the corrosive conditions in BWRs and PWRs

端 邦樹; 内田 俊介; 塙 悟史; 知見 康弘; 佐藤 智徳

Proceedings of 21st International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems - Water Reactors (Internet), 14 Pages, 2023/08

The coupled code of water radiolysis and electrochemical corrosion potential (ECP) calculations (WRAC-JAEA) has been proposed for evaluating ECP both for boiling water reactor (BWR) and pressurized water reactor (PWR) systems. In the present study, some updates, such as pH control based on boron (B) and lithium (Li) concentration, were carried out. The calculated ECP were compared with the measured results in the INCA in-pile loop in the Studsvik R2 reactor for validation of the code. It was confirmed that the calculated ECP agreed with the measured ones in the INCA loop. The suitable rate constant set for water radiolysis calculation is also discussed. In particular, the rate constants for the chemical reaction of hydroxyl radical and molecular hydrogen and its backward reactions were carefully examined to evaluate the effects of pH and hydrogen concentration on hydrogen peroxide concentration. Moreover, the polarization curves were calculated, and the effects of Li$$^{+}$$ and the other species on ECP were estimated. In order to apply the code for both type of reactor systems, verification and validation (V&V) procedures of the code are proposed.

報告書

バックエンド技術部年報(2021年度)

バックエンド技術部

JAEA-Review 2023-001, 136 Pages, 2023/06

JAEA-Review-2023-001.pdf:10.65MB

本報告書は、日本原子力研究開発機構 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 バックエンド技術部における2021年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)の活動をまとめたものであり、所掌する施設の運転・管理、放射性廃棄物の処理・管理、施設の廃止措置に関する業務、これらに関連する技術開発及び研究成果の概要を取りまとめた。2021年度の放射性廃棄物の処理実績は、可燃性固体廃棄物が約206m$$^{3}$$、不燃性固体廃棄物が約155m$$^{3}$$、液体廃棄物が約113m$$^{3}$$(希釈処理約81m$$^{3}$$を含む)であった。新たな保管体の発生数は、200Lドラム缶換算で760本であった。公益社団法人日本アイソトープ協会への保管体の返還作業及び保管廃棄していた廃棄物の減容処理を行うことにより、保管体数の削減に取り組んだ結果、最終的に2021年度末の累積保管体数は2020年度から3,777本減の126,827本となった。保管廃棄施設・Lの保管体健全性確認作業は、本格運用を継続して実施した。また、放射性廃棄物処理場が新規制基準に適合していることの確認を受けるため、設計及び工事方法の認可申請を原子力規制庁に対し、順次、実施した。廃止措置に関しては、再処理特別研究棟、液体処理場、圧縮処理建家及び核融合炉物理実験棟(FNS)において、機器の撤去等を実施した。バックエンドに関連する研究・技術開発においては、廃棄物放射能評価法の構築に向けて、採取した廃棄物試料の放射能分析を実施した。また福島第一原子力発電所事故に伴い発生した除去土壌の埋立処分に関する実証事業について、埋立完了後のモニタリングを継続した。

論文

The Effects of unburned-gas temperature and pressure on the unstable behavior of cellular-flame fronts generated by intrinsic instability in hydrogen-air lean premixed flames under adiabatic and non-adiabatic conditions; Numerical simulation based on the detailed chemical reaction model

Thwe Thwe, A.; 門脇 敏; 永石 隆二

Journal of Nuclear Science and Technology, 60(6), p.731 - 742, 2023/06

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)

本研究では、詳細な化学反応を考慮した非定常反応流れの数値計算を遂行し、固有不安定性による水素-空気希薄予混合火炎の不安定挙動を調べ、未燃ガス温度と圧力の影響を明らかにした。広い空間における火炎の不安定挙動をシミュレートし、セル状火炎の燃焼速度を求めた。そして、火炎不安定挙動に及ぼす熱損失および火炎スケールの効果を精査した。平面火炎の燃焼速度は、未燃ガスの温度が上昇すると増加し、未燃ガスの圧力と熱損失が上昇すると減少する。平面火炎の燃焼速度で標準化したセル状火炎の燃焼速度は、圧力(温度)の上昇と共に増大(減少)する。熱損失が存在する場合、標準化したセル状火炎の燃焼速度は、断熱の場合より大きくなる。これは、未燃ガスの高圧力と熱損失は、火炎の不安定挙動と不安定性をプロモートするからである。

報告書

再処理施設の高レベル廃液蒸発乾固事故のソースターム解析手法の整備

吉田 一雄; 玉置 等史; 桧山 美奈*

JAEA-Research 2023-001, 26 Pages, 2023/05

JAEA-Research-2023-001.pdf:1.61MB

再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウム(Ru)の揮発性の化学種が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。再処理施設のリスク評価の精度向上に資するため、計算プログラムを用いて当該事故時でのソースタームを解析的に評価する手法の整備を進めている。提案する解析手法では、まず廃液貯槽の沸騰をSHAWEDで模擬する。模擬結果の蒸気発生量等を境界条件としてMELCORにより施設内の蒸気等の流れに沿って各区画内の熱流動状態を模擬する。さらに各区画内の熱流動状態を境界条件としてSCHERNを用いてRuを含む硝酸、NO$$_{rm x}$$等の化学挙動を模擬し、施設外への放射性物質の移行量(ソースターム)を求める。本報では、仮想の実規模施設での当該事故を想定して、これら3つの計算プログラム間でのデータの授受を含めて解析事例を示す。

報告書

JRR-2、JRR-3及びホットラボから発生した放射性廃棄物に対する放射化学分析

青野 竜士; 水飼 秋菜; 土田 大貴; 今田 未来; 原賀 智子; 石森 健一郎; 亀尾 裕

JAEA-Data/Code 2023-002, 81 Pages, 2023/05

JAEA-Data-Code-2023-002.pdf:3.0MB

日本原子力研究開発機構の研究施設等から発生する放射性廃棄物は、放射能レベルに応じて将来的にトレンチとピットに分けて浅地中処分される予定であり、埋設処分を開始するまでに、廃棄体の放射能濃度を評価する方法を構築する必要がある。そこで、原子力科学研究所バックエンド技術部では、研究施設等廃棄物に対する放射能濃度評価方法の検討に資するため、原子力科学研究所内に保管されているJRR-2、JRR-3及びホットラボから発生した放射性廃棄物より分析試料を採取し、放射化学分析を実施した。本報告書は、令和2年度に取得した20核種($$^{3}$$H、$$^{14}$$C、$$^{36}$$Cl、$$^{60}$$Co、$$^{63}$$Ni、$$^{90}$$Sr、$$^{94}$$Nb、$$^{99}$$Tc、$$^{rm 108m}$$Ag、$$^{129}$$I、$$^{137}$$Cs、$$^{152}$$Eu、$$^{154}$$Eu、$$^{234}$$U、$$^{238}$$U、$$^{238}$$Pu、$$^{239}$$Pu、$$^{240}$$Pu、$$^{241}$$Am、$$^{244}$$Cm)の放射能濃度データについて整理し、放射能濃度評価方法の検討のための基礎資料としてまとめたものである。

論文

Surface analyses of CsOH chemisorbed on concrete and aggregate at around 200$$^{circ}$$C

Luu, V. N.; 中島 邦久

Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 9 Pages, 2023/05

Information of Cs distribution is important for decommissioning of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (1F). Several experimental studies confirmed the Cs retention on stainless steels by chemical reaction at very high temperatures (commonly above 800$$^{circ}$$C), but the Cs retention on non-metallic materials, such as concrete and thermal insulators, was not fully understood though they are used with large quantity in light water reactors. This study demonstrated that Cs might be deposited and retained on the concrete structure where the temperature was not so high during the 1F accident. It was revealed that the CsOH/concrete interaction at around 200$$^{circ}$$C resulted in the formation of water-insoluble Cs-(Al,Fe)-Si-O deposits and water-soluble phases, i.e., cesium carbonate hydrate and possibly cesium silicate, if Al and Fe are not present. CsOH might be trapped on concrete by chemical reaction with CaCO$$_{3}$$ to form Cs$$_{2}$$CO$$_{3}$$ hydrate, and with aluminosilicate and SiO$$_{2}$$(quartz) to form Cs-Al-Si-O and Cs-Si-O deposits, respectively. This output will be useful for elucidating the trapping mechanism that caused an extremely high radioactivity on concrete shield plugs at 1F, and for developing an effective decommissioning practice for concrete structure.

論文

Uranium hydroxide/oxide deposits on uranyl reduction

大内 和希; 松村 大樹; 辻 卓也; 小林 徹; 音部 治幹; 北辻 章浩

RSC Advances (Internet), 13(24), p.16321 - 16326, 2023/05

 被引用回数:1 パーセンタイル:20.85(Chemistry, Multidisciplinary)

電気化学水晶振動子マイクロバランス、インピーダンススペクトル及びX線吸収微細構造測定の結果から、ウラニルイオン(U$$^{rm VI}$$O$$_{2}$$$$^{2+}$$)の還元に伴う析出物の化学状態変化を明らかにした。U$$^{rm VI}$$O$$_{2}$$$$^{2+}$$の還元に伴い、(1)U$$^{rm V}$$の不均化によりU$$^{rm IV}$$が生成する。(2)U$$^{rm IV}$$はU$$^{rm IV}$$水酸化物として析出物を形成し、(3)最終的に水酸化物より大きな電気抵抗を持つU$$^{rm IV}$$酸化物に変化する析出機構が提案される。

論文

Chemical composition of aerosols generated by heating prototypic fuel debris samples

Journeau, C.*; Delacroix, J.*; Gu$'e$var, C.*; Testud, V.*; Brackx, E.*; Porcheron, E.*; Bouland, A.*; Berlemont, R.*; 池田 篤史

Science Talks (Internet), 6, p.100215_1 - 100215_9, 2023/05

One of the important challenges for the decommissioning of the damaged reactors of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (1F) is the fuel debris retrieval. The URASOL (URAnium and aeroSOL) project has been undertaken by the French consortium laboratories consisting of ONET, CEA, and IRSN for JAEA. It aims at acquiring basic data on the generation and characteristics of radioactive aerosols from the thermal or mechanical processing of fuel debris simulant. Prototypic fuel debris samples were fabricated based on the average of the lower head compositions computed in the OECD/BSAF benchmark. Samples were heated in an induction furnace to simulate thermal cutting and released aerosols were collected during three temperature ramps using impactors. The collected aerosols were chemically analyzed by ICP-AES and ICP-MS. Iron and tin are the major elements found in these aerosols, followed by chromium and silicon. Significant releases of tellurium, barium and cerium were observed.

論文

Evaluation of hydrogen behavior in sodium for sodium-water reaction detection of sodium-cooled fast reactor

山本 智彦; 加藤 篤志; 早川 雅人; 下山 一仁; 荒 邦章; 畠山 望*; 山内 和*; 江田 優平*; 由井 正弘*

Proceedings of 2023 International Congress on Advanced in Nuclear Power Plants (ICAPP 2023) (Internet), 6 Pages, 2023/04

In the secondary cooling system of sodium-cooled fast reactor (SFR), a rapid detection of hydrogen explosion due to sodium-water reaction by water leakage from heat exchanger tube is steam generator (SG) is important in terms of safety and property protection. For the hydrogen detection, Ni-membrane hydrogen detectors using atomic transmission phenomenon were used in Japanese proto-type sodium-cooled fast reactor "Monju". However, during the plant operation, many alarms of water leakage were occurred without sodium-water reaction in relation to temperature up and down. The authors focus on the difference in composition of hydrogen and the difference between the background hydrogen under normal operation and the hydrogen generated by the sodium-water reaction and theoretically estimate the hydrogen behavior in liquid sodium by using ultra-accelerated quantum chemical molecular dynamics (UA-QCMD). As the results of theoretical estimation, dissolved H or NaH, rather than H$$_{2}$$, is the predominant form of the background hydrogen in liquid sodium, and hydrogen produced in large amounts by sodium-water reaction can exist stably as fine bubbles with a NaH layer on their surface. Currently, the authors study the new hydrogen detector system focusing on the difference between the background hydrogen (dissolved H) and the hydrogen by sodium-water reaction (fine bubbles H$$_{2}$$). This paper describes the comparison between the theoretical estimation and experimental results based on hydrogen form in sodium.

報告書

放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明(委託研究); 令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*

JAEA-Review 2022-066, 91 Pages, 2023/03

JAEA-Review-2022-066.pdf:5.88MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(1F)の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和元年度に採択された「放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明」の令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、放射化学、核化学、核物理、燃料材料科学の専門家に環境微生物の専門家を加えた研究者により、模擬デブリの作製から、照射、化学的作用及び生物作用による溶出試験を行い、富岡町の国際共同研究棟等にJAEAが有する先端分析機器を駆使してデブリの性状の変化、元素の溶出挙動を分析し、放射線損傷と酸化環境下における化学的及び生物学的損傷の複合作用による燃料デブリの劣化機構を解明することを目的とした。令和3年度には、放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明のため、$$gamma$$線照射下における微生物の模擬燃料デブリ劣化試験、6価ウランの錯形成能、模擬燃料デブリやマイクロ粒子を計測できるマイクロ流路の構築、Fe酸化物への収着挙動、モデル微生物や1F付近で採取した菌種による模擬燃料デブリの劣化に関する知見を実験により得た。

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