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田崎 真樹子
日本原子力学会誌ATOMO, 65(3), p.183 - 186, 2023/03
2022年8月1日から26日に米国ニューヨークの国連本部で開催されたNPT第10回運用検討会議最終文書案は、ウクライナの原子力発電所、特にザポリッジャ原子力発電所の安全確保等に関する文言に露国が反対し、当該文書案を採択できずに閉会した。今次会議の主要論点と議論及び最終文書が採択されなかった理由の詳細等を紹介する。
田崎 真樹子; 木村 隆志; 清水 亮; 玉井 広史; 中谷 隆良; 須田 一則
JAEA-Review 2022-056, 54 Pages, 2023/01
2018年度から開始した「非核化達成のための要因分析と技術的プロセスに関する研究」の一環で、南アフリカの核開発及び非核化の事例を調査し、それらを7つの非核化要因((1)核開発の動機、(2)非核化決断時の内外情勢、(3)核開発の進捗度、(4)制裁の効果、(5)非核化のインセンティブ、(6)非核化の国際的枠組、(7)非核化の方法及び非核化の検証)から分析すると共に、同国の非核化の特徴及び非核化からの教訓を導いた。南アフリカは、1970年代にその原子力活動を、「平和的核爆発」の研究開発から、「限定的な核抑止力」の開発へ、さらに「運搬可能な核兵器」の製造に移行させ、1980年代後半までに自主開発・生産した高濃縮ウランを使用し6つの核爆発装置を完成させた。しかし1989年にアパルトヘイト政策の撤廃と共に非核化を決断し、自ら核爆発装置及び関連施設等を廃棄し、核兵器不拡散条約に加入して国際原子力機関(IAEA)と包括的保障措置協定(CSA)を締結・発効させ、IAEAの検証を受け、その後、核開発のペナルティを受けることなく非核兵器国として国際社会に復帰した。以降、南アフリカは現在に至るまで原子力の平和的利用を継続している稀有な国であり、特にその自主的な非核化は今後必要とされ得る非核化の参考例になると思われる。南アフリカが非核化を決断した主な要因は、冷戦緩和に伴う南部アフリカ地域の安全保障環境の改善であり、それに加え、同国のデ・クラーク大統領が、主にアパルトヘイト政策に起因する制裁等により余儀なくされていた国際的な孤立状態の改善と、国内の政治・経済の疲弊状態からの脱却が必要であるとの強い意志を抱いていたことである。そしてデ・クラーク大統領がその意志を貫くには、アパルトヘイト制度の撤廃と共に非核化の完遂が必要不可欠であった。今後必要とされ得る非核化の検証の観点からの教訓としては、検証の正確性及び完全性の向上を図る上で、核兵器等の廃棄と同時並行的に検証活動を行う必要があること、また非核化対象国による核物質等の隠蔽(未申告)を防止するために、非核化対象国が検証前にIAEAとCSAに加え追加議定書を締結することが望ましい。さらに非核化の方法について、核兵器(核爆発装置を含む)及び関連資機材や施設の廃棄等の他に、核活動に携わった技術者や科学者が有する核関連の技術やノウハウの拡散を防ぐ手段が必要とされることが挙げられる。
福井 康人
CISTECジャーナル, (203), p.273 - 285, 2023/01
ロシアによるウクライナ侵攻時には原子力施設への攻撃も発生し、改正核物質防護条約等に示された典型的な核セキュリティ事象を超えた事象も発生した。また、被害にあった施設も原子力発電所から研究所まで幅があり、そうした差異を踏まえて、このような事象に対して既存の国際法で保護できるのか、また法的欠缺が無いかにつき検討する。更に、万が一日本で類似事象が発生しても国内法上は法的に問題が無いことを明らかにする。
余語 覚文*; Lan, Z.*; 有川 安信*; 安部 勇輝*; Mirfayzi, S. R.*; Wei, T.*; 森 隆人*; Golovin, D.*; 早川 岳人*; 岩田 夏弥*; et al.
Physical Review X, 13(1), p.011011_1 - 011011_12, 2023/01
被引用回数:0Neutrons are powerful tools for investigating the structure and properties of materials used in science and technology. Recently, laser-driven neutron sources (LDNS) have attracted the attention of different communities, from science to industry, in a variety of applications, including radiography, spectroscopy, security, and medicine. However, the laser-driven ion acceleration mechanism for neutron generation and for establishing the scaling law on the neutron yield is essential to improve the feasibility of LDNS. In this paper, we report the mechanism that accelerates ions with spectra suitable for neutron generation. We show that the neutron yield increases with the fourth power of the laser intensity, resulting in the neutron generation of in
at a maximum, with
Wcm
, 900 J, 1.5 ps lasers. By installing a "hand-size" moderator, which is specially designed for the LDNS, it is demonstrated that the efficient generation of epithermal (0.1-100 eV) neutrons enables the single-shot analysis of composite materials by neutron resonance transmission analysis (NRTA). We achieve the energy resolution of 2.3% for 5.19-eV neutrons 1.8 m downstream of the LDNS. This leads to the analysis of elements and isotopes within sub-
s times and allows for high-speed nondestructive inspection.
伊藤 史哲*; Lee, J.; 弘中 浩太; 小泉 光生; 余語 覚文*
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.137 - 140, 2023/01
中性子共鳴透過分析(NRTA)は、パルス中性子を計量したい核物質に照射し、飛行時間(TOF)法を用いて測定核物質を非破壊測定する手法であるが、小型・高精度化には短パルスな小型中性子源が必要となる。近年発展著しいレーザー技術を用いたレー ザー駆動中性子源(LDNS)は、そのような中性子源として将来を期待されている。そこで我々はLDNSを用いたNRTAの技術開発を行い、実証実験を行った。その結果について報告する。
Maurer, C.*; Galmarini, S.*; Solazzo, E.*; Kumierczyk-Michulec, J.*; Bar
, J.*; Kalinowski, M.*; Schoeppner, M.*; Bourgouin, P.*; Crawford, A.*; Stein, A.*; et al.
Journal of Environmental Radioactivity, 255, p.106968_1 - 106968_27, 2022/12
2015, 2016年のモデル比較演習を経て、2019年に包括的なXe-133大気輸送モデル比較試験を企画した。欧米の医療用RI製造施設であるIREやCNLからの排出の影響が大きいヨーロッパと北米にある4つのCTBT国際モニタリングシステム局を対象とし、約30の参加モデルの結果の比較とアンサンブルを実施した。第2回ATMチャレンジの教訓により、参加者は事務局の指定する条件に基づいて計算を実施した。その結果、IREとCNLからの正確な日別スタック排出量を使用しても、拡散過程における誤差、残存排出源の適切な特性化、長いIMSサンプリング時間(1224時間)のデメリットと相殺され、平均すればスコアの改善が見られないことが確認された。一方、任意のモデル計算結果を用いたアンサンブルを実施したところ、今回対象とした4つの観測所でのXe-133バックグラウンドを十分に予測できることが確認できた。有効なアンサンブルのサイズは5以下であった。
Lee, J.; 伊藤 史哲*; 弘中 浩太; 高橋 時音; 鈴木 敏*; 小泉 光生
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(12), p.1546 - 1557, 2022/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)Compact time-of-flight (TOF) measurement systems are desirable for easy installation in various facilities. To achieve such compact systems, one of the key considerations is the design of the neutron moderator. However, there are only a few reports on systematic studies on moderators considering both neutron energy resolution as well as a neutron intensity. In this paper, to design an epithermal neutron moderator for short-distance TOF measurements, the neutron intensity and energy resolution of epithermal neutrons have been studied using the Monte Carlo simulation code PHITS with JENDL-4.0 for various types of moderators. The neutronic characteristics of a moderator comprising several components were evaluated. The relationships between the moderator dimensions and both the energy resolution and intensity of the epithermal neutrons were determined. From the obtained results, the appropriate high resolution moderator designs for the short-distance TOF measurements were proposed.
田崎 真樹子; 中谷 隆良; 清水 亮; 木村 隆志; 堀 雅人
第43回日本核物質管理学会年次大会会議論文集(インターネット), 4 Pages, 2022/11
非核化は、非核化実施以前の核活動の検証と、以降の核兵器、核兵器に利用可能な核物質(HEU, Pu)及びそれらの製造施設・設備・機器及び資機材等を凍結,無能力化,廃止措置しそれらを検証することである。本研究では、核物質及び原子力施設の非核化の前提として、また以前実施した非核化の事例調査結果や関連文献を参考にして、非核化のプロセスとその技術的措置のオプションの内容及び考慮すべき事項等について考察した。
中谷 隆良; 清水 亮; 田崎 真樹子; 木村 隆志; 堀 雅人
第43回日本核物質管理学会年次大会会議論文集(インターネット), 4 Pages, 2022/11
非核化は、核開発の検証と核兵器(核爆発装置を含む)、核兵器に利用可能な核物質(HEU及びPu)及びそれらの製造施設・設備・機器及び資機材等を、凍結,無能力化,廃止措置し、それらを検証することである。本研究では、原子炉施設の非核化を達成するために、民生利用,凍結,無能力化,廃止措置の選択肢における技術的措置や検証方法について検討し、効果的・効率的な観点で技術的プロセスを整理・考察する。
清水 亮; 中谷 隆良; 田崎 真樹子; 木村 隆志; 堀 雅人
第43回日本核物質管理学会年次大会会議論文集(インターネット), 3 Pages, 2022/11
非核化では、対象国の核兵器及び核兵器に利用可能な核物質を除去するとともに、それらの製造に関わる施設・資機材等を凍結,無能力化し廃棄する。また、対象国の核開発活動及び非核化について検証を行うことが想定される。本研究では、原子力施設の中で再処理施設の非核化を達成するために、民生利用,凍結,無能力化,廃止措置の各選択肢における措置や検証方法について検討し、効果的・効率的に非核化を実施できる技術的プロセスを整理・考察する。
木村 隆志; 中谷 隆良; 清水 亮; 田崎 真樹子; 堀 雅人
第43回日本核物質管理学会年次大会会議論文集(インターネット), 4 Pages, 2022/11
将来の非核化を想定し、原子力機構では、非核化を効果的・効率的に達成するための技術的プロセスについて研究を行っている。本発表では、ウラン濃縮施設,原子炉施設及び再処理施設の非核化のオプションとして、民生利用,凍結,無能力化,廃止措置,国外搬出を想定し、各々の措置の効果(不可逆性)と措置に必要なリソース及び検証に必要なリソースを定量的に評価した結果について比較評価した結果を報告するものである。
天野 宰; 佐藤 義治; 芝田 陵大; 山崎 勝幸; 白茂 英雄; 中村 仁宣
第43回日本核物質管理学会年次大会会議論文集(インターネット), 4 Pages, 2022/11
核セキュリティの法令遵守及び文化醸成活動が導入され10年が経過した。国内外の情勢に変化もある中、組織全体において、法令遵守及び核セキュリティを重視する姿勢の維持は、核セキュリティ上必要不可欠である。原子力機構では、組織全体で、評価改善を行いつつ、種々の活動を効果的に実施している。特に、教育と意識付けを両立したeラーニング、気付きを題材とした事例研究、及び内部監査は、これらの維持に効果的と考えられる。
福井 康人
第43回日本核物質管理学会年次大会会議論文集(インターネット), 3 Pages, 2022/11
ロシアによるウクライナの侵攻に伴い、ロシアがウクライナの原子力施設を攻撃した事件は日本でも真剣な懸念を引き起こした。しかしながら、日本では必要な行政措置は取られており、日本国内の現行法で対処可能であり、付加的な措置も不必要である。平時には炉規法に基づく核物質防護が実施され、事業者、警察、海上保安庁がその任を担っている。しかしながら、予想外の事態が発生して警察ベースのレベルの閾値を超えると、地方自治体等の要請により、国民保護法が発動され、通常の核物質防護に加えて、内閣官房及び関連する権限ある当局は自衛隊、地方自治体及び指定機関が対処する命令を出すことになる。
Lee, J.; 伊藤 史哲*; 弘中 浩太; 高橋 時音; 鈴木 敏*; 小泉 光生; 堀 順一*; 寺田 和司*
第43回日本核物質管理学会年次大会会議論文集(インターネット), 4 Pages, 2022/11
中性子検出に広く使われているGS20リチウムガラスシンチレータは、応答は速いがn/g弁別能に乏しい。ガンマ線背景事象を適切に評価するためには、ガンマ線に対する応答特性を知る必要がある。特に中性子測定時は減速材中の水素原子核から発生する2.2MeVのガンマ線が主な背景事象となるが、このような高エネルギーガンマ線への応答特性の報告はほとんどない。このため、本研究では、GS20の応答特性についてNa-24ガンマ線源を用いて調べた。
白藤 雅也; 野崎 天生; 阿久津 成美*; 宮地 紀子; 中村 仁宣
第43回日本核物質管理学会年次大会会議論文集(インターネット), 4 Pages, 2022/11
核物質利用の透明性維持のためには、IAEA/国が実施する保障措置活動に適切に対応することが必要であり、核物質を取り扱う上で重要な業務の一つである。原子力機構では当該保障措置対応を的確に実施するために、従業員の知識の向上のための活動及び実際の保障措置対応を的確に行うための活動など様々な取り組みを実施している。本発表では、取り組みの具体的内容及びその効果や課題に加え、今後の活動について紹介する。
Omer, M.; 静間 俊行*; 羽島 良一*; 小泉 光生
第43回日本核物質管理学会年次大会会議論文集(インターネット), 3 Pages, 2022/11
Gamma-rays originated from laser Compton scattering (LCS) are convenient photon sources for nondestructive interrogation of nuclear materials. LCS can be used with nuclear resonance fluorescence (NRF) and X-ray fluorescence (XRF), the two of which are considered photon-based active interrogation techniques. However, an accurate estimation of the incident LCS -ray flux is crucial. The
-ray flux is customarily measured using high purity germanium (HPGe) detectors, usually calibrated using standard point-like radioactive
-ray sources. These standard sources are entirely different from LCS beams in terms of detection geometry. Therefore, the calibration process must be corrected to meet the LCS beam conditions. Here, we demonstrate how to implement the required corrections and provide experimental validation of these corrections.
小泉 光生; 持丸 貴則*; 弘中 浩太; 高橋 時音; 山西 弘城*; 若林 源一郎*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1042, p.167424_1 - 167424_6, 2022/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Instruments & Instrumentation)文部科学省核セキュリティ強化等補助事業の下、広域における核・放射性物質検知技術開発を進めている。出力波形によってガンマ線と中性子を弁別できる棒状のプラスチックシンチレーション検出器を用いることにより、核物質等からの高速中性子を比較的低いバックグラウンドで検知するための装置を開発した。この装置は、2本の検出器とポリエチレンモデレーターを組み合わせたもので、回転させて、中性子源の方向を特定することができる。本論文では、PuBe線源からの高速中性子を測定した実験結果をもとに、シミュレーションの結果と合わせて、検出器および検出器システムの性能を報告し、迅速に放射線源の方向を探索する手法を提案する。
田崎 真樹子; 木村 隆志; 清水 亮; 玉井 広史; 中谷 隆良; 須田 一則
JAEA-Review 2022-020, 82 Pages, 2022/09
2018年度から開始した「非核化達成のための要因分析と技術的プロセスに関する研究」の一環として、イラクの原子力・核開発及び非核化の事例を調査し、併せて非核化の特徴を分析すると共に、イラクの非核化からから導き出し得る教訓について考察した。イラクは、1974年のインド核実験を契機として秘密裏の核開発に乗り出し、当初は自国でのプルトニウム生産、後に高濃縮ウラン生産に焦点を当てTuwaitha原子力研究所を中心に、ウラン濃縮施設(電磁同位体分離法及び遠心分離法施設)や核兵器研究開発施設等を建設した。イラクの非核化は、1991年の湾岸戦争での敗北により、同年の国際連合安全保障理事会決議第687号(1991)を受入れざるを得なかったことから始まる。同決議は、イラクの非核化を含む大量破壊兵器(WMD)廃棄の枠組みを規定しており、うち非核化に係り、国際原子力機関(IAEA)は、国際連合大量破壊兵器廃棄特別委員会(UNSCOM)の支援と協力を得て、イラクの過去の核活動の検証及びイラクによる核物質や核関連施設及び設備・機器等の廃棄、撤去、無害化等の監視・検証を行い、1997年後半までにイラクの核開発の全体像を明らかにした。イラクの非核化の特徴としては、イラクが非核化を受入れざるを得なかったこと、検証を行うIAEAに対して、後にIAEA保障措置協定追加議定書(AP)として結実した未申告の核活動を探知することが可能な査察手段や方法を実施する権限が付与されたこと、イラクのWMD廃棄を促進させるための経済制裁がそれほど功を奏しなかったこと、さらにイラクの非核化とその後のイラク戦争によるフセイン体制の崩壊が、リビア、北朝鮮及びイランの非核化に影響を与えたこと等が挙げられる。またイラクの非核化の教訓としては、APの普遍化や、不正利用されることがなく本来目的に適う経済制裁の必要性、外交交渉等の努力による非核化対象国にも非核化のインセンティブを段階的に与えられるような、かつ明確なロードマップを伴った非核化の枠組みや措置の必要性等が挙げられる。
田崎 真樹子; 木村 隆志
エネルギーレビュー, 42(9), p.62 - 63, 2022/08
1991年12月のソ連邦崩壊に伴い独立国家となったウクライナには、ソ連の核兵器等が残された。ただし同国は、1990年には既に非核化の方針を明確にしており、露国等とも戦術核の露国への移送や戦略核の廃棄等で合意していた。しかし独立後、露国との間でクリミアやセヴァストポリの領有権、また黒海艦隊の帰属等に係る課題が浮上し、ウクライナ国内では、核兵器保有オプションを取引手段として有効活用することを求める声があった。1992年3月、ウクライナは突如、実施中であった露国への戦術核の引き渡しを停止、その後、米露の説得により戦術核の移送再開を決定したが、その間、露国は密かに戦術核の移送を完了させており、ウクライナを激怒させた。一方戦略核について、米ソは、1991年7月、第一次戦略兵器削減条約(START I)に署名したが、ソ連崩壊に伴い、露国の意向に反してウクライナ,ベラルーシ及びカザフスタンが自らを条約当事国であると主張し紛糾していた。これに対し米露は、1992年5月、上記3か国を条約当事国として認めるが、一方でウクライナ等の核不拡散条約(NPT)への早期加入や、露国によるソ連の核兵器等の一元的な管理等の方針を確認する内容を盛り込んだSTART Iの附属議定書(通称:「リスボン議定書」)の締結に成功し、ウクライナ,ベラルーシ及びカザフスタンから、7年間(START Iの有効期間)に自国の核兵器を撤去するとの約束も取り付けた。1994年12月、米露英はウクライナと、ウクライナの独立,主権及び現行の国境の尊重、ウクライナに対して威嚇ないし武力行使を行わないこと、ウクライナに対して核兵器を使用しないこと、を含む計6項目を盛り込んだ「ブダペスト覚書」 に署名した。同覚書により、「NPTに加入する法」が発効して、同日、ウクライナはNPTに加入し 、また同国がNPTに加入するまではSTART I批准書の交換を行わないとしていた露国もSTART Iの批准書の交換を行い、同日、START Iが発効した。ウクライナは、このSTART Iの下で、1992年から米国が開始したCTRによる財政的支援等を受け、1996年6月1日に戦略核の露国への移送を完了させた。
玉井 広史
日本原子力学会誌ATOMO, 64(8), p.465 - 467, 2022/08
原子力安全と核セキュリティは、電離放射線の有害な影響から公衆と環境を防護するとの同一目標を共有しているが、それぞれの対処行動には相違するものもあり、とりわけ防護が脆弱となり易い輸送時における両者の間のインターフェースが大きな課題である。このため、IAEAは、放射性物質等の輸送における原子力安全と核セキュリティを相補的に強化することを目的として、2021年12月、関連する技術レポートを発行するとともに国際会議を開催した。技術レポートと国際会議の概要を紹介する。