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小荒井 一真; 松枝 誠; 柳澤 華代*; 藤原 健壮; 北村 哲浩
no journal, ,
Sr-90とY-90は骨髄への被ばく影響が懸念され、福島第一原発事故後にモニタリングが必要な核種である。しかしながら、放射能測定法では複雑な化学分離や2週間の測定期間を要する。近年、ICP-MSを用いたSr-90の迅速測定法が開発され、土壌や水試料に適用されている。本発表では動物の骨を対象とし、ICP-MSの迅速測定法に適した化学分離法を開発し、実際の試料に適用した。動物の骨として、魚類骨の標準試料を測定試料として選定した。試料の前処理として、マイクロウェーブ分解装置によって硝酸に溶解させた。溶解後の試料はSrレジンを用いた化学分離法をICP-MSの測定システムに組み込み、一連の行程で分析を可能にした。この工程によって、Sr-90をICP-MSで測定する際の妨害元素となるCa, Ba, Y, Zr, Fe, Geを分離した。娘核種のY-90も測定を妨害するため、酸素リアクションによって除去した。0.1gの骨の標準試料を使用した場合、100Bq/gの試料であれば測定可能であることを確認した。
小荒井 一真; 松枝 誠; 柳澤 華代*; 藤原 健壮; 北村 哲浩
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故によって放出された核種の1つとしてSrが挙げられる。放射能測定によらない新しい手法として、ICP-MSによってSrの定量が試みられている。これまでに、ICP-MSを含む測定システムを開発し、土壌や水試料を対象とし迅速にSrを測定可能であることが示された。これまでにICP-MSを用いて骨などの硬組織を測定した例はない。本研究ではICP-MSによる硬組織中Sr分析に固相抽出法を最適化させる。MW分解後の魚骨は蒸発乾固し、10mLの2.6M硝酸に溶解した。Srの固相抽出はフローインジェクション装置を用いて行った。魚骨分解後の2.6M硝酸溶液、各フラクションは100-10000倍に希釈し、ICP-MS(NEXION300X、Perkin Elmer)によって溶液内の元素濃度を定量した。測定の結果、Srの回収率を担保しながら測定の妨害元素を除去できた。以上のように、ICP-MSによる硬組織中Sr測定に適した固相抽出法を開発した。本手法はフローインジェクション装置内で行ったため、オンライン固相抽出/ICP-MSに適用できる。一連の行程での所用時間は数十分であり、迅速な硬組織中Srの測定が可能となる。