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斎藤 克代*; 舟山 知夫; 小林 泰彦; 村上 孝*
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 83, 2015/03
エピジェネティック分子標的薬は、DNAに記された遺伝暗号(塩基配列)自体は変化させないが、DNAや付随するヒストン蛋白の修飾を後天的に変化させることができる。これらの薬剤は、遺伝子異常が蓄積しているがん細胞を狙って作用するために、がん選択的な治療効果を高めることが可能である。そこで本研究では、エピジェネティック分子標的薬と重粒子線の併用が、悪性黒色腫細胞に与える影響を調べた。マウス悪性黒色腫細胞株B16F10にエピジェネティック分子標的薬を投与した後、原子力機構・TIARAにおいて炭素イオンビームで照射した。照射した細胞の生存率をコロニー形成法で評価した結果、代表的なヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)で処理した試料において、TSAと重粒子線の併用が、B16F10のコロニー形成能を抑制することが明らかになった。
斎藤 克代*; 舟山 知夫; 小林 泰彦; 村上 孝*
no journal, ,
悪性黒色腫はがんの中でも最も致死性が高い難治性がんの一つであり、化学療法のみならず放射線療法に対しても高い抵抗性を示す。一方で、エピジェネティックな分子標的薬は、遺伝子発現の異常が蓄積しているがん細胞を狙って作用するために、がん選択的な治療効果を高めることができ、高LETの重粒子線は強い抗腫瘍効果が期待できる。そこで本研究では、エピジェネティックな分子標的薬であるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACi)と重粒子線の併用が、悪性黒色腫細胞株に与える影響を、コロニー形成能、細胞増殖能、アポトーシス、細胞周期について検討した。マウス悪性黒色腫細胞株B16F10を複数のHDACiにそれぞれ曝露し、16.5時間後に重粒子線を照射した。コロニーは、照射9(1)日後にホルマリン固定して染色し、計数した。細胞増殖能, アポトーシス, 細胞周期は、照射36時間後まで経時的に調べた。その結果、HDACiと重粒子線の併用は、悪性黒色腫細胞株B16F10に対して抗腫瘍効果を示した。その効果の程度は投与薬剤によって異なるものの、相乗的な作用が期待できるものが含まれる。