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矢野 康英; 宮澤 健; 丹野 敬嗣; 赤坂 尚昭; 吉武 庸光; 皆藤 威二; 大塚 智史
Journal of Nuclear Science and Technology, 8 Pages, 2025/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)照射された改良SUS316鋼(PNC316)被覆管の引張特性に及ぼすひずみ速度の影響を評価した。PNC316被覆管は高速実験炉「常陽」のCRT402制御棒集合として400Cで25dpaまで照射された。照射後稟議引張試験は、350
Cの試験温度で、3.3
10
, 3.3
10
and 3.3
10
s
の歪速度で実施した。ひずみ速度が最も遅い3.3
10
s
においてわずかな全伸びの低下がみられたが、明確なひずみ速度依存性は確認されなかった。加えて、被覆管の内面側の破断部近傍において粒界剥離が全てのひずみ速度で確認されたが、ひずみ速度が最も遅い場合でのみ一部の破壊様式が粒界破壊を示した。破壊様式と被覆会内面近傍に高密度に存在するヘリウムが密接に関係していることが示唆された。
宮澤 健; 上羽 智之; 矢野 康英; 丹野 敬嗣; 大塚 智史; 鬼澤 高志; 安藤 勝訓; 皆藤 威二
JAEA-Technology 2024-009, 140 Pages, 2024/10
SUS316相当鋼を用いた高速炉燃料設計の高信頼性化に向けて、SUS316相当鋼被覆管及びラッパ管の高温強度及び照射データを材料学的及び統計学的な観点で評価・解析することで、高温強度及び高照射量までの照射特性に係る設計用強度式を導出した。異常な過渡変化の上限温度を超える900CまでのSUS316相当鋼被覆管及びラッパ管(非照射材)の高温引張試験データ及び高温クリープ試験データを拡充し、0.2%耐力、引張強さ、クリープ破断強度の最適近似式と下限式並びに熱クリープひずみの最適近似式と上下限式を導出した。また、高速実験炉「常陽」、仏国・高速原型炉Phenix及び米国・FFTFで高照射量まで中性子照射したSUS316相当鋼被覆管及びラッパ管の照射後引張試験データ及びSUS316相当鋼被覆管の炉内クリープ破断試験データを解析することで、炉内Na中照射による引張強度及びクリープ強度の低下を表す強度補正係数を導出した。導出した式を実測値と比較することで、その妥当性を確認した。
外山 健*; 丹野 敬嗣; 矢野 康英; 井上 耕治*; 永井 康介*; 大塚 智史; 宮澤 健; 光原 昌寿*; 中島 英治*; 大沼 正人*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 599, p.155252_1 - 155252_14, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)高速実験炉「常陽」で中性子照射した14Cr-ODS鋼(MA957)中の酸化物の安定性について3D-APとTEMを用いて評価を行った。中性子照射は、(502C, 130dpa)、(589
C, 154dpa)及び(709
C, 158dpa)の3条件で実施した。709
C照射では僅かな数密度の減少が認められたが、酸化物は高い数密度を有しており、相対的に照射前後で顕著な変化は確認されず安定に存在していた。これらのことから、ODS鋼は、700
C照射で約160dpaまで照射されたとしても強度は維持されることが示唆された。本研究成果の一部は、文部科学省の原子力システム研究開発事業による委託業務(JPMXD0219214482)として実施した。
大塚 智史; 丹野 敬嗣; 矢野 康英; 皆藤 威二
Materials and Processes for Nuclear Energy Today and in the Future, p.279 - 297, 2024/10
酸化物分散強化は、鉄鋼材料の高温強度改善に有効な手法である。酸化物粒子分散は、転位のすべり運動を阻害することで、鉄鋼材料の高温変形及び破壊に対する抵抗性を飛躍的に高めることができる。これまでに、核分裂炉材料及び核融合炉材料用にODS鋼の高温強度、耐照射性及び耐食性を改善するための研究が広く進められてきた。近年の研究において、ナノスケールの酸化物粒子分散は、高温強度を高めるだけでなく、酸化物粒子と母相の界面が照射欠陥の消滅場所としての機能を担うことにより、耐照射性を改善する効果があることが示されてきている。本節では、原子力用に進められているODS鋼の開発状況について概観する。
宮澤 健; 丹野 敬嗣; 今川 裕也; 橋立 竜太; 矢野 康英; 皆藤 威二; 大塚 智史; 光原 昌寿*; 外山 健*; 大沼 正人*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 593, p.155008_1 - 155008_16, 2024/05
被引用回数:1 パーセンタイル:51.66(Materials Science, Multidisciplinary)This paper discusses the applicability of J.L. Straalsund et al.'s technique for combining the Larson-Miller parameter (LMP) and life-fraction rule to form a single high-temperature strength equation for 9Cr- oxide-dispersion-strengthened (ODS) tempered martensitic steels (TMS). It uses the extensive dataset on creep rupture, tensile, and temperature-transient-to-burst tests of 9Cr-ODS TMS cladding tubes in the -phase,
/
-duplex,
-phase matrices, which are accumulated by the Japan Atomic Energy Agency so far. The technique is adequately applicable to 9Cr-ODS TMS cladding tubes. A single high-temperature strength equation expressing the mechanical strength in different deformation and rupture modes (creep, tensile, temperature-transient-to-burst) is derived for 9Cr-ODS TMS cladding tubes. This equation can predict the rupture life of the cladding tubes under various stresses and temperatures over time. The applicable range of the high-temperature strength equation is specified in this study and the upper limit temperature for the equation is found to be 1200
C. At temperatures higher than 1200
C, the coarsening and aggregation of nanosized oxide particles and the
to
phase transformation are reported in previous studies. The high-temperature strength equation can be well applied to the creep and tensile strength in the
-phase matrix, the creep strength in the
-phase matrix and the temperature-transient-to-burst strength in both phases except for the low equivalent stress (43 MPa) at temperatures exceeding 1050
C. The mechanism of the notable consistency between creep and tensile strength in the
-phase matrix is discussed by analyzing the high-temperature deformation data in the light of existing deformation models.
矢野 康英; 上羽 智之; 丹野 敬嗣; 吉武 庸光; 大塚 智史; 皆藤 威二
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(4), p.521 - 529, 2024/04
被引用回数:3 パーセンタイル:59.85(Nuclear Science & Technology)高速実験炉「常陽」で中性子照射したPNC316の引張特性に及ぼす中性子の影響を評価した。PNC316被覆管とラッパ管は、照射温度400ら735Cで照射量21から125dpaで照射された。照射後の引張試験は室温と照射温度で実施された。照射材の著しい硬化と軟化は確認されたが、照射後の引張延性は工学的なレベルを維持できていた。また、400から500
Cの範囲で110dpa照射されたPNC316ラッパ管の最大スエリング量は2.5%であり、10%以上のスエリングが生じたPNC316や15Cr-20Ni鋼のような日本の20%冷間加工材は、塑性不安定は小さかったけれども、十分な延性と加工硬化性能を維持していることが分かった。
大塚 智史; 静川 裕太; 丹野 敬嗣; 今川 裕也; 橋立 竜太; 矢野 康英; 鬼澤 高志; 皆藤 威二; 大沼 正人*; 光原 昌寿*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(3), p.288 - 298, 2023/03
被引用回数:4 パーセンタイル:51.78(Nuclear Science & Technology)原子力機構では、ナトリウム冷却高速炉(SFR)用燃料被覆管材料として9Cr-酸化物分散強化型(ODS)鋼の開発を進めている。燃料被覆管材料にとって、クリープ特性は重要特性の一つである。よって、SFRに9Cr-ODS鋼を導入するためには、9Cr-ODS鋼の炉内クリープ強度の信頼性高い予測評価が不可欠である。本研究では、700Cでの9Cr-ODS鋼のクリープ強度とナノ組織の定量的相関性について調査を行った。また、9Cr-ODS鋼照射材のナノ組織解析に基づく炉内クリープ特性予測の可能性について議論を行った。9Cr-ODS鋼の700
Cでのクリープ破断寿命は、そのナノ組織と密接な相関を有することがわかった。9Cr-ODS鋼のクリープ破断寿命とナノ組織の相関を既存のクリープモデルに基づき解析し、両者をつなぐ相関式を示した。本相関式の信頼性を高めるためには、9Cr-ODS鋼の2次クリープ速度の応力指数と酸化物分散状態の関係を明らかにする必要がある。
光原 昌寿*; 栗野 晃一*; 矢野 康英; 大塚 智史; 外山 健*; 大沼 正人*; 中島 英治*
鉄と鋼, 109(3), p.189 - 200, 2023/03
被引用回数:1 パーセンタイル:11.66(Metallurgy & Metallurgical Engineering)本研究では、高速炉通常運転時におけるODS鋼被覆管の使用環境に近い700または750Cのクリープ試験と、事故時を模擬した900から1350
Cでの時効処理または高温引張試験での酸化物の成長挙動を確認した。9Cr-ODS鋼のクリープ試験後の組織では、初期状態と比較し、酸化物の成長や数密度の低下が無く、酸化物の分散強化がクリープ変形中に有効に機能していることが分かった。12Cr-ODS鋼のクリープ試験後の組織においては、亜粒界のような転位下部構造の発達はほとんど観察されず、粒内に可動転位が均一に観察された。転位密度は応力の増加とともに増える傾向であった。9Cr-ODS鋼の引張延性は、900から1100
Cまで温度上昇とともに低下したが、1200
Cで上昇し、1250
Cで劇的に低下し、1300
Cで再び増加する傾向を示した。12Cr-ODS鋼では、温度の上昇とともに減少する傾向を示した。9Cr-ODS鋼の1200から1300
Cにおける複雑な引張特性の変化にはデルタフェライト相の形成が影響していると推察される。なお、本研究は、文部科学省原子力システム研究開発事業JPMXD0219214482の助成を受けたものである。
岡 弘*; 丹野 敬嗣; 矢野 康英; 大塚 智史; 皆藤 威二; 橋本 直幸*
Journal of Nuclear Materials, 572, p.154032_1 - 154032_8, 2022/12
被引用回数:5 パーセンタイル:60.29(Materials Science, Multidisciplinary)窒素濃度(0.0034-0.029wt%)の異なる9Cr-ODS鋼について700Cのクリープ特性とクリプ前後の組織変化について調査を行った。クリープ強度は、窒素濃度の増加に伴い顕著な低下が確認された。高窒素濃度材において変態フェライト領域と残留フェライト領域の境界にそってYリッチな粗大粒子が確認された。
と
相では窒素の固溶度が異なることから、オーステナイト変態プロセスが生じる際に、窒素が
相に拡散・濃化し、逆変態時に残留フェライト相に吐き出され、両境界付近で窒素の濃化生じる。その結果として、熱力学的不安定を解消するために分散粒子の粗大化が生じると考えられる。窒素濃度が高いほど多数のクリープボイドが観察されたことから、粗大化した分散粒子を起点にクリープボイドが発達したことにより、早期破断が生じたと考えられる。
皆藤 威二; 大塚 智史; 矢野 康英; 丹野 敬嗣
Nuclear Materials Letters (インターネット), p.29 - 43, 2022/12
高速炉の実用化に向けて安全性及び経済性の向上が不可欠であり、燃料集合体を構成する被覆管,ラッパ管等の炉心材料には優れた耐照射特性,高温強度及び燃料や冷却材との共存性が求められる。日本原子力研究開発機構(JAEA)が開発を進めるNa冷却高速炉では、冷却材出口温度の高温化に対応するため、通常運転時の被覆管最高温度は約700C、ラッパ管最高温度は約580
Cに達する。また、燃料の高燃焼度化に対応するため、被覆管,ラッパ管ともに使用期間約9年という長期間にわたり優れた高温強度を維持するとともに、はじき出し損傷量で250dpaを超える耐照射特性が求められる。ここでは、高速炉炉心材料としてJAEAが開発してきたPNC316, PNC-FMS及びODSフェライト鋼の開発経緯や成果、実用化に向けた課題等について述べる。
矢野 康英; 橋立 竜太; 丹野 敬嗣; 今川 裕也; 加藤 章一; 鬼澤 高志; 伊藤 主税; 上羽 智之; 大塚 智史; 皆藤 威二
JAEA-Data/Code 2021-015, 64 Pages, 2022/01
安全性・経済性に優れ、放射性廃棄物の減容化・有害度の低減に貢献する高速増殖炉サイクルシステムの実用化の観点から、燃料の高燃焼度化が求められており、これに対応した被覆管材料の開発が必要不可欠である。この高燃焼度達成のための被覆管材料には、耐照射スエリング性能及び高温強度特性に優れた酸化物分散強化(Oxide Dispersion Strengthened; ODS)フェライト鋼の研究開発を実施している。ODSフェライト鋼を燃料被覆管として適用するためには、材料強度基準整備が重要であり、そのためのクリープ強度データ等の各種強度データ取得を実施している。本研究では、材料強度基準整備に資することを目的に、これまで得られた知見・検討結果に基づき、9Cr-ODS鋼被覆管の引張強度とクリープ強度特性について評価を行った。9Cr-ODS鋼は相変態温度を持つことから、母相の相状態が変化しない850C以下と事故時を想定したそれ以上の温度域に分けて評価を行った。
矢野 康英; 丹野 敬嗣; 岡 弘; 大塚 智史; 皆藤 威二
Journal of Nuclear Materials, 555, p.153105_1 - 153105_8, 2021/11
被引用回数:3 パーセンタイル:30.71(Materials Science, Multidisciplinary)今回の研究目的は、400から600Cで熱時効された11Crフェライト/マルテンサイト鋼とSUS316鋼を用いた異材接合部の引張特性と組織評価を実施することとした。微細組織観察はSEMとTEMを用いた。異材接合部の組織は少量の残留オーステナイト組織を含むラスマルテンサイト組織であった。400と450
Cで2相分離とG相の形成に起因した熱時効硬化が確認されたが、明確な全伸びの低下は確認されなかった。また、破面としても劈開破壊よりむしろ細かな延性破面が支配的であった。引張強度の増加は2相分離に起因し、軟化相である残留オーステナイト相が延性保持に寄与していることが推察された。
Villaret, F.*; Boulnat, X.*; Aubry, P.*; 矢野 康英; 大塚 智史; Fabregue, D.*; de Carlan, Y.*
Materials Science & Engineering A, 824, p.141794_1 - 141794_10, 2021/09
被引用回数:6 パーセンタイル:21.67(Nanoscience & Nanotechnology)This article presents the Laser Beam Direct Energy Deposition (DED-LBD) process as a method to build a graded austenitic-to-martensitic steel junction. Builds were obtained by varying the ratio of the two powders during DED-LB processing. Samples with gradual transitions were successfully obtained using a high dilution rate from one layer to the next. Long austenitic grains are observed on 316L side while martensitic grains are observed on Fe-9Cr-1Mo side. In the transition zone, the microstructure is mainly martensitic. Characterizations were performed after building and after a tempering heat treatment at630C during 8h and compared to dissimilar Electron Beam (EB) welds. Before heat treatment, the DBD-LB graded area has high hardness due to fresh martensite formed during building. Tempering heat treatment reduces this hardness to 300 Hv. EDS measurements indicate that the chemical gradient between 316L and Fe-9Cr-1Mo obtained by DED-LB is smoother than the chemical change obtained in EB welds. Microstructures in DED-LB samples are quite different from those obtained by EB welding. Hardness values in DMD-LB samples and in welds are similar; the weld metal and the Fe-9Cr-1Mo HAZ are relatively hard after welding because of fresh martensite, as found in the DED-LB transition zone; both are softened by the tempering heat treatment. Both welds were overmatched at 20, 400 and 550
C.
矢野 康英; 丹野 敬嗣; 大塚 智史; 皆藤 威二; 鵜飼 重治*
Materials Transactions, 62(8), p.1239 - 1246, 2021/08
被引用回数:10 パーセンタイル:49.52(Materials Science, Multidisciplinary)FeCrAl-ODS鋼被覆管を製作し、その被覆管の熱時効の影響を調査するために、450C,5000時間と15000時間の熱時効後に、硬さ試験,リング引張試験,TEM観察を実施した。全てのFeCrAl鋼被覆管で熱時効硬化が確認され、延性低下を伴う顕著な強度上昇も生じた。熱時効硬化挙動は(Ti, Al)リッチ相(
'相)析出とAl7wt%未満の場合は
'相析出も起因していると考えられる。同様の組成をもつFeCrAl-ODS鋼を比較した場合、再結晶材と未再結晶材で熱時効硬化は生じるが、後者は延性低下を伴わないことが明らかになった。この挙動の差は、結晶粒界,転位密度,試験片作製方向の影響が起因していると考えられる。本研究は、文部科学省の原子力システム研究開発事業による委託業務として、北海道大学が実施した平成25
28年度「事故時高温条件での燃料健全性確保のためのODSフェライト鋼燃料被覆管の研究開発」の中で北海道大学からの委託により原子力機構が実施した研究成果である。
鵜飼 重治*; 矢野 康英; 井上 利彦; 曽和 貴志*
Materials Science & Engineering A, 812, p.141076_1 - 141076_11, 2021/04
被引用回数:23 パーセンタイル:79.15(Nanoscience & Nanotechnology)FeCrAl-ODS鋼は、軽水炉の事故耐性燃料に対する有望な材料として期待されている。この合金に対してAlとCrは鍵となる元素であり、Crはアルミナ形成を促進し、Alは脆性相となるCrリッチ相(')の形成を抑制する重要な相乗効果を有している。今回の研究では、Cr(9-16at.%)とAl(10-17 at.%)の添加量を系統的に変化させ、室温, 300, 700度の引張試験を実施し、CrとAlの両添加に及ぼす固溶強化に関する調査を行った。その結果、軽水炉の運転温度である300度において、CrとAlの1at.%当りの固溶強化量は、それぞれ20, 5MPaと直線的に増加することが分かった。この固溶強化量は、一般的なFleischer-Friedel理論やLabusch理論では説明できず、鈴木の変形はラセン転位の2重キンク機構により説明可能であることを明らかにした。本研究成果は、文部科学省の原子力システム研究開発事業による委託業務として、北海道大学が実施した平成25-28年度「事故時高温条件での燃料健全性確保のためのODSフェライト鋼燃料被覆管」の研究成果である。
伊藤 主税; 前田 茂貴; 井上 利彦; 富田 英生*; 井口 哲夫*
Radiation Protection, 40(6), p.491 - 495, 2020/11
Nbドシメータは、中性子断面積のエネルギー分布が鉄の弾き出し損傷関数と相似であり、高速中性子照射量や鉄のdpa評価に適するとともに、反応生成核種であるNbは半減期が16.4年と長く、材料サーベイランス試験における性子照射量モニタになる利点を有する。本研究では、Nbドシメータを溶解・乾燥固化処理して自己吸収効果を低減させるとともに、誘導結合プラズマ質量分析装置でその重量を精度よく求め、誤差4%の高精度で反応率を測定できた。さらに、Nbドシメータ溶解に非放射性Nbを添加することにより、不純物の放射化物である
Taに起因する妨害X線の影響を定量評価し、反応率の測定精度低下を抑制した。本手法を「常陽」のドシメトリーに適用して
Nb(n,n')
Nb反応率を測定した結果、Nbドシメータによる測定値と多重放射化箔法による評価値の比は誤差の範囲内で一致し、Nb反応率の高精度測定法を確立した。さらに、レーザー共鳴イオン化質量分析法を用いた
Nb収率の精密測定法を提案し、Nb原子の超微細構造を利用して
Nb原子核を選択的に共鳴イオン化する手法を開発した。
鵜飼 重治*; 大野 直子*; 大塚 智史
Comprehensive Nuclear Materials, 2nd Edition, Vol.3, p.255 - 292, 2020/08
Fe-Cr基酸化物分散強化型(ODS)鋼は、Na冷却型高速炉の高燃焼度燃料被覆管等に必要とされる高温・高燃焼度環境下での耐久性に優れた先進材料として期待されている。本稿ではまず、高燃焼度燃料被覆管としての重要性能である管周方向の機械的特性評価(引張,クリープ等)等のFe-Cr基ODS鋼被覆管に関わる研究開発の現状についてレビューを行った。さらに、軽水炉の事故耐性燃料被覆管、および鉛ビスマス冷却型高速炉の燃料被覆管として期待されている高耐食性Fe-Cr-Al基ODS鋼被覆管の研究状況についてもレビューを行った。
坂本 直樹; 藤島 雅継; 水越 保貴
保全学, 19(2), p.125 - 126, 2020/07
日本原子力研究開発機構大洗研究所では、高速炉用MOX燃料等の研究開発施設として核燃料物質使用施設(5施設)を有している。全ての施設は約40年以上経過しており、これらを安定的に稼働させるために、平成14年に安全評価手法を構築し、施設の保全活動に取り組んできた。しかしながら、管理する設備機器のなかには、安全評価で課題解消したにも係わらず、その後同様の不具合が再発し、施設の運転に支障をきたしているものがみられた。このため本報では、これら保全活動の実績を分析したうえで、問題点を抽出し、さらなる改善策について検討した結果を報告する。
関尾 佳弘; 坂口 紀史*
Materials Transactions, 60(5), p.678 - 687, 2019/05
被引用回数:8 パーセンタイル:35.48(Materials Science, Multidisciplinary)Fe-Cr-Ni系モデル合金(高Ni合金)における照射点欠陥(空格子)の移動エネルギーの定量評価を中性子及び電子線照射下でランダム粒界近傍に形成されるボイド欠乏帯の幅の解析により実施した。具体的には、まずはじめに749Kで中性子照射されたFe-15Cr-xNi (x=15, 20, 25, 30mass%)モデル合金の微細構造を調査し、これに加え、576K-824Kの温度の電子線照射により形成されたボイド欠乏帯幅を調査した。両試験の結果、ボイド欠乏帯幅はNi濃度の増加とともに増加し、空格子の易動度が増加していることが示唆された。そこで、電子線照射試験で得られたVDZ幅の温度依存性から空格子移動エネルギーを求め、15Ni, 20Ni, 25Ni, 30Niのエネルギーはそれぞれ1.09eV, 0.97eV, 0.90eV, 0.77eVと評価された。得られた移動エネルギーを用いて、有効空格子拡散係数及び余剰空格子濃度を反応速度論式から求めた結果、Ni濃度の増加に伴い空格子の易動度が増加することを定量的に確認することができた。
矢野 康英; 関尾 佳弘; 丹野 敬嗣; 加藤 章一; 井上 利彦; 岡 弘; 大塚 智史; 古川 智弘; 上羽 智之; 皆藤 威二; et al.
Journal of Nuclear Materials, 516, p.347 - 353, 2019/04
被引用回数:22 パーセンタイル:87.98(Materials Science, Multidisciplinary)一般的に耐熱マルテンサイト鋼の高温でのクリープ強度はオーステナイト鋼に比較し劣ることが知られているが、超高温である1000Cにおける9Cr-ODS鋼被覆管のクリープ強度は、耐熱用オーステナイトステンレス鋼と比較しても卓越強度を示すことが明らかになった。1000
Cでのクリープ強度は、650から850
Cのデータを使用し定式化し、予想した破断強度よりも高いものであった。この優れた強度は、9Cr-ODS鋼の母相が
から
相に相変態することに起因すると考えられる。また、9Cr-ODS鋼被覆管の急速加熱バースト強度も、一般的な11Cr-耐熱マルテンサイト鋼であるPNC-FMS被覆管に比較し高い傾向であった。累積損傷和(CDF)を使用し解析することにより、ある程度の精度をもって、過渡時や事故時の9Cr-ODS鋼及びPNC-FMS被覆管の寿命予測が可能となることを示すことができた。