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論文

Distinguishing ion dynamics from muon diffusion in muon spin relaxation

伊藤 孝; 門野 良典*

Journal of the Physical Society of Japan, 93(4), p.044602_1 - 044602_7, 2024/04

We propose a model to describe the fluctuations in the internal magnetic field due to ion dynamics observed in muon spin relaxation ($$mu$$SR) by an Edwards-Anderson-type autocorrelation function that separates the quasi-static and dynamic components of the correlation by the parameter $$Q$$ (where $$0leq Qleq 1$$). Our Monte Carlo simulations for this model showed that the time evolution of muon spin polarization deviates significantly from the Kubo-Toyabe function. To further validate the model, the results of simulations were compared with the $$mu$$SR spectra observed in a hybrid organic-inorganic perovskite FAPbI$$_3$$ [with FA referring to HC(NH$$_2$$)$$_2$$], where local field fluctuations associated with the rotational motion of FA molecules and quasi-static fields from the PbI$$_3$$ lattice are presumed to coexist. The least-squares curve fitting showed reasonable agreement with the model with $$Q=0.947(3)$$, and the fluctuation frequency of the dynamical component was obtained. This result opens the door to the possibility of experimentally distinguishing fluctuations due to the dynamics of ions around muons from those due to the self-diffusion of muons. On the other hand, it suggests the need to carefully consider the spin relaxation function when applying $$mu$$SR to the issue of ion dynamics.

論文

Emergence of crack tip plasticity in semi-brittle $$alpha$$-Fe

鈴土 知明; 海老原 健一; 都留 智仁; 森 英喜*

Journal of Applied Physics, 135(7), p.075102_1 - 075102_7, 2024/02

体心立方(bcc)金属および合金では延性脆性遷移温度以下において脆性的破壊が起きる。この事象は、脆性破壊を起こすき裂先端の臨界応力拡大係数が塑性変形を起こす臨界応力拡大係数よりも小さく塑性変形よりも脆性破壊が優先的に選択されるという考え方によって理論的に説明されている。この考え方は巨視的には正しいが、このような脆性破壊は常にき裂先端近傍での小規模な塑性変形、すなわちき裂先端塑性変形を伴う。この論文では、最近開発された$$alpha$$-Feの機械学習原子間ポテンシャルを用いて原子論的モデリングを行い、この塑性の発現メカニズムを解析した。その結果、高速なき裂進展によってき裂先端位置の原子群が動的に活性化され、それがき裂先端塑性の前駆体になっていることが判明した。

論文

Interactive steering on in situ particle-based volume rendering framework

河村 拓馬; 長谷川 雄太; 井戸村 泰宏

Journal of Visualization, 27(1), p.89 - 107, 2024/02

対話的なIn-Situステアリングは、大規模で高速なCFDシミュレーションにおけるデバッグ、最適解の探索、逆問題の解析に有効なツールである。我々は、GPUスーパーコンピュータ上での大規模CFDシミュレーションのための対話的なIn-Situステアリングフレームワークを提案する。このフレームワークは、In-Situ Particle-based Volume Rendering (PBVR)、In-Situデータサンプリング、ファイルベース制御を採用し、スーパーコンピュータとユーザーPC間でステアリングパラメータ、圧縮された粒子データ、サンプリングしたモニタリングデータを対話的に通信できる。そして並列化されたPBVRは、GPU上のCFDシミュレーションとの干渉を避けるため、ホストCPUで処理される。提案フレームワークを、GPUスーパーコンピュータ上の実時間プルーム拡散解析コードCityLBMに適用した。数値実験では、モニタリング地点の観測データから汚染物質の発生源を見つける逆問題に取り組み、in-situステアリングフレームワークによるヒューマンインザループの有効性を実証した。

論文

Inelastic neutron scattering of hydrogen in palladium studied by semiclassical dynamics

志賀 基之; Thomsen, B.; 君塚 肇*

Physical Review B, 109(5), p.054303_1 - 054303_12, 2024/02

パラジウム中の水素の中性子非弾性散乱スペクトルを有限温度での核量子効果を考慮して計算した。経路積分に基づく半古典分子動力学と機械学習ポテンシャルを組合せた計算手法を用いた。計算されたスペクトルは、水素原子の振動励起の基本波と第一高調波に対応するピークの位置と強度に関して、実験スペクトルとよく一致した。古典分子動力学法との比較から、中性子非弾性散乱スペクトルにおいて核量子効果が本質的な役割を果たしていることが示された。

論文

機械学習ポテンシャルを用いたBCC鉄へき開の大規模原子シミュレーション

鈴土 知明; 海老原 健一; 都留 智仁; 森 英喜*

材料, 73(2), p.129 - 135, 2024/02

FeやWのようなBCC遷移金属は{100}面に沿ってへき開する。このメカニズムを明らかにするために、人工ニューラルネットワーク(ANN)技術によって作成された原子間ポテンシャルを用いて0KにおけるBCC鉄の曲線き裂先端の原子論的シミュレーションを行った。その結果、{110}クラック面に沿ったき裂先端では転位が放出されへき開が抑制されることを発見し、{100}面に沿ってのみへき開が観察される理由を説明できることがわかった。さらに、有限温度での{100}へき開シミュレーションでは、塑性変形を伴いより現実的な破壊が再現された。

報告書

令和4年度大型計算機システム利用による研究成果報告集

高性能計算技術利用推進室

JAEA-Review 2023-018, 159 Pages, 2023/12

JAEA-Review-2023-018.pdf:13.62MB

日本原子力研究開発機構では、原子力の総合的研究開発機関として原子力に係わるさまざまな分野の研究開発を行っており、これらの研究開発の多くにおいて計算科学技術が活用されている。日本原子力研究開発機構における計算科学技術を活用した研究開発の論文発表は、過去十数年にわたり、毎年度、全体の約2割を占めている。大型計算機システムはこの計算科学技術を支える重要なインフラとなっている。大型計算機システムは、優先課題として位置付けられたカーボンニュートラルに貢献する軽水炉、高温ガス炉、高速炉の研究開発や、原子力科学技術に関する多様な研究開発、東京電力福島第一原子力発電所事故対応に関する研究開発、高レベル放射性廃棄物の処理・処分技術の開発、原子力安全規制・原子力防災支援、そのための安全研究等といった主要事業に利用された。本報告は、令和4年度における大型計算機システムを利用した研究開発の成果を中心に、それを支える利用支援、利用実績、システムの概要等をまとめたものである。

論文

Understanding muon diffusion in perovskite oxides below room temperature based on harmonic transition state theory

伊藤 孝; 髭本 亘; 下村 浩一郎*

Physical Review B, 108(22), p.224301_1 - 224301_11, 2023/12

In positive muon spin rotation and relaxation ($$mu^+$$SR) spectroscopy, positive muons ($$mu^+$$) implanted into solid oxides are conventionally treated as immobile spin-probes at interstitial sites below room temperature. This is because each $$mu^+$$ is thought to be tightly bound to an oxygen atom in the host lattice to form a muonic analogue of the hydroxy group. On the basis of this concept, anomalies in $$mu^+$$SR spectra observed in oxides have been attributed in most cases to the intrinsic properties of host materials. On the other hand, global $$mu^+$$ diffusion with an activation energy of $$sim$$0.1~eV has been reported in some chemically-substituted perovskite oxides at cryogenic temperatures, although the reason for the small activation energy despite the formation of the strong O$$mu$$ bond has not yet been quantitatively understood. In this study, we investigated interstitial $$mu^+$$ diffusion in the perovskite oxide lattice using KTaO$$_3$$ cubic perovskite as a model system. We used the $$mu^+$$SR method and density functional theory calculations along with the harmonic transition state theory to study this phenomenon both experimentally and theoretically. Experimental activation energies for global $$mu^+$$ diffusion obtained below room temperature were less than a quarter of the calculated classical potential barrier height for a bottleneck $$mu^+$$ transfer path. The reduction in the effective barrier height could be explained by the harmonic transition state theory with a zero-point energy correction; a significant difference in zero-point energies for $$mu^+$$ at the positions in the O$$mu$$ bonding equilibrium state and a bond-breaking transition state was the primary cause of the reduction. This suggests that the assumption of immobile $$mu^+$$ in solid oxides is not always satisfied since such a significant decrease in diffusion barrier height can also occur in other oxides.

論文

Continuous data assimilation of large eddy simulation by lattice Boltzmann method and local ensemble transform Kalman filter (LBM-LETKF)

長谷川 雄太; 小野寺 直幸; 朝比 祐一; 伊奈 拓也; 今村 俊幸*; 井戸村 泰宏

Fluid Dynamics Research, 55(6), p.065501_1 - 065501_25, 2023/11

格子ボルツマン法(LBM)に基づくラージエディーシミュレーション(LES)に対するデータ同化の適用性を調査した。2次元等方乱流の観測システムシミュレーション実験を行い、空間的に疎かつノイズを含む観測を用いてナッジング法及び局所アンサンブル変換カルマンフィルタによるデータ同化の精度を検証した。LETKFの利点として、ナッジングで必要となる空間補間及び巨視的量(流体密度及び流速)からLBMの速度分布関数への変換を必要としないことが挙げられる。計算条件として$$256times256$$格子及び10%の流速観測ノイズを設定した実験では、64アンサンブルのLETKFは$$8times8$$の観測点(計算格子点数に対して0.1%程度)でも観測ノイズよりも小さい誤差を示した。これは、ナッジングで同様の精度を示すのに1桁程度多くの観測点数を要する精度である。さらに、LETKFでは観測点数の不足はエネルギースペクトルの振幅には影響せず、スペクトルの位相誤差のみに影響することが確認された。以上の結果により、LETKFは、空間的に疎かつノイズを含む観測を用いた2次元のLBM計算のデータ同化に対してロバストかつ高精度であることが示された。

論文

Machine learning molecular dynamics reveals the structural origin of the first sharp diffraction peak in high-density silica glasses

小林 恵太; 奥村 雅彦; 中村 博樹; 板倉 充洋; 町田 昌彦; 浦田 新吾*; 鈴谷 賢太郎

Scientific Reports (Internet), 13, p.18721_1 - 18721_12, 2023/11

非晶質物質の構造因子に現れる鋭い第一ピークはFSDPと呼ばれ、非晶質物質中の中距離秩序構造を反映したものであると考えられているが、その構造的起源に関しては現在まで議論が続いている。今回、第一原理計算と同等の精度を持つ機械学習分子動力学を用いることにより、高密度シリカガラスにおけるFSDPの構造起源を解析した。まず、機械学習分子動力学を用いることにより、高密度シリカガラスの様々な実験データの再現に成功した。また、高密度シリカガラスにおけるFSDPの発達(減少)は、ガラス構造の圧縮に伴う、Si-O共有結合ネットワーク中のリング構造の変形挙動によって特徴付けられることを明らかにした。

報告書

Optimized phase-field modeling using a modified conservative Allen-Cahn equation for two-phase flows

杉原 健太; 小野寺 直幸; 井戸村 泰宏; 山下 晋

JAEA-Research 2023-006, 47 Pages, 2023/10

JAEA-Research-2023-006.pdf:3.28MB

本報告書では、気液二相流シミュレーションのためのフェーズフィールドモデルに基づく新しい界面捕獲法を提案する。従来のフェーズフィールドモデルでは、界面補正強度パラメータは計算領域内の最大流速から決定されていたが、界面補正は空間全体に一様に適用されているため、補正を必要としない位置にも適用されていた。新手法では、フェーズフィールド変数あるいはフェーズフィールドモデルの強度に空間分布を持つように拡張し、局所的な流速場に応じた最適なパラメータを設定できるようにした。また、界面移流試験や気泡上昇計算の誤差解析を用いた系統的なパラメータスキャンに基づき、最適なフェーズフィールドパラメータを導出する手法を提案する。気液二相流のベンチマークテストを通じて、提案モデルを検証し、提案モデルが従来のフェーズフィールドモデルよりも高精度であることを示す。

論文

ソフトウェア紹介「PIMD」

志賀 基之; Thomsen, B.; 永井 佑紀

アンサンブル, 25(4), p.303 - 310, 2023/10

並列分子シミュレーションソフトウェア「PIMD」を紹介する。第一原理経路積分分子動力学による水の構造、リングポリマー分子動力学による金属中水素の量子拡散、超伝導体の機械学習ポテンシャル作成とフォノン物性、メタダイナミクスによる多価アルコール脱水反応などの具体例を通じて、その使用法を解説する。

論文

水に溶けたラジウムを分子レベルで初観測

山口 瑛子; 奥村 雅彦; 高橋 嘉夫*

Isotope News, (789), p.20 - 23, 2023/10

ラジウムはウランやトリウムから生成する放射性元素であり、ウラン鉱山周辺の環境汚染問題や地層処分で重要な元素である。さらにラジウムは放射年代測定やがん治療にも利用されるため、環境化学だけでなく、地球化学や核医学を含む多くの分野で重要となっている。しかし、ラジウムは安定同位体のない放射性元素であるため、分光法の測定が難しく、分子レベルの情報はこれまでほとんど得られていなかった。本研究では広域X線吸収微細構造法による測定と第一原理分子動力学シミュレーションを併用することで水和ラジウムの分子レベルの情報を世界で初めて明らかにした。

論文

液体金属脆化の元素選択性と脆化メカニズム; 第一原理計算

山口 正剛

まてりあ, 62(10), p.646 - 651, 2023/10

液体金属に触れている固体金属が脆性破壊を起こしやすいことを液体金属脆化と言う。液体-固体金属の組み合わせによって脆化の程度が異なり、それは液体金属脆化の元素選択性(特異性)と呼ばれている。第一原理計算によるエネルギー論的考察から、脆化を起こしやすい組み合わせのエネルギー論的特徴とそこから考えられる脆化メカニズムについて考察した出版済み論文について、さらなる解説を加えた。

論文

Simulation-based dynamic probabilistic risk assessment of an internal flooding-initiated accident in nuclear power plant using THALES2 and RAPID

久保 光太郎; Zheng, X.; 田中 洋一; 玉置 等史; 杉山 智之; Jang, S.*; 高田 孝*; 山口 彰*

Proceedings of the Institution of Mechanical Engineers, Part O; Journal of Risk and Reliability, 237(5), p.947 - 957, 2023/10

 被引用回数:4 パーセンタイル:72(Engineering, Multidisciplinary)

確率論的リスク評価(Probabilistic Risk Assessment: PRA)は、大規模かつ複雑なシステムのリスクを評価するために用いられる手法である。しかし、従来のイベントツリーやフォールトツリーを用いたPRAでは、原子力発電所の構造物、系統及び機器が損傷するタイミングを考慮することは困難である。そこで、この課題を解決するために、RAPID(Risk Assessment with Plant Interactive Dynamics)を用いて、熱水力解析と外部事象のシミュレーションを組み合わせた手法を提案した。加圧水型原子炉のタービン建屋内での内部溢水を表現するために、ベルヌーイの定理に基づいた溢水伝播モデルを適用した。加えて、溢水源の流量や緩和システムの故障基準などの不確実さを考慮した。シミュレーションでは、運転員がいくつか簡略化を行うことにより、運転員による溢水源の隔離操作と排水ポンプを用いた回復操作をモデル化した。その結果、隔離と排水を組み合わせることで、溢水発生時の条件付炉心損傷確率を約90%低減できることが示された。

論文

Numerical simulation method using a Cartesian grid for oxidation of core materials under steam-starved conditions

山下 晋; 佐藤 拓未; 永江 勇二; 倉田 正輝; 吉田 啓之

Journal of Nuclear Science and Technology, 60(9), p.1029 - 1045, 2023/09

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)

We newly developed a detailed simulation method for the oxide layer growth/recession under steam-starved conditions using computational fluid dynamics (CFD) methodologies to elaborate the understanding of failure conditions of fuel assemblies during severe accidents. The new method uses the concept of the distance function in a Cartesian grid and is implemented in the original multiphase/multicomponent CFD code named JUPITER (JAEA Utility Program for Interdisciplinary Thermal-hydraulics Engineering and Research). A distance calculation of the normal direction from the interface is generally difficult in a Cartesian grid. However, the distance function can give a distance normal to the surface of materials by referring to the value of the function. Thus, the growth/recession calculations, which require the distance normal to the interface, become very easy. We checked the availability of JUPITER, considering these models against the verification and validation problems. As a result, we confirmed that JUPITER gives good results, which may contribute to understanding the progress of core degradation under steam-starved conditions.

論文

Magnetic excitation in the $$S$$=1/2 Ising-like antiferromagnetic chain CsCoCl$$_{3}$$ in longitudinal magnetic fields studied by high-field ESR measurements

木村 尚次郎*; 大西 弘明; 奥西 巧一*; 赤木 暢*; 鳴海 康雄*; 萩原 政幸*; 金道 浩一*; 菊池 彦光*

Journal of the Physical Society of Japan, 92(9), p.094701_1 - 094701_9, 2023/09

 被引用回数:0 パーセンタイル:0

High-field electron spin resonance (ESR) measurements were performed on the $$S$$=1/2 Ising-like antiferromagnetic chain CsCoCl$$_{3}$$ in the frequency range up to 4.4THz and magnetic fields for $$H parallel c$$ up to 53T. We observed softening of the spinon excitation, which drives the spin chain into the quantum critical state at the critical field $$H_{c}$$=33.0T. Above $$H_{c}$$, we observed the string excitation at the wave number $$q$$=$$pi$$, which is characteristic of the $$S$$=1/2 spin chain in the quantum critical state in the magnetic fields. We also observed a crossover of the string excitation to the magnon bound state above the saturation fields $$H_{s}$$=43.9T upon increasing the magnetic fields. Finally, we discuss how the string excitation and magnon bound state can be excited by the electric dipole transition due to spin quadrupolar resonance.

論文

1F廃炉に向けた放射線源逆推定及び線源対策に係るデジタル技術の研究開発; 3D-ADRES-Indoor:デジタル技術を集約するプラットフォームの現状紹介

町田 昌彦; 山田 進; Kim, M.; 奥村 雅彦; 宮村 浩子; 志風 義明; 佐藤 朋樹*; 沼田 良明*; 飛田 康弘*; 山口 隆司; et al.

RIST News, (69), p.2 - 18, 2023/09

福島第一原子力発電所(1F)建屋内には、原子炉内から漏洩した放射性物質の汚染により高い放射線量を示す地点が多数存在し、廃炉作業を円滑に進める上での大きな障害の一つとなっている。この課題解決に資するため、日本原子力研究開発機構(JAEA)は、経済産業省の廃炉・汚染水対策事業費補助金「原子炉建屋内の環境改善のための技術の開発(被ばく低減のための環境・線源分布のデジタル化技術の開発)」を受託し、令和3年度より2年間に渡り、放射線源の逆推定と推定線源に対する対策を仮想空間で実施可能とするためのデジタル技術の研究開発を実施してきた。本記事では、上記プロジェクトの成果(以下、前期プロジェクトと呼び、その2年間の研究開発の成果)を紹介する他、令和5年度4月より、新たに開始した継続プロジェクト(以下、後期プロジェクトと呼ぶ)の計画についても報告する。前期プロジェクトにて当初予定していた機械学習技術(LASSO)については、建屋内の複雑な構造情報と汚染源の性質を反映した一つの派生版手法へと結実させた成果を報告する他、実際の原子炉施設での検証結果を示す。更に、開発技術を集約したプラットフォームとしての機能を持つソフトウエア:3D-ADRES-Indoorを紹介し、継続して実施する予定の後期プロジェクトの研究開発計画も紹介する。

論文

Development of a numerical simulation method for air cooling of fuel debris by JUPITER

山下 晋; 上澤 伸一郎; 小野 綾子; 吉田 啓之

Mechanical Engineering Journal (Internet), 10(4), p.22-00485_1 - 22-00485_25, 2023/08

乾式での燃料デブリ取り出しにおいて、実機での燃料デブリの詳細な空冷評価が重要である。多孔質体として仮定されるPCV内部の燃料デブリ周囲の熱伝達を機構論的に理解するために、多相多成分CFDコードであるJUPITERに多孔質体モデルを新たに導入した。多孔質体モデルに関して、JUPITERと親和性の高いDarcy-Brinkmanモデルを採用した。このモデルはJUPITERに採用されている多相流解析手法の一つである1流体モデルと同様に、流体相と多孔質体相を一つの方程式で同時に解くことができる。また、非線形性が卓越する高速度の自然対流場については、非線形効果として速度の2乗の項を支配方程式に加えることで対応した。導入したモデルの妥当性を確認するために、例えば、矩形多孔質体領域内の自然体流解析や多孔質体を含む自然体流熱伝達試験といった単純な妥当性確認解析と実験解析を行った。検証解析の結果、先行研究の結果と実験解析の結果と良い一致を示した。また、改良されたJUPITERの応用として、1F2号機の条件を考慮したPCV内部の燃料デブリの空冷予備解析を行った。その結果、燃料デブリ周囲の温度場や速度場は、非物理的挙動を示すことなく安定に計算できることが分かった。故に、JUPITERは詳細且つ精度良く燃料デブリの熱流動挙動を予測できる可能性を有していることが分かった。

論文

Application of quasi-Monte Carlo and importance sampling to Monte Carlo-based fault tree quantification for seismic probabilistic risk assessment of nuclear power plants

久保 光太郎; 田中 洋一; 白田 勇人*; 荒毛 大輔*; 内山 智曜*; 村松 健

Mechanical Engineering Journal (Internet), 10(4), p.23-00051_1 - 23-00051_17, 2023/08

福島第一原子力発電所事故後、原子力発電所の外部事象に対する確率論的リスク評価(PRA)の重要性が再認識された。地震PRAでは、システム、コンポーネント、構造(SSC)の相関故障の扱いが非常に重要である。SSCが連関して故障した場合に、事故緩和システムの冗長性に悪影響を与える恐れがある。原子力機構では、SSCの相関故障を詳細かつ現実的に取り扱うために、Direct Quantification of Fault Tree by Monte Carlo Simulation(DQFM)法と名付けられたフォールトツリー定量化手法を開発している。この手法では、地震応答や耐力に関する相関を有する不確実さをモンテカルロ・サンプリングで考慮することにより、頂上事象の発生確率を定量化することができる。DQFMの有用性は既に実証されているが、その計算効率を向上させることで、リスク分析者は複数の分析を行うことができるようになる。そこで本研究では、簡易的な地震PRAのDQFM計算に準モンテカルロ法および重要度サンプリングを適用し、少ないサンプリングで分岐確率を定量化する効果を検証した。準モンテカルロサンプリングを適用することで、中・高地震動レベルでの結果の収束性がモンテカルロサンプリングに比べて一桁加速されることを示すと共に、重点サンプリングの適用により、低い地盤変動レベルにおいて故障確率が低いSSCに対して統計的に有意な結果を取得できることを示した。これらのサンプリング手法の応用による計算の高速化はリスク情報を活用した意志決定におけるDQFMの実用化の可能性を高めるものである。

報告書

令和4年度計算科学技術研究実績評価報告

システム計算科学センター

JAEA-Evaluation 2023-001, 38 Pages, 2023/07

JAEA-Evaluation-2023-001.pdf:1.04MB

システム計算科学センターでは、「国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の中長期目標を達成するための計画(中長期計画)」に基づき、原子力分野における計算科学技術研究に関する研究開発を実施してきた。その計算科学技術研究の実績については、計算科学技術研究・評価委員会(以下「委員会」という。)により評価された。本報告は、システム計算科学センターにおいて実施された計算科学技術研究の、令和4年度における業務の実績及びそれらに対する委員会による評価結果をとりまとめたものである。

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