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尾上 博則; 石橋 正祐紀*; 尾崎 裕介; 岩月 輝希
International Journal of Rock Mechanics and Mining Sciences, 144, p.104737_1 - 104737_14, 2021/08
被引用回数:4 パーセンタイル:41.7(Engineering, Geological)本研究ではMIUの深度500mの坑道を事例として亀裂性岩盤のモデリングの方法論について検討した。その結果、割れ目のトレース長分布の再現性に基づいて、割れ目の地質学的パラメータだけでなく水理学的パラメータも推定することができる割れ目のモデル化手法を開発した。本モデル化手法を適用することで、岩盤が有する割れ目の統計的な特性を精度よく再現できるDiscrete Fracture Network (DFN)モデルを構築することが可能となった。また、割れ目の分布位置や透水性を調査データに基づき修正するコンディショニング手法を適用することで、特定の場所のローカルな割れ目特性の評価が可能であることを実証した。さらに、亀裂性岩盤の水理学的な不均質性をモデル化するために必要な原位置調査と調査データとの関係を明らかにするとともに、日本の地層処分事業に資する有益な知見として、DFNモデルを用いた地下施設建設段階の現場調査とモデリング,処分パネル設計の考え方を提案した。
村上 裕晃; 芦澤 政臣*; 田中 和広*
応用地質, 59(1), p.2 - 12, 2018/04
結晶質岩地域における地下深部の透水性割れ目の特徴および形成と発達を把握することを目的とし、九州北部に分布する花崗閃緑岩からなる岩盤中に建設した地下施設を利用した地質調査を実施した。地下坑道における新鮮な花崗閃緑岩露頭において割れ目を観察し、割れ目の分布間隔、方向、変質、充填鉱物、湧水の有無の調査を行った。割れ目の頻度、方向および充填鉱物の特徴によると、花崗閃緑岩内の割れ目はA-Dおよび低角度(LA)の5つのグループに分類される。全割れ目に高温環境で形成される緑泥石および石英が充填していることから、全ての割れ目は岩体が高温であった冷却初期に形成されたと考えられる。Bグループの割れ目は最も多く湧水が認められ、現在の透水性割れ目として機能している。さらにBグループの割れ目の充填鉱物の組み合わせと産状から考察した結果、Bグループの割れ目は開口と閉塞が交互に生じたと示唆された。また、Bグループの割れ目は熱水の影響を示唆する赤色変質部を多く伴い、トレース長が長く、他のグループの割れ目を切る傾向があることから、割れ目の形成初期から現在までの長期にかけて重要な透水性割れ目として機能していたと考えられる。
早野 明; 石井 英一
資源・素材講演集(インターネット), 5(1), 9 Pages, 2018/03
亀裂性媒体の特徴を有する岩盤の地質構造モデルには、評価対象のスケールや不均質性の考慮の有無に応じて、岩盤中の個別の亀裂を確率論的に表現する亀裂ネットワークモデルが採用される。モデル化に必要な主な亀裂特性は、方位分布、3次元密度および半径分布である。方位分布と3次元密度については、ボーリング調査や坑道壁面の割れ目観察の取得データから設定することができるが、半径分布については、調査データから直接設定することは困難である。日本原子力研究開発機構の幌延深地層研究センターの地下施設周辺には、塊状かつ均質な珪質泥岩からなる新第三紀の稚内層が分布する。これまでの研究では、稚内層に分布する断層が水みちとして機能することが示唆されており、稚内層は多孔質媒体のみならず亀裂性媒体としての特性を有する。そのため、稚内層の断層を対象とした亀裂ネットワークモデルの構築を進めている。その際、坑道壁面の割れ目観察によって取得されたトレース長分布に基づき、それを再現できる半径分布を探し出すシミュレーションを実施しており、その結果について示す。
早野 明; 板倉 賢一*
Journal of MMIJ, 133(4), p.76 - 86, 2017/04
大規模地下施設建設の坑道掘削時に行われる割れ目観察は、調査員の目視観察とクリノメーターを使用した割れ目方位の簡易計測といった従来からの手法に基づいている。そのため、調査の規模が大きいほどデータ品質の確保と調査員の安全確保が依然として課題である。計測対象物の三次元形状を表す点群を瞬時に取得できる三次元レーザスキャナ計測は、これらの課題解決に有効である。本研究では、レーザ計測の坑道壁面の割れ目観察への適用性を確認するために、坑道壁面の形状を表す点群から割れ目の方位やトレース長などの空間分布に関する情報を取得する方法を検討した。その手法は、坑道壁面形状を表す判読画像を用いた割れ目判読を基本としている。そして、その手法を掘削長50m程度の水平坑道に適用し、点群から取得できる割れ目データがどの程度従来手法に基づく割れ目データを再現しているのか確認した。その結果、調査員が目視観察により抽出した割れ目のうち8割強の割れ目が抽出され、割れ目方位も従来手法と比べて遜色ないことを確認した。点群から抽出できなかった割れ目のほとんどは、透水に寄与しないトレース長が短く密着性の良い割れ目であった。
青柳 和平; 石井 英一; 中山 雅; 藤田 朝雄
日本材料学会第65期通常総会・学術講演会論文集(USB Flash Drive), p.19 - 20, 2016/05
日本原子力研究開発機構は、堆積軟岩を対象とする幌延深地層研究センターの深度350m調査坑道において、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関して、処分技術の信頼性の向上を目的として、人工バリア性能確認試験を実施している。本試験では、試験坑道の底盤下に掘削した直径2.4m、高さ4.2mの試験孔に、ヒーターを挿入した模擬オーバーパックと緩衝材ブロックを設置し、さらに坑道全体を埋め戻したときの、人工バリアおよび周辺岩盤の熱-水-力学-化学連成挙動に係るデータを取得している。本件では、試験孔周辺で実施したBTV観察、透水試験等の原位置試験結果を基に、試験孔周辺岩盤の水理・力学特性の変化について検討した。結果として、試験孔から少なくとも12mの範囲で、試験孔の掘削により形成されたとみられる割れ目が発達しており、さらに透水係数も、割れ目のない部分と比較して4オーダー程度増大することを確認した。
鶴田 忠彦; 笹尾 英嗣
応用地質, 56(6), p.298 - 307, 2016/02
日本原子力研究開発機構は、地層処分技術に関する研究開発のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、岐阜県瑞浪市において瑞浪超深地層研究所の建設を進めてきた。同研究所における調査研究の一環として、岩盤の地質学的不均質性や、物質の移行経路として重要な地質構造などを把握することを目的として、物理探査、ボーリング調査などからなる地質学的調査を実施している。本報では、特に地下の研究坑道において実施している壁面地質調査の手法の設定の背景と実施内容、並びに取得情報を活用した地質構造のモデル化などに関する研究事例を報告する。
三枝 博光; 尾上 博則; 石橋 正祐紀; 田中 達也*; 鐙 顕正*; 橋本 秀爾*; Bruines, P.*
JAEA-Research 2015-011, 59 Pages, 2015/10
割れ目系岩盤を対象とした高レベル放射性廃棄物の地層処分における地下水移行シナリオに基づく安全評価にあたっては、地下水流動特性の評価が重要であり、そのためには、地下水流動の卓越経路となる割れ目やその水理特性の空間分布を推定する必要がある。このことから、岩盤中の割れ目分布に起因した水理特性の不均質性を考慮した水理地質構造のマルチスケールモデル化手法を構築することを目的に、割れ目ネットワークモデルを適用した数十m四方程度の領域における三次元地質構造モデルおよび水理地質構造モデルを構築した。さらには、構築した割れ目ネットワークモデルに基づき、水理特性の空間的不均質性を考慮した連続体モデルを用いた数km四方程度の領域における水理地質構造モデルを構築した。これらの検討を通じて、調査データの種類や量に応じた割れ目ネットワークモデルを適用した地質構造モデルや水理地質構造モデルを構築するための方法論や、水理特性の空間的不均質性を考慮した連続体モデルによる水理地質構造モデルを構築するための方法論を提示した。
小池 克明*; 久保 大樹*; Liu, C.*; Masoud, A.*; 天野 健治; 栗原 新*; 松岡 稔幸; Lanyon, B.*
Tectonophysics, 660, p.1 - 16, 2015/10
被引用回数:27 パーセンタイル:67.81(Geochemistry & Geophysics)岩盤中の割れ目分布と透水性の関連性を把握することを目的に、東濃地域における深層ボーリング調査と立坑の壁面観察データを用いて、地球統計学的手法(GEOFRAC)による3次元割れ目分布モデルを構築するとともに、モデル化された割れ目分布と水理特性の関係について検討を行った。GEOFRACで構築した割れ目分布モデルは、使用した割れ目データの分布とよい一致を示した。また、モデル化された割れ目のうち、連続性のよい割れ目は既知の断層の近傍に分布している傾向にあることを把握した。さらに、GEOFRACで構築した割れ目分布モデルと透水係数分布モデルから、透水性に強い影響を及ぼす割れ目の規模や方向性を確認した。
渡辺 邦夫*; 三枝 博光
JNC TY7400 2000-004, 62 Pages, 2000/05
地下水流動機構把握のための調査・解析手法の開発と精度の向上、それらの体系化を目的に、地下水流動特性評価プロセスの構築に向けた研究を実施した。本研究は、主に 1)地下水が流れる「場」の性質を的確に捉えることを目的とした研究、2)地下水流れのメカニズムを把握することを目的とした研究、3)調査計測・評価技術の開発を目的とした研究、から構成されている。1)割れ目系岩盤の地下水流動を評価するために、割れ目系のモデル化・解析手法の開発に関する研究を実施した。その結果、原位置調査から地下水流動を支配する割れ目系の規則性を抽出・把握するとともに、その調査結果に基づく、水理地質構造のモデル化手法や地下水流動解析手法を構築した。2)地下水流動解析における重要な因子の一つである不飽和特性に関する研究を実施し、逆解析法による地盤の不飽和特性の評価方法を構築した。3)難透水性岩盤における水理学的特性を評価するための蒸発量測定装置の開発に関する研究を実施し、低蒸発性岩盤(低透水性岩盤)における蒸発量測定精度を向上させるための試験方法を示した。また、広範囲な領域を対象とした水収支を把握することを目的に、地下水モニタリングシステムの構築に関する基礎的研究を実施した。その結果、広範囲な領域を対象とした水収支の把握やモニタリングデータの相互関係を評価する上で、ニューラル・ネットワークモデルによる解析手法が有効であることを示した。
小出 馨; 中野 勝志; 太田 久仁雄; 杉原 弘造; 天野 格; 齊藤 宏; 竹内 真司
JNC TN7410 2000-001, 56 Pages, 2000/04
None
新沼 岩保*; 相澤 隆生*; 伊東 俊一郎*
JNC TJ7420 2000-006, 54 Pages, 2000/03
本業務は弾性波トモグラフィ調査技術開発の一環として、サイクル機構所有のスパーカー振源を用いて取得した弾性波トモグラフィデータの解析を行ったものである。本業務の目的は、花崗岩中に存在する透水性割れ目の分布や断層の広がりを調査する手法としての弾性波トモグラフィ調査の有効性を把握することである。本報告書は、これらの業務内容についてまとめたものである。岐阜県瑞浪市明世町月吉にある核燃料サイクル開発機構東濃地科学センターの正馬様洞鉱業用地におけるMIU-1号孔及びMIU-2号孔を利用して、弾性波トモグラフィデータの取得作業が行われた。MIU-2号孔にハイドロホン型受振器を展開し、MIU-1号孔においてスパーカー振源を設置し、弾性波トモグラフィデータとして3つのデータセットが取得されている。解析では、データセットについて、P波速度層解析を行った。観測波形データからの初動読み取りは、解析精度に影響を及ぼすノイズ等の除去作業を行った後、AIC算出による自動読み取りを適用し、客観的判断基準に基づいて走時データを作成した。弾性波トモグラフィ解析は、初期モデルを作成しインバージョン計算を行い、最適モデルに収束させる方法を用いた。Annealing法による解析を行い、両者を比較検討した。また最終解析断面について検層データとの対比を行い、透水性割れ目および断層分布の連続性の検討を行った。また透水性割れ目に起因するチューブウェーブの抽出も行った。
下茂 道人*; 西嶌 望*
JNC TJ7400 2000-008, 157 Pages, 2000/03
核燃料サイクル開発機構の進めている地層科学研究においては、わが国の地質環境の一般的な性質を理解する供に、地質環境を調査・解析・評価するための体系的な調査手法を構築することを主要な課題として位置付けている。これまでの広域地下水流動研究では、堆積岩での調査結果から断層の透水性については低透水性の遮水壁的特徴を有しているものとし、断層以外の割れ目帯については考慮せず地下水流動解析を実施してきた。しかし、最近の試錐孔などを用いた調査結果から、断層の透水異方性や透水性割れ目帯が地下水の卓越した地下水流動経路となる等の知見を得ており、これまでの地下水流動解析の考え方を検証する必要性が生じている。本解析では、断層の透水異方性や透水性割れ目帯を考慮する必要性の有無を検討することを目的として、等価不均質連続体モデルによる地下水流動解析を実施した。
佐藤 治夫
JNC TN8400 99-061, 9 Pages, 1999/10
高レベル放射性廃棄物地層処分の性能評価における天然バリア中での核種移行解析のための入力パラメータとして、釜石鉱山の割れ目破砕帯(割れ目タイプC: 花崗閃緑岩健岩部、変質部、割れ目充填鉱物部より構成)より採取した岩石に対する間隙率および密度を水中飽和法により測定した。その結果、平均して8.60.43%とこれまでに同鉱山から採取された単一割れ目を伴う岩石(割れ目タイプB:花崗閃緑岩健岩部2.3%、変質部3.2%、割れ目充填鉱物部5.6%)と比較して大きい間隙率であった。一方、密度は平均して2.430.0089Mg/mであり、割れ目タイプBを構成する各岩石のどの密度よりも小さい値であった。このことから、放射性核種は割れ目破砕帯で最も移行しやすいことが予想される。
増田 純男; 梅木 博之; 清水 和彦; 宮原 要; 内藤 守正; 長谷川 宏; 牧野 仁史
JNC TN1400 99-007, 497 Pages, 1999/04
核燃料サイクル開発機構(以下,サイクル機構)では,平成9年4月に公表された原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会報告書「高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方について」(以下,専門部会報告書)に従って,関連する研究機関等の協力を得つつ,地層処分に関わる研究開発を様々な分野において進めてきている。研究開発の全体目標は「わが国における地層処分の技術的信頼性」を示すことにあり,その成果を技術報告書(以下,第2次取りまとめ)として国に提出しその評価を仰ぐこととされている。第2次取りまとめは,平成4年に公表された第l次取りまとめの成果を受けて処分の技術的信頼性を示し,国による評価を経て,処分事業を進める上での処分予定地の選定,安全基準の策定の技術的拠り所を与えるとともに,2000年以降の研究開発の具体化にとって極めて重要なものと位置づけられているものである。平成10年9月には,地層処分に関連する領域の専門家の方々から研究開発の内容や進捗状況について忌憚のない指摘や議論を頂くため,専門部会報告書に示された個々の課題に対する研究開発の成果を中間的に整理した第2次取りまとめ第lドラフトを,専門部会に報告,公表した。第1ドラフトを素材とした指摘や議論およびそれ以降の研究開発の進捗を踏まえて,このたび第2ドラフトをまとめた。第2ドラフトは総論レポートと専門部会報告書に示された主要な研究開発分野である「地質環境条件の調査研究」「処分技術の研究開発」及び「性能評価研究」のそれぞれに対応する3つの分冊から構成されている。本資料は,このうちの第2ドラフト分冊l「地質環境条件の調査研究」であり,総論レポートにおけるわが国の地質環境に関する記述内容の詳細な技術的根拠を与えるものである。第2ドラフトの総論レポートと3つの分冊については,第1ドラフト同様,地層処分に関連する領域の専門家の方々から研究開発の内容や進捗状況について忌憚のない指摘や議論を頂くとともに,英語版を作成し国際的なレビューを受ける予定である。これらのレビューの結果も踏まえ,総論レポートと3つの分冊を2000年前までに完成させることとしている。また,あわせて第2次取りまとめの理解の一助とするため,地層処分に関する基本的な事項や知見に関する情報(例えば,地層処分の発想,評価の時間枠等)を提供することを目的として,
藪内 聡; 小出 馨
PNC TN7410 97-041, 86 Pages, 1997/12
本水理試験は、平成6年度から地質調査所との共同研究として進めているハイドロフォンVSP調査技術開発の一環として、ハイドロフォンVSP調査により推定される割れ目の透水係数の信頼性を検討することを目的として実施した。試験は岐阜県瑞浪市にある事業団用地内で実施し、花崗岩内に掘削された試錐孔を用い、平成9年の3月から4月にかけて、約300mまでの深度で5点の間隙水圧測定と7点(参考測定を含む)の透水試験を実施した。単一割れ目を対象とした水理試験の結果、ハイドロフォンVSP調査から透水性割れ目として検出できた区間の透水係数は1.5410cm/secであったのに対し、透水性割れ目として検出できなかった区間の透水係数は610cm/sec以下であった。また、水理試験で得られた透水係数(1.5410cm/sec: 試験区間長2.5cm)を単一割れ目(開口幅: 1mm)の透水係数に換算した結果(3.810cm/sec)は、ハイドロフォンVSP調査から推定された透水係数と同程度のオーダーであった。このことから、試錐孔と交差する透水性割れ目の位置及びおおよその透水係数を把握する上で、ハイドロフォンVSP調査が有効であることが確認できた。
not registered
PNC TN1340 97-003, 101 Pages, 1997/09
概況(平成9年度第1四半期):高速増殖炉の開発, 新型転換炉の開発, ウラン資源・探鉱と技術開発, ウラン濃縮技術の開発, 核燃料サイクルの開発, 使用済燃料の再処理, 放射性廃棄物の環境技術開発, 新技術開発(フロンティア研究), 核物質管理と核不拡散対応, 安全管理と安全研究, 技術概説:高速実験炉「常陽」における炉心支持板流力変位の反応度効果, 技術報告:世界のウラン資源・需要の見直し, 大気中ナトリウム漏洩流下部における鉄系材料腐食機構, ガラス溶融炉内検査試験装置の開発, アクティブ中性子法によるTRU核種測定技術開発-マトリクス補正-, 使用済燃料被覆管切断片(ハル)等の高圧縮試験(I), 研究報告:ニアフィールド核種移行挙動の影響解析-複数の廃棄体の存在を考慮したニアフィールド核種移行解析コードの開発およびその概略的影響解析-, フロメータ検層による花崗岩中の透水性割れ目の把握, 会議報告:平成8年度先行基礎工学分野に関する研究成果の発表報告, 国際協力:国際会議、海外派遣等, 活動:外部発表、特許・実用新案紹介, おしらせ:平成10年度任期付研究員(博士研究員)の公募について
佐藤 治夫; 澁谷 朝紀; 舘 幸男; 太田 久仁雄*; 天野 健治*; 油井 三和
PNC TN8410 97-127, 57 Pages, 1997/08
高レベル放射性廃棄物地層処分の性能評価研究において,核種の移行遅延特性を定量的に調べモデル化することは重要な課題の1つとして挙げられている。筆者らは,結晶質岩中における核種の遅延の程度を定量化するため,割れ目から岩石マトリックス方向への核種の拡散,岩石への核種の収着および間隙特性の変化について調べている。本研究では,釜石原位置試験場の花崗閃緑岩割れ目周辺に見られる割れ目充填鉱物部および変質部の内,地下水が接触している割れ目を対象に核種の移行遅延特性を調べた。イオン電荷をパラメーターにNa,Cs,HTO,Cl,Seについて2225の範囲で見掛けの拡散係数および実効拡散係数を取得した。透過拡散法により,割れ目充填鉱物部,変質部,花崗閃緑岩に対して取得すると共に,Cs,Sr,Se,238Uおよび239Puのバッチ法による収着実験を同岩石について行い,分配係数を取得した。酸化還元条件に鋭敏な元素の内,SeについてのみN2雰囲気のグローブボックス(O21ppm)内で行い,他の元素は大気雰囲気で行った。岩石試料と同じ場所から採取した地下水(pH8.79.5)を実験では用いた。岩石試料の間隙率および密度を水中飽和法および水銀圧入法により,また,細孔径分布や比表面積を水銀圧入法により測定した。間隙率は,割れ目充填鉱物部(5.6%)変質部(3.2%)花崗閃緑岩(2.3%)の順で小さくなり,割れ目からマトリックス方向に対して小さくなることが分かった。花崗閃緑岩および変質部の細孔径分布は10nm0.2mmの範囲にわたっており,割れ目充填鉱物部は50nm0.2mmの範囲であった。しかしながら,割れ目充填鉱物部における多くの細孔径は100nmと0.2mm付近で見られた。全てのイオン(Na+,Cs+,HTO,Cl-,SeO32-)の実効拡散係数は間隙率に依存し,割れ目充填鉱物部変質部花崗閃緑岩の順に小さくなった。細孔径分布の測定結果から間隙径がイオン径に比べて大きく,岩石表面とイオンとの静電的相互作用の効果はそれほど大きくないものと考えられることから,岩石マトリックス中のイオンの実効拡散係数を間隙率や屈曲度などの間隙構造因子および自由水中のイオンの拡散係数を用いて予測した。その結果,予測値は実測値とほぼ一致し,形状因子に基づいたモデルの適用性が確認された。また,岩石に対
長谷川 健; 真田 佳典*; 山下 善弘*; 渡辺 俊樹*
PNC TN7410 97-036, 67 Pages, 1997/08
本研究では、地下に電磁波エネルギーを送り込み、それに対する地下の応答を観測することにより地下構造を解析する地球物理学的調査において、正弦波的に変化する電磁エネルギーの周波数を高精度に制御し、連続して長時間地下に送り込む手法について研究開発を行っている。本手法を採用することによって、調査深度の拡大や解析精度の向上ならびに調査機器の小型化を目指す。本年度は、広帯域にわたる電磁波現象の特性を把握するために、送信周波数が数十Hz数kHzと比較的低い周波数帯を利用して電磁誘導現象による地下の応答を測定し地下構造を解析する方法、及び、周波数が数十MHz数GHz程度の高い周波数帯を利用して、電磁波動の透過・反射現象から岩盤内の微細な構造(割れ目など)を検出する方法について、計算機シミュレーションにより検討した。
橋本 憲和*; 長田 和洋*; 松岡 清幸*
PNC TJ7586 97-001, 59 Pages, 1997/06
本報告書は、ハイドロフォンVSP調査法技術開発に一環として、ハイドロフォンVSPデータから推定された透水性割れ目の深度と走向の値の検証データを得ることを目的として、AN-1号孔において指向性レーダーを用いたシングルホール調査を実施した結果をまとめたものである。指向性レーダーに解析結果は総数60箇所に反射面の解析が可能であった。そのうち25箇所が反射面の方位・傾斜角度が決定出来た。反射面の走向はN20Wに卓越し、その傾斜は5080度に分布している。また、反射面の拡がりで最長のものは102mである。VSPハイドロフォンチューブウェーブ発生深度と指向性レーダの反射面深度は15箇所で一致した。そのうち反射面の方位が対比可能なものは8箇所である。
椹木 義一*
PNC TJ1559 97-001, 190 Pages, 1997/03
花崗岩における岩盤工学に関する調査試験研究は、岩盤物性と地殻応力に関する研究の一環として、結晶質岩系の花崗岩についての岩盤工学の基礎的研究、すなわち岩盤応力、岩盤の長期安定性および岩盤割れ目の透水性や止水性の変化、岩盤内単一不連続面の基本的特性に関する原位置(釜石原位置試験場)や、室内での試験に基ず基礎的・理論的な研究を行うものである。「岩盤内割れ目の止水性とグラウト材料の流動に関する研究」は、グラウト範囲を自由にコントロール可能な工法を目標に、これまで釜石鉱山550mLの坑道を利用した原位置試験により、グラウト注入試験を繰り返し、実技上の知見取得を試みてきた。本年度も、CGSを注入材料として原位置においてグラウトを実施し(1)CGSに拠るグラウトの再現性の確認、(2)ルジオンテストに拠る効果の判定、(3)流入観測に基ずく割れ目の連絡の判定などを行い、さらに室内実験を中心に、(4)注入材料の物性測定、(5)長期安定性の確認について実験を行い取り纏めて報告する。「花崗岩の動的および静的荷重による強度・変形特性への影響と内部亀裂の観察に関する研究」については、釜石鉱山から採取した花崗閃緑岩のクリープ特性と疲労特性を把握し、比較・検討するために、サーボコントロール剛性試験機(MTS社製)を用いてクリープ試験及び疲労試験を行った。さらに、一軸圧縮試験における変形・破壊挙動とクリープおよび疲労過程における変形・破壊挙動との関係を調べるため、クリープ試験および疲労試験の途中から一軸圧縮試験に移行する試験を行った。「坑道周辺岩盤の力学的状況の精密調査」については、坑道周辺岩盤の力学的状況を精密に調査する手法として、地圧測定、高精度クリープ試験、孔内点載荷試験を取り上げた。そして、これらの計測技術の開発を進め、計画釜石鉱山の250mレベル坑道を利用して原位置計測を実施し、現場での適用化試験を進めるとともに、測定データの取得と解析を行った。