空間反転対称性のない重い電子系超伝導体CeIrSiの角度分解光電子分光
ARPES study on heavy fermion superconductor CeIrSi without inversion symmetry
藤森 伸一 ; Mo, S.-K.*; 田中 清尚*; Hussain, Z.*; Shen, Z. X.*; 藤森 淳; 山上 浩志; 摂待 力生*; 大貫 惇睦*
Fujimori, Shinichi; Mo, S.-K.*; Tanaka, Kiyohisa*; Hussain, Z.*; Shen, Z. X.*; Fujimori, Atsushi; Yamagami, Hiroshi; Settai, Rikio*; Onuki, Yoshichika*
反転対称性を持たない重い電子系超伝導体CeIrSiに対して行った高分解能角度分解光電子分光の結果について報告する。CeIrSiは結晶構造に反転対称性を持たないために各バンドがスピン軌道相互作用によって1000K程度の分裂を起こし、詳細な電子構造の観測には高いエネルギー分解能が必要となる。そこで米国の放射光施設Advanced Light Source BL 10.0.1において=95-122eVの入射光を用い、30meV程度の高エネルギー分解能で角度分解光電子分光測定を行った。実験の結果、EF付近に4f電子が形成する平坦な準粒子が観測されているが、dバンドがを横切る位置で混成を起こして強度変化を示していることが明らかとなった。このことから、4f電子は局在的ではなく、d電子と混成してフェルミ面を形成していることが明らかとなった。バンド計算との比較に基づき、この化合物の電子状態について議論する。
We have performed angle resolved photoelectron spectroscopy study on CeIrSi, which does not have inversion symmetry in its crystal structure. The experiments were done in Advanced Light Source BL10.0.1. We have found that 4f derived bands mix with the ligand d bands. This result suggests that 4f electrons in this compound have some itinerant character.