Yb-Cd近似結晶の高圧下における価数変化と構造相転移

Successive phase transition of a Cd-Yb 1/1 crystalline approximant under high pressure

綿貫 徹; 川名 大地; 町田 晃彦; Tsai, A. P.*

Watanuki, Tetsu; Kawana, Daichi; Machida, Akihiko; Tsai, A. P.*

Yb-Cd 1/1近似結晶は4面体状Cd原子団の配向自由度を持つ系であり、また、高圧下でYbイオンが価数揺動状態をとるという特徴を併せ持つ。この物質を加圧・冷却すると、さまざまなCd4面体配向秩序相が現れる。その中で、5GPa以上の3つの高圧相において、構造秩序が系統的な変化を起こすことが明らかとなった。これらは、一つの主軸方向については、共通して倍周期で位相反転する相関を持つ。その一方で、直交するもう一つの主軸方向については、構造秩序の周期長が2倍,3倍,4倍と順々に長くなり、また、配向の位相相関はサイン波型から徐々に高調波が含まれるようになる。このように圧力で次第に変化していく傾向は、秩序相内の変化においても見られ、例えば、3倍周期をとる相においては、秩序化度合いを示す超格子反射強度は、17GPaで極大値をとるような、圧力に対して常に変動する挙動を示す。このような、秩序構造の系統的変化は、価数揺動状態のYbイオンにおいて、価数が圧力とともに連続的に変動し、その平均イオン半径が連続的に減少するために起こると考えられる。

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