動的平均場理論を用いた多軌道ハバード模型の熱起電力の研究

Study of the thermopower in the multi-orbital Hubbard model using dynamical mean-field theory

松尾 まり; 岡本 敏史*; 小椎八重 航*; 森 道康  ; 前川 禎通

Matsuo, Mari; Okamoto, Satoshi*; Koshibae, Wataru*; Mori, Michiyasu; Maekawa, Sadamichi

遷移金属酸化物に代表される強相関電子系は、高効率熱電材料の探索に新たな可能性を与えるものとして、注目を集めている。強相関電子系が示す巨大な熱起電力の起源として、電荷・スピン・軌道自由度が与えるエントロピー輸送への寄与が提案されている。この理論は、LaSrVO に観測される熱起電力の非単調な温度依存性に見られる高温側の漸近的な振る舞いをよく説明する。本研究では、これまでの計算を拡張し、多軌道ハバード模型における熱電応答係数の温度依存性を広い温度領域にわたって調べた。解析手法として動的平均場理論を用いた。この手法は電子相関を非摂動的に取り込みながら、コヒーレントそしてインコヒーレントな電子状態の両部分を同時に取り扱うことができる手法である。また1サイト不純物問題のソルバーとして、強結合極限からの展開であり複雑な相互作用に対応することが可能な非交差近似を用いた。講演では、熱電応答の温度依存性にみる、軌道間の交換相互作用並びに結晶場分裂の役割について議論する。

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