フラストレートした2本足スピン梯子系の磁気励起

Magnetic excitations in a frustrated two-leg spin-ladder model

杉本 貴則; 森 道康  ; 遠山 貴己; 前川 禎通

Sugimoto, Takanori; Mori, Michiyasu; Toyama, Takami; Maekawa, Sadamichi

低次元フラストレート量子スピン系の新しい候補として、BiCuPOが挙げられる。この物質の有効スピン模型は、最近接交換相互作用(J1)と次近接交換相互作用(J2)がともに反強磁性的であるJ1-J2鎖を2本並べ、反強磁性鎖間相互作用(Jp)を入れた、2本足スピン梯子系であると考えられている。このフラストレートした2本足スピン梯子系の基底状態としては、鎖内で一重項を形成するコラムナー・ダイマー状態と、梯子の桁で一重項を形成するラング一重項状態の2つの可能性がある。BiCuPOでは、上記のパラメータに議論が残っており、基底状態がどちらの状態になっているか、はっきりとわかっていない。本研究では、この模型の磁気励起構造解析を、動的密度繰り込み郡法を用いて行った。結果として、コラムナー・ダイマー状態とラング一重項状態で、その磁気励起構造に特徴的な差異を見つけることができた。これは、コラムナー・ダイマー状態とラング一重項状態で、一重項を組む方向が異なっていることに起因していると考えられる。この研究と中性子散乱実験の比較によって、超伝導発現の可能性があるBiCuPOの、基底状態と磁気励起構造を決定することができると期待される。

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