プラズマ反射率の周期振動から探る透明材料のピコ秒アブレーションダイナミクス

Picosecond ablation dynamics of transparent materials studied by oscillating reflectivity

熊田 高之   ; 赤木 浩; 板倉 隆二; 乙部 智仁; 横山 淳

Kumada, Takayuki; Akagi, Hiroshi; Itakura, Ryuji; Otobe, Tomohito; Yokoyama, Atsushi

フェムト秒レーザーを用いたプロセッシング技術の高度化を目指すうえで、アブレーションダイナミクスの理解は必須である。しかしながら、これまでそのダイナミクスを実時間測定する実験手法は非常に限られており、照射後の顕微鏡観測や理論計算による推察に多く依存していた。われわれは、ショットごとに新しい照射面に移動した石英,サファイア,パイレックスといった透明材料に、ポンプ光(800nm, 50fs, 5-14J/cm)を照射し、プローブ光(800, 400nm)反射率の時間発展を測定したところ、新たに約70ps周期の振動の観測に成功した。われわれは、この反射率の振動は、高密度電子励起によってプラズマ化(金属化)した領域が融解し、気液相分離による空隙の発生を伴いながら、試料面に対して法線方向に膨張することで引き起こされたと考えている。

We found about 70 ps-period of oscillation in time-resolved pump-probe reflectivity of fused silica irradiated with ultrafast laser pulse (800 nm, 50 fs, 10 J/cm). We suggest that the oscillation results from interference of reflection beams from front and rear surfaces of electrically excited plasma area, which melts and adiabatically expands by decomposing into liquid and vapor phase. The velocity of the expansion is estimated to be about 10 m/s.