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中性子及びX線を相補的に利用した水和水の詳細構造の同定法

A Method for specifying hydration waters by complementary using of neutron and X-ray diffraction

岡崎 伸生; 大原 高志*   ; 栗原 和男; 玉田 太郎; 黒木 良太

Okazaki, Nobuo; Ohara, Takashi*; Kurihara, Kazuo; Tamada, Taro; Kuroki, Ryota

タンパク質分子において、水和や脱水和並びに水素結合は立体構造の安定性に大きく影響し、それらはフォールディングやダイナミクス、分子認識に寄与している。タンパク質中性子結晶構造解析は水素原子の位置情報を得るのに優れた特性を有し、X線結晶構造解析で得られる情報を相補的に利用することでその決定精度はさらに向上すると期待される。しかし、水和水の向き(水素原子の位置)の同定については研究者に委ねられており、統一された方法がない。そこで中性子及びX線により得られた構造情報を相補的に利用することで水和水の詳細構造を計算により一義的に求めることを試みた。中性子回折及びX線回折から得られる原子核及び電子密度分布は各原子の散乱長の特性を反映している。われわれは中性子とX線の散乱長の違いに着目し、両者の差分("N-Xマップ"と呼ぶ)を取ることでその違いを際立たせ、原子の正確な同定が可能になると考えた。本研究では水和水の詳細な構造決定を目指し、N-Xマップの計算、及び得られたマップから水素原子位置の自動決定という手順で水和水の詳細な構造決定を行った。この手順により、研究者の恣意性を排除した水和水の向きの同定法が確立できると期待される。さらに、得られた恣意性を排除した水和水の構造情報を、現在われわれが運用している生体分子水素水和水データベース(HHDB)を用いて解析することで、水素水和水のより詳細な特徴を明らかにしたい。

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