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イオンビーム照射によるユリへの雄性不稔形質の付与

Induction of male sterility in lily by ion-beam irradiation

近藤 正剛*; 小池 洋介*; 奥寺 宏明*; 宮島 利功*; 野水 利和*; 長谷 純宏; 横田 裕一郎; 小林 仁*

Kondo, Masayoshi*; Koike, Yosuke*; Okudera, Yosuke*; Miyajima, Toshinari*; Nomizu, Toshikazu*; Hase, Yoshihiro; Yokota, Yuichiro; Kobayashi, Hitoshi*

ユリは、我が国における切り花の粗生産額でキク・バラについて第3位の地位を占め、球根出荷量でもチューリップに次ぐ第2位であり、園芸植物として重要な花卉である。新潟県農業総合研究所では、アグロバクテリウム法によるユリの形質転換系を確立し、花色改変による新品種の作出に取り組んでいる。遺伝子組換えにより作出した植物を普及するためには、花粉の飛散による環境への遺伝子拡散を管理しなくてはならないため、雄性不稔であることが望ましい。そこで、新潟農総研と原子力機構は、組織培養とイオンビーム照射を組合せた突然変異育種によるユリの不稔化を目的として研究を行った。照射したカルスの増殖率は、線量が高くなるほど低下し、2Gy以上では、ほとんど増殖しないで枯死した。そこで、品種"ホワイト阿賀"では0-1.5Gyの線量域で照射し、各線量区について25-1430系統を育成して3年間の形態調査により花粉の少ない系統を6系統選抜した。6系統のうち3系統では、観察したすべての花粉で花粉管伸長が認められず、雄性不稔であることが示唆された。また、品種"アカプルコ"では、1.4Gyを照射した444系統から2系統の雄性不稔系統を選抜した。選抜した系統は、3年間継続して花粉を調査したが、花粉が少なく、人工培養でも発芽しないことから、形質が固定されており、雄性不稔性は今後も安定して保持されると考えられた。

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