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葉へのグルタチオンの施用が体内での亜鉛動態に及ぼす影響

Effects of glutathione fed to leaf on zinc dynamics in plants

中村 進一*; 鈴井 伸郎; 菊池 優香*; 佐々木 彩*; 石井 里美; 尹 永根; 河地 有木; 頼 泰樹*; 服部 浩之*; 藤巻 秀

Nakamura, Shinichi*; Suzui, Nobuo; Kikuchi, Yuka*; Sasaki, Aya*; Ishii, Satomi; Yin, Y.-G.; Kawachi, Naoki; Rai, Hiroki*; Hattori, Hiroyuki*; Fujimaki, Shu

これまでの研究で、アブラナの葉への部位特異的なグルタチオン(還元型:GSH)の施用が、植物体の地上部におけるZn蓄積量を増加させる現象を確認している。本研究ではこの現象の分子メカニズムの解明を目指して、GSH施用が植物の亜鉛動態に及ぼす影響を調べた。葉にGSHを10日間添加したアブラナの葉,根,篩管液および導管液のZn濃度を原子吸光法を用いて調べた。また、ポジトロンイメージング技術および$$^{65}$$Znを用いて、GSHの葉への添加が植物体内におけるZn動態に及ぼす影響を可視化し、その画像データの解析を行った。GSH添加区の植物では、対照区の植物と比べて、根におけるZn分布に変化がみられた。処理区の植物の根では細胞壁画分のZn存在割合が減少し、細胞質画分のZn存在割合が増加していた。また、Znの長距離輸送を導管液・篩管液を採取して調べたところ、篩管液Zn濃度には影響は見られなかったが、導管液Zn濃度はGSH処理によって増加していた。これらの実験結果は、葉へのGSH処理が根におけるZn動態を変化させ、導管へのZnの積み込みを活性化した結果として、地上部へのZnの蓄積量が増加したことを示唆している。さらに、ポジトロンイメージング実験においても、これらの考察を支持する実験結果を得ることができている。

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