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町田 晃彦*; 齋藤 寛之*; 青木 勝敏*; 小松 一生*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 町田 真一*; 佐藤 豊人*; 折茂 慎一*
Physical Review B, 111(22), p.224413_1 - 224413_6, 2025/06
被引用回数:1Mn金属を高温高圧で水素化することにより形成される反強磁性Mn重水素化物、fcc-MnDxとhcp
-MnDxの結晶構造と磁気構造をin-situ中性子粉末回折により調べた。重水素原子はfcc及びhcp金属格子の八面体格子間を部分的に占有していた。N
el温度は
-MnD
で543(10)Kであった。
-MnD
では、飽和磁気モーメントは0.82(1)
、N
el温度は347(3)Kであった。
-MnD
と
-MnD
について決定されたN
el温度は、以前の研究で提案されたそれぞれのSlater-Pauling曲線によって予測されたものと一致した。更新されたN
el温度は、電子バンド構造計算に基づくより正確なSlater-Pauling曲線の開発に示唆を与える。
青木 勝敏*; 町田 晃彦*; 齋藤 寛之*; 服部 高典
高圧力の科学と技術, 35(1), p.4 - 11, 2025/03
鉄は水素と反応して、高温高圧下で体心立方、面心立方、六方最密充填、二重六方最密充填構造の固溶体を形成する。中性子回折は、金属格子中に溶解した水素原子の占有位置と占有率を決定するための最も強力なツールである。水素の占有位置や占有率を含む構造パラメータは、中性子回折データのリートベルト解析によって精密化される。本原稿では、10年以上にわたって蓄積してきた鉄水素化物のリートベルト精密化に関するノウハウを紹介する。
山下 恵史朗*; 小松 一生*; 服部 高典; 町田 真一*; 鍵 裕之*
Acta Crystallographica Section B; Structural Science, Crystal Engineering and Materials (Internet), 80(6), p.695 - 705, 2024/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)これまで、水に富む塩化マグネシウム水和物系列(MgClH
O)では奇数の水和数nを持つものは欠落していた。本研究において、2GPa以上の高圧と300K以上の高温で生成する塩化マグネシウム七水和物、MgCl
7H
O (or MgCl
7D
O)を同定した。その結晶構造は、2.5GPa, 298Kでのその場単結晶X線回折と3.1GPa, 300Kでのその場粉末中性子回折の組み合わせによって決定された。単結晶試料では、望ましくない結晶相の核生成を防ぐためにアルコールを混合して成長させた。得られた結果は、水分子の配向乱れを示しており、密度汎関数理論計算によっても検証された。この乱れには水素結合の再結合が関与しており、水の高圧氷相や既知の乱れた塩水和物とは異なっていた。圧縮による収縮は主に一方向に起こる。この最も圧縮しやすい方向に垂直な面では、酸素原子と塩素原子が六角形状に配列していた。
町田 晃彦*; 齋藤 寛之*; 杉本 秀彦*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 遠藤 成輝*; 片山 芳則*; 飯塚 理子*; 佐藤 豊人*; 松尾 元彰*; et al.
Nature Communications (Internet), 15, p.8861_1 - 8861_2, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Multidisciplinary Sciences)前回の論文(Nature Commun. 5, 5063 (2014))では、988Kと6.3GPaで収集した中性子粉末回折パターンのリートベルト精密化によって、fcc Fe金属格子に溶解したD原子のサイト占有率を調べた。fcc金属格子には、八面体サイトと四面体サイトの2つのD原子収容可能な格子間サイトがある。リートベルト精密化により、D原子は主に八面体サイトを0.532占有し、わずかに四面体サイトを0.056占有することがわかった。その後、Antonov (Phys. Rev. Mater. 2019))による密度汎関数理論(DFT)計算の結果、四面体サイトの占有エネルギーは八面体サイトの占有エネルギーよりも著しく高く、988Kの高温でも四面体サイトの占有は起こりにくいことがわかった。消衰補正は粉末回折パターンに適用されることはまれであり、前回の精密化には含まれていなかった。その結果、八面体の占有率は0.60に増加し、四面体の占有率はゼロに減少した。D原子の八面体サイトのみの占有は、以前の結果とは対照的ではあるが、DFT計算と一致している。
He, X.*; 鍵 裕之*; 小松 一生*; 飯塚 理子*; 岡島 元*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 町田 真一*; 阿部 淳*; 後藤 弘匡*; et al.
Journal of Molecular Structure, 1310, p.138271_1 - 138271_8, 2024/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)重水素化ヒドロキシフルオロマグネシウム[理想組成はMg(OD)F]のO-DF水素結合の高圧応答を中性子粉末回折とラマン分光法を用いて調べた。常温でのリートベルト解析の結果、化学組成はMg(OD)
F
であり、結晶構造中で水酸基/フッ素(OD/F)が無秩序化して、2つの水素結合配置が生じていることが分かった。構造解析の結果、水素結合配置は9.8GPaまで維持され、圧力による水素結合の強化は見られなかった。常圧でのラマンスペクトルでは、2613, 2694, 2718cm
に3つの水酸基伸縮バンドが観測された。O-D伸縮モードの周波数が高いことから、ヒドロキシル基は弱い水素結合相互作用、あるいは水素結合を持たないことが示唆された。20.2GPaまでは、2694cm
を中心とするモードは圧力によってブルーシフトを示し、水素結合は圧縮されても強化されないことが明らかになった。これは、中性子回折の結果と一致した。水素結合の存否と、常圧および高圧での水酸基のブルーシフトの原因について議論した。
小松 一生*; 服部 高典; Klotz, S.*; 町田 真一*; 山下 恵史朗*; 伊藤 颯*; 小林 大輝*; 入舩 徹男*; 新名 亨*; 佐野 亜沙美; et al.
Nature Communications (Internet), 15, p.5100_1 - 5100_7, 2024/06
被引用回数:5 パーセンタイル:67.98(Multidisciplinary Sciences)水素結合の対称化とは、水素原子が水素結合の中心に位置する現象である。理論的研究により、氷VIIの水素結合は、圧力が増加するにつれて、水素の分布を変化させながら、いくつかの中間状態を経て、最終的に対称化すると予測されている。これまで、多くの実験的研究が行われてきたにもかかわらず、その水素の位置や転移圧力は一貫していない。われわれは、100GPa以上の圧力で中性子回折実験を行い、氷中の水素分布を決定し、隣接酸素間での分布が80GPa付近で2つから1つになり水素結合が対称化することを世界で初めて観測した。
小林 大輝*; 小松 一生*; 伊藤 颯*; 町田 真一*; 服部 高典; 鍵 裕之*
Journal of Physical Chemistry Letters (Internet), 14(47), p.10664 - 10669, 2023/11
被引用回数:2 パーセンタイル:26.29(Chemistry, Physical)氷IVは、水分子が配向乱れを示す氷の準安定高圧相である。配向秩序は他の氷相ではよく観測されるが、氷IVでは報告されていない。われわれは、DClを添加したDO氷IVのその場粉末中性子回折実験を行い、氷IVにおける水素秩序を調べた。その結果、単位胞体体積の温度微分dV/dTが約120Kで急激に変化することを発見し、またリートベルト解析により低温でわずかに水素が秩序化することを明らかにした。D1サイトの占有率は0.5から外れており、そのずれは試料をより高い圧力で冷却すると増加し、2.38GPa, 58Kで0.282(5)に達した。この結果は、氷IVに対応する低対称の水素秩序状態の存在を証明するものである。しかしながら、高圧下での徐冷によって、完全に水素が秩序化した氷IV相を実験的に生成することは難しいようである。
山下 恵史朗*; 中山 和也*; 小松 一生*; 大原 高志; 宗像 孝司*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 鍵 裕之*
Acta Crystallographica Section B; Structural Science, Crystal Engineering and Materials (Internet), 79(5), p.414 - 426, 2023/10
被引用回数:2 パーセンタイル:41.77(Chemistry, Multidisciplinary)最近発見された塩化ナトリウムの超水和物(NaCl 13H(D)
O)の構造を1.7GPa, 298Kでのその場単結晶中性子回折によって決定した。この物質は大きな水素結合ネットワークを持ち、いくつかの水分子は分岐水素結合や5配位水分子のような歪んだ結合の特徴を持つ。水素結合ネットワークは、ネットワークトポロジーと水素結合の無秩序性という点で、氷VIと類似している。擬似対称性によって接続されたネットワークの構成要素を区別しなければ、このハイドレートの全体的なネットワーク構造は、氷VIのネットワーク構造に対応する小さな構造単位に分解することで表現できる。この水素結合ネットワークは、既知の塩水和物とは対照的に、水分子の配向の乱れを含んでいる。ここでは、イオン種を含む水素結合ネットワークに関するさらなる洞察のための例を示す。
市東 力*; 鍵 裕之*; 柿澤 翔*; 青木 勝敏*; 小松 一生*; 飯塚 理子*; 阿部 淳*; 齋藤 寛之*; 佐野 亜沙美; 服部 高典
American Mineralogist, 108(4), p.659 - 666, 2023/04
被引用回数:5 パーセンタイル:68.90(Geochemistry & Geophysics)FeNi
H
(D
)の12GPa, 1000Kまでの高温高圧下における相関係と結晶構造をその場X線及び中性子回折測定により明らかにした。今回実験した温度圧力下において、Fe
Ni
H
(D
)ではFeH
(D
)とは異なり、重水素原子は面心立方構造(fcc)中の四面体サイトを占有しないことが明らかになった。単位重水素あたりの水素誘起膨張体積
は、fcc相で2.45(4)
、hcp相で3.31(6)
であり、FeD
におけるそれぞれの値より著しく大きいことが明らかになった。また、
は温度の上昇に伴いわずかに増加した。この結果は、鉄に10%ニッケルを添加するだけで、金属中の水素の挙動が劇的に変化することを示唆している。
が圧力に関係なく一定であると仮定すると、地球内核の最大水素含有量は海洋の水素量の1-2倍であると推定される。
山下 恵史朗*; 小松 一生*; Klotz, S.*; Fabelo, O.*; Fernndez-D
az, M. T.*; 阿部 淳*; 町田 真一*; 服部 高典; 入舩 徹男*; 新名 亨*; et al.
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 119(40), p.e2208717119_1 - e2208717119_6, 2022/10
被引用回数:7 パーセンタイル:36.64(Multidisciplinary Sciences)氷の多形体は、圧力や温度により驚くほど多様な構造を示す。水素結合の乱れは、その構造多様性の重要な要因であるだけでなく、その物性をも支配している。しかし、観測可能な逆格子空間が限られていることや、高圧下で測定されたデータの不確かさにより、高圧下において氷多形体の乱れた構造を明らかにすることは困難であった。今回、単結晶および粉末中性子回折の両方を用いて、2.2GPa, 298Kにおいて主要な高圧氷である氷VIIの乱れた構造を初めて明らかにした。最大エントロピー法を用いることにより3次元的な原子分布を導くことに成功し、水素がこれまで言われていた離散的なサイトではなく、リング状に分布をしていることを発見した。また、274Kでの全散乱実験により、氷VIIの水素秩序相である氷VIIIとは、同じ分子構造を持つにもかかわらず、その分子間構造が異なることを明らかにした。今回の単結晶と粉末回折の相補的な構造解析によって、氷VIIのユニークな無秩序構造が明確に示された。今回の発見は、圧力によって大きく変化するプロトンダイナミクスと関連しており、圧力下における氷VIIの異常な物性の構造的な起源を理解することに役立つと考えられる。
飯塚 理子*; 後藤 弘匡*; 市東 力*; 福山 鴻*; 森 悠一郎*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 鍵 裕之*
Scientific Reports (Internet), 11(1), p.12632_1 - 12632_10, 2021/06
被引用回数:5 パーセンタイル:33.44(Multidisciplinary Sciences)FeNi合金からなる地球核は、H, C, O, Si, Sなどの軽元素を含んでいると考えられている。その中でHは、宇宙に最も存在する元素であり、最も有望な候補である。これまでの我々の中性子回折実験から、鉄-水系において、水素が他の元素より優先的に鉄に取り込まれることが分かっている。今回、初期地球の組成で水を含んだ鉄-ケイ酸塩系において、Sが及ぼす影響を調べた。その結果、一連の鉄の相転移、含水ケイ酸塩の脱水酸基およびカンラン石・輝石の形成を観察した。またFeの共存相としてFeSが現れた。Hがいる条件でもFeSの格子体積が一定であることから、FeSに水素は入らず、FeSはむしろFeの水素化を阻害することがわかった。高温高圧下から回収された試料を観察すると、FeにはHとSが入っており、HおよびSはFe(H)-FeS系の融点を下げる効果があることが分かった。一方回収試料には、C, O, Siなどの他の軽元素は含まれていないため、地球核形成時には、まずFeH
およびFeSができ、その後さらに高温高圧下でFeHxやFeSが融解した後でないと、それらは核に取り込まれないことが分かった。
佐野 亜沙美; 柿澤 翔*; 市東 力*; 服部 高典; 町田 真一*; 阿部 淳*; 舟越 賢一*; 鍵 裕之*
High Pressure Research, 41(1), p.65 - 74, 2021/03
被引用回数:4 パーセンタイル:38.13(Physics, Multidisciplinary)高温高圧下における中性子散乱実験のために、河合型マルチアンビルセル(MA6-8)を開発した。信号強度を確保しするために、1段目アンビルにはスリットおよびテーパーを施して開口角を確保した。中性子の透過率の高いSiCバインダーの焼結ダイアモンドを2段目アンビルに使用することで、最高23.1GPaにおいて充分な強度の信号を取得することに成功した。また超硬合金を2段目アンビルに使用した実験では16.2GPa, 973Kでのデータ取得に成功し、超硬合金製アンビルの有用性を示した。本研究により、J-PARCのPLANETにおいてこれまで利用されてきたMA6-6では到達できなかった温度・圧力条件をMA6-8が達成できることが示された。
山根 崚*; 小松 一生*; 郷地 順*; 上床 美也*; 町田 真一*; 服部 高典; 伊藤 颯*; 鍵 裕之*
Nature Communications (Internet), 12, p.1129_1 - 1129_6, 2021/02
被引用回数:41 パーセンタイル:84.20(Multidisciplinary Sciences)氷は、非常に多彩な構造多形を示す。これまで報告されていない新しい相に関して実験・理論両面から研究がなされている。水素の秩序-無秩序相に関して、現在知られているような一つの無秩序相に一つの秩序相があるのか、いくつかの秩序相がありえるのかが議論の的になっている。今回の研究で、氷VI相の第2の水素秩序相となる新しい相(氷XIX)を発見した。これは、無秩序相から、いくつかの異なる水素秩序相ができることを示している。このような多重性は他のすべての水素無秩序相にも起こりえるもので、氷の構造探査に新しい視点を与えるものである。このことによって、これまで謎だった問題:水素秩序相の中心対称性の存在や、(反)強誘電性誘起が明らかになる可能性がある。また究極的には、氷の高温高圧相図を完全に解明することにつながる。
森 悠一郎*; 鍵 裕之*; 柿澤 翔*; 小松 一生*; 市東 力*; 飯塚 理子*; 青木 勝敏*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; et al.
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 116(6), p.309 - 313, 2021/00
被引用回数:2 パーセンタイル:10.53(Mineralogy)地球のコアは、対応する圧力温度条件下で純鉄よりも密度が10%低いため、いくつかの軽元素を含んでいると考えられている。水素はその有力候補であるため、これまで主にFe-H系の相平衡関係や物性が調べられてきた。この研究では、14.7GPaおよび800Kでのhcp-FeSi
水素化物の重水素のサイト占有率を調べるために、その場中性子回折実験によりFe-Si-Hシステムを具体的に調べた。リートベルト解析の結果、hcp-Fe
Si
水素化物はhcp格子の格子間八面体サイトにのみ重水素(D)が0.24(2)占有することが判明した。Feに2.6wt%Siを添加する(つまりFe
Si
)ことによるDのサイト占有率への影響は、Fe-D系の先行研究で得られた結果と比較して無視できる程度であった(Machida et al., 2019)。
齋藤 寛之*; 町田 晃彦*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 佐藤 豊人*; 折茂 慎一*; 青木 勝敏*
Physica B; Condensed Matter, 587, p.412153_1 - 412153_6, 2020/06
被引用回数:5 パーセンタイル:24.90(Physics, Condensed Matter)重水素を含んだfcc Niを、3.36GPaで1073Kから300Kへ冷却した際の、構造中の重水素(D)の席占有率を中性子その場観察により調べた。多くの重水素はfccの金属格子の八面体サイトを占め、またわずかながら四面体サイトへの占有も見られた。八面体サイトの占有率は、1073Kから300Kへの冷却で0.4から0.85へ増大した。一方、四面体サイトの占有率は約0.02のままであった。この温度に依存しない四面体サイトの占有率は普通でなく、その理由はよくわからない。水素による膨張の体積と水素組成の直線関係から、重水素の侵入による体積膨張は、2.09(13) 原子と求められた。この値は、過去NiやNi
Fe
合金で報告されている2.14-2.2
原子とよく一致している。
齋藤 寛之*; 町田 晃彦*; 飯塚 理子*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 佐藤 豊人*; 折茂 慎一*; 青木 勝敏*
Scientific Reports (Internet), 10, p.9934_1 - 9934_8, 2020/06
被引用回数:6 パーセンタイル:19.04(Multidisciplinary Sciences)4-6GPaの圧力で1023-300Kに降温中の鉄重水素化物の中性子回折パターンを測定した。二重六方晶構造を持つ'重水素化物は温度圧力に応じて他の安定または準安定相と共存し、673K, 6.1GPaではFeD
、603K, 4.8GPaではFeD
の組成を持つ固溶体を形成した。300Kに段階的に降温する際、D組成は1.0まで上昇し、一重水素化物FeD
を生成した。4.2GPa, 300Kにおけるdhcp FeD
において溶け込んだD原子は、中心位置から外れた状態で二重六方格子の八面体空隙のすべてを占めていた。また、二重六方晶構造は12%の積層欠陥を含んでいた。また磁気モーメントは2.11
0.06B/Feであり、Feの積層面内で強磁性的に並んでいた。
小松 一生*; Klotz, S.*; 町田 真一*; 佐野 亜沙美; 服部 高典; 鍵 裕之*
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 117(12), p.6356 - 6361, 2020/03
被引用回数:22 パーセンタイル:58.64(Multidisciplinary Sciences)多くの多形が知られる氷も、2GPa以上ではその数が少なくなり、約60GPaでは氷VIIとVIIIのみとなる。両相は、共通の酸素骨格を持ち、水素の秩序状態が異なっている。今回約15GPaまでの低温高圧中性子回折実験により、VII-VIII転移における水素の秩序化の速度が圧力により減少し、10GPaでは分オーダーになることがわかった。さらに加圧すると、驚くべきことにその速度は再び早くなった。このような異常な振る舞いは、これまで言われていた「加圧による水分子の回転運動の鈍化と同時に起こる水素の併進運動の活性化」により説明できる。今回観測されたこの水素ダイナミックスのクロスオーバーは、これまでラマン散乱, X線回折,プロトン伝導により報告されてきた10-15GPaにおける氷VII相の異常の起源であると思われる。
小松 一生*; 町田 真一*; 則武 史哉*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 山根 崚*; 山下 恵史朗*; 鍵 裕之*
Nature Communications (Internet), 11, p.464_1 - 464_5, 2020/02
被引用回数:61 パーセンタイル:87.23(Multidisciplinary Sciences)水は、0Cで六方晶積層をもった通常の氷I
に凍結する。一方、ある条件では、立方晶積層を持った氷I
になるが、積層欠陥のない氷Icはごく最近まで作れなかった。今回、我々は、氷I
と同じフレームワークを持った水素ハイドレートの高圧相C
から水素を脱ガスすることによって積層欠陥のない氷I
を作る方法を発見した。これまで同様の方法で作られたネオンハイドレートからの氷XVIや水素ハイドレートからの氷VXIIの生成と異なり、今回の氷I
は、C
ハイドレートから中間非晶質相やナノ結晶相をへて形成された。得られた氷I
は、積層欠陥がないために、これまで得られているものに比べ高い熱安定性を示し、氷I
に相転移する250Kまで安定に存在する。積層欠陥のない氷I
の発見は、I
のカウンターパートとして、氷の物性に与える積層欠陥の影響を調べるうえで役立つことが期待される。
山下 恵史朗*; 小松 一生*; 服部 高典; 町田 真一*; 鍵 裕之*
Acta Crystallographica Section C; Structural Chemistry (Internet), 75(12), p.1605 - 1612, 2019/12
被引用回数:11 パーセンタイル:68.40(Chemistry, Multidisciplinary)その場X線回折および中性子回折により塩化マグネシウム六水和物(MgCl
6H
O-II)とそのD化物(MgCl
6D
O-II)の高圧相の構造を初めて決定した。X線単結晶回折により決めた構造を初期構造として、中性子回折により得られたパターンをリートベルト解析することによりその構造を決定した。高圧相は、これまで知られている常圧相と似た骨格を持つが、Mg(H
O)
八面体周りの水素結合ネットワークがわずかに変化することにより、対称性の低下を起こしている。これらの特徴は、MgCl
水和物の高圧相の歪を反映したものである。
町田 晃彦*; 齋藤 寛之*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 佐藤 豊人*; 折茂 慎一*; 青木 勝敏*
Scientific Reports (Internet), 9(1), p.12290_1 - 12290_9, 2019/08
被引用回数:31 パーセンタイル:83.03(Multidisciplinary Sciences)hcp金属Feは、地球の内核に相当する温度圧力条件を含む広い範囲の温度(T)および圧力(P)条件で安定に存在するが、hcp鉄水素化物FeHxは、従来のFe-H系の相図には存在しない。温度298-1073K、水素圧4-7GPaにおけるその場X線および中性子回折実験を行った結果、x0.6の範囲でhcp鉄水素化物が生成されることを明らかにした。水素原子は、ホスト金属格子の八面体サイトを部分的にランダムにも占めていた。またHの侵入による体積膨張は、1水素当り2.48(5)
であり、面心立方(fcc)鉄水素化物のものより大きかった。hcp水素化物は、fcc水素化物と異なり、その水素組成xは温度とともに増大した。本研究は、広範囲のx-T-P領域にわたるFe-H系のさらなる調査のための手引きを提供する。