電子線照射下での鉄における自己格子間原子型ループ挙動に及ぼす不純物効果

Impurity effects on the behavior of self-interstitial atom loops in electron-irradiated -iron

阿部 陽介  ; 佐藤 裕樹*; 鈴土 知明   ; 都留 智仁   ; 橋本 直幸*; 大貫 惣明*

Abe, Yosuke; Sato, Yuki*; Suzudo, Tomoaki; Tsuru, Tomohito; Hashimoto, Naoyuki*; Onuki, Somei*

超高圧電子顕微鏡を用いた最近の研究により、鉄中での自己格子間原子型(SIA)ループの1次元(1D)運動挙動と材料中の不純物濃度の間に相関関係があることが明らかにされている。このため、原子炉構造材料の照射下微細組織変化予測の高精度化のためには、SIAループの1D運動挙動に対する各種不純物原子の影響の定量的評価が重要である。本研究では、不純物濃度を変化させた鉄試料を作製し、北海道大学所有の超高圧電子顕微鏡を用いて、SIAループの1D運動挙動と数密度を測定した。その結果、照射温度の増加とともにSIAループの1Dジャンプ距離が増加するのに対して数密度は減少することが分かった。このことは、温度増加に伴いSIAループのトラップサイトが減少することを示唆している。また、各温度域においてSIAループのトラップサイトを仮定した数値モデル解析によって、不純物濃度の増加とともにループ数密度が増加するとともに、室温では不純物濃度が低い場合にループ数密度の照射速度依存性が弱くなることが分かった。これらの結果は、実験結果とよく対応することが示された。

One-dimensional (1D) migration behavior of self-interstitial atom (SIA) loops was studied for specimens of -iron with different purities under electron irradiation using the HVEM at Hokkaido University. As increasing temperature, saturated loop number densities decreased and 1D jump distances became longer, indicating that the total concentration of trapping sites for SIA loops decreases at higher temperatures. According to the developed rate theory model, it was shown that the dependence of the irradiation intensity on the loop number density tends to be weaker with lowering the impurity concentration at room temperature.