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Lobzenko, I.; Wei, D.*; 板倉 充洋; 椎原 良典*; 都留 智仁
Results in Materials (Internet), 17, p.100364_1 - 100364_7, 2023/03
ハイエントロピー合金(HEA)は、その優れた機械的・熱力学的特性から注目されている。最近の研究では、Coフリーの面心立方HEAは、原子力材料として重要な強度・延性を向上させる可能性があることが明らかになった。本研究では、第一原理計算を用いて、CoフリーHEAの機械的特性向上の基本的なメカニズムについて検討を行った。その結果、CoフリーHEAの局所格子歪みは、よく知られたCantor合金のそれよりも顕著であることを見いだした。また、CoフリーHEAの短距離秩序形成により、積層欠陥エネルギーが大きく変動していることがわかった。このように、CoフリーHEAでは著しい局所格子歪みと、低積層欠陥領域と高積層欠陥領域からなる不均一な固溶体状態が、強度・延性の向上に寄与していることがわかった。
Chong, Y.*; Gholizadeh, R.*; 都留 智仁; Zhang, R.*; 井上 耕治*; Gao, W.*; Godfrey, A.*; 光原 昌寿*; Morris, J. W. Jr.*; Minor, A. M.*; et al.
Nature Communications (Internet), 14, p.404_1 - 404_11, 2023/02
チタンは格子間酸素によって脆化する。特に極低温では顕著な脆化挙動を示すため、チタンやその合金の製造において酸素含有量を厳しく管理する必要がある。この問題を解決するために、我々は結晶粒の微細化という構造戦略を提案した。77Kで非常に脆い粗粒の組織と比較して、Ti-0.3wt.%Oの超微細粒(UFG)組織(粒径2.0
m)は、UFG組織特有の超高降伏強度を維持したまま均一延びを1桁上昇させることに成功した。UFG Ti-0.3wt.%Oにおけるこの特異な強度-延性相乗効果は、粒界凝集エネルギー向上に寄与する希薄な酸素の粒界偏析と優れたひずみ硬化能に寄与する
転位の活性化の複合効果によって達成された。この方法は、低温での高強度Ti-O合金の応用の可能性を高めるだけでなく、格子間固溶硬化による延性の低下を生じる他の合金系にも適用できる可能性がある。
Wei, D.*; Gong, W.; 都留 智仁; Lobzenko, I.; Li, X.*; Harjo, S.; 川崎 卓郎; Do, H.-S.*; Bae, J. W.*; Wagner, C.*; et al.
International Journal of Plasticity, 159, p.103443_1 - 103443_18, 2022/12
被引用回数:3 パーセンタイル:80.2(Engineering, Mechanical)Face-centered cubic single-phase high-entropy alloys (HEAs) containing multi-principal transition metals have attracted significant attention, exhibiting an unprecedented combination of strength and ductility owing to their low stacking fault energy (SFE) and large misfit parameter that creates severe local lattice distortion. Increasing both strength and ductility further is challenging. In the present study, we demonstrate via meticulous experiments that the CoCrFeNi HEA with the addition of the substitutional metalloid Si can retain a single-phase FCC structure while its yield strength (up to 65%), ultimate strength (up to 34%), and ductility (up to 15%) are simultaneously increased, owing to a synthetical effect of the enhanced solid solution strengthening and a reduced SFE. The dislocation behaviors and plastic deformation mechanisms were tuned by the addition of Si, which improves the strain hardening and tensile ductility. The present study provides new strategies for enhancing HEA performance by targeted metalloid additions.
Chong, Y.*; 都留 智仁; Guo, B.*; Gholizadeh, R.*; 井上 耕治*; 辻 伸泰*
Acta Materialia, 240, p.118356_1 - 118356_15, 2022/11
被引用回数:1 パーセンタイル:57.45(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、室温でのチタンの引張特性と変形挙動に及ぼす窒素含有量と結晶粒径の影響を体系的に調査した。巨大ひずみ加工と焼鈍により、超高降伏強度(1.04GPa)と大きな均一伸び(10%)の前例のない相乗効果を組み合わせた、完全再結晶微細構造を備えた超微細粒(UFG)Ti-0.3wt.%N合金が得られた。Ti-0.3wt.%N合金の硬化およびひずみ硬化メカニズムは、変形下部構造の観察と第一原理計算によって包括的に研究された。UFG Ti-0.3wt.%Nの優れた強度/延性バランスへの窒素の寄与は2倍であることが明らかになった。粒子内の窒素原子は、八面体から六面体のサイトへの窒素のシャッフルにより、角柱面上の転位の運動を強く妨げ、純Tiの6倍の摩擦応力の増加を引き起こした。さらに、Ti-0.3wt.%N合金の柱面と錐面の間の積層欠陥エネルギー差が大幅に減少することで、
転位の活性化が容易になり、ひずみ硬化率の向上に寄与した。我々の実験的および理論的計算研究は、延性を大幅に犠牲にすることなく手頃な価格の高強度チタンの設計に関する知見を与える。
Wei, D.*; Gong, W.; 都留 智仁; 川崎 卓郎; Harjo, S.; Cai, B.*; Liaw, P. K.*; 加藤 秀実*
International Journal of Plasticity, 158, p.103417_1 - 103417_17, 2022/11
被引用回数:5 パーセンタイル:80.2(Engineering, Mechanical)In this study, we investigated the yielding and hardening behaviors of the Cantor alloy and FCC-phase Co-rich HEAs with different SFEs by in situ neutron diffraction combined with the first-principles method and electron-microscopy characterizations. The Co-rich HEAs exhibited a higher intrinsic yield strength than the Cantor alloy, mainly because of the larger shear modulus or modulus misfit, and grain refinement being more effective in improving the yield strength of low-SFE HEAs. Furthermore, higher flow stresses and better ductility of the Co-rich HEAs are attributed to the greater dislocation density and a larger number of stacking faults, which enhanced the strain-hardening rate during tensile deformation. The low SFE promoted mechanical twinning, and martensitic transformation contributed to higher strain-hardening rates.
鈴土 知明; 海老原 健一; 都留 智仁; 森 英喜*
Scientific Reports (Internet), 12, p.19701_1 - 19701_10, 2022/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Multidisciplinary Sciences)体心立方(bcc)遷移金属である-FeやWは、{110}面の表面エネルギーが最も低いにもかかわらず、{100}面に沿ってへき開割れが起きる。この奇妙な現象のメカニズムを解明するため、人工ニューラルネットワークの手法で作成した原子間ポテンシャルを用いて
-Feの曲線のへき開き裂先端の大規模原子シミュレーションと直線のき裂先端の応力拡大係数解析を実施した。その結果、以下の新しい知見が得られた。{110}に沿ったへき開面のき裂先端から転位放出が観測され、そのことは{100}面が実際に起こるへき開面であることを示唆した。しかしながら、単純な直線状のき裂先端解析では、同じ結論は得られなかった。よって、機械的な強度を正しく予測するためには、高精度なポテンシャルを用いて、材料固有の複雑さを十分に捉えた原子論的なモデリングが必要であることが示唆された。本研究で採用した方法は、bcc遷移金属・合金のへき開問題に一般的に適用可能である。
都留 智仁
材料, 71(8), p.660 - 665, 2022/08
材料の力学機能の本質を理解する上で、ナノスケールにおける個々の欠陥の動的挙動は重要な役割を果たす。本研究では、合金がもつ力学機能の起源を、電子構造に起因した転位芯の特性から捉えることを目的としている。古典的な力学問題や従来の弾性論に基づく強化理論を越えて、元素によって異なる電子の結合状態を考慮した力学特性の評価を実現するため、電子状態計算による欠陥構造解析とそれを用いた力学特性評価のためのモデリングに注力した。本稿では、力学特性に及ぼす合金元素の影響に関して、特に特異な温度依存性を示す体心立方格子構造(BCC)を有する合金について、キンク機構の本質に基づいて転位運動を記述するモデリングを提案する。また、転位運動に及ぼす合金元素の役割を電子構造から理解し、力学特性を予測する取り組みについて紹介する。
栗原 健輔*; Lobzenko, I.; 都留 智仁; 芹澤 愛*
軽金属, 72(7), p.427 - 429, 2022/07
Al-Mg-Si合金で形成されたナノクラスターは、形成温度に応じて合金の時効挙動に影響を与える。Al, MgおよびSiは原子番号が隣接しているためX線回折法を用いた分析が困難であることから、近年では、Siを同族元素のGeに置換したAl-Mg-Ge合金を用いた析出物の構造解析が試みられている。本研究では、密度汎関数理論に基づいた第一原理計算を用いてAl-Mg-Si合金およびAl-Mg-Ge合金における溶質原子および空孔間の相互作用を定量的に評価し、溶質原子および空孔間における結合の安定性の観点から両合金における析出挙動について比較検討した。
山口 正剛; 都留 智仁; 板倉 充洋; 阿部 英司*
Scientific Reports (Internet), 12(1), p.10886_1 - 10886_7, 2022/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Multidisciplinary Sciences)液体金属脆化は特定の固体金属-液体金属のペアにおいて顕著に発生することが知られているが、そのメカニズムは理解されていない。ここで我々は、第一原理計算とサーベイランス試験との比較から、粒界吸着エネルギーや格子溶解エネルギーがゼロ付近になるペアにおいて脆化が発生するという相関関係を発見した。一方で、亀裂先端における原子間結合切断に寄与する表面吸着エネルギーはすべてのペアにおいて大きいが、元素選択性とは相関しないことが分かった。これらの結果から、亀裂先端において結合切断に先立って原子の侵入が生じることが、液体金属脆化の元素選択性を決定している要因であることが示唆される。
都留 智仁; Lobzenko, I.; Wei, D.*
Modelling and Simulation in Materials Science and Engineering, 30(2), p.024003_1 - 024003_11, 2022/03
被引用回数:1 パーセンタイル:59.23(Materials Science, Multidisciplinary)ハイエントロピー合金(HEA)は、その優れた力学特性で注目を集めてきた。我々の最近の実験研究で、Siを添加した面心立方構造(FCC)を持つHEAが、強度と延性の両方を改善する大きな可能性を秘めていることを示唆した。本研究では、第一原理計算に基づくモンテカルロシミュレーションと構造因子分析を用いて、マクロな力学特性に対するSi添加の影響を調査した。その結果、Siの添加により、局所的な格子歪みと積層欠陥エネルギー(SFE)が増加することが分かった。さらに、Si添加のHEAでは、SRO形成によりSFエネルギーが大きく変動することを示した。これは、低SFEおよび高SFE領域がマトリックスに不均質に分布している固溶体状態が形成されることを示唆している。Si添加のFCC-HEAのこの特有の機能により、Si添加合金では超微細な双晶が形成され、強度と延性の両方を向上させる主要な要因となることを明らかにした。
Wei, D.*; Wang, L.*; Zhang, Y.*; Gong, W.; 都留 智仁; Lobzenko, I.; Jiang, J.*; Harjo, S.; 川崎 卓郎; Bae, J. W.*; et al.
Acta Materialia, 225, p.117571_1 - 117571_16, 2022/02
被引用回数:22 パーセンタイル:99.69(Materials Science, Multidisciplinary)Recently-developed high-entropy alloys (HEAs) containing multiple principal metallic elements have ex-tended the compositional space of solid solutions and the range of their mechanical properties. Here we show that the realm of possibilities can be further expanded through substituting the constituent metals with metalloids, which are desirable for tailoring strength/ductility because they have chemical interactions and atomic sizes distinctly different from the host metallic elements. Specifically, the metalloid substitution increases local lattice distortion and short-range chemical inhomogeneities to elevate strength, and in the meantime reduces the stacking fault energy to discourage dynamic recovery and encourage defect accumulation via partial-dislocation-mediated activities. These impart potent dislocation storage to improve the strain hardening capability, which is essential for sustaining large tensile elongation. As such, metalloid substitution into HEAs evades the normally expected strength-ductility trade-off, enabling an unusual synergy of high tensile strength and extraordinary ductility for these single-phase solid solutions.
都留 智仁; 板倉 充洋; 山口 正剛; 渡邊 千尋*; 三浦 博己*
Computational Materials Science, 203, p.111081_1 - 111081_9, 2022/02
被引用回数:5 パーセンタイル:60.08(Materials Science, Multidisciplinary)六方晶構造を有する材料は、結晶構造の異方性によって塑性変形の異方性が存在し、合金化によってその特性が大きく変化をすることが知られている。純チタンでは一般に柱面転位を主すべり系として塑性変形するが、広く用いられるAlやVを添加したTi64合金の疲労破壊は相の底面で生じる。純Tiと異なり底面すべりが生じていることが実験観察によって確認されているが、その要因は知られていない。近年、第一原理計算に基づく原子モデルを用いた転位の解析が行われるようになり、詳細なメカニズムの解明が進んでいる。本研究では、HCP構造を持つチタンを対象に、合金元素の転位運動への影響を詳細に検討した。その結果、転位のすべりのPeierlsポテンシャルは柱面と底面で大きな違いがないが、AlやVの添加によって転位芯構造の安定性が変化し、すべり変形のモードが変化することを明らかにした。
栗原 健輔*; Lobzenko, I.; 都留 智仁; 芹澤 愛*
軽金属, 72(2), p.47 - 53, 2022/02
Al-Mg-Si合金で形成されたナノクラスターは、形成温度に応じて合金の時効挙動に影響を与える。本研究では、第一原理計算を用いて、Mg, Si原子、およびAlマトリックス中の空孔間の2体および3体相互作用を評価し、ナノクラスターの形成に対する局所結合構造の影響を評価した。まず、モンテカルロシミュレーションを行い、Al-Mg-Si合金で形成されたナノクラスターの安定した構造を評価した。Alマトリックス中ではMg-Si結合とSi-Vac結合が安定していることが確認された。その結果、Al中の溶質原子は異種元素が凝集しやすく、Si原子は空孔と強い引力相互作用を持っていることがわかった。また、Al中のMg-Si空孔三体結合は、Mg-Si二体結合およびSi空孔二体結合よりも安定であることがわかった。したがって、MgとSi原子からなる安定した局所結合により、空孔はクラスター領域内に強くトラップされると考えられる。これは、Alマトリックス内のナノクラスターが溶質原子と空孔の間の安定した結合によって熱的に安定化されることを示している。これらの結果は、ナノクラスターの内部結合が、熱安定性だけでなく、低温での時効中のナノクラスターの形成と成長挙動にも重要な役割を果たすことを示唆している。
椎原 良典*; 金澤 良亮*; 松中 大介*; Lobzenko, I.; 都留 智仁; 香山 正憲*; 森 英喜*
Scripta Materialia, 207, p.114268_1 - 114268_4, 2022/01
被引用回数:2 パーセンタイル:33.62(Nanoscience & Nanotechnology)本研究では、最新の人工ニューラルネットワーク(ANN)ポテンシャルに基づく分子力学を使用した鉄中の46種類の対称傾角粒界の粒界(GB)エネルギーを評価した。粒界エネルギー計算の精度の検証のため、密度汎関数理論(DFT)に基づく第一原理計算、および古典的な経験ポテンシャルである、埋め込み原子法(EAM)、および修正EAM(MEAM)との比較を行った。その結果、EAMとMEAMはDFTの結果(平均約27%)とは大きく異なっていた一方、ANNポテンシャルによる結果はDFTの結果(平均5%)と非常によく一致していることを確認した。GBの一軸引張計算では、EAMとMEAMにおける延性挙動のアーティファクトが改善され、ANNポテンシャルではDFTで観察されたGBの脆性破壊傾向を再現した。これらの結果は、需要の高い鉄におけるANNポテンシャルの有効性を示している。
Gilbert, M. R.*; 荒河 一渡*; 鈴土 知明; 都留 智仁; 他26名*
Journal of Nuclear Materials, 554, p.153113_1 - 153113_31, 2021/10
被引用回数:17 パーセンタイル:91.53(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉環境における材料性能の予測において、計算科学モデリングが重要な役割を果たしており、第一世代の核融合発電所が稼働し長期的な挙動の観察が可能になるまで継続することが予定されている。2019年に、主要な専門家のグループがIEAの傘下の会合に参加し、核融合材料のモデル化における現在の位置と進行中の課題、および高度な実験特性評価がモデルの改善にどのように役立つかについて議論した。本論文は、そのワークショップ中に行われた議論から得られたレビューとして報告するものである。照射誘発欠陥の生成と基本特性のモデリング、ガスの挙動、クラスタリング、欠陥成長と相互作用、新しいマルチスケールシミュレーション、および高度な実験によるモデリングと実験の連携に関する取り組みについて議論した。
鈴土 知明; 都留 智仁
AIP Advances (Internet), 11(6), p.065012_1 - 065012_7, 2021/06
被引用回数:2 パーセンタイル:34.91(Nanoscience & Nanotechnology)本研究では、第一原理計算手法を利用して、モリブデン(Mo)とタングステン(W)の自己格子間原子(SIA)を他のBCC遷移金属と比較して解析した。特に、{110}平面上で111
から
110
に向かって方向が傾いているダンベルに注目した。このような傾きは、グループ5のBCC金属(つまり、バナジウム,ニオブ,タンタル)でも
鉄では不安定になる。我々の第一原理シミュレーションでは、傾斜したダンベルがMoで
111
ダンベルよりもエネルギー的に安定であったが、Wの場合は
111
ダンベルがより安定になった。ただし、せん断や膨張などのひずみがある場合には、Wでも傾斜ダンベルがより安定になる可能性が示された。傾斜ダンベルは一般に
111
ダンベルよりも大きな移動障壁を持っているため、格子ひずみがこれらの金属のSIAの移動障壁に大きく影響を与える可能性があることを示唆された。
山口 正剛; 板倉 充洋; 都留 智仁; 海老原 健一
Materials Transactions, 62(5), p.582 - 589, 2021/05
被引用回数:7 パーセンタイル:76.41(Materials Science, Multidisciplinary)アルミニウム結晶中のらせん転位および刃状転位の水素トラップエネルギーを第一原理から計算した。詳細な計算条件を記述した。トラップ可能なあらゆるサイトを調べ尽くすことは計算時間の制約上困難であるが、計算した範囲内においてはらせん転位は最大で0.11eV/atom、刃状転位では最大で0.18eV/atomというトラップエネルギーが得られた。実験値との際について議論した。
都留 智仁
まてりあ, 60(1), p.25 - 29, 2021/01
近年、組織制御による超微細粒金属やナノツイン、合金設計によるゴムメタルやハイエントロピー合金などが開発され、優れた機能が確認されている。これらの材料では、個々の欠陥の動的挙動が材料のマクロな特性を決定する支配的な因子となるが、構造材料の欠陥挙動に限らず、高度に制御された材料ではナノスケール動的挙動が強度・破壊・摩耗などの力学機能を決定する上で重要な役割を果たす。したがって、特異な材料特性を発現する機構や新たな力学機能を創出する上で、ナノスケールの力学問題を理解することがますます重要になる。本稿では、面心立方格子(FCC)を持つ超微細粒金属の変形機構と、体心立方構造(BCC)を持つ金属の転位運動に関して、大規模原子シミュレーションや第一原理計算によって得られたこれまでの結果の一部を例にあげ、ナノスケールの転位挙動がマクロな力学特性にもたらす影響やその重要性について紹介する。
鈴土 知明; 海老原 健一; 都留 智仁
AIP Advances (Internet), 10(11), p.115209_1 - 115209_8, 2020/11
被引用回数:5 パーセンタイル:45.02(Nanoscience & Nanotechnology)BCC金属の脆性破壊のメカニズムはまだ明確には理解されているとは言えない。本研究では、鉄のへき開破壊の解析のため一連の3次元分子動力学シミュレーションを行った。特に、湾曲したき裂フロントから始まるモードI変形に焦点を当てた。シミュレーション結果、{100}面でへき開による脆性破壊が観察されたが、他の面では転位の放出によりき裂が鈍化した。この結果は{100}がbcc遷移金属で優先的に観測されるへ開面あるという一般的な実験的観察を再現した。
戸田 裕之*; 都留 智仁; 山口 正剛; 松田 健二*; 清水 一行*; 平山 恭介*
化学, 75(10), p.48 - 53, 2020/10
アルミニウム合金の水素脆化に関して、原子分解能をもつ電子顕微鏡観察による原子配列の情報を得ることで、材料中の原子レベルの欠陥と水素の相互作用を解析できる精密な原子モデルを構築した。これを用い、電子状態計算に基づくシミュレーションによって欠陥構造における水素の振る舞いや、水素がもたらす破壊プロセスを明らかにすることを目指した。一方、大型シンクロトロン放射光施設を用いたアルミニウムの破壊挙動の3D連続観察、およびその画像解析技術を駆使し、水素によって誘発される破壊挙動の特徴を捉えるとともに、水素脆化制御に至る学術アプローチを構築する試みも併せて行った。