バーミキュライトからのCs除去における真空溶融塩処理法の利点

An Advantage of vacuum sublimation method with molten salts on Cs removal from vermiculite

下山 巖   ; 平尾 法恵; 馬場 祐治  ; 岡本 芳浩  ; 矢板 毅; 鈴木 伸一; 和泉 寿範

Shimoyama, Iwao; Hirao, Norie; Baba, Yuji; Okamoto, Yoshihiro; Yaita, Tsuyoshi; Suzuki, Shinichi; Izumi, Toshinori

福島における現在の主な放射性汚染物質であるCsはそのほとんどが土壌中の粘土鉱物に取り込まれている。粘土鉱物からのCs乾式除去を目的として、本研究では非放射性Csを飽和収着させた福島産バーミキュライトに対して真空及び低圧加熱処理を行った。Csの脱離挙動に関しては昇温脱離法(TDS)により調べた。また、大気中と低圧中の比較を熱重量分析(TGA)により行った。TGAとTDSの結果から大気中の加熱では脱離しないCsが低圧加熱により脱離することを見いだした。また、NaCl/CaCl混合塩を添加した場合、Cs脱離温度が200Cほど低温側にシフトすることを見いだした。粘土鉱物中に残留したCsについてはX線光電子分光法(XPS)により定量分析を行い、塩添加せず真空中で800C加熱した試料では、約4割のCs除去が確認された。また、塩添加した試料では320Cで約6割、450C加熱で約7割のCs除去が可能であることがわかった。以上の結果は真空(低圧)昇華法と塩添加の組み合わせが従来の乾式法よりも低温でのCs除染の可能性を持つことを示唆している。

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