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計算化学が紐解く放射性Csを長期間保持する地衣類の謎; 地衣類代謝物のアルカリイオン錯体形成力と地衣類のアルカリイオン捕集機構

Using computational chemistry to pursue the mystery of lichen retaining radioactive cesium; Radioactive cesium complex-forming ability of lichen metabolites revealed by quantum chemistry calculation

数納 広哉  ; 町田 昌彦  ; 土肥 輝美   ; 大村 嘉人*

Suno, Hiroya; Machida, Masahiko; Dohi, Terumi; Omura, Yoshihito*

福島第一原子力発電所事故により、福島県を中心に放射性セシウムが地上に降下した。福島県の凡そ7割は森林であることから、森林生態系での放射性セシウムの環境動態が重要な研究対象となる中、われわれをはじめとする一部の研究者は、森林内で見られる地衣類の特異な能力(放射性セシウムを長期間保持することに注目してきた。地衣類とは、藻類と共生する菌類の総称で、森林では樹木の幹や岩石等の表面の他、市街地でも家屋の壁やコンクリートの表面等、比較的安定した場所で、ゆっくりと生育するユニークな生物である。なお、地衣類は、福島事故以前から放射性セシウムを長期に渡り保持する性質が知られ、その保持機構の解明が環境放射能研究の重要な一つの課題となっていた。また、地衣類は工場等から排出される重金属も保持することが知られ、大気汚染のバイオモニターとしての機能を有するとして、その機構解明は、環境科学の重要な課題の一つとして盛んに研究が行われてきた。こうした背景の下、われわれは、地衣類が示すユニークな特徴である体内の菌類が生成するバラエティー豊かな代謝物が、セシウム保持に関与すると考え、計算化学手法を用いて、代謝物とセシウムの錯体形成力を計算する研究に着手した。まず、福島で実際に放射性セシウムを保持していると確認された地衣類(ウメノキゴケとキウメノキゴケ)が産生する主要な代謝物を定め、それらとセシウム及び同族のアルカリ金属イオンとの錯体形成力を計算化学手法により計算する。以上、本記事では、5種の代表的代謝物であるシュウ酸,アトラノリン,ウスニン酸,レカノール酸,プロトセトラール酸を対象に、これらの代謝物のアルカリ金属イオンとの錯体形成力の計算方法及び計算結果を示し、その結果から推定される地衣類のアルカリ金属イオン(セシウム含む)の保持機構について議論する。

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