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寺澤 知潮; 松永 和也*; 林 直輝*; 伊藤 孝寛*; 田中 慎一郎*; 保田 諭; 朝岡 秀人
Vacuum and Surface Science, 66(9), p.525 - 530, 2023/09
Au(001)表面は擬一次元周期性を持つHex-Au(001)に再構成することから、この表面にグラフェンを成長させると、その周期性がグラフェンの電子構造を変化させると予測された。特に、グラフェンとAuの軌道混成により、グラフェンにバンドギャップやスピン偏極が導入されると考えられていた。本研究では、Hex-Au(001)表面上のグラフェンの角度分解光電子分光と密度汎関数理論計算の結果を報告する。グラフェンのDiracコーンとAu 6sp軌道の交点に0.2eVのバンドギャップが観測され、バンドギャップ形成の起源がグラフェンのDiracコーンとAu 6sp軌道の混成であることが示された。この軌道混成の機構について考察し、グラフェンのDiracコーンへのスピン注入を予想した。
太田 雅和; 高原 省五; 吉村 和也; 長久保 梓; 廣内 淳; 林 奈穂; 阿部 智久; 舟木 泰智; 永井 晴康
Journal of Environmental Radioactivity, 264, p.107198_1 - 107198_15, 2023/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所(FDNPP)事故時に環境中に放出され、陸面に沈着した放射性核種について、大気中に再浮遊したCsの吸引は現在における主要な被ばく経路の一つである。再浮遊では、風による土壌粒子の巻き上げが主なメカニズムとされてきた。一方、FDNPP事故後の研究から、帰宅困難区域(DRZ)などの農村部においては、真菌類による胞子放出が大気中Cs濃度に影響を及ぼす可能性が示唆されてきた。本研究は、土壌粒子および真菌類胞子としてのCs再浮遊を計算するモデルを開発し、これをDRZ内に適用することで、これら再浮遊過程の大気中濃度への影響評価を試みた。モデル計算の結果から、土壌粒子の再浮遊は冬から春に観測された大気中Csの主要因となったものの、夏から秋に観測された高濃度を再現できないことが示された。真菌類からの胞子状Csの放出を考慮することで、この夏から秋の高濃度事象は概ねモデルで再現された。解析結果から、真菌類胞子へのCsの蓄積と、農村部に特徴づけられる高い胞子放出率が夏から秋の大気中Csに寄与している可能性が見出された。DRZ内には依然として未除染の森林が存在しているため、この真菌類胞子の大気中Csへの寄与は今後将来も継続する可能性がある。
寺澤 知潮; 松永 和也*; 林 直輝*; 伊藤 孝寛*; 田中 慎一郎*; 保田 諭; 朝岡 秀人
Physical Review Materials (Internet), 7(1), p.014002_1 - 014002_10, 2023/01
被引用回数:4 パーセンタイル:82.04(Materials Science, Multidisciplinary)金(001)表面は、六角形の表面と正方形のバルク格子からなる複雑な再構成構造[Hex-Au(001)]を示し、擬一次元的な波状表面を形成している。この表面上にグラフェンを成長させると、波状表面の周期性がグラフェンの電子構造を変化させ、バンドギャップや新しいディラックポイントを形成することが予測された。さらに、グラフェン-金界面はバンド混成によるバンドギャップ生成やスピン注入の可能性が期待される。ここでは、Hex-Au(001)表面上のグラフェンについて、角度分解光電子分光と密度汎関数計算を行った結果を報告する。元のグラフェンとレプリカのグラフェンのバンドの交点はバンドギャップを示さず、一次元ポテンシャルが小さすぎて電子構造を変更できないことが示唆された。グラフェンバンドとAu バンドの交点では0.2eVのバンドギャップが観測され、グラフェンバンドとAu バンドの混成を利用してバンドギャップが生成していることが示された。また、グラフェンとAu の混成により、グラフェンへのスピン注入が起こることが予想される。
山野 秀将; 栗坂 健一; 高野 和也; 菊地 晋; 近藤 俊樹; 梅田 良太; 白倉 翔太*; 林 正明*
Proceedings of 8th International Conference on New Energy and Future Energy Systems (NEFES 2023) (Internet), p.27 - 34, 2023/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.04(Green & Sustainable Science & Technology)溶融塩蓄熱式高速炉の安全設計方針及びリスク評価技術、ナトリウム-溶融塩の熱交換性能評価技術と伝熱向上方策、及びナトリウム-溶融塩の化学反応特性評価と安全性向上方策を開発する研究プロジェクトを進めている。ここでは、プロジェクト全体概要について報告する。
佐久間 一幸; 林 誠二*; 吉村 和也; 操上 広志; Malins, A.; 舟木 泰智; 辻 英樹*; 小林 嵩丸*; 北村 哲浩; 飯島 和毅
Water Resources Research, 58(8), p.e2021WR031181_1 - e2021WR031181_16, 2022/08
被引用回数:2 パーセンタイル:34.88(Environmental Sciences)We developed a watershed-geochemical model for simulating dissolved and particulate Cs discharges from a forest catchment in the upstream of the Ohta River. We connected a forest ecosystem compartment model to the 3-D watershed model GETFLOWS (GEneral-purpose Terrestrial Fluid-flow Simulator) to describe the dynamics of Cs between the forest ecosystem and the river system. The compartment model included sites for non-leachable and leachable Cs in the organic layer. The latter sites could model how stocks of leachable Cs increase with ambient temperature and consequently the rate of decomposition of organic matter. The simulation results for dissolved Cs concentrations in river water for the period 1 January 2014 to 31 December 2015 were in good agreement with measurements from the catchment. The simulations reproduced the dissolved Cs concentration peaks that occurred during three typhoon events and the seasonal variations under base flow conditions. The results support theories which suggest leaching from the organic layer in forests is a primary factor affecting dissolved Cs concentrations in river water under base and storm flow conditions.
舟木 泰智; 辻 英樹*; 中西 貴宏; 吉村 和也; 佐久間 一幸; 林 誠二*
Science of the Total Environment, 812, p.152534_1 - 152534_10, 2022/03
被引用回数:13 パーセンタイル:67.48(Environmental Sciences)貯水池の底質は原子力発電所事故由来の放射性物質を蓄積する傾向にあるが、嫌気的な環境下では底質から生物利用可能な形態で再移動し、それによって水生生態系の長期的な汚染が引き起こされる可能性がある。本論文では福島第一原子力発電所事故によって高濃度に汚染された底質が蓄積する2つの貯水池で、底質からのCs溶出の直接的な証拠となる底質間隙水の採取・分析を行った。その結果、底質と間隙水との間でのCsの再分配はCsとアンモニウムイオンとの交換が主たる要因であることを明らかにした。
橋本 昌司*; 田中 拓*; 小松 雅史*; Gonze, M.-A.*; 坂下 渉*; 操上 広志; 仁科 一哉*; 太田 雅和; 大橋 伸太*; Calmon, P.*; et al.
Journal of Environmental Radioactivity, 238-239, p.106721_1 - 106721_10, 2021/11
被引用回数:11 パーセンタイル:61.41(Environmental Sciences)本研究は、福島の主に常緑針葉樹林内における放射性セシウムの移行について、複数の研究チームによるモデルを用いた解析を行い、比較を行うことで、モデルのパフォーマンスを分析したものである。また、落葉層の除去と樹木更新の2つの管理シナリオ、および落葉広葉樹林を対象とした補助シナリオについても比較、分析した。いずれのモデルも実測の放射性セシウム濃度の変化傾向などを再現できたが、事故から50年後の予測についてはばらつきが大きく、継続した調査、解析による評価が必要である。
尾崎 宏和*; 吉村 和也; 朝岡 良浩*; 林 誠二*
Environmental Monitoring and Assessment, 193(6), p.369_1 - 369_9, 2021/06
被引用回数:6 パーセンタイル:38.85(Environmental Sciences)We investigated influence of road effluent on Antimony (Sb) in combined sewer water under rainy and dry weather conditions. Sb in road effluent showed significantly higher concentration than sewer, and Sb concentration in sewer during the wet weather was also significantly higher than that during the dry weather. Furthermore, Sb concentration in the sewer water decreased with time during a wash-off event. Clear positive relationships between Sb and Cu, and Sb and Ba in both in road effluent and road dust extract indicated an impact from brake abrasion because brake lining contains Cu, Sb and Ba in high concentration. Approximately 42% of Sb load occurred during the wash-off event while those of Cu and Ba were much less. Unlike Cu and Ba, we conclude that Sb in combined sewer water is largely dependent on road effluent during wet weather, resulted by wash-off of road dust probably associating with brake lining abrasion.
辻 英樹*; 中川 惠*; 飯島 和毅; 舟木 泰智; 吉村 和也; 佐久間 一幸; 林 誠二*
Global Environmental Research (Internet), 24(2), p.115 - 127, 2021/06
2014年から2017年にかけて福島第一原子力発電所事故の影響を受けたダム湖において湖水およびプランクトンを採取し、その放射性セシウム濃度の変化について調査した。その結果、湖水中の溶存態Cs濃度は夏に高く、冬に低い季節変動を示すことが明らかとなった。一方でプランクトン中の放射性セシウム濃度については季節的な影響はほとんど認められなかった。湖水からプランクトンが取り込むCs量は1.4%未満であり、湖全体における放射セシウムの動態を考える上でその影響は非常に小さいと考えられる。
齋藤 亘*; 林 慶*; Huang, Z.*; 杉本 和哉*; 大山 研司*; 八方 直久*; 原田 正英; 及川 健一; 稲村 泰弘; 林 好一*; et al.
ACS Applied Energy Materials (Internet), 4(5), p.5123 - 5131, 2021/05
被引用回数:12 パーセンタイル:65.55(Chemistry, Physical)The development of thermoelectric (TE) materials, which can directly convert waste heat into electricity, is vital to reduce the use of fossil fuels. MgSn and MgSi are promising TE materials because of their superior TE performance. In this study, for future improvement of the TE performance, point defect engineering was applied to the MgSn and MgSi single crystals (SCs) via boron (B) doping. Their crystal structures were analyzed via white neutron holography and SC X-ray diffraction. Moreover, nanostructures and TE properties of the B-doped MgSn and MgSi SCs were investigated. The B-doping increased the chemical pressure on the MgSn and MgSi SCs, leading to induce vacancy defects as a point defect. No apparent change was observed in electronic transport, but thermal transport was significantly prevented. This study demonstrates that the vacancy defects can be controlled by the chemical pressure, and can aid in achieving a high TE performance for the MgSn and MgSi SCs.
林 慶*; 齋藤 亘*; 杉本 和哉*; 大山 研司*; 林 好一*; 八方 直久*; 原田 正英; 及川 健一; 稲村 泰弘; 宮崎 譲*
AIP Advances (Internet), 10(3), p.035115_1 - 035115_7, 2020/03
被引用回数:16 パーセンタイル:71.59(Nanoscience & Nanotechnology)MgSi is a potential thermoelectric (TE) material that can directly convert waste energy into electricity. In expectation of improving its TE performance by increasing electron carrier concentration, the element boron (B) is doped in MgSi single crystals (SCs). Their detailed crystal structures are definitely determined by using white neutron holography and single-crystal X-ray diffraction (SC-XRD) measurements. The white neutron holography measurement proves that the doped B atom successfully substitutes for the Mg site. The SC-XRD measurement confirms the B-doping site and also reveals the presence of the defect of Si vacancy (VSi) in the B-doped MgSi SCs. Regarding TE properties, the electrical conductivity, , and the Seebeck coefficient, S, decreases and increases, respectively, due to the decrease in the electron carrier concentration, contrary to the expectation. The power factor of the B-doped MgSi SCs evaluated from and S does not increase but rather decreases by the B-doping.
佐久間 一幸; 辻 英樹*; 林 誠二*; 舟木 泰智; Malins, A.; 吉村 和也; 操上 広志; 北村 哲浩; 飯島 和毅; 細見 正明*
Journal of Environmental Radioactivity, 184-185, p.53 - 62, 2018/04
被引用回数:2 パーセンタイル:7.01(Environmental Sciences)福島河川水中の溶存態Cs濃度を数値計算するにあたって、分配係数()を用いた吸脱着モデルの適用可能性を評価した。数値計算結果は平水時および出水時の水と浮遊砂の流出フラックス、懸濁態Cs濃度を再現した。一方、河川水中の溶存態Cs濃度の実測値の再現性は低かった。粗い粒径区分のをチューニングした結果、平水時の溶存態Cs平均濃度を再現することが可能であった(実測値:0.32Bq/L, 計算値: 0.36Bq/L)。しかし、平水時の溶存態Cs濃度の季節変動(0.14-0.53Bq/L)や出水時の濃度上昇(0.18-0.88Bq/L, mean: 0.55Bq/L)は現実的な数値計算パラメータでは再現することはできなかった。
副島 吾郎; 岩井 紘基; 中村 保之; 林 宏一; 門脇 春彦; 水井 宏之; 佐野 一哉
Proceedings of 25th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-25) (CD-ROM), 5 Pages, 2017/07
「ふげん」では、解体撤去や汚染の除去作業に係る廃止措置を安全かつ合理的に遂行することとしており、また、廃止措置に必要な技術開発を進めてきている。(1)原子炉本体解体に向けた技術開発:「ふげん」では、原子炉本体の特徴等に鑑み、原子炉本体解体には切断速度が速く二次廃棄物の発生量が少ない特徴を有するレーザ切断工法を適用する計画としている。レーザは原子炉施設解体への適用実績がないため、レーザヘッド,発振器,ロボット等から構成されるレーザ切断システムを構築し、解体物を対象とした切断実証を行った。(2)汚染状況調査に係る技術調:「ふげん」では、従前より施設の残存放射能量を的確に把握するため施設の汚染状況調査を行ってきている。今般、既存の実機材から試料を採取し核種分析により放射能濃度を評価する調査手法に加え、非破壊環境下で簡易的に「ふげん」の主要な二次汚染の主要核種であるCoを指標とした汚染状況を把握する調査手法の開発に着手した。
林 宏一; 副島 吾郎; 水井 宏之; 佐野 一哉
Proceedings of 23rd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-23) (DVD-ROM), 7 Pages, 2015/05
「ふげん」では、施設の汚染レベルに応じた廃棄物の区分を適切に行い、放射性廃棄物の発生量を低減するとともに、解体撤去工事を効率的かつ合理的に進めていく計画としている。このため、「ふげん」では、解体撤去工事に伴い発生する解体撤去物等のうち、放射能濃度が国の定める基準値以下となるものにクリアランス制度を適用し、「放射性物質として扱う必要のないもの」として搬出することを計画している。現在、解体中のタービン設備は、汚染状況の調査の結果、放射能濃度が国の定める基準値以下となることから、クリアランス制度を適用するため、評価対象核種の選定及び放射能濃度評価方法の構築を行った。
秋田 貢一; 林 健吾*; 竹田 和也*; 佐野 雄二*; 鈴木 裕士; 盛合 敦; 大谷 眞一*
Mechanical Engineering Journal (Internet), 1(4), p.SMM0029_1 - SMM0029_8, 2014/08
ピーニング技術による圧縮残留応力の導入は、疲労や応力腐食割れ等の鋼の強度特性の改善に有効である。ただし、圧縮残留応力は稼働時に機器に作用する熱的あるいは機械的な外力が原因で低下する可能性がある。本研究では、レーザーピーニングを施したフェライト鋼の静的引張荷重下における表面及び内部の残留応力挙動を、X線および中性子回折によって検討した。X線回折および中性子回折の相補利用により、応力緩和プロセスを明確に示す実験的確証が得られた。また、引張負荷応力下における臨界負荷応力の値は、内部の最大引張残留応力値とvon Misesの降伏条件によって推定できることを示した。
吉田 一雄; 林 和也*
日本原子力学会和文論文誌, 9(1), p.60 - 70, 2010/03
日本原子力学会の「核燃料施設事故影響評価手法調査専門委員会」では、日本原子力研究開発機構からの委託を受けて、核燃料施設のPSA手法のうち、特に事故時の影響評価のための解析手法に重点をおいて確率論的安全評価(PSA)に適用可能な解析手法の現状を調査した。調査は、核燃料施設でのPSA適用に向けた課題を検討し、これにより、定量的性能目標の策定,リスク情報を活用した安全管理/規制の参考となる情報を得ることを目的としている。核燃料施設で想定される主要な異常事象(臨界,火災,爆発,溶液沸騰)において、施設外に放出される放射性物質の量を評価するための手法を中心に調査した。本報では、再処理施設の溶液沸騰でのエアロゾル発生割合に関する基礎的な実験データとこれに基づく試解析について述べる。
手塚 将志; 水井 宏之; 松嶌 聡; 中村 保之; 林 宏一; 佐野 一哉; 南光 隆; 森下 喜嗣
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycle; Sustainable Options & Industrial Perspectives (Global 2009) (CD-ROM), p.2815 - 2821, 2009/09
「ふげん」は電気出力165MWの重水減速・沸騰軽水冷却・圧力管型原型炉であり、25年間の運転の後、2003年3月に運転を終了し、廃止措置計画が昨年2月に認可されたことを受けて廃止措置段階に移行した。本発表では、廃止措置の期間を使用済燃料搬出期間,原子炉周辺設備解体撤去期間,原子炉本体解体撤去期間,建屋解体期間の4つの期間に区分して進め、2028年度までにすべての作業を完了する計画としている「ふげん」の廃止措置計画について紹介する。また、現在、使用済燃料搬出期間の作業の一部として進めている、タービン建屋での主蒸気系や給水系等の解体撤去作業、及び重水系設備の解体を容易にするために重水系に残留しているトリチウムを通気や真空引きにより行っている乾燥除去作業、並びに放射線遮蔽や粉じん抑制のために水中で行う原子炉本体の解体方法の検討状況を紹介する。
星野 毅; 加藤 剣一*; 名取 ゆり*; 中村 和*; 佐々木 一哉*; 林 君夫; 寺井 隆幸*; 蓼沼 克嘉*
Fusion Engineering and Design, 84(2-6), p.956 - 959, 2009/06
被引用回数:46 パーセンタイル:94(Nuclear Science & Technology)高温・長時間使用の条件においても安定に使用可能な核融合炉固体ブランケット用先進トリチウム増殖材料の開発を目指し、LiTiOよりLi/Ti比の大きいLiTiOを添加したLiTiO合成法の探索を行った。始発粉末としてLiOH・HOとTiOを使用した場合は、合成反応中にLiの蒸発が生じ、合成前後のLi/Tiの比率が少なくなり、合成後の試料にはLiTiO相が確認されなかった。しかしながら、LiOH・HOとHTiOを始発粉末として使用した際は、合成前後のLi/Tiの比率が一致する結果となり、LiTiO相も確認できた。以上、本研究により先進トリチウム増殖材料として期待されるLiTiO添加型LiTiOを安価で大量に合成する方法を確立した。
星野 毅; 佐々木 一哉*; 土谷 邦彦; 林 君夫; 鈴木 晶大*; 橋本 拓也*; 寺井 隆幸*
Journal of Nuclear Materials, 386-388, p.1098 - 1101, 2009/04
水素により還元されにくく、Liの核的燃焼に対する耐久性,トリチウム増殖比が向上した先進トリチウム増殖材の開発を目指し、LiTiOよりLi添加量の大きい(LiO/TiO比が1.0より大きい)チタン酸リチウムの合成法の探索を行った。リチウムエトキシド(LiO-CH)又はリチウムプロポキシド(LiO-i-CH)とテトラチタンプロポキシド(Ti(O-i-CH))をLiO/TiO比が2.0になるようにアルコール溶媒にて混合した後、加水分解を行い、得られたゲルを5%H-He雰囲気中にて、800C・6時間の条件にて焼成を行ったところ、水素により還元されず、Liの核的燃焼に対する耐久性が高いと考えられる試料の合成に成功したことを、熱天秤等を利用した材料特性評価により確認した。
高田 大樹*; 古市 和也*; 西川 正史*; 深田 智*; 片山 一成*; 竹石 敏治*; 小林 和容; 林 巧; 難波 治之*
Fusion Science and Technology, 54(1), p.223 - 226, 2008/07
被引用回数:9 パーセンタイル:52.61(Nuclear Science & Technology)セメントペースト,モルタル,コンクリートについて、トリチウム水蒸気を一定期間曝露し、それぞれの試料中のトリチウム分布を測定した。試料中のトリチウムは、6か月曝露することで、最大5cmまで透過することを確認した。各試料中に捕捉されたトリチウムは、セメントペーストが最大で、コンクリートはその半分、モルタルはセメントペーストの70%程度捕捉されていた。これら結果を解析したところ、コンクリート等の中のトリチウム分布について実験結果とよく一致し、解析手法の妥当性が示された。