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中川 清子*; 岡 壽崇; 藤井 健太郎*; 横谷 明徳*
Radiation Physics and Chemistry, 192, p.109884_1 - 109884_5, 2022/03
被引用回数:2 パーセンタイル:48.47(Chemistry, Physical)L-alanine-3,3,3-d3およびL-alanine-d4の結晶中に生成したラジカルを、1.5keVの軟X線照射中に電子スピン共鳴(ESR)法で観測した。L-アラニン-3,3,3-d3では、水素交換反応によるCHCD3COOHからCDCD3COOHへのスペクトル変化が直接観測された。軟X線を照射して得られたESRスペクトルの線幅は、硬X線を照射した場合の線幅の1.5倍であり、ラジカル密度が高いとわかった。一方、ラジカル収量の効率は線照射による収量に対して10と低かった。軟X線照射では、低エネルギー光子の高LET性のため、重イオンによる高LET照射と同様にラジカルの密度が高く、その結果、効率的なラジカル-ラジカル再結合によって多くのラジカルが失われたとわかった。
中川 洋; 米谷 佳晃*; 中島 健次; 河村 聖子; 菊地 龍弥*; 稲村 泰弘; 片岡 幹雄*; 河野 秀俊*
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011101_1 - 011101_6, 2021/03
5'CGCGCGCG'3 and 5'CGCGCGCG'3のDNAについて、軽水と重水のコントラストを利用した中性子準弾性散乱による水和水ダイナミクスを測定した。この2つのDNAは計算機によってそれぞれ硬い分子と柔らかい分子であることが分かっている。どちらの配列も約240KにDNAと水和水のどちらも動力学転移が観測された。転移温度以上では、水和水の平均自乗変位は硬い配列の方が小さかった。また水和水の緩和時間は硬いほうが長かった。ピコ秒時間スケールの水和水ダイナミクスは配列依存的なDNAの硬さと関係していることを示唆した。
瀬戸 秀紀; 伊藤 晋一; 横尾 哲也*; 遠藤 仁*; 中島 健次; 柴田 薫; 梶本 亮一; 河村 聖子; 中村 充孝; 川北 至信; et al.
Biochimica et Biophysica Acta; General Subjects, 1861(1), p.3651 - 3660, 2017/01
被引用回数:32 パーセンタイル:80.16(Biochemistry & Molecular Biology)1MWクラスのパルス中性子源であるJ-PARCの物質・生命科学実験施設には、23の中性子ビームラインがあり、21台の装置が稼働、建設中である。このうち6台は中性子非弾性、及び、準弾性実験のための装置であり、生命科学研究に大いに寄与するものである。
中川 清子*; 田口 光正; 木村 敦; 長澤 尚胤; 廣木 章博
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 334, p.64 - 68, 2014/09
被引用回数:2 パーセンタイル:19.09(Instruments & Instrumentation)重粒子線治療に利用可能な3次元ポリマーゲル線量計の開発の一環として、マレイミド-スチレン溶液で膨潤した、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)ゲルへの重イオン照射によるLET効果について調べた。TIARA施設において、透明なHPCゲル試料に20MeV Hイオン(LET=2.2eV/nm)、107MeV Heイオン(7.1eV/nm)、50MeV Heイオン(13eV/nm)、320MeV Cイオン(75eV/nm)を照射したところ、白濁化が観測された。この白濁化の感度(単位線量当りの吸光度の増加率)はLET値の増加に伴い減少した。白濁成分についてGPC(ゲル浸透クロマトグラフ)分析したところ、数平均分子量40,000から45,000の高分子の生成が確認され、分子量は照射イオンのLET値にはほとんど影響を受けなかった。以上の結果から、白濁化のLET依存性は、LETの増加に伴い照射初期に生成した活性種の密度が高くなり、ラジカル再結合により消滅したことが原因と考えられる。また、再結合反応を逃れた活性種は一定回数重合し、白濁成分を生成すると考えられる。
中川 洋; 米谷 佳晃; 中島 健次; 河村 聖子; 菊地 龍弥; 稲村 泰弘; 片岡 幹雄; 河野 秀俊
Physical Review E, 90(2), p.022723_1 - 022723_11, 2014/08
被引用回数:10 パーセンタイル:54.92(Physics, Fluids & Plasmas)CGCGAATTCGCGとCGCGTTAACGCGの柔軟性の異なる二つの配列のDNAの分子シミュレーションと中性子準弾性散乱実験を行った。前者は硬く、後者は柔らかいことが知られている。両方の配列のDNAで、200-240Kに動力学転移が見られた。DNA配列依存的なダイナミクスを調べるために、転移温度以上でDNAと水和水のダイナミクスを分子シミュレーションと中性子準弾性散乱によって調べた。12merDNAの真ん中の4merについて、AATTはTTAAと比べて揺らぎの振幅が小さく、緩和時間が長いことが分かった。これはATステップの方が、TAステップよりも、速度論的に安定であることを示唆している。配列依存的な局所的な塩基対のダイナミクスは、DNAと水和水の間の水素結合ダイナミクスと相関がある。配列依存的なDNAの塩基対の揺らぎは動力学転移温度以上で現れる。これらの結果を総合すると、DNAの柔軟性は塩基対の局所的なダイナミクスと関係があり、DNAのマイナー溝に存在する水和水とカップルしていると結論付けた。
中川 清子*; 田口 光正; 木村 敦
Radiation Physics and Chemistry, 91, p.143 - 147, 2013/10
被引用回数:3 パーセンタイル:25.48(Chemistry, Physical)マレイミドとスチレンの共重合体の生成メカニズムと、その溶媒効果を明らかにすることを目的に、窒素飽和したマレイミド及びスチレンを含むメタノール,エタノール、及び2-プロパノール溶液に、電子線及び炭素イオンを照射し、生成する共重合体の収率に与える影響について調べた。その結果、溶媒のラジカルを起点とした重合によりマレイミド-スチレン共重合体が生成し、その共重合体の生成収率は、1MeV電子線及び320MeV炭素イオン照射において、メタノール(2.45及び1.85mg/mL/kGy), エタノール(4.41及び3.16mg/mL/kGy), 2-プロパノール(4.77及び3.67mg/mL/kGy)の順に増加した。これは、マレイミド-スチレン共重合開始反応に寄与する溶媒ラジカルの反応性が、メタノール,エタノール,2-プロパノールの順に増加するためと考えられる。また、LET値の高い炭素イオン(600eV/nm)の共重合体の生成収率は、LET値の低い電子線(0.2eV/nm)より低くなることがわかった。
中川 清子*; 田口 光正; 木村 敦
Radiation Physics and Chemistry, 80(11), p.1199 - 1202, 2011/11
被引用回数:6 パーセンタイル:44.02(Chemistry, Physical)マレイミドとスチレンの共重合体の生成メカニズムと、その線質効果を明らかにすることを目的に、窒素飽和したマレイミド及びスチレンを含む2-プロパノール溶液に、異なるLET値(0.2600eV/nm)を持つ電子線、プロトン,ヘリウムイオン、及び炭素イオンを照射し、生成する共重合体の収率及び分子量に与える影響について調べた。その結果、溶媒のラジカルを起点とした重合によりマレイミド-スチレン共重合体が生成し、その共重合体の生成収率は、イオンビームの照射電流値を一定とした場合には、LET値の増加に伴い3.7g/L/kGy(プロトン)から0.7g/L/kGy(炭素イオン)に減少することがわかった。さらに、その共重合体の分子量も同様にLETの増加に伴い57100から44500に減少した。また、いずれのイオン種においても照射線量率を下げた場合には、生成収率,分子量ともに増加することがわかった。以上の結果より、共重合体の生成収率及び分子量が、放射線照射によって生成するラジカルの空間分布や生成速度に影響を受けることを明らかにした。
中川 清子*; 田口 光正; 広田 耕一; 村上 健*
Radiation Physics and Chemistry, 79(8), p.890 - 893, 2010/08
被引用回数:3 パーセンタイル:23.88(Chemistry, Physical)重イオンの線質・線量率効果を解明することを目的に、窒素飽和により脱酸素したヒドロキシマレイミドの2-プロパノール溶液試料に、2から400eV/nmのLET値を有するHe, C及びNeイオン照射を行った。ヒドロキシマレイミドの分解G値(収率)は、LET値が8eV/nmより小さい場合には線で得られている値(0.78)ものよりもやや低い値(0.65)を示すものの、LETが増加するに伴い0.02程度にまで減少した。さらに、同じLET値で比較した場合ではイオン種が重くなるほど小さくなった。また、5.010ions/cm/s程度のフルエンス率でイオン照射した場合と比べ、フルエンス率を一桁下げると分解G値は約1.5倍大きくなり、線量率依存性が観測された。以上、重イオン照射によって生成する活性種の空間及び時間分布が反応収率に大きく関与することを明らかにした。
中川 清子*; 田口 光正; 太田 信昭*; 広田 耕一
Radiation Physics and Chemistry, 77(10-12), p.1230 - 1232, 2008/10
被引用回数:4 パーセンタイル:29.38(Chemistry, Physical)ヒドロキシマレイミド(HMI)を2-プロパノールに溶かした後、大気圧条件で50MeV又は、100MeV Heイオン,220MeV Cイオン及び350MeV Neイオンを照射した。試料への入射エネルギーはセルの上部に1501000mのアルミ箔を置くことで任意に減衰させた。照射後の試料はHPLCにより定性・定量分析を行った。HMIの分解率から見かけ上の分解収率を求めた。重イオン照射下場合の分解収率は線照射したときに得られる分解収率よりも小さかった。分解収率は重イオンの入射エネルギーが増加するに従い増加した。この分解収率から分解の微分G値を求めたところ、微分G値はいずれのイオン種においてもLETの増加に伴い減少した。また、Heイオンで見られる微分G値のLET依存性カーブとCやNeイオンのカーブは重ならなかった。これは照射イオンの核種による効果が観測されたものである。
中川 清子*; 太田 伸昭*; 田口 光正; 広田 耕一
JAEA-Review 2007-060, JAEA Takasaki Annual Report 2006, P. 159, 2008/03
ヒドロキシマレイミドを2-プロパノールに溶かし脱酸素した後、TIARA施設において重イオン照射し、生成物収量を調べた。吸収線量あたりのヒドロキシマレイミドの減少割合から分解効率を求めた。得られた分解効率をイオンの入射エネルギーあたりで規格化すると、見かけのG値が得られる。初期エネルギーの増加に伴い、G値は増加した。これは、溶媒分子のラジカルなど、生成物の反応に関与する活性種の生成量のLET依存性に対応すると考えられる。アルミ箔によるエネルギー減少過程で微分G値が一定とみなし、見かけのG値から微分G値を概算した。Heイオン照射では、50MeVと100MeVで得られた微分G値はほぼ直線関係にあるが、CやNeイオン照射ではHeイオンの延長線上よりも大きな値が得られた。これは、溶媒をメタノールに代えた場合、より明確に観測された。
中川 清子*; 太田 信昭*; 田口 光正; 小嶋 拓治
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 142, 2007/02
ヒドロキシマレイミドを2-プロパノールに溶解し窒素置換した後、線及び220MeV, Cイオンを照射し生成物収率の比較を行った。線照射によるヒドロキシマレイミドの分解のG値は0.5であり、Cイオン照射ではその1/10以下であった。また、Cイオンの照射エネルギーが低いほど、G値はわずかに小さくなることがわかった。すなわち、LETが高くなると微分G値が小さくなると考えられる。また、線照射での主反応生成物であるヒドロキシスクシンイミドは、Cイオン照射ではほとんど生成せず、未同定の新しい生成物が観測されることが見いだされた。
中川 清子*; 田口 光正; 太田 信昭*; 広田 耕一
no journal, ,
窒素飽和したプロパノール中ヒドロキシマレイミドに50あるいは100MeV Heイオンを照射した。試料への入射エネルギーはセルの上部にアルミ箔を置くことで任意に減衰させた。照射後の試料はHPLCにより定性・定量分析を行った。空気飽和した場合と比べて窒素飽和条件ではヒドロキシマレイミドの見かけ上の分解率は3-5倍大きかった。これは溶存酸素が溶媒ラジカルのヒドロキシマレイミドへの付加反応を邪魔しているためと考えられる。また、重イオン照射した場合の分解収率は線照射したときに得られる分解収率よりも小さかった。
中川 清子*; 木村 敦; 田口 光正
no journal, ,
本研究では、耐熱性が高く、液晶ディスプレイ等への応用が期待されているマレイミドとスチレンの共重合メカニズムとその線質効果を明らかにすることを目的として、マレイミド-スチレン放射線共重合体の生成効率及び分子量に及ぼす溶媒の影響について調べた。メタノール,エタノール、及び2-プロパノールを溶媒として用い、それぞれにマレイミド及びスチレンを溶解して、炭素イオンビーム(320MeV)を照射した。その結果、生成した共重合体の生成効率はメタノール,エタノール,2-プロパノールの順で増加した。また、各アルコール中の共重合体生成収率は、高線量率条件である20nAに比べて低線量率条件である2nAで5-20倍程度高くなることがわかった。一方、生成した共重合体の分子量はメタノール中で最も大きくなることがわかった。以上より、共重合体の生成収率及び分子量は、溶媒の影響を受けることを明らかにした。
中川 清子*; 太田 信昭*; 田口 光正; 小嶋 拓治
no journal, ,
ヒドロキシマレイミドを2-プロパノールに溶かし窒素置換した後、Co線及びAVFサイクロトンのCイオン(220MeV)をそれぞれ照射したときの生成物収量の比較を行った。線照射では分解のG値は0.5であったが、Cイオン照射では微分G値は1/10以下であった。また、入射エネルギーの減少に伴い、微分G値はわずかに減少することがわかった。これは、LETの増加で再結合反応の寄与が増加し、微分G値が減少することが原因と考えられる。
中川 清子*; 田口 光正; 木村 敦
no journal, ,
マレイミド-スチレン共重合体は耐熱性が高く、液晶ディスプレイ等への応用が期待されている。本研究では、マレイミドとスチレンの共重合メカニズムとその線質効果を明らかにすることを目的として、窒素飽和したマレイミド及びスチレンを含む2-プロパノール溶液に、異なるLET値(0.2-600eV/nm)を持つ電子線,プロトン,ヘリウムイオン、及び炭素イオンを照射し、生成する共重合体の線量率及びLET効果について調べた。その結果、生成した共重合体の収率は、イオンビームの照射電流値を20nAとした場合には、LET値の増加に伴い3.7g/L/kGy(プロトン)から0.7g/L/kGy(炭素イオン)に減少し、共重合体の分子量もLETの増加に伴い57100から44500に減少した。一方で、照射電流値を2nAとした場合には、LET値の増加に伴い13g/L/kGy(プロトン)から3.7g/L/kGy(炭素イオン)に減少したものの、共重合体の分子量はLETの増加に伴い57000から61200に増加した。以上より、共重合体の生成収率及び分子量が、放射線照射によって生成するラジカルの空間分布や生成速度に影響を受けることを明らかにした。
中川 清子*; 田口 光正; 広田 耕一
no journal, ,
ヒドロキシマレイミドをプロパノールに溶かした後、窒素又は酸素飽和した条件でHe, C及びNeイオン照射した。さらに、試料への重イオンの入射エネルギーはセルの上部にアルミ箔を置くことで任意に減衰させた。重イオン照射後の試料はHPLCにより定性・定量分析を行った。線量に対するヒドロキシマレイミドの分解カーブから求めた分解の微分G値はLETが増加するほど小さくなった。さらに、同じLET値で比較すると重イオンほど小さくなる傾向が見られた。これらはトラック構造による影響が観測されたものである。
中川 洋; 片岡 幹雄; 城地 保昌*; 山室 修*; 中島 健次; 河村 聖子
no journal, ,
生体内でさまざまな生理機能を担うタンパク質は、周囲の熱揺らぎにさらされながらその構造を巧みに変化させることで機能を発揮する。タンパク質ダイナミクスは、広い時空間領域で特徴付けられる。実験的にはさまざまな分光学的手法でその動的挙動を調べることが可能であるが、理論研究により、生物機能における重要性が指摘されてきたTHz領域に観測される低エネルギーダイナミクスの研究には、中性子非弾性散乱実験がその威力を発揮する。タンパク質は、溶媒条件や温度,圧力などの外部環境のみならず、タンパク質自身の構造状態によってもその構造ダイナミクスは変化する。タンパク質ダイナミクスは、低エネルギースペクトルにみられるボソンピークや動力学転移といった現象を通じてよく特徴付けられる。本講演では、タンパク質ダイナミクス研究のモデルタンパク質であるスタフィロコッカルヌクレアーゼを用いて、水和,温度,圧力や折り畳みによるダイナミクスの変化をJRR-3のAGNES装置で調べたので報告する。また2009年12月にはJ-PARCのAMATERAS装置での初実験に成功した。限られた時間での実験であったが、多波長の入射中性子をうまく使うことにより、タンパク質ダイナミクスの温度変化を観測することに成功したので報告する。
中川 洋; 米谷 佳晃; 中島 健次; 河村 聖子; 菊地 龍弥; 稲村 泰弘; 片岡 幹雄; 河野 秀俊
no journal, ,
DNA分子の構造の柔軟性は、タンパク質との分子認識に重要とされている。分子認識を詳細に調べるためには、DNA構造の柔軟性を知る必要がある。これまでに、系統的にDNAの配列を変えた計算機シミュレーションにより、配列パターンとDNA構造の柔らかさに相関があることを示されている。本研究では、DNA分子の柔軟性が異なると予測されているCGCGAATTCGCG(硬い)とCGCGTTAACGCG(柔らかい)の配列のDNA分子について、MLFのアマテラス装置を用いて水和粉末試料の中性子非弾性散乱スペクトルを得た。様々な温度での実験データと計算機シミュレーションを組み合わせた解析から、DNAの動力学転移は塩基配列に依存せず観測されることが分かり、動力学転移温度以上でDNA構造の揺らぎに違いがあることが示唆された。当日は、配列依存的な構造の柔軟性とDNA分子の揺らぎとの関係について議論したい。
中川 洋; 米谷 佳晃; 河野 秀俊; 片岡 幹雄; 中島 健次; 河村 聖子; 菊地 龍弥; 稲村 泰弘
no journal, ,
DNA分子の構造の柔軟性は、タンパク質との分子認識に重要とされている。転写因子や制限酵素など特定のDNA配列に結合するDNA結合蛋白質は、DNAとの水素結合など直接的な相互作用のみならず、配列によって生じるDNA構造の違いにより配列の違いを認識している(間接認識)ことがわかっている。この間接認識を詳細に調べるためには、DNA構造の柔軟性を知る必要がある。これまでに、系統的にDNAの配列を変えた計算機シミュレーションにより、配列パターンとDNA構造の柔らかさに相関があることを示されている。本研究では、DNA分子の柔軟性が異なると予測されているCGCGAATTCGCG(硬い)とCGCGTTAACGCG(柔らかい)の配列のDNA分子について、MLFのアマテラス装置を用いて水和粉末試料の中性子非弾性散乱スペクトルを得た。さまざまな温度での実験データと計算機シミュレーションを組合せた解析から、DNAの動力学転移は塩基配列に依存せず観測されることがわかり、動力学転移温度以上でDNA構造の揺らぎに違いがあることが示唆された。当日は、配列依存的な構造の柔軟性とDNA分子の揺らぎとの関係について議論したい。
中川 清子*; 田口 光正; 太田 信昭*; 広田 耕一
no journal, ,
ヒドロキシマレイミド(HMI)を2-プロパノールに溶かし脱酸素した後、大気圧条件で50MeV又は、100MeV Heイオン,220MeV Cイオン及び350MeV Neイオンを照射した。試料への入射エネルギーはセルの上部に150-1000mのアルミ箔を置くことで任意に減衰させた。照射後の試料はHPLCにより定性・定量分析を行った。HMIの分解率から見かけ上の分解収率を求めた。分解収率は入射エネルギーが増加するに従い増加した。この分解収率から分解の微分G値を求めたところ、微分G値はいずれのイオン種においてもLETの増加に伴い減少した。また、Heイオンで見られる微分G値のLET依存性カーブとCやNeイオンのカーブは重ならなかった。これは照射イオンの核種による効果が観測されたものである。