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近藤 啓悦; 三輪 幸夫*; 大久保 成彰; 加治 芳行; 塚田 隆
Journal of Nuclear Materials, 417(1-3), p.892 - 895, 2011/10
被引用回数:4 パーセンタイル:31.33(Materials Science, Multidisciplinary)オーステナイト系ステンレス鋼の照射による耐食性低下の抑制を目的に、0.7wt.%のAl添加したSUS316Lステンレス鋼(以下316L/Al)の開発を行った。作製した合金に対して、照射温度330C, 400
C及び550
Cで12MeV-Niイオン照射を行い、照射試料に対して電気化学的腐食試験を行った。その結果、高温照射した場合にAl添加による耐食性劣化の抑制効果が顕著となることが明らかとなった。550
Cで12dpa照射した場合、SUS316LやSUS316では粒内及び粒界腐食が顕著となっていたが、316L/Alでは粒界腐食は抑制されていた。照射による耐食性劣化は粒界及び粒内における照射誘起偏析/析出に伴うCr濃度の低下によるものであるが、316L/Alでは高温照射によりCr濃度低下領域へのAlの拡散が促進され、耐食性低下を抑制できるだけのAlが濃縮したと考えられた。
堂田 哲広; 大島 宏之; 上出 英樹; 渡辺 収*; 大久保 良幸*
Proceedings of 14th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-14) (CD-ROM), 13 Pages, 2011/09
ナトリウム冷却高速実用炉(JSFR)の崩壊熱除去系として完全自然循環式崩壊熱除去系が採用されている。完全自然循環システムの成立性を評価する目的で、定格運転状態から自然循環崩壊熱除去状態への移行時における炉心最高温度評価手法を開発した。本評価手法は、自然循環時に特徴的な物理現象である集合体間熱移行や集合体間及び集合体内の流量再配分効果を考慮するため、3ステップの熱流動解析で構成するものとした。また、3ステップ目の解析(サブチャンネル解析)は比較的計算負荷が大きいため、簡易評価モデルを開発し、その低減を図った。本評価手法を大型炉の外部電源喪失事象及び2次ナトリウム漏えい事故時の評価に適用した。
大久保 努; 大木 繁夫; 小倉 理志*; 大久保 良幸*; 小竹 庄司*
Proceedings of 2011 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '11) (CD-ROM), p.479 - 486, 2011/05
大型の日本型Na冷却高速商用炉を対象とした概念設計検討と関連する技術開発が、高速炉サイクル実用化研究開発(FaCT)プロジェクトの一環として実施されている。JSFRでは、次世代のプラント概念として、経済性確保や信頼性と安全性の向上のため、多くの革新技術を採用している。本論文では、JSFR炉心の概念設計検討の最新の結果について述べる。炉心設計における最も重要な点は、150GWd/tの高燃焼度の達成であり、このための被覆管としてODS鋼を想定している。増殖比に関しては柔軟性を有する設計としており、1.0から1.2程度の範囲に関して互換性を有する燃料集合体設計とすることを基本思想としている。また、軽水炉から高速炉への移行期において予想される幅広い燃料組成を想定している。これまでの設計研究から、直径10mm程度の太径の燃料棒を使用する高内部転換型炉心概念に基づいたJSFR炉心概念によって、上述の特性を含む設計目標や要求を満足できることが明らかになった。
堂田 哲広; 大島 宏之; 上出 英樹; 渡辺 収*; 大久保 良幸*
Proceedings of 8th International Topical Meeting on Nuclear Thermal-Hydraulics, Operation and Safety (NUTHOS-8) (CD-ROM), 11 Pages, 2010/10
ナトリウム冷却高速炉の実用化に向けたJSFR(Japan Sodium Cooled Fast Reactor)の設計研究においては、完全自然循環システムの採用が検討されている。われわれは完全自然循環システムの成立性を評価する目的で、定格運転状態から自然循環崩壊熱除去状態への移行時における炉心最高温度評価手法の開発を行っている。本論文では、その評価の不確かさ要因の一部であるワイヤースペーサーコンタクトと燃料ペレット偏心が被覆管最高温度へ与える影響に着目し、自然循環時におけるこれら2つの影響を定量的に評価した。商用CFDコードを用いて3次元熱流動解析を実施し、19本ワイヤ巻き燃料集合体における詳細な冷却材の流速・温度分布及び被覆管の温度分布を求めた。結果として、被覆管の最高温度に対するこれら2つの不確かさ要因の影響は発熱が崩壊熱レベルとなる自然循環状態においても無視できず、外部電源喪失事象の場合にはこれらの影響によって2次ピーク時の被覆管最高温度が数C上昇することがわかった。
大島 宏之; 堂田 哲広; 上出 英樹; 渡辺 収*; 大久保 良幸*
日本機械学会論文集,B, 76(763), p.448 - 450, 2010/03
ナトリウム冷却高速炉は、炉心出入口温度差が大きいことから、浮力による自然循環を利用して炉心の崩壊熱を除去させるシステム設計が可能である。このため大型ナトリウム冷却炉の実用化に向けては、経済性と信頼性を高い次元で確保する1つの方策として、ポンプなど動的機器に頼らず自然循環のみで炉心崩壊熱除去を行う「完全自然循環方式」の採用が検討されている。この完全自然循環方式の成立性評価においては、適切な保守性を考慮したうえで、さまざまな想定事象に対する炉心部高温点の評価が必要となるが、従来の高温点評価法は強制循環を前提として構築されており、そのまま適用すると自然循環特有の現象を加味できず、過度な保守側評価となる。そこで本研究では、自然循環の特性を反映できる合理的な炉心部高温点評価手法を開発し、将来の安全審査に適用することを目的とする。本報では、自然循環時の熱流動特性を取り込んだ炉心高温点評価手順の構築及びその暫定適用について報告する。
三輪 幸夫; 加治 芳行; 大久保 成彰; 近藤 啓悦; 塚田 隆
日本機械学会M&M2007材料力学カンファレンス講演論文集(CD-ROM), p.236 - 237, 2009/07
次世代炉の炉内構造材は軽水炉より高温で高照射量まで使用されるため、設計段階で材料の劣化挙動を高精度に予測する必要がある。従来の設計では照射脆化等の劣化要因を個別に検討し構造物の寿命を決めてきた。しかし、照射誘起応力腐食割れ(IASCC)等は複数の劣化要因が複合的に作用し発生する。照射硬化,照射誘起応力緩和等の事象は、異なる照射量依存性を有すため、IASCC等の挙動予測には、照射による材料劣化事象の複合作用を考慮できる損傷評価法が必要である。本論文では、新しい材料損傷評価法の概念を紹介し、イオン照射試験により得られた材料劣化挙動に及ぼす残留応力の影響を評価し、照射温度,照射量及び残留応力依存性の影響をモデル化し、これらモデルの統合によりIASCCの発生挙動を予測するモデルの検討結果を述べる。さらに、そのモデルの統合により炉内構造物のIASCCき裂発生シミュレーションを行うためのプログラミングコードの計算結果の例を紹介する。
加治 芳行; 三輪 幸夫; 近藤 啓悦; 大久保 成彰; 塚田 隆
Proceedings of 2009 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '09) (CD-ROM), P. 9359, 2009/05
本論文では、溶接による残留応力の作用下でのき裂部における長時間の照射誘起応力腐食割れ(IASCC)挙動を照射誘起応力緩和(RISR)を考慮してシミュレーションした結果について述べる。
大久保 成彰; 三輪 幸夫; 近藤 啓悦; 加治 芳行
Journal of Nuclear Materials, 386-388, p.290 - 293, 2009/04
被引用回数:4 パーセンタイル:29.48(Materials Science, Multidisciplinary)高温で重照射を受けるなど厳しい環境でステンレス鋼を長時間使用すると照射誘起応力腐食割れ(IASCC)が生じる懸念がある。これは、水冷却で高い損傷量までの照射を受ける機器で重要である。IASCCはおもに溶接部などで生じると考えられるが、種々の照射効果(照射硬化や照射誘起応力緩和及びスウェリング等)に影響されるために、IASCCの予測は困難である。ここでは、照射硬化に与える残留応力の影響について調べた結果を報告する。オーステナイト鋼に数%の塑性変形を曲げ変形により与え、変形なしの試料と同時にNiイオンを照射した。照射前後の残留応力測定により、照射による応力緩和を評価し、また、微小硬さ測定により照射硬化を評価した。その結果、曲げ変形の有無により、照射硬化に顕著な違いがみられた。曲げ変形した場合、約330C及び400
Cと比較的低温の照射において、照射硬化が抑制された。また、熱時効では500
C付近の比較的高温でも応力緩和しない一方、イオン照射の場合、照射温度の範囲で顕著な応力緩和が生じた。以上から、照射誘起応力緩和に伴い照射硬化が抑制される場合があることが明らかになった。
三輪 幸夫; 加治 芳行; 大久保 成彰; 近藤 啓悦; 塚田 隆
Journal of Solid Mechanics and Materials Engineering (Internet), 2(1), p.145 - 155, 2008/00
次世代の超臨界圧水高速炉の炉内構造材は現行の軽水炉よりも高温で高照射量まで使用されるため、照射損傷と熱応力による材料の劣化が設計の段階で適切な精度を取り込んで考慮されなければならない。現在の経験ベースの設計基準では、構造材料の寿命は、延性脆性遷移温度の上昇のような照射後試験から得られる材料劣化事象によって決定される。しかし、照射誘起応力腐食割れ(IASCC)などの材料劣化では、照射硬化,局所的な材料組成変化,スエリング及び照射クリープなどの材料劣化因子の複合作用の影響を考慮した、合理的な設計を行うことが望ましい。本研究では、IASCCによる材料損傷をより高い精度で予測するために、異なる照射量依存性を持つ材料劣化因子を照射誘起応力緩和に関してモデル化する。そして、そのモデルを用いて炉内構造材のIASCCによる損傷挙動を供用期間に渡ってシミュレーションする。本論文では、新しい材料損傷評価法の概念と材料損傷シミュレーションのための計算コードの概要を示した。
近藤 啓悦; 三輪 幸夫; 大久保 成彰; 加治 芳行; 塚田 隆
Proceedings of 13th International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems (CD-ROM), 11 Pages, 2007/00
炉内構造材料であるSUS316Lを用いて、照射と残留応力の複合作用が材料の腐食特性に及ぼす影響について検討した。曲げ変形拘束によって表面に引張残留応力を負荷された試験片と変形拘束なしの試験片に対して、温度330Cで1
45dpaまでイオン照射実験を実施した。照射試料に対して電気化学的再活性化法による腐食試験を実施した結果、変形拘束下で照射された試験片の耐食性劣化が抑制されていることが明らかとなった。また、照射材について3次元アトムプローブ分析を実施した結果、転位周辺にNi, Siが富化しCr, Feが枯渇していることが確認され、また偏析の程度は変形拘束なしの試験片において大きいことが明らかとなった。これらのことから照射中の残留応力は、転位などの照射欠陥シンク近傍の溶質元素の照射誘起偏析挙動とその結果誘引される腐食特性変化に影響を及ぼしていることが示唆された。
近藤 啓悦; 根本 義之; 三輪 幸夫; 加治 芳行; 塚田 隆; 永井 康介*; 長谷川 雅幸*; 大久保 忠勝*; 宝野 和博*
JAEA-Research 2006-013, 39 Pages, 2006/12
沸騰水型軽水炉(BWR)炉心シュラウドなどにおいて低炭素オーステナイト系ステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)発生が報告されている。機構解明のためにBWR炉心シュラウドから採取されたサンプル(SUS316L)の3次元アトムプローブ分析を行った。その結果、粒内において偏析及び析出物生成,スピノーダル分解などに伴う溶質元素の不均一分布は観察されなかった。また、結晶粒界の分析の結果、粒界において原子層レベルでも明確なCrの欠乏層が存在しなかったことから、低炭素ステンレス鋼のSCCにはCr欠乏による耐食性劣化とは異なるき裂進展機構が存在することが明確に示された。他の溶質元素についてはMo及びSiが、粒界において従来のFE-TEM/EDSによって分析された濃度値よりも高濃度で濃縮している可能性が示唆された。
近澤 佳隆; 岡野 靖; 堀 徹*; 大久保 良幸*; 島川 佳郎*; 田中 俊彦*
Journal of Nuclear Science and Technology, 43(8), p.829 - 843, 2006/08
被引用回数:4 パーセンタイル:29.88(Nuclear Science & Technology)実用化戦略調査研究の一環として、都市近郊設置型の電源を想定したナトリウム冷却小型炉の概念検討を実施した。原子炉構造及び主冷却系構成をパラメータとしてプラント概念案のサーベイ検討を実施し中間熱交換器・電磁ポンプ直列配置タンク型炉を選定した。炉心コンパクト化及び中間熱交換器と電磁ポンプの直列配置による原子炉容器構造の簡素化を中心に検討を実施した。炉心型式はZr含有率3領域単一Pu富化度炉心を採用して炉心出口温度を510Cから550
Cに上昇した。この効果により熱効率が向上し原子炉電気出力は150MWeから165MWeに向上した。建設単価の評価では、都市近郊設置型電源の建設単価目標として35万円/kWeを設定したが、本概念は初号基建設単価(FOAK)は目標の160.1%となった。ただし、複数基の建設を前提とした建設単価(NOAK)では85.6%となり目標を達成する可能性があることが示された。
近藤 啓悦; 三輪 幸夫; 大久保 成彰; 加治 芳行; 塚田 隆
no journal, ,
照射したSUS316Lオーステナイト系ステンレス鋼の腐食特性変化に及ぼす変形拘束の影響を調べるため、平板試験片を曲げ変形拘束により表面に2%及び7%の引張歪み,2%の圧縮歪みを与えた状態で、試験片温度330C,照射量45dpaまで12MeV-Niイオン照射し、それらの腐食特性をシングル・ループ電気化学的再活性化法により調べ耐食性の劣化度を評価した。その結果、照射中の変形拘束の有無によって耐食性の劣化度に変化が生じることが明らかとなった。変形拘束により2%引張歪みを付与して照射した試料は、変形拘束なしで照射した試料よりも再活性化電荷量(Pa値)が小さく、耐食性の劣化が抑制された。また同様に、7%引張歪み付与材でも照射による耐食性劣化が抑制されていた。2%圧縮歪みを付与した試料では、12dpa損傷材においても高い耐食性を示した。報告者らは、既に照射した2%引張歪み付与材において、欠陥シンクにおける溶質元素偏析が抑制される可能性を示したが、7%引張歪み材,2%圧縮歪み材においても同様な応力の効果が生じたと考えられる。
三輪 幸夫; 近藤 啓悦; 大久保 成彰; 加治 芳行
no journal, ,
照射誘起応力腐食割れ(IASCC)は経年化した軽水炉の炉心構造物の損傷モードの1つである。本研究では、計算シミュレーションモデルによる炉内構造材料のIASCC損傷発生の評価手法の検討を行った。IASCCは照射硬化による加工硬化能の低下及び照射誘起偏析による耐食性の低下などの材料劣化と溶接などによる残留応力によって引き起こされると考えられている。このため、残留応力が照射硬化と照射誘起偏析の両方に及ぼす影響をイオン照射試験により調べた。その結果、照射クリープによる残留応力変化が初期残留応力レベルと照射量によって影響されるのみでなく、材料劣化挙動も初期残留応力と照射量によって影響されることがわかった。この挙動をモデル化し、運転寿命期間中におけるシュラウド型の構造物のIASCCによる損傷発生を、材料劣化と残留応力のモデルに基づく有限要素法(FEM)解析により推定した。
堂田 哲広; 大島 宏之; 上出 英樹; 渡辺 収*; 大久保 良幸*
no journal, ,
ナトリウム冷却高速炉の実用化に向けて、経済性及び受動的安全の観点から完全自然循環方式での炉心崩壊熱除去システムの採用が検討されている。本報では自然循環時の炉心高温点を評価するための新しい手法を紹介する。本手法は自然循環時の熱流動特性である集合体間熱移行,浮力による集合体内及び炉心内の流量再配分を取り込むため、3ステップで構成される。本手法を外部電源喪失事象に適用し、解析結果を従来手法及び詳細3次元解析の結果と比較し、本手法が合理的な保守性をもって炉心高温点を評価できることを確認した。
堂田 哲広; 大島 宏之; 上出 英樹; 渡辺 収*; 大久保 良幸*
no journal, ,
ナトリウム冷却高速炉で採用を検討している完全自然循環式炉心崩壊熱除去システムの炉心高温点を簡易的に評価する方法を実験研究知見並びに解析的知見をベースに検討した結果を報告する。
大久保 努; 大木 繁夫; 小倉 理志*; 大久保 良幸*
no journal, ,
2025年頃の実証炉の実現に向けて、先進ループ型ナトリウム冷却高速炉(JSFR:Japan Sodium-cooled Fast Reactor)の出力75及び50万kWe炉心概念に関する設計検討を進めている。本報では、その全体概要として、現状を報告する。実証炉の概念検討においては、炉心の設計目標,要求及び条件として、150万kWe級のJSFR実用炉と同一の設定を行っている。炉心を構成する燃料集合体や燃料棒の設計も、それらの実証という観点に基づき、基本的に同一のものとすることを基本方針としている。また、燃料組成に関しては、実用炉で想定しているMA含有燃料組成に加え、2025年頃の燃料サイクルの状況を踏まえ、現行の軽水炉使用済燃料再処理から得られる高除染U-Pu組成も想定した条件を設定している。これまでの炉心設計検討の結果、上記の設計条件を満足する炉心設計が可能との見通しを得るとともに、想定した燃料組成の幅に起因する炉心特性の変動幅を把握した。
小倉 理志*; 森脇 裕之*; 大久保 良幸*; 大木 繁夫; 大久保 努
no journal, ,
2025年頃の実証炉の実現に向けて、先進ループ型ナトリウム冷却高速炉(JSFR: Japan Sodium-cooled Fast Reactor)の出力75万kWe及び50万kWe炉心概念に関する設計検討を進めている。本報では、おもに75万kWeプラントの炉心概念の検討状況について説明する。
相澤 康介; 近澤 佳隆; 白石 直*; 坂田 英之*; 大久保 良幸*
no journal, ,
実用化戦略調査研究におけるナトリウム冷却小型炉では、崩壊熱除去系として原子炉の上部及び下部プレナムに貫通部を設けるDRACS(直接炉心冷却系)の採用を検討しており、定常運転時の逆流を抑制するためにフローダイオードを貫通部に設置する計画である。本検討では、ナトリウム冷却小型炉(電気出力50MWe及び300MWe)の崩壊熱除去系に設置することを対象にしたフローダイオードの性能試験を実施し、その成立性を評価した。
大久保 成彰; 三輪 幸夫; 近藤 啓悦; 加治 芳行
no journal, ,
水及び液体金属を冷却材に用いる革新的原子炉の炉内構造物は、軽水炉に比べて高温で重照射を受けるなど厳しい環境に曝される。ステンレス鋼をこれらの環境で長時間使用すると照射誘起応力腐食割れ(IASCC)が生じる懸念がある。溶接部などでIASCCは生じると考えられるが、種々の照射効果(照射硬化やスウェリング及び照射誘起応力緩和など)が複雑に作用するため、IASCCの予測・評価は困難である。ここでは、まず、照射硬化に与える残留応力の影響について調べた結果を報告する。オーステナイト鋼に数%の塑性変形を与え、Niイオンを照射した。照射後、試料のX線残留応力測定により応力緩和を評価し、ナノインデンターで微小硬さ測定を行った。比較として、同様の変形をさせた試料に対して、イオン照射と同じ熱履歴で熱時効処理を行った。曲げ変形の有無により、照射硬化及び応力緩和に顕著な違いがみられた。低炭素材の曲げ変形後の残留応力と熱時効及びイオン照射後の応力変化を調べた結果、熱時効では500C付近の高温でもほとんど応力緩和しない一方、イオン照射の場合、照射温度の範囲で顕著な応力緩和が生じた。また、曲げ変形した低炭素材では、約300
Cと比較的低温の照射において、照射硬化が抑制された。以上から、照射誘起応力緩和により照射硬化が抑制される場合があることが明らかになった。