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鳴海 一成
no journal, ,
人の立場に立ったとき、突然変異にはプラスの側面とマイナスの側面がある。プラスの側面には突然変異の育種利用があり、一方、ガンや老化の原因となる突然変異はマイナスの側面である。われわれの研究グループでは、この両側面にかかわるDNA修復と突然変異誘発の機構解明とその利用に関する研究を行っている。元来、微生物に変異原処理を行うことで得られた突然変異体を解析することで微生物遺伝学が発展してきた。また、DNA防御並びにDNA修復にかかわるタンパク質群とそのネットワーク機構の研究は、微生物を研究対象とすることで大きく進展を遂げてきている。世界をリードしている日本の量子ビーム利用研究のメリットを最大限に生かして、微生物のイオンビーム照射効果の研究を推進することが今後必要である。イオンビームは産業に有用な微生物の品種改良にも適用できると考えられる。今後、発酵食品,バイオ肥料,バイオ農薬,環境浄化や有用物質生産などにかかわる産業微生物の品種改良のために、先端的量子ビーム施設のさらなる有効利用促進・支援策の推進によってイオンビームへのアクセスビリティーが確保されることを期待する。
前島 慎一郎*; 片井 秀幸*; 種石 始弘*; 山田 栄成*; 大橋 弘和*; 長谷 純宏; 田中 淳
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静岡県主要特産野菜の温室メロンでは、高品質かつ低コストで栽培できる品種・系統の育成が望まれている。一部の形質のみに作用を及ぼす傾向が高いイオンビームを利用した突然変異育種は、不要な形質も併せて導入されることを受け入れ難い温室メロンにとって極めて有効な手法であると考えられたため、同手法による耐低温性等の新たな特性を付与した個体の育成を試みた。M2世代586系統について自殖・選抜を重ねた結果、M4・M5世代において、(1)外観が良く夏期高温条件下でも両性花着生に優れる系統(夏系),(2)低温・寡日照下でも外観や内容品質に優れる系統(秋系)、及び(3)低温条件下でも肥大性に優れる系統(冬系)が育成された。
飯塚 正英*; 木村 康夫*; 長谷 純宏; 田中 淳
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オステオスペルマムは南アフリカ原産のキク科の多年草で、開花時期が長く欧米では花壇材料として人気が高い。原種は紫色の花であったが品種改良が進み、オレンジ色やクリーム色,白色,黄色などさまざまな色を楽しむことができるようになった。多花性で鮮やかな色彩から、コンテナや鉢物として日本でも生産が増加している。通常の交配のほか、希に栽培中の枝変わりから新品種が育成されることがあるが、人為的な突然変異を加えることによりさらに効率的な変異誘導が期待される。そこでオステオスペルマム培養葉片にイオンビームを照射,再分化した個体から変異体を選抜し、これまでにない色調のオステオスペルマム新品種「ヴィエントフラミンゴ」(仮称)を育成した。
山口 博康*; 長谷 純宏; 田中 淳; 鹿園 直哉; 出花 幸之介*; 清水 明美*; 森下 敏和*
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イオンビームは線と比べて高い生物効果や変異誘発効果を有することが知られている。しかし、突然変異育種のための変異原としての有用性を議論するためには変異率だけでは十分ではない。不稔などの望ましくない影響の出現に対する変異頻度の高さは「効率」と定義され、変異原の有用性の一つの指標とされる。そこで本研究では、イオンビームと線とで「効率」を比較した。生存率及び稔実率を基準とした3種のイオンビームの効率は、線と同等かそれ以上であると判断された。生存率や稔実率の低下は染色体異常によることから、効率が高いことは照射当代における染色体の障害程度に対して変異頻度が高いことを示している。このことは、照射当代をそのまま使う栄養繁殖性作物においては、障害の少ない変異体を獲得するという点で重要であり、イオンビームは線よりも優れていると考えられた。
森田 竜平*; 山口 博康*; 横田 裕一郎; 長谷 純宏; 西村 実*
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イオンビームは新しい変異原としてさまざまな植物に利用されているが、誘発される突然変異については、シロイヌナズナ以外の植物では情報が乏しい。そこで、イネにおいて3個体のwx突然変異体を選抜し突然変異の解析を行った。突然変異体AのゲノムDNAを鋳型にWx遺伝子領域でPCRを行ったところ、すべての部位で増幅が見られたことから、点様突然変異が生じていると考えられた。シークエンスの結果、第12エキソンに4bpの塩基欠失が生じていた。突然変異体Bではすべての部位の増幅が見られなかったため、大きい塩基欠失が生じていると予想された。遺伝子の上流及び下流の増幅を試みた結果、約41.6kbの塩基欠失が生じており、遺伝子の第1イントロンから後半部分を失っていることが明らかになった。突然変異体Cでは4つの部位で増幅が見られ、残り1つの部位では増幅が見られなかった。そこで、増幅しなかった部位をシークエンスした結果、逆位が生じていることが明らかになった。シロイヌナズナでは、炭素イオンビーム照射により点様突然変異と構造変化の両方が生じることが報告されているが、イネでも同様の突然変異が生じることが明らかとなった。
松尾 陽一郎*; 西嶋 茂宏*; 長谷 純宏; 横田 裕一郎; 坂本 綾子; 鳴海 一成; 清水 喜久雄*
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放射線を用いた突然変異による育種技術として、イオンビームが注目されている。本研究ではイオンビーム照射による育種技術のさらなる発展に寄与するため、カーボンイオンビーム並びに線による突然変異への寄与について酵母細胞を用い、分子レベルでの解析を行った。S.cerevisiaeのS288c(RAD+),二本鎖切断修復不活性株であるrad52、及び酸化型前駆体8-oxodGTPの除去活性を失ったogg1株を用いた。最も突然変異の頻度が高かった照射条件を用いて突然変異の誘発を行い、URA3領域(804bp)についてPCR法を用い増幅させ、変異位置をシーケンス解析によって決定した。二本鎖切断修復不活性株であるrad52の感受性は高く、一方ogg1は野生型に近い生存率を示した。これはイオンビーム照射によって生成した二本鎖切断による致死効果が高いことと、照射によって発生した酸化型前駆体が致死性ではないことを示している。シーケンス解析の結果、イオンビーム照射では局所的に変異が起こる部位(ホットスポット)が見られるが、線では確認できなかった。この野性株において重粒子線による変異が局所的に起こる部位と、リンカーDNAの領域が一致することが示された。
Ojiewo, C. O.*; 村上 賢治*; 桝田 正治*; 田中 淳; 長谷 純宏
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アフリカンナイトシェード(Solanum nigrum)はアフリカ及び東南アジアで広く栽培されている葉物野菜である。この植物は、栄養生長から生殖生長への移行が早く、自殖により多数の種子を形成するために、葉の収量が少ないという問題を抱えている。雄性不稔性の導入により結実を抑制することは葉の収量増加につながると考えられるため、炭素イオンを種子に照射し、雄性不稔変異体の作出を試みた。獲得された雄性不稔変異体は、酢酸カーミンやヨウ化カリウム溶液による花粉の染色の程度や葯の形態から4つのクラスに分類された。さらに温度依存的に雄性不稔性が発現する変異体も得られ、収量の増加と同時に種子の獲得が両立できる有用な遺伝資源であると考えられる。