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鷲谷 忠博; 田山 敏光; 中村 和仁*; 矢野 公彦; 柴田 淳広; 野村 和則; 近沢 孝弘*; 長田 正信*; 菊池 俊明*
Journal of Power and Energy Systems (Internet), 4(1), p.191 - 201, 2010/02
本件は、先進湿式再処理技術の革新技術である晶析技術における晶析装置開発に関するものである。本報では工学規模晶析試験装置を用いたウラン系での連続運転試験結果として、本晶析装置の定常及び非定常時における装置安定性,過渡的な応答性等に関する工学的な知見を中心に報告するものである。なお、本件は2009年7月ベルギーで開催されたICONE-17特集号への論文投稿である。
久野 義夫; 諸岡 幸一*; 笹本 広; 油井 三和
原子力バックエンド研究, 15(2), p.117 - 129, 2009/03
放射性廃棄物の地層処分における性能評価では、核種移行における遅延効果は一般に分配係数(Kd)によって評価されている。しかしながら、液相にコロイドが存在する場合、コロイドは核種を収着する可能性があるため、Kdの値に影響を及ぼすことが考えられる。本研究では、核種の収着挙動に及ぼすコロイドの影響を調べるために、Cs,ベントナイトコロイド及び石英砂を用いたバッチ法による収着試験を実施した。Csの石英砂へのKd(Kd)及びベントナイトコロイドへのKd(Kd)は、固相中,コロイド中及び液相中のCsの存在量から求め、試験溶液を分離するフィルタの孔径により、これらの核種の存在量の区分を行った。その結果、固相とコロイドが単独で存在する状態で取得された分配係数から、両者が共存する状態での核種の分配挙動を評価できることが確認された。このようなコロイドが共存する試験溶液の分画において、適切なろ過手法を選択することは、核種の固相への収着挙動に及ぼすコロイドの影響を見積もるうえで有効であることを確認した。
榊原 哲朗; 青山 佳男; 山口 大美; 佐々木 尚*; 西川 雄*; 村田 実*; Park, J.*; 谷口 尚司*; 藤田 満*; 福田 友幸*; et al.
Proceedings of International Waste Management Symposium 2009 (WM '09) (CD-ROM), 15 Pages, 2009/03
放射性廃棄物の溶融減容処理において、廃棄物の詳細な分別が不要となる超高周波溶融炉による減容システムを開発した。るつぼ容量10リットルの小型試験装置と、容量30リットルの実証試験装置を用いて数10100kHzの電磁誘導により金属とセラミックスを同時に誘導加熱し溶融固化体を作製した。作製した固化体の健全性を確認するとともに、計算シミュレーションにより算出した炉内の電磁場と流動状況と試験結果とを比較評価した。また、試験データ及び計算評価結果からるつぼ容量100リットルの実用規模設備の設計を実施した。
近沢 孝弘*; 菊池 俊明*; 柴田 淳広; 小山 智造; 本間 俊司*
Journal of Nuclear Science and Technology, 45(6), p.582 - 587, 2008/06
被引用回数:18 パーセンタイル:74.54(Nuclear Science & Technology)晶析工程を含む再処理技術開発の基礎データを得ることを目的に、硝酸ウラニルのバッチ晶析試験を実施した。使用済燃料溶解液の状態に対応するように、試験液中の初期の硝酸ウラニル濃度と酸濃度はそれぞれ500-600g/dmと4-6mol/dmとした。また、母液中のウラン濃度及び酸濃度並びに硝酸ウラニル結晶生成量を予想する方法を開発した。硝酸ウラニルの平衡溶解度の近似式を含む、定常状態の質量保存方程式を硝酸ウラニル結晶生成量等の予想方法に適用した。ウラン濃度と酸濃度の計算値は、実験値とよく一致している。硝酸ウラニル結晶生成量に関しては、5%以下の誤差で予想できる。
本間 俊司*; 石井 淳一; 菊池 俊明*; 近沢 孝弘*; 柴田 淳広; 小山 智造; 古閑 二郎*; 松本 史朗*
Journal of Nuclear Science and Technology, 45(6), p.510 - 517, 2008/06
被引用回数:11 パーセンタイル:59.16(Nuclear Science & Technology)U-Pu共晶析再処理システムを軽水炉燃料用に提案し、そのフローシート研究を実施した。本再処理システムは、硝酸溶液中の6価のプルトニウムが、単独では晶析しない場合でも硝酸ウラニルと共存すると、硝酸ウラニルと共晶析するという実験事実に基づく。本システムは、次の5工程、使用済燃料溶解工程,Pu酸化工程,共除染のためのU-Pu共晶析工程,結晶再溶解工程,UとPu分離のためのU晶析工程から成る。有機溶媒を使用しないため、有機溶媒の可燃性や処理にかかわる安全性や経済性の点で、PUREX再処理システムに比べ有利である。本システムは、U-Pu共晶析工程でほぼ全量のUとPuを回収するために、U-Pu共晶析工程の母液を溶解工程にリサイクルする必要がある。その最適なリサイクル率は、燃料の種類や製品の除染係数等によって決定される。U晶析工程からの母液は、UとPuを含んでおり、MOX燃料の原料となる。本フローシート研究から、U晶析工程の温度を制御することにより母液中のPu/U比を一定に保つことができ、使用済燃料組成の違いが製品の品質に影響を及ぼさないことがわかった。
森田 泰治; 川田 善尚*; 峯尾 英章; 古志野 伸能*; 浅沼 徳子*; 池田 泰久*; 山崎 和彦*; 近沢 孝弘*; 田巻 喜久*; 菊池 俊明*
Journal of Nuclear Science and Technology, 44(3), p.354 - 360, 2007/03
被引用回数:16 パーセンタイル:72.04(Nuclear Science & Technology)沈殿法のみによる使用済燃料の簡易再処理プロセス開発のため、焼却可能な有機試薬であるNCP(N-シクロヘキシル-2-ピロリドン)によるPu及びほかの超ウラン元素の沈殿挙動を検討した。Puのみの硝酸溶液では、NCPによりPu(VI)でもPu(IV)でも沈殿したが、U(VI)沈殿の場合よりも多くのNCPを必要とした。U(VI)とPu(IV)の混合溶液において、NCPを[NCP]/[U]=1.4の比で加え、十分な時間撹拌することで、U(VI)の選択的沈殿を達成した。また、U(VI)-Pu(VI)溶液あるいはU(VI)-Pu(IV)溶液において十分な量のNCPを加えることでU及びPuをともに定量的に沈殿させることができた。このU-Pu共沈殿では、沈殿物の物理的性状からPuの原子価はVI価が望ましい。そこで、Pu(IV)のPu(VI)への酸化について検討し、溶液を加熱する方法が本プロセスでは適切な方法であることを見いだした。さらに、選択的U沈殿においてもU-Pu共沈殿においても、Am(III)及びNp(V)は沈殿しないことを明らかにした。以上の結果から、NCP沈殿法による再処理の成立性を実証した。
黒澤 進; 水上 雅史*; 佐藤 久夫*; 野澤 純*; 辻本 恵一*; 栗原 和枝*
日本原子力学会和文論文誌, 5(3), p.251 - 256, 2006/09
本研究では、コロイドプローブAFMにより、モンモリロナイト粒子間の相互作用力をイオン強度500mMの水溶液中で直接測定した。その結果、粒子間には斥力が支配的に作用することが観察され、モンモリロナイト粒子の分散性は高いことが示唆された。また、この測定結果において観られた粒子間が接近する距離での斥力は、DLVO理論による理論予測とは不一致を示すものであった。
青木 庄治*; 和田 正彦*; 山道 哲雄*; 毛利 憲介; 榎枝 幹男; 廣瀬 貴規; 鈴木 一彦
銅と銅合金, 45(1), p.125 - 130, 2006/08
ITERにおいてブランケット,ダイバータ等で代表されるITER真空容器内構造機器に使用される構造材料の一つとして、析出強化型銅合金であるクロムジルコニウム銅合金が検討されている。本合金は、溶体化処理と直後の焼き入れ冷却によりCr, Zrを過飽和固溶体化し、その後の時効処理により微細なCr, Zr系析出物を析出させる方法で、高強度を得ている。ブランケットの製作においては、析出強化済の本合金を部材としてそのまま使用するこれまでの使用方法とは異なり、強度の低下を招く高温下での異種材料接合処理を施す必要があるため、高強度を再び得るために新たにこれら一連の析出強化処理を製品に施す方法を採っている。しかし、製品であるがため焼き入れ速度の差異により本合金の強度が大幅に変化することが危惧されている。そこで、本研究では、本合金の性能を引き出すために必要となる熱処理条件を把握することを目的として、本合金における幅広い熱処理条件下での機械的特性及び導電率の特性変化の調査を実施した。具体的には、溶体化焼き入れ速度の条件を0.05K/s-141K/sで変化させ738Kの時効処理を施した試験片の各状態(溶体化時の過飽和固溶体化状態,時効時の時効析出状態)における導電率を測定するとともに引張試験により強度を測定した。その結果、溶体化焼き入れ速度が強度に極めて大きな影響を与えることが判明し、ブランケットの製品強度を保証するうえで溶体化焼き入れ速度の管理がいかに重要であるかが、改めて明確になった。
鷲谷 忠博; 菊池 俊明*; 柴田 淳広; 近沢 孝弘*; 本間 俊司*
Proceedings of 14th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-14) (CD-ROM), 7 Pages, 2006/07
晶析技術は従来の湿式再処理に比べて多くの利点を有することから次世代の再処理技術として注目されている。本報告は、この晶析装置開発に関するこれまでの開発成果を報告するものである。日本原子力研究開発機構では晶析技術開発として先進的湿式再処理プロセス(NEXTプロセスと称する)におけるウラン晶析技術の開発を進めるとともに、三菱マテリアル,埼玉大学と共同でプルトニウムをウランと同時回収する共晶析技術の開発も実施している。上記の2つの晶析プロセスにおいて、結晶を生成する晶析装置は同様の形式の晶析装置が適用可能であり、日本原子力研究開発機構と三菱マテリアルは晶析システムの連続処理による処理量の向上と連続化による晶析工程の最適化を図るため、各種の晶析装置の比較検討を行い、円環型連続晶析装置からなる連続晶析システムを開発し、工学規模晶析装置を用いたウラン実証試験を実施した。この円環型晶析装置は傾斜して配置され、周囲に冷却ジャケットを持った円筒容器中に螺旋状のスクリューを有するシリンダーが回転する構造となっている。原料である溶解液は冷媒によって冷却されることで硝酸ウラニルが結晶として析出する。析出した結晶スラリーは回転する内筒スクリューにより移送され、結晶排出口から装置外に排出される。本報告では、この円環型連続晶析装置の構造,晶析特性等について報告する。
森田 泰治; 川田 善尚*; 峯尾 英章; 古志野 伸能*; 浅沼 徳子*; 池田 泰久*; 山崎 和彦*; 近沢 孝弘*; 田巻 喜久*; 菊池 俊明*
Proceedings of International Conference on Nuclear Energy System for Future Generation and Global Sustainability (GLOBAL 2005) (CD-ROM), 6 Pages, 2005/10
NCP(N-シクロヘキシル-2-ピロリドン)がウラニルイオンと選択的に沈殿を生成するという極めて特異な性質と沈殿物の取扱いの容易な点を利用し、使用済燃料溶解液中の大部分のウラニルイオンを選択的に沈殿させ、さらにプルトニウムをウランとともに沈殿させる、NCP沈殿法のみによる簡易再処理プロセスの開発研究を外部機関との連携で実施した。原研では、プロセス成立性の鍵を握るPu及び他の超ウラン元素の沈殿挙動について実験的に調べ、その結果プロセス成立性について十分な見通しを得た。
山崎 和彦*; 近沢 孝弘*; 田巻 喜久*; 菊池 俊明*; 森田 泰治; 川田 善尚*; 峯尾 英章; 古志野 伸能*; 浅沼 徳子*; 原田 雅幸*; et al.
Proceedings of International Conference on Nuclear Energy System for Future Generation and Global Sustainability (GLOBAL 2005) (CD-ROM), 4 Pages, 2005/10
NCP(N-シクロヘキシル-2-ピロリドン)がウラニルイオンと選択的に沈殿を生成するという極めて特異な性質と沈殿物の取扱いの容易な点を利用し、使用済燃料溶解液中の大部分のウラニルイオンを選択的に沈殿させ、さらにプルトニウムをウランとともに沈殿させる、NCP沈殿法のみによる簡易再処理プロセスの開発研究を実施した。本発表では、実機概念をもとに設計・製作した沈殿生成槽,沈殿分離機の操作性,性能試験の結果について述べる。
山本 正幸*; 石橋 純*
JNC TJ8440 2005-001, 72 Pages, 2005/03
ウラン廃棄物は、その主要核種が長半減期のウランであり、また、廃棄体からの放射線の影響をほとんど考慮しないでよいという特徴をもっている。これまでも余裕深度処分相当のウラン廃棄物の検討が実施されてきたが、これらの特徴が十分に反映されてこなかった。これらのウラン廃棄物の特徴を踏まえて次の合理的な処分概念を検討した。/1)岩盤空洞+コンクリートピット/ 2)岩盤空洞+モノリス 3)岩盤空洞+トレンチ/処分概念の操業中及び管理期間終了後の安全性について検討した。廃棄体から受ける作業者の被ばく線量は大きくないことがわかった。また、管理期間終了後、一般公衆が受ける被ばく線量は、人工バリアを軽減しても、大きく変化しないことがわかった。さらに、規制、操業、管理期間対応に関する課題点を摘出した。
古志野 伸能*; 原田 雅幸*; 野上 雅伸*; 森田 泰治; 菊池 俊明*; 池田 泰久*
Inorganica Chimica Acta, 358(6), p.1857 - 1864, 2005/03
被引用回数:53 パーセンタイル:88.15(Chemistry, Inorganic & Nuclear)UO(NO)L[L=-ノルマルブチル-2-ピロリドン,-シクロヘキシル-2-ピロリドン及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリドン]の構造をX線回折により解析した。これらの錯体は2の六角錘を合わせた構造であることがわかり、U=O結合及びU-O(配位子)結合の距離、及びU-O-C(カルボニル基)の角度を求めることができた。また、赤外及びラマンスペクトルの測定から錯体の振動周波数を求めた。配位子の配位数とO=U=O結合の振動周波数との関係から、各配位子の配位性を求めた。
前川 一彦*; 吉村 忠宏*; 菊池 俊明*; 星野 康史*; 宗片 英樹*; 清水 真*
JNC TJ9420 2005-004, 284 Pages, 2005/02
FBRサイクル実用化戦略調査研究では、候補となるFBRサイクルシステムについて安全性、経済性、環境負荷低減性、核拡散抵抗性、運転・保守補修性などの観点から総合的なシステム検討と特性評価を行っている。その一環として、FBR燃料を対象とする外部ゲル化プロセスによる振動充填燃料製造施設について調査を行った。 昨年度までに生産規模200tHM/yの燃料製造施設について、ゲル化工程および試薬回収工程の主要機器の概略検討を行うとともに、セル内機器配置設計、建屋配置設計を行い、安全性、経済性、廃棄物発生量等の検討を行ってきた。 今年度は、これまでの顆粒製造工程のほかに振動充填以降、燃料集合体貯蔵庫までを調査範囲に加え、遠隔自動化および遠隔保守性の観点から、主要機器の設計検討を深めるとともに、経済性を追求した小規模製造施設全体の概念を構築した。施設検討は50tHM/y規模施設を中心に実施し、生産規模200tHM/yの燃料製造施設についても見直し検討を行った。また、他の燃料製造システムとの比較評価を行うことを念頭に置き、振動充填以降の工程機器については、共通とするべき機器はペレット燃料製造と同等設計とした。その他、設計検討に基づき各規模施設の経済性及び環境負荷低減性に係わるシステム特性評価データを取得した。従来の設計と比較して、ゲル化顆粒製造工程についてはプラグ輸送型の気流輸送設備の採用などを前提として工程セルの高さを下げ、振動充填以降の工程については、ペレット燃料製造の合理化配置を適用することで、燃料製造建屋がコンパクトになった。
前川 一彦*; 吉村 忠宏*; 星野 康史*; 宗片 英樹*; 田巻 喜久*
JNC TJ9420 2005-003, 280 Pages, 2005/02
FBRサイクル実用化戦略調査研究の一環として、燃料製造システム間でプラント稼働率と廃棄物発生量の計算を行う特性評価シミュレーターを開発し、システム間の特性比較を実施した。今回はキャンペーン運転やバッチ処理装置に対応するプログラム改良を行ない、計算の精度を上げた。ペレットシステムとゲル化振動充填システムの比較を行なったところ、プラント稼働率及び環境負荷低減性の指標においてペレットシステムに有利な結果となった。
前川 一彦*; 吉村 忠宏*; 星野 康史*; 宗片 英樹*; 田巻 喜久*
JNC TJ9420 2005-002, 221 Pages, 2005/02
FBRサイクル実用化戦略調査研究では、候補となるFBRサイクルシステムについて安全性、経済性、環境負荷低減性、核拡散抵抗性、運転・保守補修性などの観点から総合的なシステム検討と特性評価を行っている。その一環として、簡素化ペレット法を適用した低除染ペレット燃料製造施設構成の合理化に関する調査を行なった。
草間 誠*; 近沢 孝弘*; 田巻 喜久*
JNC TJ8400 2005-006, 88 Pages, 2005/02
核燃料サイクル開発機構が開発を進めている先進湿式再処理(NEXT:New Extraction System for TRU Recovery)法では、経済性向上および廃棄物発生量低減の観点から、燃料溶解液からウランのみを部分的に回収し、溶媒抽出プロセスの処理量を低減する補完要素技術として晶析法に着目している。晶析法は温度による溶解度の違いを利用しており、新たな試薬を使用しないため、PUREX法を基盤とする再処理プロセスに適合すると考えられる。晶析法では析出したウラン結晶の精製度を高めるために、硝酸水溶液による洗浄操作を行うことを想定しているが、この洗浄操作に伴う結晶の溶解量等の評価に関するデータが十分ではない。そこで本試験では、洗浄液の硝酸濃度をパラメータに、結晶溶解量および精製度(除染係数)に与える影響を評価した。その結果、結晶の溶解量は硝酸濃度が高い方が抑制され、1M硝酸に比べて8M硝酸の溶解量は1/2程度に低減した。また、除染係数は8M硝酸に比べて1M硝酸の方が2倍程度に高まった。このように結晶溶解量と精製度に相関性があることを確かめられた。なお、本試験条件における結晶の溶解ロス率は1020%程度の範囲であった。次に、NEXT法の設計検討における燃料溶解液条件を想定し、ウラン溶液に模擬FP元素(Rb,Sr,Y,Zr,Mo,Ru,Cs,Ba,Nd)を添加した原料液を用いて、ウラン晶析試験および生成結晶の洗浄試験を行い、除染係数等のデータを取得した。その結果、設計検討付近の原料液濃度範囲においては、晶析操作によりBaがUとともに析出し、それ以外の元素は溶液中に残留することが確かめられた。設計範囲を外れる極端な濃度条件においてはCsが析出することも確認した。また、これら析出物以外は、ろ過操作のみで除染係数10程度、洗浄操作を行うことで100程度となり、ろ過および洗浄操作により精製度を高められることが確認できた。
辻本 恵一*; 三浦 房恵*; 諸岡 幸一*; 上田 真三*
JNC TJ8400 2004-021, 75 Pages, 2005/02
現象理解に基づいた信頼性が高く性能評価と密接に関連したデータベースの整備方策を検討すると共に,地層処分システムの安全評価における核種移行の個別モデルとしてコロイド影響に関する文献調査,実験及び評価コードの開発を行った。その結果,JNC-TDBに関しては最新の文献情報に基づき今後行うべき課題を抽出した。特にオーソライゼーションの観点では外部組織との連携が望まれ,地熱分野などとの情報共有の可能性が見出された。JNC-SDBに関してはNpのベントナイトへの収着についてSDB登録データを利用した等温線の評価を試み,整合性のあるデータが登録されていることを認識した。また,登録情報の信頼度を定量的に評価する方法を開発し,PuとNiのベントナイトへの収着に関する登録データについて適用を試みた。この結果では,特に信頼性の高い情報は少なく,むしろ信頼性の低い情報の存在が指摘された。コロイドに関する文献調査では,コロイドへの核種収着に関する多くの情報は時間スケールを考慮すると可逆的であることが示唆され,さらに今後の試験における留意点を整理した。多孔質系媒体中のコロイド共存下での核種移行に関するカラム実験ではSrをトレーサとして用い,コロイドの共存によりイオンだけの場合と異なる移行挙動が観察され,これを解析した。また多孔質系におけるコロイド共存下での核種移行を評価する数値解析コードCOLFRAC-MRLを開発し,今後より現象理解を深めていくための技術整備を図った。
辻本 恵一*; 三浦 房恵*; 諸岡 幸一*; 上田 真三*
JNC TJ8400 2004-020, 294 Pages, 2005/02
現象理解に基づいた信頼性が高く性能評価と密接に関連したデータベースの整備方策を検討すると共に,地層処分システムの安全評価における核種移行の個別モデルとしてコロイド影響に関する実験、及び評価コードの改良及び開発を行った。核種移行データベースに関しては、データベースの信頼性向上を図るための基礎データ構築手法を検討した。コロイドに関する評価コードの改良及び開発では,昨年度改良したコロイドの影響を考慮した核種移行計算コード(COLFRAC-mrl)を基にして、コードのユーザーインターフェイスの開発を行った。また、COLFRAC-mrlによるコロイドの影響を考慮した核種移行解析に基づく被曝線量評価を行い、コロイドー核種の吸着反応を、平衡論及び速度論的に扱った場合の線量への影響を検討した。コロイドに関する実験では、安全評価上の重要パラメータである核種-コロイドの分配係数に関する標準的測定手法の検討とデータ取得を行った。
古志野 伸能*; 原田 雅幸*; 森田 泰治; 菊池 俊明*; 池田 泰久*
Progress in Nuclear Energy, 47(1-4), p.406 - 413, 2005/00
被引用回数:24 パーセンタイル:82.03(Nuclear Science & Technology)N-シクロヘキシル-2-ピロリドン(NCP)がウラニルイオンと選択的に沈殿を生成するという性質を利用し、使用済燃料FBR燃料の簡易再処理プロセスの開発研究を実施している。NCPは、十分なウラニルイオンとの沈殿生成能力を持ち、核分裂生成物元素に対する除染性及び硝酸溶液における線への耐性も十分にあることが確かめられた。これらはNCPの再処理への適用性を示すものである。また、N-プロピル-2-ピロリドン(NProP), N-ブチル-2-ピロリドン(NBP)及びN-ブチル-2-ピリドン(NBPyr)の他の沈殿剤の性能も検討し、NProP及びNBPにおいては核分裂生成物に対してより高い除染係数が得られることを見いだした。これは、NProP及びNBPがNCPと比べ低疎水性であることによるものと考えられる。さらに、NBPyrの耐放射線性がNCPよりも優れることを示す試験結果も得た。