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佐々 成正; 叶野 琢磨*; 町田 昌彦; L'vov, V. S.*; Rudenko, O.*; 坪田 誠*
Physical Review B, 84(5), p.054525_1 - 054525_6, 2011/08
被引用回数:46 パーセンタイル:84.15(Materials Science, Multidisciplinary)本論文は、超流動における乱流現象を捉えた大規模シミュレーション結果とその理論的解釈を主題とした論文である。大規模シミュレーションは、超流動乱流の動力学的性質や統計的性質を解明するため、最大規模で2048メッシュというサイズで実施され、おもに地球シミュレータを利用し実行されている。その結果、さまざまなサイズで測定されたスペクトルを比較することで、高波数側で超流動特有のエネルギー散逸が現れることを高精度に捉えることに成功し、2008年に提案されていたL'vov-Nazarenko-Rudenkoによる慣性領域に続いて現れるボトルネック効果を例証した。なお、本成果は、超流動乱流の理解という基礎研究上の一つの成果ではあるが、液体ヘリウムを利用した高精度な放射線検出器開発に対しても有用な知見を与える成果でもある。
今村 俊幸*; 叶野 琢磨*; 山田 進; 奥村 雅彦*; 町田 昌彦
International Journal of High Performance Computing Applications, 24(3), p.319 - 334, 2010/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Computer Science, Hardware & Architecture)本論文は、CREST及び科学研究費補助金の研究計画に従い、地球シミュレータを利用してジョセフソン素子のシミュレーションのための高精度計算手法の研究開発において得られた成果についての発表である。今回対象にしたジョセフソン素子はテラヘルツレーザの発振素子であり、この素子のシミュレーションは、シュレーディンガー方程式の時間発展を追跡することから、素子の量子状態を表現する大規模行列の複数個の固有値,固有ベクトルを反復法で高速に計算することが求められる。発表者らは、この高速計算の必要性に対し、行列の非零要素の規則性を利用した地球シミュレータ向きの計算方法を開発し、地球シミュレータの4096プロセッサを利用したシミュレーション(次元の行列の5個の固有値)を通常2時間以上かかる計算を約30分で行うことに成功している。本成果から超並列計算機の性能を有効に利用するための重要な並列化・高速化手法の1つの指針が得られるうえ、ジョセフソン素子によるテラヘルツレーザ発振のシミュレーションも可能となり、デバイス設計を今後シミュレーションにて行うことが期待できる。
山田 進; 町田 昌彦; 叶野 琢磨; 今村 俊幸*; 小山 富男*
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 69(12), p.3395 - 3397, 2008/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Chemistry, Multidisciplinary)高温超伝導体で観測される現象(相互作用が強いとランダムネスによりペア同士のコヒーレンスは簡単に失われペアが局所化する)の要因を明らかにするため、2つの井戸型ポテンシャルを有するハバードモデルの数値シミュレーションを実施した。そのシミュレーション結果から、粒子間の相互作用が強くなることで、離れた2つの井戸型ポテンシャル間を粒子間が移動するという量子コヒーレンスの性質は劇的に抑えられることを確認した。これにより、強い相互作用が上記の現象の要因である可能性を指摘した。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 叶野 琢磨
Annual Report of the Earth Simulator Center April 2007 - March 2008, p.217 - 221, 2008/09
原子炉の炉心内熱流動挙動の詳細を大規模シミュレーションによって明らかにする研究を行っている。従来の熱設計手法ではサブチャンネル解析コードに代表されるように実験データに基づく構成式や経験式を必要とするが、新型炉に関しては熱流動に関する実験データが十分ではないため、従来手法による熱設計では高精度の予測は困難である。そこで、シミュレーションを主体とした先進的な熱設計手法を開発し、従来手法と組合せることによって効率的な新型炉開発の実現を目指している。本研究では、将来型軽水炉の燃料集合体内熱流動挙動を大規模シミュレーションによって地球シミュレータ上に再現することを最終目標としている。本報では、平成19年度に実施した稠密燃料集合体内水-蒸気沸騰二相流挙動の予測結果について報告する。19年度には、ベクトル化したACE-3Dコードを使って沸騰二相流解析を行い、燃料集合体内のボイドの移行挙動等について原子力機構保有のスカラー並列計算機Altixと同様の結果が得られることを確認した。
井戸村 泰宏; 井田 真人; 叶野 琢磨; 相羽 信行; 徳田 伸二
Computer Physics Communications, 179(6), p.391 - 403, 2008/09
被引用回数:83 パーセンタイル:95.43(Computer Science, Interdisciplinary Applications)革新的な無散逸保存型差分スキームを用いて新しい保存型グローバルジャイロ運動論的トロイダルfull-5次元ブラゾフシミュレーション(GT5D)を開発した。このスキームは現在のジャイロ運動論における重要な第一原理を満足することによって数値的な安定性を保証し、ロバーストかつ高精度なトカマク微視的乱流のシミュレーションを可能にする。GT5Dの妥当性は帯状流減衰テスト、イオン温度勾配駆動(ITG)モードの線形解析、及び、非線形ITG乱流シミュレーションのグローバルジャイロ運動論的トロイダル粒子コードとの比較により検証された。この比較では粒子及びメッシュアプローチに基づく二つのジャイロ運動論コードを用いてITG乱流の大域解を定量的に同定した。
石田 武和*; 西川 正利*; 藤田 賢文*; 岡安 悟; 片桐 政樹*; 佐藤 和郎*; 四谷 任*; 島影 久志*; 三木 茂人*; Wang, Z.*; et al.
Journal of Low Temperature Physics, 151(3-4), p.1074 - 1079, 2008/05
被引用回数:36 パーセンタイル:77.91(Physics, Applied)本論文では、ボロン同位体(質量数10)を増量した超伝導MgB中性子検出器は比較的高い温度で操作可能であることを示す。基本動作原理は、ボロン同位体が中性子をよく吸収し、核反応を起こすことで、超伝導転移近傍で大きな電気抵抗変化が瞬間的に起こることであり、実験用の原子炉から射出される冷中性子が高感度で検出可能となる。出力となる発生電位差については、デジタルオシロスコープを用いて低ノイズの増幅装置を用いることで十分に検出可能であることが分かった。また、詳細な上記核反応により起こる超伝導非平衡ダイナミクスについては、時間依存のギンツブルク・ランダウ方程式のシミュレーションをスーパーコンピュータ上で実施することにより追跡可能であり、観測事実とよく符号することが分かっている。
町田 昌彦; 叶野 琢磨*; 小山 富男*; 加藤 勝*; 石田 武和*
Journal of Low Temperature Physics, 151(1), p.58 - 63, 2008/04
被引用回数:11 パーセンタイル:45.95(Physics, Applied)本論文では、時間発展のギンツブルク・ランダウ方程式、マックスウエル方程式と熱伝導方程式を連立させてMgBの超伝導転移エッジにて中性子捕獲の後の非平衡超伝導ダイナミクスに対する大規模数値シミュレーションを行った結果について報告する。シミュレーションは電流バイアスの条件にて行われ、JRR-3にて実施された実験を説明するために実施されたが、得られた検出シグナルは、実験にて得られた観測シグナルとほぼ一致し、シミュレーションの正当性を十分に確認できるものとなった。この結果から、検出器のような極めて早いダイナミクスもシミュレーションにより実現できることが判明し、シミュレーションによる予測システムが十分に構築できることが分かった。
町田 昌彦; 叶野 琢磨*; 山田 進; 奥村 雅彦; 今村 俊幸*; 小山 富男*
Physica C, 468(7-10), p.689 - 694, 2008/04
被引用回数:18 パーセンタイル:59.74(Physics, Applied)最近、高温超伝導体を利用した量子デバイスの研究が盛んに行われている。その1つの理由は、高温超伝導体それ自身がジョセフソン接合であり、無数のジョセフソン接合のアレイとなっているためである。これは、デバイスを作る際に問題となる均一な接合の大量生産が容易に可能かどうかという点を既にクリアしており、大きな研究のモチベーションとなっている。この高温超伝導体に対し、本研究では、量子素子としての機能を見いだせるかどうかという観点から、理論的にその可能性や、可能性があるとした場合のその機能の特徴を調べた。その結果、mサイズかそれ以下にすると、量子効果が機能しはじめ、多数のジョセフソン接合が同期できることがわかった。これは、レーザーやその他の同期を必要とするデバイス開発にとって重要な基礎となる知見である。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*; 叶野 琢磨; Merzari, E.*; 二ノ方 壽*
Annual Report of the Earth Simulator Center April 2006 - March 2007, p.223 - 228, 2007/09
原子炉内熱流動挙動の詳細を大規模シミュレーションによって明らかにする研究を行っている。従来の熱設計手法ではサブチャンネル解析コードに代表されるように実験データに基づく構成式や経験式を必要とするが、新型炉開発では熱流動データベースが十分ではないため、従来手法による熱設計では高精度の予測は困難である。そこで、シミュレーションを主体とした先進的な熱設計手法を構築し、従来手法と組合せることによって効率的な新型炉開発の実現を目指している。このため、地球シミュレータを利用して次の研究を行っている。1つは将来型軽水炉の燃料集合体内二相流挙動を大規模シミュレーションによって計算機上に再現する研究であり、日本原子力研究開発機構が担当している。もう1つは、高速炉を対象にした複雑流路内乱流挙動を大規模シミュレーションによって解明する研究であり、これは東京工業大学が担当する。本報では、日本原子力研究開発機構による稠密燃料集合体内水-蒸気二相流挙動の詳細予測結果と東京工業大学による大規模乱流シミュレーションの結果について報告する。
石田 恒; 由良 敬; 叶野 琢磨; 松本 淳
Annual Report of the Earth Simulator Center April 2006 - March 2007, p.257 - 263, 2007/09
地球シミュレータは従来にはない大規模生体超分子系の分子動力学シミュレーションを可能とする計算能力を持つ。われわれは生体超分子系を扱う大規模な分子動力学シミュレーションシステムSCUBAを開発している。SCUBAは、地球シミュレータ360プロセッサ使用時でベクトル化率95%以上,並列化効率50%以上の優れた性能を達成している。本年度はSCUBAが必要とするメモリ使用量を最適化するためのチューニングをすることにより、百万原子以上からなる生体超分子の分子動力学シミュレーションを地球シミュレータ上で実行可能とした。さらに、マルチ時間ステップ法を装備することにより長時間シミュレーションを実行可能とした。そして、約200万原子からなるリボソーム(遺伝情報を翻訳する生体超分子)と新生ポリペプチドの複合体の系について分子動力学シミュレーションを実行した。結果、リボソームの機能に重要と考えられているねじれ運動を再現することに成功した。
清水 大志; 尾方 成信*; 君塚 肇*; 叶野 琢磨; Li, J.*; 蕪木 英雄
Journal of the Earth Simulator, 7, p.17 - 21, 2007/06
Predicting atomistic properties of a dislocation is a first step toward an understanding of plastic behavior of materials, in particular BCC metals. The core structure and Peierls stress of a screw dislocation in BCC metals have been studied over the years using the first-principles and empirical methods, however, their conclusions vary due to the inefficiency of the methods. We have executed first-principles calculations based on the density functional method, employing the most accurate 1120 k-point samplings, to determine the core structure and Peierls stress of the /2[111] screw dislocation of molybdenum. We have concluded that the core has a 6-fold structure, and determined the Peierls stress of 1.8 GPa for the simple shear strain along the (10) 111 direction.
山田 進; 今村 俊幸*; 叶野 琢磨; 大橋 洋士*; 松本 秀樹*; 町田 昌彦
Journal of the Earth Simulator, 7, p.23 - 35, 2007/06
閉じ込めた強相関系の量子状態を探査するため、その系を表現するハバードモデルの物理的性質を利用した地球シミュレータ向きの厳密対角化アルゴリズムを開発した。さらに、厳密対角化に伝統的に用いられてきたランチョス法の代替手法として共役勾配法に基づく固有値計算方法を採用することで、35倍の高速化を達成した。これらの研究開発により、系統的なシミュレーションが可能になり、これまで知られていなかった超流動状態の可能性を発見することができた。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*; 叶野 琢磨; 秋本 肇
Annual Report of the Earth Simulator Center April 2005 - March 2006, p.261 - 265, 2007/01
本報には、2005年4月から2006年3月にかけて実施した革新的水冷却炉の燃料集合体内二相流挙動に関する大規模シミュレーションの成果を示す。革新的水冷却の炉心には、直径13mm程の燃料棒が1mm程度の燃料棒間ギャップ幅で三角ピッチ状に稠密に配置される。このような稠密燃料集合体1カラムを対象にして3次元二相流シミュレーションを行い、次のような水と蒸気の分布挙動を明らかにした。(1)燃料棒表面が薄い液膜で覆われることや隣り合う燃料棒の間隔が最も狭い領域で液膜の架橋現象が起こる。(2)水平断面の燃料棒間隔が広い領域では狭隘部分に比べて局所的に流動抵抗が低いため水に比べて蒸気の方が流れやすい。(3)気泡の運動は流れ方向に対する移動が支配的であり、クロスフローのような水平断面方向への移動は小さい傾向にある。
石田 恒; 樋口 真理子; 米谷 佳晃*; 叶野 琢磨; 城地 保昌*; 北尾 彰朗*; 郷 信広
Annual Report of the Earth Simulator Center April 2005 - March 2006, p.237 - 240, 2007/01
地球シミュレータは従来にはない大規模生体超分子系の分子動力学シミュレーションを可能とする計算能力を持つ。そこで、われわれは数百万原子の生体超分子系を扱う大規模な分子動力学シミュレーションシステムSCUBA(旧名PABIOS)を開発している。SCUBAはPPM計算法,系のエネルギー,温度,圧力を一定に保つさまざまな時間積分アルゴリズム,系の原子分布異方性により引き起こされる並列化効率の悪化を防ぐための動的ロードバランスなど、最新のアルゴリズムを採用した計算性能に優れたシミュレーションシステムである。本年度は、約55万原子の系(RuvAB-Holliday分岐DNA)について分子動力学シミュレーションを実行した結果、地球シミュレータで360個のプロセッサを用いてもSCUBAはベクトル化率95%以上,並列化効率50%以上の優れた性能を達成することに成功した。そして、ホリデイジャンクションモデル(RuvA-Holliday分岐DNA)の長時間分子動力学シミュレーションを実行することで、Holliday分岐DNA結合タンパク質RuvAがDNAを組み換えるメカニズムを分子レベルで明らかにすることができた。
山田 進; 今村 俊幸*; 叶野 琢磨; 町田 昌彦
Proceedings of International Conference for High Performance Computing, Networking, Storage and Analysis (SC '06) (CD-ROM), 12 Pages, 2006/11
量子多体系の物性は、そのモデルのエネルギーを表現するハミルトニアン行列の固有状態を計算することで知ることができるが、この行列の大きさは物理モデルサイズ(粒子数など)の増加に伴って急速に増加する。そこで本研究では、世界最大級の計算機である地球シミュレータを利用した場合、どれだけ大きいサイズの量子多体系が扱えるか、そして、どれくらいの速度でそれらが計算できるか(どれだけ高速化できるか)を調べることとした。その結果、地球シミュレータの4992プロセッサを利用した計算において、1200億次元のハミルトニアン行列の基底状態を45秒、40万次元の行列の全固有状態を12000秒で計算することに成功した。前者の計算速度は24.5TFLOPS(ピーク性能の61%)であり、これは地球シミュレータのアプリケーションとして最高レベルの計算性能である一方、後者の40万次元の行列は、全固有状態を求める計算において標的とした行列としては世界最大の大きさである。
高瀬 和之; 小瀬 裕男*; 吉田 啓之; 叶野 琢磨; 青木 尊之*
日本機械学会関東支部第12期総合講演会講演論文集, p.229 - 230, 2006/03
革新的水冷却炉の炉心では、燃料棒は1mm程度の間隔で三角格子状に稠密に配置され、その間隙を冷却材である水が流れる。水は燃料棒の加熱によって沸騰し、蒸気と水の気液二相流となる。したがって、炉心熱設計を行う場合、相変化を含む気液二相流の挙動を正確に把握する必要がある。本報では、稠密体系に配置された燃料棒まわりに形成される大量の気泡が合体,分裂を繰り返しながら下流へと移行する挙動を数値的に調べた。その結果、微小気泡は時間とともに合体を繰り返しながら大きな気泡に成長するが、稠密流路の体系では気泡は燃料棒間隔の最も狭い領域よりもそれに隣り合う流路面積の広い領域を流れやすい傾向にあることがわかり、シミュレーションによる炉心熱設計手法開発についての見通しを高くできた。
宮下 敦巳; 吉川 正人; 叶野 琢磨; 大沼 敏治*; 酒井 高行*; 岩沢 美佐子*; 曽根田 直樹*
Annual Report of the Earth Simulator Center April 2004 - March 2005, p.287 - 291, 2005/12
Siに比べ優れた物理特性を持つSiCを用いた半導体デバイスは、従来のSiやGaAs半導体デバイスでは動作が困難な、原子炉や宇宙環境等、極限環境下で用いられる素子として期待されている。半導体素子界面では原子レベルの欠陥の荷電状態が電気特性を支配しているため、この界面構造を計算機上で模擬し、界面欠陥構造がどのようにデバイス特性に影響するのか導出するため、地球シミュレータを用いた第一原理分子動力学計算で界面構造を構築し電子構造を決定する。400原子程度の中規模モデルを用いてアモルファス界面構造生成を行った。加熱温度は4000K、加熱時間は3ps、急冷速度は-1000K/ps、界面でのSiC可動層は4層とし、2200Kで側終端固定層を開放し自由端とすることによって、層でのアモルファス化を促進させた。生成された界面はダングリングボンドが消滅しており、清浄界面に近い状態が再現されたが、バンドギャップ中には欠陥準位が存在するのが観察された。欠陥準位は界面に存在する酸素から生じており、結合に寄与できない局在した電子分布が準位の原因となっていることがわかった。
石田 恒; 樋口 真理子; 米谷 佳晃*; 叶野 琢磨; 城地 保昌*; 北尾 彰朗*; 郷 信広
Annual Report of the Earth Simulator Center April 2004 - March 2005, p.241 - 246, 2005/12
地球シミュレータは従来にはない大規模超分子系の分子動力学シミュレーションを可能とする計算能力を持つ。そこで、われわれは数百万原子のシステムを扱う大規模な分子シミュレーション(PABIOS)を開発している。PABIOSは空間分割法を用いており高い並列化効率を持つ。PABIOSは系のエネルギー,温度,圧力を一定に保つさまざまな時間積分アルゴリズム,原子結合長を固定することにより時間ステップの増大を可能とするSHAKE, RATTLEアルゴリズムなどの高精度アルゴリズムを採用した計算性能に優れたシミュレーションシステムである。今回、系の原子分布の異方性による並列化効率の悪化がおこらないように、動的ロードバランスを開発した。ホリデイ分岐DNAとDNA結合蛋白質RuvA4量体の複合体が水中に存在する系(全系16万6千原子)について分子動力学シミュレーションを実行した結果、地球シミュレータで120個のプロセッサを用いてもPABIOSはベクトル化率95%以上,並列化効率50%以上の優れた性能を達成することに成功した。そして計算速度も昨年度と比べて約2倍程度向上した。
小瀬 裕男*; 高瀬 和之; 吉田 啓之; 叶野 琢磨; 秋本 肇
第18回数値流体力学シンポジウム講演要旨集(CD-ROM), 6 Pages, 2004/12
原子炉における冷却材の複雑な伝熱現象や相変化を含む混相流挙動に関する物理的メカニズムの詳細を数値的に解明し、また、原子炉燃料集合体をフルサイズで模擬した体系下で熱流動挙動の詳細を計算機上に再現することを目的として、地球シミュレータ等を利用した大規模シミュレーション技術の開発を行っている。本報は、技術開発の一環として行った将来型水冷却炉内二相流挙動の3次元予測結果について述べる。本提案の解析手法によって、狭隘流路を有する将来型水冷却炉の燃料集合体内の3次元水-蒸気分布の詳細を数値予測できる見通しを得た。また、気液界面の二相流構造,気泡の合体・分裂メカニズムに関して有益な知見を得た。
石田 恒; 城地 保昌*; 樋口 真理子; 叶野 琢磨; 北尾 彰朗*; 郷 信広
Annual Report of the Earth Simulator Center April 2003 - March 2004, p.175 - 179, 2004/07
地球シミュレータは従来にはない大規模超分子系の分子動力学シミュレーションを可能とする計算能力を持つ。そこで、われわれは数百万原子のシステムを扱う大規模な分子シミュレーション(PABIOS)を開発している。PABIOSは空間分割法を用いており高い並列化効率を持つ。PABIOSは系のエネルギー,温度,圧力を一定に保つさまざまな時間積分アルゴリズム,原子結合長を固定することにより時間ステップの増大を可能とするSHAKE, RATTLEアルゴリズムなどの高精度アルゴリズムを採用した計算性能に優れたシミュレーションシステムである。ホリデイ分岐DNAとDNA結合蛋白質RuvA4量体の複合体が水中に存在する系(全系16万6千原子)について分子動力学シミュレーションを実行した結果、地球シミュレータで144個のプロセッサを用いてもPABIOSはベクトル化率95%以上,並列化効率50%以上の優れた性能を達成することに成功した。