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永井 浩大*; 藤原 秀紀*; 荒谷 秀和*; 藤岡 修平*; 右衛門佐 寛*; 中谷 泰博*; 木須 孝幸*; 関山 明*; 黒田 文彬*; 藤井 将*; et al.
Physical Review B, 97(3), p.035143_1 - 035143_8, 2018/01
被引用回数:22 パーセンタイル:70.74(Materials Science, Multidisciplinary)フェリ磁性体MnVAl単結晶の電子構造を軟X線吸収磁気円二色性(XMCD)、軟X線共鳴非弾性散乱(RIX)によって調べた。全ての構成元素のXMCD信号を観測した。Mn L XMCDの結果は、密度汎関数理論を基にしたスペクトル計算により再現でき、Mn 3状態の遍歴的性質が明らかとなった。V LXMCDの結果はイオンモデル計算によって定性的に説明され、V 3電子はかなり局在的である。この描像は、V L RIXSで明らかとなった局所的な遷移と矛盾しない。
森 健雄*; 北山 賢*; 金井 惟奈*; 内免 翔*; 藤原 秀紀*; 東谷 篤志*; 玉作 賢治*; 田中 新*; 寺嶋 健成*; 今田 真*; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 83(12), p.123702_1 - 123702_5, 2014/12
被引用回数:16 パーセンタイル:68.25(Physics, Multidisciplinary)正方晶YbRhSi及びYbCuSiに対して、角度分解内殻光電子分光における直線偏光線二色性を発見し、それにより、基底状態の強相関4軌道の対称性を明らかにした。理論計算から、この線二色性は結晶場効果に由来する異方的な電荷分布を反映することが示された。結晶場の第一励起エネルギーよりもはるかに低温での測定により、両物質の基底状態の4波動関数の決定に成功した。更に、温度依存性測定により、励起状態の対称性についても調べた。
田中 滋; 阿部 雄一; 川邊 勝; 沓掛 忠三; 荻沼 義和; 山田 正行; 鈴木 卓美; 山西 敏彦; 今野 力
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.9, p.338 - 341, 2010/08
日本原子力研究開発機構内で核融合中性子工学用中性子源(FNS)で使用している小型トリチウムターゲット製作のR&Dを行っている。トリチウムターゲットは銅基盤にチタンを蒸着し、そのチタンにトリチウムを吸着させたものである。チタンは酸素に活性であり、空気に触れると直ちに数mの酸化膜を形成する。最初はこの酸化膜がトリチウム吸着を妨げていると考え、アルゴンガスによるチタン表面の放電洗浄を行った。しかし数多くの重水素吸着テストを通して、トリチウム吸着を妨げているのは酸化膜というよりも空気中の水分であることがわかった。このため次の手順が必要である。(1)トリチウム吸着容器内のアウトガスを十分行うこと。(2)チタンが蒸着された基盤の取扱は湿度を3%以下に保つこと。(3)チタンが蒸着された基盤は真空中で保管すること。この方法で製作したトリチウムターゲットのFNS加速器の重陽子ビーム照射によるDT中性子発生量は、チタン表面を放電洗浄したものと同じであった。これにより小型トリチウムターゲットの製作条件は確立した。
居田 克巳*; 坂本 宜照; 吉沼 幹朗*; 竹永 秀信; 永岡 賢一*; 林 伸彦; 大山 直幸; 長壁 正樹*; 横山 雅之*; 舟場 久芳*; et al.
Nuclear Fusion, 49(9), p.095024_1 - 095024_9, 2009/09
被引用回数:31 パーセンタイル:73.73(Physics, Fluids & Plasmas)LHDヘリオトロン装置とJT-60Uトカマク装置におけるイオン系内部輸送障壁形成と不純物輸送のダイナミックスの比較について分析した。特に、両装置においてイオン温度等を測定する荷電交換分光装置の高性能化が行われ、次のような新しい知見を得ることができた。まず、内部輸送障壁の形成位置について、JT-60Uでは形成位置が外側へ拡大しつつ局在化するが、LHDではターゲットプラズマに依存して内側あるいは外側に移動する。また、不純物輸送に関しては、JT-60Uでは内向きの対流があるのに対して、LHDでは外向きの対流によって不純物ホールが形成されることを明らかにした。LHDにおいて観測された外向きの対流は、新古典理論の予想と相反しており、今後さらなる分析を行う予定である。
佐藤 聡; 高倉 耕祐; 落合 謙太郎; 近藤 恵太郎; 立部 洋介; 大西 世紀; 和田 政行*; 沓掛 忠三; 田中 滋; 阿部 雄一; et al.
Fusion Science and Technology, 56(1), p.227 - 231, 2009/07
被引用回数:1 パーセンタイル:10.21(Nuclear Science & Technology)これまでにFNSで行ってきたブランケット核特性実験において、FNSのDT中性子線源の周囲に反射体を設置した実験等で、トリチウム生成率の計算結果は、実験結果を10%以上過大評価していた。これらの過大評価の原因として、鉄やベリリウムでの後方散乱中性子の計算に問題がある可能性を指摘してきた。本研究では、この問題が他の実験データでも現れるかどうかを調べるために、放射化箔法を用いて、ITERテストブランケットモジュールを模擬したベリリウム体系とSUS体系の2つの模擬体系を用いて、各々、反射体あり及びなしの条件でDT中性子照射実験を行い、体系内の金とニオブの反応率分布を測定した。実験の解析は、モンテカルロ計算コードMCNP-4C,核データライブラリーFENDL-2.1で行った。金の反応率の計算結果は、ほとんどの位置で実験結果と7%以内で一致した。反射体ありの実験での計算結果と実験結果の比は、反射体なしの実験での比に比べて、高くなる傾向を示した。ニオブの反応率に関しては、反射体ありの実験での計算結果と実験結果の比と、反射体なしの実験での比との間で、有意な違いは見られなかった。詳細な結果を、本会議にて発表する。
居田 克巳*; 坂本 宜照; 稲垣 滋*; 竹永 秀信; 諫山 明彦; 松永 剛; 坂本 隆一*; 田中 謙治*; 井手 俊介; 藤田 隆明; et al.
Nuclear Fusion, 49(1), p.015005_1 - 015005_7, 2009/01
被引用回数:14 パーセンタイル:47.29(Physics, Fluids & Plasmas)LHDとJT-60Uの内部輸送障壁プラズマにおけるダイナミック輸送解析について述べる。ダイナミック輸送解析とは、外部加熱による過渡応答中の輸送解析である。両装置において、内部輸送障壁プラズマへの遷移に伴い、その内側領域における温度分布の平坦化(輸送の増大)を同定した。また、内部輸送障壁領域の温度分布の曲率が正から負へ自発的に遷移する現象を観測した。これらの現象は、今後さらなる分析を要するが、空間的な乱流輸送の強い相互作用を示唆している。
落合 謙太郎; 佐藤 聡; 和田 政行*; 飯田 浩正; 高倉 耕祐; 沓掛 忠三; 田中 滋; 阿部 雄一; 今野 力
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1725 - 1728, 2008/12
被引用回数:1 パーセンタイル:10.01(Nuclear Science & Technology)ITER/ITAタスクにおいて、ITER真空容器壁と水平ポートプラグの境界にあるギャップ構造を模擬した体系によるDT中性子ストリーミング実験を実施した。ギャップ空間の高速及び低速中性子を測定するためにマイクロフィッションチェンバーと放射化箔による核分裂率及び反応率測定を行った。実験解析にはモンテカルロ計算コードMCNP4C並びにSn計算コードTORT, Attilaを用いた。核データライブラリはFENDL-2.1を採用した。実験結果から以下のことが明らかになった。(1)MCNP, TORT及びAttilaによる高速中性子輸送計算は深さ約100cmまで精度よく評価できる。(2)Sn計算コードTORT及びAttilaではupward biasedあるいはlast collided線源計算手法が不可欠である。
西谷 健夫; 佐藤 聡; 落合 謙太郎; 沓掛 忠三; 田中 滋; 阿部 雄一; 今野 力
Fusion Science and Technology, 52(4), p.791 - 795, 2007/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)核融合中性子源FNSを用いて、水冷却固体増殖型のITERテストブランケットモジュールの開発のための中性子工学研究を行っている。これまでの研究では、チタン酸リチウムの増殖材,ベリリウムの増倍材,低放射化フェライト鋼F82Hの構造材の平板模擬体系を用いた実験を行ったが、今回はさらに、水冷却層と増殖材ペブル層を加えた実験を実施した。模擬体系にD-T中性子を照射し、増殖材層中に埋め込んだ、炭酸リチウムのペレットを照射後取り出し、トリチウム生成率を測定し、中性子モンテカルロ計算と比較した結果、5%の範囲内で一致することを確認した。またITERテストブランケットモジュールの中性子計装の検討を行った。ITERの環境下でテストブランケットモジュールの核特性の確認を行うためには、ブランケット内の中性子束とスペクトルを測定することが不可欠であり、それぞれマイクロフィッションチェンバーと小型の放射化箔気送管装置を提案した。
小島 久雄; 土尻 滋; 田中 和彦; 武田 誠一郎; 野村 茂雄
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems (Global 2007) (CD-ROM), p.273 - 282, 2007/09
核燃料サイクル開発機構東海事業所から業務を引き継いで設立された核燃料サイクル工学研究所は、1959年にウラン精錬技術からの研究をもって事業を開始し、ウラン濃縮技術,軽水炉再処理,MOX燃料製造にかかわる技術開発を達成したほか、高レベル放射性廃棄物処分,高速増殖炉燃料再処理技術の研究開発を実施しており、その間適切な環境放出放射能の管理,核物質の管理を実施してきた。今後も、FBRからLWRへの過渡期の再処理技術開発,MOX燃料製造技術改良,先進的FBR燃料再処理技術開発,高レベル放射性廃棄物処分技術開発の各分野にかかわる研究開発により、核燃料サイクルの実現に貢献していく。
佐藤 聡; Verzilov, Y.*; 落合 謙太郎; 和田 政行*; 沓掛 忠三; 田中 滋; 阿部 雄一; 関 正和; 荻沼 義和*; 川辺 勝*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 44(4), p.657 - 663, 2007/04
被引用回数:9 パーセンタイル:54.69(Nuclear Science & Technology)固体増殖材ブランケット中のトリチウム生成率に関する予測精度を評価するために、原子力機構FNSのDT中性子源を用いて、中性子工学積分実験を行っている。本研究では、DT中性子源の周囲に、核融合炉を想定した反射体を設置し、濃縮増殖材(チタン酸リチウム)2層,ベリリウム3層から成るブランケットモックアップを用いて、核特性実験を行った。トリチウム検出器として、濃縮増殖材(炭酸リチウム)ペレットを適用し、トリチウム生成率分布を詳細に測定した。モンテカルロ計算コードMCNP-4C,核データライブラリーFENDL-2.0及びJENDL-3.3を用いて、数値計算シミュレーションを行った。トリチウム生成率の計算結果の実験結果に対する比(C/E)は0.971.17、積算トリチウム生成量のC/Eは1.041.09であった。積算トリチウム生成量は、最新のモンテカルロ計算コード及び核データを用いることによって、10%以内の精度で予測できることがわかった。
片山 寿人*; 北村 治滋*; 森 真理*; 中川 淳也*; 吉田 貴宏*; 河合 敏彦*; 長谷 純宏; 田中 淳
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 94, 2007/02
滋賀県では、窒素による琵琶湖の富栄養化が重大な問題となっており、そのうち16%が農業排水からの流入と見積もられている。本研究では、イオンビーム突然変異技術を利用した少肥栽培向き水稲育種を目指し、水稲玄米に炭素イオンビームを照射した個体における生育への影響を調査した。供試材料は、滋賀県で育成した水稲品種「秋の詩」及び「大育1743」を用いた。イオンビーム照射区では、茎長と穂数に変化が認められたが、大きな形態変異が認められなかったことから、限定的な遺伝子の変異であると考えられた。今後は、穂数を指標にして変異体を選抜し、さらに窒素吸収能や窒素利用率が高い変異体を選抜する予定である。
佐藤 大祐*; 森 真理*; 片山 寿人*; 北村 治滋*; 河合 敏彦*; 藤巻 秀; 鈴井 伸郎; 河地 有木; 石井 里美; 松橋 信平; et al.
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 128, 2007/02
窒素は作物生産で最も重要な元素であるが、水環境への汚染負荷原因物質として農地からの流出が問題となっており、農地への投入窒素量を低減しても高い生産性が維持できるイネの開発が急務となっている。この課題を解決するために、イネの硝酸吸収にかかわる硝酸イオントランスポーターを高発現させた形質転換イネを作出し、ポジトロン放出核種を用いた計測によりその特性の解析を行った。根で吸収された硝酸イオンを地上部へ輸送する能力について、野生株と硝酸イオントランスポーター高発現株とで比較したところ、硝酸イオントランスポーター高発現株では、単位時間あたり・単位根乾重量あたりの硝酸吸収量が野生株の1.6倍であることがわかった。また、PETISによる根から地上部へのNの移行計測でも同様の傾向が確認されていることから、硝酸イオントランスポーター高発現イネは野生株のイネに比べ、根を介した地上部への高い硝酸輸送能を持つことが明らかになった。
小原 真司*; 加藤 健一*; 木村 滋*; 田中 均*; 臼杵 毅*; 鈴谷 賢太郎; 田中 宏志*; 守友 浩*; 松永 利之*; 山田 昇*; et al.
Applied Physics Letters, 89(20), p.201910_1 - 201910_3, 2006/11
被引用回数:204 パーセンタイル:97.89(Physics, Applied)アモルファス-結晶相変化型記録(DVD)材料として代表的なアモルファスGeSbTeの3次元的原子配置を放射光X線回折と逆モンテカルロシミュレーションによって明らかにした。その結果、アモルファスGeSbTeの構造は、4と6の偶数個の原子がつくるリングから成り立っており、GeSbTe結晶がNaCl型で4員環(4角形)のみからなることと類似している。一方、あまり相変化記録速度の速くないアモルファスGeTeでは、Ge-Ge結合が優先的にできてしまうために奇数個の原子からなるリングも多数存在する。こうした結晶とのトポロジカルな類似性がアモルファスGeSbTeの相変化(結晶化)速度を速め、DVD材料として適当とならしめていることが明らかになった。
居田 克巳*; 藤田 隆明; 福田 武司*; 坂本 宜照; 井手 俊介; 東井 和夫*; 稲垣 滋*; 下妻 隆*; 久保 伸*; 出射 浩*; et al.
Plasma Physics and Controlled Fusion, 46(5A), p.A45 - A50, 2004/05
被引用回数:19 パーセンタイル:53.04(Physics, Fluids & Plasmas)LHDプラズマとJT-60Uプラズマでは低密度プラズマにECHの追加熱を行うと、中心電子温度が上昇し電子系の内部輸送障壁が形成され、電子温度勾配が大きくなる。プラズマの主半径を温度勾配のスケール長で割った値(R/LTe)が電子温度勾配モデルから想定される一つの指標として用いられている。密度で規格化したECHのパワーによってこのR/LTeがどのように変化するかを調べた。LHDプラズマでは、あるパワーにてR/LTeが急激に増大し、内部輸送障壁形成に必要なECHパワーのしきい値の存在を示しているのに対し、JT-60Uのプラズマでははっきりしたしきい値が観測されなかった。この違いは輸送障壁形成機構の違いを示していると考えられる。一方、輸送障壁形成時の電子温度分布にも、LHDプラズマとJT-60Uプラズマで差が観測されている。JT-60Uプラズマでは輸送障壁が形成されるにつれて、プラズマの中心部の温度に平坦化が見られるが、LHDプラズマでは平坦化が観測されていない。これは回転変換分布(q分布)の違いが原因と考えられる。
田中 正暁; 川島 滋代*; 五十嵐 実; 林 謙二; 飛田 昭; 上出 英樹
JNC TN9400 2003-117, 65 Pages, 2004/03
温度の異なる流体が混合することにより生じる温度変動が構造材に伝わると、構造材に高サイクル熱疲労(サーマルストライピング現象)が発生する場合がある。冷却材に液体金属ナトリウムを使用する高速炉では、水に比べてナトリウムの熱伝導率が高いことから液体の温度変動が構造に伝わり易く、本現象の評価は重要な課題である。核燃料サイクル開発機構では、T字管体系の配管合流部におけるサーマルストライピング現象に着目し、T字管における混合現象及び実機プラントで観測されている長周期温度変動の原因を解明するために、長周期温度変動水流動試験を実施している。可視化試験の結果から、流入条件の違いにより噴流形態を(A)衝突噴流(B)偏向噴流(C)再付着噴流(D)壁面噴流に分類でき、各噴流形態は主/枝配管流体の運動量比により整理できることを明らかにした。 本研究では、主配管に枝配管が接続する合流部下流の主配管内表面に感温液晶シート貼り付け、配管表面温度の測定を試みた。配管表面温度は、感温液晶シートによる可視化画像から温度データに変換して定量的に取得する。画像解析による輝度値データから温度データヘの変換にかかる不確かさについて検討し、感温液晶シートによる温度測定誤差は10の感温範囲に対して平均土約2度Cであることが分かった。感温液晶試験の結果から、(A)衝突噴流条件及び(D)壁面噴流条件のケースでは枝配管下流の主配管内面に、枝配管からの低温流体によるコールド・スポツトが形成され、このコールド・スポツトは時間的に変動し、コールド・スポツトの周辺では温度変動強度が高い値を示すことがわかった。これにより、(A)衝突噴流条件及び(D)壁面噴流条件が配管への熱疲労の観点から厳しい流動条件であることが分かった。壁面に設置した熱電対データとの比較から、感温液晶シートを用いた本手法による温度分布測定結果は熱電対による粗な空間分布を補間するものとして有用であることを確認した。
五十嵐 実; 田中 正暁; 木村 暢之; 中根 茂*; 川島 滋代*; 林 謙二; 飛田 昭; 上出 英樹
JNC TN9400 2003-092, 100 Pages, 2003/11
高サイクル熱疲労の研究は、高速炉における構造健全性の観点で重要である。サイクル機構では高速炉における熱疲労評価手法を確立するために種々の実験及び解析コードの整備を実施している。本報は、T字管水試験による温度・速度場計測を実施した。温度測定の結果から、主/枝配管の運動量比が等しければ、温度変動の周波数特性は無次元化したパワースペクトル密度が一致することがわかった。流速測定の結果から、運動量比が等しければ合流部のフローパターンは一致することがわかった。また伝達関数による熱伝達率の推定から、時間的に一定な熱伝達率により温度変動の流体から構造への伝達は表現できることがわかった。
吉田 茂生*; 西谷 健夫; 落合 謙太郎; 金子 純一*; 堀 順一; 佐藤 聡; 山内 通則*; 田中 良平*; 中尾 誠*; 和田 政行*; et al.
Fusion Engineering and Design, 69(1-4), p.637 - 641, 2003/09
被引用回数:9 パーセンタイル:53.15(Nuclear Science & Technology)核融合炉からのスカイシャインは炉の安全の評価上重要であるが、これまでD-T中性子に対するスカイシャインの実験的評価はほとんどなかった。そこで原研の核融合中性子源FNSを用いてD-T中性子に対するスカイシャイン実験を実施した。FNS第一ターゲット室の天井のスカイシャインの実験用遮蔽ポート(1m1m)を開放し、上空向かって中性子を打ち上げ、散乱中性子及び2次線の分布を線源から 550mまでの範囲で測定した。中性子に対しては、He-3レムカウンタ,BF-3比例計数管,線に対しては、大形NaIシンチレータ検出器及びGe半導体検出器を使用した。測定された線量は中性子がほとんどを占め、1.710n/sの発生率に対し、線源から150m及び400mでそれぞれ0.1Sv/h,0.01Sv/hであった。またJENDL-3.2を用いたモンテカルロ計算(MCNP-4B)と比較した結果、150mまでは、実験値とよく一致することがわかった。また空中に打ち上げられた中性子を線上中性子源とみなす解析モデルは非常によく実験値を再現することがわかった。2次線に関しては6MeVの高エネルギー線が主になっており、スカイシャイン中性子が地中で起こすSi(n,)反応によると考えられる。
五十嵐 実; 川島 滋代*; 中根 茂*; 田中 正暁; 木村 暢之; 上出 英樹
JNC TN9400 2003-005, 80 Pages, 2003/02
温度の異なる流体が混合することによって発生する温度変動により、構造材内部に高サイクル熱疲労が発生する現象(サーマルストライピング現象)を評価することは、原子力のみならず一般プラントにおいても重要な課題である。核燃料サイクル開発機構では、本現象の解明とともに設計に適用できる評価ルールを構築するために実験及び解析コードの整備を実施している。T字管体系の配管合流部におけるサーマルストライピング現象に関しては、評価ルールを具体化するために、長周期温度変動水流動試験(WATLON:Water Experiment of Fluid Mixing in T-pipe with Long Cycle Fluctuation)を実施している。 本研究では、直接シミュレーション(DNS)コードによる解析を実施し、熱電対ツリーによる詳細な温度分布測定及び粒子画像流速測定法(PIV)による詳細な速度分布測定結果との比較からコードの適用性を評価するとともに、温度変動に影響を及ぼすと考えられる渦構造の解明を試みた。 DNSによる解析は、試験(壁面噴流と衝突噴流の2ケース)で得られた時間平均温度場及び速度場をほぼ再現できることがわかった。また、解析結果は、温度測定試験における壁面噴流条件で得られた温度変動強度の高い位置に発生する温度変動の卓越周波数も精度良く再現できた。 DNSによる解析結果から、壁面噴流条件における温度変動強度の高い位置に発生する温度変動は、枝配管から出た噴流の後流域に生成されるカルマン渦によるものであることがわかった。また、この枝配管後流域に生成される渦は3次元的な挙動を示していることが確認された。
米澤 康滋*; 田中 晋平*; 久保田 智巳*; 若林 克三*; 油谷 克英*; 藤原 悟
Journal of Molecular Biology, 323(2), p.237 - 251, 2002/10
被引用回数:76 パーセンタイル:75.06(Biochemistry & Molecular Biology)アルツハイマー病等のアミロイドーシスに特徴的なアミロイド繊維は、広く種々の蛋白質において形成されることが知られている。アミロイド形成機構の解明はアミロイド疾患の治療,予防だけでなく、foldingや安定性に関係した蛋白質の性質そのものを考えるうえでも重要である。ニワトリ卵白リゾチーム(HEWL)は高エタノール濃度溶液中でアミロイド繊維を形成することが知られている。われわれはHEWLのアミロイド形成過程を調べるために、種々のエタノール濃度及び蛋白質濃度におけるHEWL溶液のX線及び中性子小角散乱実験を行った。その結果、エタノール濃度及び蛋白質濃度の関数としてのHEWLの構造状態は、単量体状態,2量体の形成状態,プロトフィラメントの形成状態,プロトフィラメント状態、そしてアミロイド繊維の形成状態に区別されることが示された。また、円二色性測定も併せて行い、HEWLの大きな2次構造変化は2量体形成の際にのみ起こることを明らかにした。さらに、それぞれの状態の詳しい構造キャラクタリゼーションを行い、2量体は細長い構造をとり、プロトフィラメントはその2量体が横向きに重なった構造、さらにアミロイド繊維形成はプロトフィラメント同士の会合によって起こることを明らかにした。
足立 裕彦*; 田中 功*; 西谷 滋人*; 小笠原 一禎*; 石井 琢悟*; 青嶋 厚; 駒 義和
JNC TY8400 2002-009, 20 Pages, 2002/05
既存の再処理工程の高度化・最適化や将来の再処理技術の確立のためには、ミクロな現象の理解と量子化学的手法に基づく理論的な評価手法の開発が必要である。ランタニド・アクチニドのような重元素を含んだ物質の電子状態計算を行う際には、相対論DV-X法のように、相対論効果を正確に取り入れた手法が必要となるが、既存のプログラムではスピン分極が考慮されておらず、4f,5f電子をもつ化合物などへの適用は難しかった。そこで本研究では、スピン分極を考慮した相対論DV-X分子軌道計算プログラムを新たに開発し、更にその応用としてランタニド・アクチニド化合物における化学結合状態の非経験的な解析を行った。ランタニド3塩化物では、スピン分極を考慮することによりGdにおける電子状態の不連続性(Gdブレイク)を第一原理計算によって再現することに成功した。また、アクチニド化合物では、化学結合性の価数依存性が配位子により大きく変化することがわかった。更に、硝酸ウラニルおよびウランを他のアクチニド元素で置き換えた化合物における化学結合状態は原子種に依存して極めて複雑な変化をすることが明らかとなった。