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論文

Direct observation of symmetrization of hydrogen bond in $$delta$$-AlOOH under mantle conditions using neutron diffraction

佐野 亜沙美; 服部 高典; 小松 一生*; 鍵 裕之*; 永井 隆哉*; Molaison, J. J.*; Dos Santos, A. M.*; Tulk, C. A.*

Scientific Reports (Internet), 8(1), p.15520_1 - 15520_9, 2018/10

 被引用回数:5 パーセンタイル:15.99(Multidisciplinary Sciences)

含水鉱物の高圧相である$$delta$$-AlOOHについて、地球深部に相当する高圧環境下で水素結合に関連すると考えられる物性の変化が起きることが報告されていたが、その原因については議論があった。今回、J-PARC MLFのPLANETおよびSNSのSNAPにおける高圧下中性子実験により$$delta$$-AlOOHの水素位置の圧力変化を観測し、水素原子が二つの隣接する酸素原子間の中点に存在するようになる「水素結合の対称化」が、地下約520kmに相当する圧力18万気圧で起きることを初めて直接観察した。またそれより少し低い圧力下では、前駆現象として、水素が酸素間の中点をはさんだ二つの等価な位置をそれぞれ1/2の確率で占めるディスオーダー状態が起きること、また水素をその同位体である重水素に置き換えると変化の起きる圧力が高圧側に移動することも見出した。これらの現象が起きた圧力は、先行研究により見つかっていた、圧縮挙動の変化や弾性波速度の上昇といった物性変化が起きる圧力とほぼ一致しており、水素結合の対称化とその前駆現象が鉱物の性質に大きな影響を及ぼしていることが、今回初めて実験的に裏付けられた。

論文

Pressure-induced stacking disorder in boehmite

石井 優佑*; 小松 一生*; 中野 智志*; 町田 真一*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 鍵 裕之*

Physical Chemistry Chemical Physics, 20(24), p.16650 - 16656, 2018/06

 被引用回数:2 パーセンタイル:78.33(Chemistry, Physical)

その場シンクロトロンX線および中性子回折を用いて、アルミニウム層状水酸化物、ベーマイト($$gamma$$-AlOOH)の構造を圧力の関数として調べた。25GPa以上のX線回折パターンにおいてhkl(h$$neq$$0)ピークのみに見られるピーク広がりおよびその後の分裂は、a軸に沿ったAlO$$_{6}$$八面体層の連続的に増加する変位に伴う積層不整によって説明される。この知見は、連続的な層の変位によって駆動される圧力誘起積層不整の最初の実験結果である可能性がある。層の変位の大きさは、積層不規則構造モデルに基づくX線散乱プロファイル計算から推定された。重水素化されたサンプルの10GPaまでの中性子回折パターンの構造解析によって得られたベーマイトの水素結合ジオメトリーは、O-D共有結合およびD$$cdots$$O水素結合距離の線形的な接近を示し、26GPa未満でマージされる可能性がある。圧力誘起積層不整は、水素結合の静電ポテンシャルを非対称にし、プロトントンネリングの可能性を低下させる。

論文

High-pressure-high-temperature study of benzene; Refined crystal structure and new phase diagram up to 8 GPa and 923 K

Chanyshev, A. D.*; Litasov, K. D.*; Rashchenko, S.*; 佐野 亜沙美; 鍵 裕之*; 服部 高典; Shatskiy, A. F.*; Dymshits, A. M.*; Sharygin, I. S.*; 肥後 祐司*

Crystal Growth & Design, 18(5), p.3016 - 3026, 2018/05

 被引用回数:6 パーセンタイル:9.05(Chemistry, Multidisciplinary)

マルチアンビル装置を用いたその場中性子およびX線回折により、1.5-8.2GPaで、固体ベンゼンの高温下の構造変化を溶融または分解まで調べた。重水素化ベンゼン相II(空間群P2$$_{1}$$/c)の結晶構造を、3.6-8.2GPaおよび473-873Kで精密化した。格子定数に関して、7.8-8.2GPaにおいて有意な温度依存性は見られなかった。3.6-4.0GPaでは、ベンゼン環面からの重水素原子のずれとベンゼン環の小さなジグザグ変形を観測した。これらは、ベンゼン分子のずれ、および$$pi$$共役炭素骨格-隣接重水素原子間のファンデルワールス結合の距離の減少の為に、温度により増大した。723-773Kおよび3.9-4.0GPaにおけるベンゼン分子の変形は、同じ条件におけるベンゼンのオリゴマー化に関連していると思われる。1.5-8.2GPaの圧力範囲において、ベンゼンの分解温度は773-923Kの間に決定された。融解は2.2GPa、573Kで確認された。ラマン分光法によって分析されたクエンチされた生成物は炭素質材料からなる。今回決定したベンゼンの相図は、1.5-8GPaにおけるナフタレン,ピレン、およびコロネンのものとコンシステントである。

論文

Bulk moduli and equations of state of ice VII and ice VIII

Klotz, S.*; 小松 一生*; 鍵 裕之*; Kunc, K.*; 佐野 亜沙美; 町田 真一*; 服部 高典

Physical Review B, 95(17), p.174111_1 - 174111_7, 2017/05

AA2017-0082.pdf:0.79MB

 被引用回数:8 パーセンタイル:28.55(Materials Science, Multidisciplinary)

重水素化した氷VII相及びVIII相の圧縮挙動を、93-300K、2-13.7GPaの温度圧力領域にわたって、高圧中性子散乱によって調べた。その結果から、正確な体積弾性率B$${}_{0}$$,その圧力微分B'$${}_{0}$$及び常圧下での体積V$${}_{0}$$を含む状態方程式を決定した。このように決めた状態方程式は、過去のX線データと比べて氷VIIの安定領域のほほ全域を、また氷VIIIに関しては、約13GPaまでをカバーしている。両者の圧縮挙動に関して、低圧域では区別できないが、7GPa以上の圧力では氷VIIは予想以上に固くなることが分かった。これは、今回の圧力温度領域において過去の氷VIIIの研究[D.D. Klug et al., Physical Review B, 70, 144113 (2004)]で報告されている異常なフォノン硬化と関係しているかも知れない。

論文

Behavior of intermolecular interactions in $$alpha$$-glycine under high pressure

篠崎 彩子*; 小松 一生*; 鍵 裕之*; 藤本 千賀子*; 町田 真一*; 佐野 亜沙美; 服部 高典

Journal of Chemical Physics, 148(4), p.044507_1 - 044507_8, 2017/01

 被引用回数:6 パーセンタイル:16.97(Chemistry, Physical)

重水素化$$alpha$$-グリシンの結晶構造における圧力応答を、粉末および単結晶X線回折および高圧下での粉末中性子回折測定を用いて、室温で調べた。8.7GPaまでの相変化は観察されなかったが、格子圧縮率の異方性が見出された。中性子回折測定は、6.4GPaまでの圧縮で、$$c$$軸に沿った分子間D$$cdots$$O結合の距離が増大することを示した。$$a$$軸に沿った他のD$$cdots$$O結合の距離は圧力が増加するにつれて減少し、3GPa以上では最短の分子間水素結合となった。対照的に、$$b$$軸に沿った$$alpha$$-グリシン分子層間に形成された分岐したN-D$$cdots$$OおよびC-D$$cdots$$O水素結合の長さは、圧力が増加するにつれて著しく減少した。分子間距離の減少は、他の2つの軸と比較して、$$b$$軸の最大圧縮率をもたらした。Hirshfeld分析は、強固なN-D$$cdots$$O水素結合の収縮というよりも空隙領域の縮小で圧縮が起こることを示唆した

論文

Ice VII from aqueous salt solutions; From a glass to a crystal with broken H-bonds

Klotz, S.*; 小松 一生*; Pietrucci, F.*; 鍵 裕之*; Ludl, A.-A.*; 町田 真一*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; Bove, L. E.*

Scientific Reports (Internet), 6, p.32040_1 - 32040_8, 2016/08

 被引用回数:11 パーセンタイル:44.4(Multidisciplinary Sciences)

LiClやLiBrなどの水溶液は160K以下に冷やすと通常の氷ではなくガラス化することが知られている。これらを初期物質として用い、低温下で温度、圧力処理することで、塩を氷の構造中にトラップすることができ、通常では生成できない「塩氷」を作ることができる(通常、氷の結晶化に伴い、塩は氷から排出されてしまう)。今回、固溶限まで濃度を高めた組成を持つ試料に関して、上記の方法で塩氷を作成し、中性子回折実験及び分子動力学計算を行った。その結果、LiCl$$cdot$$5.6H$$_{2}$$O及びLiBr$$cdot$$5.6H$$_{2}$$Oの組成を持つ氷は、その構造が極度に膨張し、水素結合ネットワークが完全に破壊された(つまり、水分子が結晶中で完全にランダム配向した)氷になることを発見した。この不思議な現象は、並進対称性を持つ結晶中で、水分子の回転の自由度を残すことができるという大変稀有な方法を提示している。

論文

Partially ordered state of ice XV

小松 一生*; 則竹 史哉*; 町田 真一*; 佐野 亜沙美; 服部 高典; 山根 崚*; 鍵 裕之*

Scientific Reports (Internet), 6, p.28920_1 - 28920_11, 2016/07

 被引用回数:8 パーセンタイル:56.51(Multidisciplinary Sciences)

氷には17種類もの多形があるが、高圧低温状態で現れるとされる氷XV相の構造と性質には多くの矛盾があり、氷の未解決問題の一つとなっていた。本研究では、氷XV相の低温高圧下で中性子回折の直接観察を行い、氷XV相が異なる水素配置を持つ複数のドメインからなる部分秩序相であることを明らかにした。この結果は氷XV相に関する過去の研究の矛盾点を解消でき、さらに、氷の多形において秩序相,無秩序相に加え、部分秩序相という第3の状態を考慮に入れる必要があることを示唆するものである。

論文

Design and performance of high-pressure PLANET beamline at pulsed neutron source at J-PARC

服部 高典; 佐野 亜沙美; 有馬 寛*; 小松 一生*; 山田 明寛*; 稲村 泰弘; 中谷 健; 瀬戸 雄介*; 永井 隆哉*; 内海 渉; et al.

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 780, p.55 - 67, 2015/04

 被引用回数:25 パーセンタイル:2.17(Instruments & Instrumentation)

PLANETは高温高圧実験に特化された飛行時間型の中性子ビームラインである。パルス中性子回折実験用に設計された大型の6軸型マルチアンビルプレスを用いることで定常的には高温高圧下約10GPa、2000Kでのデータ測定が可能性である。きれいなデータを取得するために、ビームラインには入射スリットと受光スリットが装備してあり、高圧アセンブリからの寄生散乱が除去可能である。$$Delta$$$$d$$/$$d$$=0.6%の高い分解能、0.2-8.4${AA}$の広いデータ取得可能$$d$$レンジおよび高い寄生散乱除去性能により、高温高圧下での結晶および液体の高精度な構造決定が可能となっている。

論文

Crystal structure of magnesium dichloride decahydrate determined by X-ray and neutron diffraction under high pressure

小松 一生*; 篠崎 彩子*; 町田 真一*; 松林 拓人*; 渡邉 真央*; 鍵 裕之*; 佐野 亜沙美; 服部 高典

Acta Crystallographica Section B; Structural Science, Crystal Engineering and Materials (Internet), 71(1), p.74 - 80, 2015/02

 被引用回数:8 パーセンタイル:30.21(Chemistry, Multidisciplinary)

MgCl$$_{2}$$水和物(MgCl$$_{2}$$10H$$_{2}$$O)とその重水素化物の結晶構造を、放射光X線とパルス中性子回折により初めて決定した。低温下においてまずアモルファス相を生成し、そのアモルファス相から固体-固体相転移により新規MgCl$$_{2}$$水和物を結晶化させることで良質な粉末結晶を得ることに成功した。最近開発された自動指数付けプログラムとcharge-flipping法により、(MgCl$$_{2}$$10H$$_{2}$$O)の結晶構造はMg(H$$_{2}$$O)$$_{6}$$八面体がABCABC...と積層したものであることが明らかになった。他の類似MgCl2水和物と同様に、Clイオンと水分子は八面体のMg$$^{2+}$$イオンとは結合していない。2.5GPaにおいて差フーリエ解析により求められた重水素の位置は、他のMgCl$$_{2}$$水和物とは異なり、2つの酸素と二股状に結合している。

論文

Six-axis multi-anvil press for high-pressure, high-temperature neutron diffraction experiments

佐野 亜沙美; 服部 高典; 有馬 寛*; 山田 明寛*; 田幡 諭史*; 近藤 真弘*; 中村 昭浩*; 鍵 裕之*; 八木 健彦*

Review of Scientific Instruments, 85(11), p.113905_1 - 113905_8, 2014/11

 被引用回数:16 パーセンタイル:25.24(Instruments & Instrumentation)

飛行時間法による中性子高温高圧実験のための6軸型マルチアンビルプレス"圧姫"を開発した。プレスは6つの独立した油圧ラムにより中心の立方体空間に荷重をかける。MA6-6セルを用いた試験では9.3GPa, 2000Kまでの温度圧力発生を確認し、MA6-8を用いた試験では16GPa, 1273Kの温度圧力発生を確認した。6軸プレスはガイドブロックをもたないため、試料まわりに空間が確保できることが特徴である。このため入射スリットやラジアルコリメーター、中性子カメラといった周辺機器を試料の近くに置くことが可能となった。6軸プレスとコリメーター機器の組み合わせにより、ヒーターや圧力媒体からの寄生散乱を取り除くことができる。試料からの回折パターンのみを取得することができ、高温高圧下における結晶や液体の構造解析に有効である。

論文

Phase transitions and hydrogen bonding in deuterated calcium hydroxide; High-pressure and high-temperature neutron diffraction measurements

飯塚 理子*; 小松 一生*; 鍵 裕之*; 永井 隆哉*; 佐野 亜沙美; 服部 高典; 後藤 弘匡*; 八木 健彦*

Journal of Solid State Chemistry, 218, p.95 - 102, 2014/10

 被引用回数:3 パーセンタイル:77.55(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

重水素化したカルシウム水酸化物(Ca(OD)$$_{2}$$)の高圧その場中性子散乱実験を、J-PARCのパルス中性子を用い、パリ-エジンバラプレスとマルチアンビルプレスを用いて行った。常圧には回収できない、高圧常温相の水素位置を含めた原子位置を初めて求めた。高圧下において水素結合が曲がっていることが明らかになり、これはラマン分光の結果と調和的である。高温高圧相に関しては、先行研究の常圧下に回収して求められた構造と一致した。これらの観測結果から、高圧下における相転移はCaO多面体で構成される層のスライドと、Ca原子の変位、Ca-O再構成と水素結合の配向の変化によりおこることが明らかとなった。

論文

Pressure responses of portlandite and H-D isotope effects on pressure-induced phase transitions

飯塚 理子*; 鍵 裕之*; 小松 一生*; 牛嶋 大地*; 中野 智志*; 佐野 亜沙美; 永井 隆哉*; 八木 健彦*

Physics and Chemistry of Minerals, 38(10), p.777 - 785, 2011/12

 被引用回数:6 パーセンタイル:71.81(Materials Science, Multidisciplinary)

含水鉱物ポートランダイト(Ca(OH)$$_{2}$$)の高圧下におけるラマンスペクトル,IRスペクトル及びX線回折実験を行った。ラマンスペクトル,IRスペクトルの測定では、Ca(OH)$$_{2}$$では高圧相への相転移がCa(OD)$$_{2}$$よりも低圧でおき、相転移圧力には同位体による違いがあった。X線回折実験では高圧相が28.5GPaまで安定に存在し、以前報告のあったアモルファス化は静水圧条件下では見られないことが明らかになった。

論文

The Existence of memory effect on hydrogen ordering in ice; The Effect makes ice attractive

荒川 雅*; 鍵 裕之; Fernandez-Baca, J. A.*; Chakoumakos, B.*; 深澤 裕

Geophysical Research Letters, 38, p.L16101_1 - L16101_5, 2011/08

 被引用回数:11 パーセンタイル:56.83(Geosciences, Multidisciplinary)

水素の配置が秩序化した強誘電性の氷XIが宇宙に存在することは、その強いクーロン力の存在により、宇宙物理学や物理化学の分野の関心になっている。しかしながら、強誘電性氷が形成可能な温度領域が狭いことから、その宇宙全体への影響は限られていると考えられてきた。私たちは、中性子回折の実験から、微小な水素秩序領域が従来予測より高い温度で存在し、この秩序領域が氷XIを大きくバルク状に成長させることを発見した。この微小秩序領域は氷XIの残留構造であることから、これを氷の水素秩序化の「メモリー」と名付けた。このメモリーは少なくとも111Kまでは存在し、その影響により、太陽系の多くの氷が水素秩序化しており強誘電体でもあると推定される。この微小秩序領域は氷がかかわる宇宙化学的特性や進化の過程を支配している。

論文

Structure and properties of ferroelectric ice

深澤 裕; 荒川 雅*; 鍵 裕之; 山内 宏樹; Chakoumakos, B. C.*; Fernandez-Baca, J. A.*

Physics and Chemistry of Ice 2010, p.421 - 428, 2011/03

宇宙に存在する氷が強誘電体として存在するか否かは、その強い電気的な引力が宇宙での物質進化や水素結合にとって重要な要素であることから、大きな関心が寄せられている。われわれは、中性子回折と中性子散乱の実験から、カリウム,ナトリウム,リチウムといった不純物を混入させて秩序化の触媒として機能させた試料を育成し、その構造と物性を研究した。時間分割の回折実験は、水素秩序配置を有する強誘電性の氷XIが核生成し、約5日間、時間の経過に伴って成長することを示した。不純物を含有させた氷のうち、一度XIに変化した経験のある試料がそうではない試料に比べてより強い強誘電性を有することを見いだした。高圧下で強誘電性氷が存在することや、加圧下のアモルファス氷から強誘電性氷が発生することも示した。

論文

Neutron diffraction study of hydrogen-ordered ice XI; Annealing effect and memory effect

荒川 雅*; 鍵 裕之; Fernandez-Baca, J. A.*; Chakoumakos, B. C.*; 深澤 裕

Physics and Chemistry of Ice 2010, p.329 - 338, 2011/03

KOD, NaOD, LiOD, Ca(OD)$$_{2}$$及びND$$_{3}$$を含有させた氷の中性子回折を測定した。KOD及びNaODを含有させた氷試料においては、通常の氷(Ih)の水素秩序相である氷XIの存在が確認された。一方で、Ca(OD)$$_{2}$$及びND$$_{3}$$を含有させた氷試料では氷XIが発生しなかった。すべての試料に対してリートベルド解析を用いて試料中の氷XIの質量比($$f$$)を求めた。一度氷XIに変化した経験のある試料は、経験したことのない試料よりも高い$$f$$の値を有することがわかった。この結果は、微小な水素秩序領域が氷XIとIhの転移温度以上で存在することが示唆している。また、$$f$$に対する含有物の種類と量の影響を分析したところ、低濃度の場合に高い$$f$$の値を示すことも明らかになった。以上の結果は、太陽系などに存在する氷の天体に大量の水XIが存在していることを示している。さらに、この論文では微小な水素秩序領域と原始太陽系における氷粒子の進化について考察した。

論文

Annealing effects on hydrogen ordering in KOD-doped ice observed using neutron diffraction

荒川 雅*; 鍵 裕之; 深澤 裕

Journal of Molecular Structure, 972(1-3), p.111 - 114, 2010/05

 被引用回数:7 パーセンタイル:79.32(Chemistry, Physical)

これまでの研究では、氷XIの核形成は65K以下で起こると考えられてきた。しかし、本研究では、過去に氷XIを経験した試料においては、これまでに報告されてきたよりも高い温度(70K, 72K)でXIの成長が観測された。水素秩序化を経験したことのある氷には、110Kにおいても微小(数nm以下)な水素秩序化領域が存在し、それがテンプレートとなり、XIの成長が起こったことが示唆された。本成果は、普通の氷Ihの中の短周期の水素秩序化構造の存在を示す、極めて重要な発見である。

論文

A Cubic-anvil high-pressure device for pulsed neutron powder diffraction

阿部 淳; 荒川 雅*; 服部 高典; 有馬 寛; 鍵 裕之; 小松 一生*; 佐野 亜沙美; 上床 美也*; 松林 和幸*; Harjo, S.; et al.

Review of Scientific Instruments, 81(4), p.043910_1 - 043910_5, 2010/04

 被引用回数:6 パーセンタイル:61.84(Instruments & Instrumentation)

キュービックアンビルセルを中性子回折実験用に小型化し、J-PARC/MLFの工学材料回折装置「匠」で高圧下での粉末回折測定を行った。アンビル材,圧媒体の開発やバックグラウンドと試料以外からの高圧装置部品に由来する回折ピーク強度を減少させ、高圧下における試料からのきれいな回折パターンを測定することに成功した。本研究結果は、キュービックタイプの高圧実験装置とJ-PARCのパルス中性子源の組合せが、高圧下における物性研究の有力な手段になることを示している。

論文

High pressure experiments with the engineering materials diffractometer (BL-19) at J-PARC

阿部 淳; 服部 高典; 小松 一生*; 有馬 寛; 荒川 雅*; 佐野 亜沙美; 鍵 裕之; Harjo, S.; 伊藤 崇芳; 盛合 敦; et al.

Journal of Physics; Conference Series, 215, p.012023_1 - 012023_6, 2010/03

 被引用回数:3 パーセンタイル:18.09

2008年から稼働し始めたJ-PARCの中性子実験施設MLFの工学材料回折装置「匠」に、高圧発生装置を持ち込み高圧中性子回折実験が可能であるか検討した。測定結果から高圧装置中にセットされた試料からの回折ピークが観測され、「匠」の光学系において高圧実験が可能であることが認められた。バックグランドノイズが高いなどの課題はあるが、本研究結果はJ-PARCにおいて初めての高圧中性子回折実験結果である。

論文

Large-volume static compression using nano-polycrystalline diamond for opposed anvils in compact cells

奥地 拓生*; 佐々木 重雄*; 長壁 豊隆; 大野 祥希*; 小竹 翔子*; 鍵 裕之*

Journal of Physics; Conference Series, 215, p.012188_1 - 012188_9, 2010/03

 被引用回数:5 パーセンタイル:10.2

中性子散乱やNMRなどの微弱な信号を検出する実験手法において利用可能な圧力領域を拡大するために、小型高圧力セルの試料容積を拡大する必要がある。われわれは、対向アンビル式小型高圧力セルのアンビル材として、大型多結晶ナノダイヤ(NPD)を準備した。NPDは、単結晶ダイヤに比べて硬度が高く、大型で、強いため、高い荷重をかけることができる。われわれは、サポート式NPDアンビルと非サポート式NPDアンビルの2種類のアンビルを製作し、2種類のコンパクトな高圧力セルを用いて加圧テストを行った。その結果、0.1mm$$^{3}$$以上の試料体積に対して14GPaの圧力発生を確認した。この結果は、NPDが大型アンビルとして非常に有望であることを示したものである。

論文

Designing PLANET; Neutron beamline for high-pressure material science at J-PARC

有馬 寛; 服部 高典; 小松 一生*; 阿部 淳; 内海 渉; 鍵 裕之*; 鈴木 昭夫*; 鈴谷 賢太郎; 神山 崇; 新井 正敏; et al.

Journal of Physics; Conference Series, 215(1), p.012025_1 - 012025_6, 2010/03

J-PARC物質生命科学実験施設における高圧研究の専用ビームライン建設について、科学研究費補助金新学術領域研究(高温高圧中性子実験で拓く地球の物質科学:領域代表八木健彦)が採択され、平成21年度からBL11において超高圧中性子回折装置(PLANET)の建設が開始された。30GPa及び2500Kまでの温度圧力領域での中性子回折測定を研究対象とし、分光器室内には大型マルチアンビルプレスを設置する。本装置の概要並びに開発の現状について報告する。PLANETは水を含む地球深部物質の高温高圧下での結晶構造,マグマの局所構造,液体の圧力誘起構造変化を主要な研究テーマとして設計を行った。10mm$$^3$$以下の試料体積を対象として主検出器である90$$^{circ}$$バンクにおいて0.5%の装置分解能を持つ。4.3${AA}$のd値範囲を1フレームで測定することが可能である。中性子の輸送には11.5mの集光型中性子ガイド管を用い、結晶,液体それぞれの構造解析に適した波長領域での測定効率の向上を目指している。

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