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論文

大気中濃度と沈着量に基づく空間線量率推計値を用いた事故後初期のATDMの再現性検証

森口 祐一*; 佐藤 陽祐*; 森野 悠*; 五藤 大輔*; 関山 剛*; 寺田 宏明; 滝川 雅之*; 鶴田 治雄*; 山澤 弘実*

KEK Proceedings 2021-2, p.21 - 27, 2021/12

福島第一原子力発電所事故時の呼吸由来の内部被ばく線量評価において、I-131等の短寿命核種は重要であるが、被ばく線量や大気中濃度の実測値が少ない。そのため、他の核種の環境中濃度の実測値、大気移流拡散沈着モデル(ATDM)による推計値、空間線量率の測定値等に基づく総合解析が必要である。本研究では、Cs-137を対象として、これまでに構築してきた大気中濃度と地表沈着量に基づく空間線量率推計手法をATDM相互比較に供された国内外の多数のモデルに適用し、これまで検証が困難であった福島県内外の地域を中心に選定した計64地点を対象にATDMの再現性の検証を行った。その結果、初期被ばくの評価上特に重要な3月12日の原発から北方向へ輸送されたプルームについて、これまで対象としていた原発から25km地点より近傍の約10km地点における線量率のピーク値やそのタイミングを比較的良好に再現するATDMが複数存在することが分かった。また、実測値がなくこれまで検証が困難であった北関東地域でのプルームの輸送状況の再現性の検証に見通しが得られた。

論文

Deposition and dispersion of radio-cesium released due to the Fukushima Nuclear accident, 2; Sensitivity to aerosol microphysical properties of Cs-bearing microparticles (CsMPs)

梶野 瑞王*; 足立 光司*; 五十嵐 康人*; 佐藤 志彦; 澤田 壮弘*; 関山 剛*; 財前 祐二*; 佐谷 茜*; 鶴田 治雄*; 森口 祐一*

Journal of Geophysical Research; Atmospheres, 126(1), p.e2020JD033460_1 - e2020JD033460_23, 2021/01

 被引用回数:16 パーセンタイル:66.30(Meteorology & Atmospheric Sciences)

The dispersion and deposition of radio-cesium ($$^{137}$$Cs) carried by the two types (type A and type B) of water-insoluble Cs-bearing solid microparticles (CsMPs) released due to the Fukushima nuclear accident were simulated for the first time. The presence of type B CsMPs (70-400 $$mu$$m found in soil and 1-5 $$mu$$m found in air), associated with the hydrogen explosion of Unit 1 in the afternoon of March 12, could partly explain the simulated underestimation of total deposition over land by assuming that 100% of the Cs carriers were water-soluble submicron particles (WSPs). Type A CsMPs (0.1-10 $$mu$$m), released from Units 2 or 3 in the midnight between March 14 and 15, travelled over the Kanto Plain, the most populated plain in Japan. Differences in the size distribution of type A CsMPs altered the surface air concentration over Kanto substantially, by up to more than one order of magnitude. The major deposition mechanisms varied among dry, wet, and fog depositions depending on the size distribution. The simulated activity fractions due to the CsMPs in the total deposition were compared to those observed in surface soil for the first time. The observations could be explained by the simulations for the locations under the influence of type B CsMPs. However, the simulations were substantially underestimated for the locations influenced by type A CsMPs. There could be more fractions of type A CsMPs emission in the source term and/or the simulated deposition rates of type A CsMPs were underestimated.

論文

A Model intercomparison of atmospheric $$^{137}$$Cs concentrations from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident, phase III; Simulation with an identical source term and meteorological field at 1-km resolution

佐藤 陽祐*; 関山 剛*; Fang, S.*; 梶野 瑞王*; Qu$'e$rel, A.*; Qu$'e$lo, D.*; 近藤 裕昭*; 寺田 宏明; 門脇 正尚; 滝川 雅之*; et al.

Atmospheric Environment; X (Internet), 7, p.100086_1 - 100086_12, 2020/10

福島第一原子力発電所(FDNPP)事故により放出された$$^{137}$$Csの大気中の挙動を調べるため、第3回大気拡散モデル相互比較が実施された。前回のモデル比較より高い水平格子解像度(1km)が使われた。前回のモデル比較に参加したモデル中9モデルが参加し、全モデルで同一の放出源情報と気象場が使用された。解析の結果、観測された高い$$^{137}$$Cs大気中濃度のほとんどが良好に再現され、いくつかのモデルの性能向上によりマルチモデルアンサンブルの性能が向上した。高解像度化によりFDNPP近傍の気象場の再現性が向上したことで、拡散モデルの性能も向上した。風速場の良好な表現によりFDNPP北西の高い沈着量の細い分布が合理的に計算され、FDNPPの南側の沈着量の過大評価が改善された。一方で、中通り地方、群馬県北部、及び首都圏のプルームの再現性能はやや低下した。

論文

Intercomparison of numerical atmospheric dispersion prediction models for emergency response to emissions of radionuclides with limited source information in the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident

岩崎 俊樹*; 関山 剛*; 中島 映至*; 渡邊 明*; 鈴木 靖*; 近藤 裕昭*; 森野 悠*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 滝川 雅之*; et al.

Atmospheric Environment, 214, p.116830_1 - 116830_11, 2019/10

 被引用回数:7 パーセンタイル:23.61(Environmental Sciences)

放射性物質の事故放出のための大気拡散予測モデルの利用が日本気象学会の作業部会により勧告された。本論文の目的は、2011年の福島第一原子力発電所からの事故放出に関する予測モデル相互比較によるこの勧告の検証である。放出強度は、放出の時間変化が得られない場合の最悪ケースを想定するため予測期間内で一定と仮定された。放射性物質の吸入を防ぐには地上大気の汚染度、湿性沈着に伴う放射線被ばく軽減には鉛直積算量の利用が想定される。予測結果はアンサンブル幅を有しているが、共通して時間空間的な相対的危険度を示しており、公衆に効果的な警告を不足なく出すのに非常に有用である。信頼性向上にはマルチモデルアンサンブル手法が効果的であろう。

論文

Model intercomparison of atmospheric $$^{137}$$Cs from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident; Simulations based on identical input data

佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; Qu$'e$lo, D.*; et al.

Journal of Geophysical Research; Atmospheres, 123(20), p.11748 - 11765, 2018/10

 被引用回数:49 パーセンタイル:84.51(Meteorology & Atmospheric Sciences)

福島第一原子力発電所事故により放出された$$^{137}$$Csの大気中の挙動を理解するため、大気拡散モデル相互比較が実施され、12モデルが参加した。モデルで考慮される過程に起因するモデル間の差異に焦点を当てた解析を行うため、全モデルで同じ気象場、水平分解能、及び放出源情報が使用された。モデルアンサンブルによる観測された大気中$$^{137}$$Cs濃度上昇イベントの捕捉率は40%であり、FMSは80を超えた。解析の結果、大気中$$^{137}$$Cs濃度上昇イベントの再現には気象場が最も重要な要素であり、気象場の再現性が高い場合のモデル間の差異は、沈着及び拡散過程に起因していることが分かった。また、沈着フラックスが小さいモデル及び拡散が強いモデルは高い性能を示したが、拡散が強いモデルは大気中$$^{137}$$Cs濃度を過大評価する傾向を示した。

論文

Atmospheric modeling of $$^{137}$$Cs plumes from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant; Evaluation of the model intercomparison data of the Science Council of Japan

北山 響*; 森野 悠*; 滝川 雅之*; 中島 映至*; 速水 洋*; 永井 晴康; 寺田 宏明; 斉藤 和雄*; 新堀 敏基*; 梶野 瑞王*; et al.

Journal of Geophysical Research; Atmospheres, 123(14), p.7754 - 7770, 2018/07

 被引用回数:27 パーセンタイル:65.82(Meteorology & Atmospheric Sciences)

日本学術会議のモデル相互比較プロジェクト(2014)で提供された、福島第一原子力発電所事故時に大気中に放出された$$^{137}$$Csの計算に用いられた7つの大気輸送モデルの結果を比較した。本研究では、東北及び関東地方に輸送された9つのプルームに着目し、モデル結果を1時間間隔の大気中$$^{137}$$Cs濃度観測値と比較することにより、モデルの性能を評価した。相互比較の結果は、$$^{137}$$Cs濃度の再現に関するモデル性能はモデル及びプルーム間で大きく異なることを示した。概してモデルは多数の観測地点を通過したプルームを良く再現した。モデル間の性能は、計算された風速場と使用された放出源情報と一貫性があった。また、積算$$^{137}$$Cs沈着量に関するモデル性能についても評価した。計算された$$^{137}$$Cs沈着量の高い場所は$$^{137}$$Csプルームの経路と一致していたが、大気中$$^{137}$$Cs濃度を最も良く再現したモデルは、沈着量を最も良く再現したモデルとは異なっていた。全モデルのアンサンブル平均は、$$^{137}$$Csの大気中濃度と沈着量をともに良く再現した。これは、多数モデルのアンサンブルは、より有効で一貫したモデル性能を有することを示唆している。

論文

Resonant photoemission spectroscopy study of impurity-induced melting in Cr- and Ru-doped Nd$$_{1/2}$$A$$_{1/2}$$MnO$$_{3}$$ (A=Ca,Sr)

Kang, J.-S.*; Kim, J. H.*; 関山 明*; 笠井 修一*; 菅 滋正*; Han, S. W.*; Kim, K. H.*; Choi, E. J.*; 木村 剛*; 室 隆桂之*; et al.

Physical Review B, 68(1), p.012410_1 - 012410_4, 2003/07

A2003-0329.pdf:0.49MB

 被引用回数:21 パーセンタイル:67.40(Materials Science, Multidisciplinary)

非常に希薄にCr及びRuをドープしたNd$$_{1/2}$$A$$_{1/2}$$MnO$$_{3}$$ (NAMO) (A=Ca,Sr)マンガナイトの電子状態をMn及びCrの2p$$rightarrow$$3d共鳴光電子分光を用いて調べた。すべてのCr及びRuをドープしたNAMOシステムにおいてMnのe$$_{g}$$成分による金属的なフェルミ端が観測され、これらのシステムの金属的な性質をよく説明する。t$$_{2g}$$$$^{3}$$配置を取るCrの3d状態は、フェルミエネルギーの下約1.3eVにあり、またCrのe$$_{g}$$状態はフェルミエネルギー近傍のバンド形成には関与していない。Cr及びRuが誘起する強磁性と金属-絶縁体転移は、測定によって得られた電子構造によって理解できる。

論文

High-resolution resonance photoemission study of Ce$$MX$$ ($$M$$=Pt, Pd; $$X$$=P, As, Sb)

岩崎 剛之*; 関山 明*; 山崎 篤志*; 岡崎 誠*; 角野 宏治*; 宇都宮 裕*; 今田 真*; 斎藤 祐児; 室 隆桂之*; 松下 智裕*; et al.

Physical Review B, 65(19), p.195109_1 - 195109_9, 2002/05

 被引用回数:24 パーセンタイル:70.94(Materials Science, Multidisciplinary)

低い近藤温度を持つCeMX (M=Pt, Pd; X=P, As, Sb)の Ce 3d-4f共鳴光電子分光を高いエネルギー分解能にて行い、Ce 4d-4f共鳴光電子分光の結果と比較を行った。実験結果は、低い近藤温度の物質においても表面とバルク電子状態が大きく異なることを示した。Ce 4f成分の寄与のない価電子帯スペクトルは、同じ構造をもつLaMXのバンド計算を用いて説明できた。実験で得られたCe 4f成分は、不純物アンダーソンに基づいたNCA(noncrossing approximation)計算によってよく再現でき、表面とバルクのCe 4f電子状態の違いを説明するのにもっと重要な要因がCe 4f準位シフトであることがわかった。さらに、CeMXのCe 4f状は、p-d反結合状態と優先的に混成することがわかった。

論文

High-resolution soft X-ray absorption spectroscopy of solids

斎藤 祐児; 室 隆桂之*; 小嗣 真人*; 岩崎 剛之*; 関山 明*; 今田 真*; 菅 滋正*

Journal of Synchrotron Radiation, 8(Part2), p.339 - 341, 2001/03

高分解能光吸収スペクトルは、固体の電子状態を調べる重要な手段の1つである。SPring-8のBL25SVでは、エネルギー分解能10$$^{4}$$以上において、遷移金属の2p内殻や希土類元素の3d内殻吸収スペクトルを測定することができる。今回は、Ce化合物の3d,SmSの3d光吸収スペクトルについて報告する。Ceの光吸収スペクトルでは、物質により、その形状が大きく変化することが観測された。また、SmSのSm3dスペクトルの温度変化を測定したところ、顕著な形状変化が見いだされた。

論文

Probing bulk states of correlated electron systems by high-resolution resonance photoemission

関山 明*; 岩崎 剛之*; 松田 京子*; 斎藤 祐児; 大貫 惇睦*; 菅 滋正*

Nature, 403(6768), p.396 - 398, 2000/01

 被引用回数:258 パーセンタイル:98.86(Multidisciplinary Sciences)

光電子分光は物質に高エネルギーの光を入れた時に出てくる外部光電子のエネルギーを測定することによって、物質の電子状態を調べる手法である。そのために高温超伝導体を初めとして多くの物質で研究が進んでいた。しかし、これまで全世界に普及している装置では、高い光エネルギーでは分解能が足りなかったり、あるいは、低い光エネルギーで分解能は十分発揮できるものの固体の表面しか観測できないというとても大きな制約があり、多くの固体物質では表面と内部(バルク)の電子状態が大きく異なっているために、最も知りたい固体内部の情報が得られないという欠点があった。われわれは、大型放射光施設SPring-8の共用ビームラインBL25SUに整備された世界トップの性能を実現した超高分解能軟X線分光器と高分解能光電子分光実験装置を用いて、CeRu$$_{2}$$Si$$_{2}$$及びCeRu$$_{2}$$の真のバルク電子状態を解明するのに世界で初めて成功した。

口頭

放射性物質拡散シミュレーションの国際相互比較

滝川 雅之*; 永井 晴康; 森野 悠*; 関山 剛*; 速水 洋*; 田中 泰宙*; 中島 映至*; 柴田 徳思*

no journal, , 

日本学術会議総合工学委員会原子力事故対応分科会「原発事故による環境汚染調査に関する検討小委員会」では、福島原子力発電所事故に関する大気および海洋における拡散シミュレーション結果の取りまとめを行うためのワーキンググループ(座長:中島映至東京大学教授)を設置し、国内外の諸研究機関に対してモデル結果の提供を呼びかけた。本研究においては、これまでに各研究機関のモデルを用いて得られている知見の取りまとめ、およびモデル間の差異を生じる要因に関する解析を進めつつある。比較対象とするモデル群としては、東日本を計算対象領域とした領域大気物質輸送モデル、地球規模の大気経由輸送・降下を取り扱う全球大気物質輸送モデル、直接漏洩および大気から降下した放射性物質の海洋内での輸送・沈着を取り扱う海洋物質輸送モデルなどがあるが、今回の発表ではそのうち領域大気物質輸送モデルにおける初期的な成果について報告する。

口頭

Deposition and dispersion of radio-cesium; Sensitivity to meteorological models and aerosol properties

梶野 瑞王*; 関山 剛*; 五十嵐 康人*; 足立 光司*; 財前 祐二*; 澤田 壮弘*; 佐藤 志彦; 森口 祐一*

no journal, , 

A great number of atmospheric simulations have been conducted to understand the consequences of FDNPP accident. We came to know wet deposition is important but don't know to what extent. We know simulations vary but we don't know why. Meteorological model comparison with a single dispersion model was conducted to evaluate the magnitude of uncertainty in meteorological simulations. Among the deposition processes, rainout by liquid precipitation was the most important process. The fog deposition was the next, which was not considered in any other models but Katata et al., ACP (2015) and this study. Fog deposition is the main cause for the deposition in Gunma and Tochigi prefecture. All the simulation underestimated the airborne observation of Cs deposition, which amounted to 2.6 PBq. The underestimation is approximately 1.5 PBq (1 PBq in Hamadori and 0.4 PBq in Nakadori). It is due to underestimation of deposition process, which is the main finding of the meteorological model ensemble study: Some model overestimated while others underestimated both the precipitation and surface concentration, and therefore the precipitation and source term estimation should be reasonable and not be the cause of underestimation. By considering the A-type (Adachi et al., Sci. Rep., 2014) and S-type (Satou et al., Anthropocene, 2016) of Cs-ball particles, associated with the SRV opening of Unit 2 and Hydrogen explosion of Unit 1, respectively, the underestimation of simulated Cs deposition could be significantly improved. The maximum estimation of the additional deposition due to Cs-ball amounted approximately 1 PBq.

口頭

統一気象場・放出源情報を用いた福島第1原子力発電所事故起源のセシウム($$^{137}$$Cs)を対象とした大気拡散モデルのモデル間比較プロジェクト

佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; Qu$'e$lo, D.*; et al.

no journal, , 

2011年3月の福島第一原子力発電所事故により放出されたCs-137を対象とした大気拡散モデル相互比較が実施され、国内外から12モデルが参加した。実験開始当時最新の放出源情報と、気象庁非静力学モデルとデータ同化により作成された高時空間分解能の気象場を統一入力データとして用いた。実験の結果は、航空機観測によるCs-137の沈着量と大気汚染監視ネットワークにより観測されたCs-137の大気濃度と比較した。モデルは観測された沈着量を再現し、高濃度イベントを平均で40%程度再現できていた。しかしながら、統一気象場・放出源・解像度を用いても、モデル間で大きなばらつきが見られた。また気象場の再現性が悪い場合、高濃度イベントを再現することはどのモデルもできなかったことから、気象場の再現性が高濃度イベントの再現に重要であることが改めて示された。気象場の再現性が良い場合は、モデルの水平拡散と湿性沈着の大きさがモデルの再現性を左右していた。観測との比較から、水平拡散が大きい、または湿性沈着が小さいモデルほど、大気濃度の再現性が良い傾向が見られた。

口頭

Detailed intercomparison of atmospheric transport models using newly obtained concentration data of Cs-137 from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident

山澤 弘実*; 佐藤 陽祐*; 足立 振一郎*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; et al.

no journal, , 

福島第一原子力発電所(FDNPP)事故により放出されたCs-137の物理過程に着目した大気輸送モデル相互比較が実施され、12モデルが参加した。本研究では、茨城県内のモニタリングステーションで測定されたガンマ線スペクトルデータおよび浮遊粒子状物質ろ紙から分析された濃度データを用いて、2011年3月15日朝に南方へ輸送されたプルームに関してFDNPPから100-200km風下域のCs-137大気中濃度に関する各モデル結果の差異を解析した。比較では、(1)プルーム到達時刻、(2)濃度値、(3)地上濃度の風向直交方向の分布、(4)濃度の鉛直分布、(5)沈着過程を含むCs-137放射能の収支の各項目について解析した。また、降水が発生した3月16日に同エリアに輸送されたプルームについても解析を行った。

口頭

3rd model intercomparison projects of atmospheric dispersion model for $$^{137}$$Cs emitted from Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant, and application of MIPs' results for usage in an emergency

山澤 弘実*; 佐藤 陽祐*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; Fang, S.*; Qu$'e$rel, A.*; Qu$'e$lo, D.*; 近藤 裕昭*; 寺田 宏明; 門脇 正尚; et al.

no journal, , 

2011年3月に福島第一原子力発電所(FDNPP)から放出された$$^{137}$$Csを対象とした大気拡散モデルの第3回相互比較(MIP)が実施された。前回の第2回MIPと同様、参加した全9モデルで共通の放出源情報と気象データが利用されたが、FDNPP近傍で測定された大気中$$^{137}$$Csの挙動の理解のため水平格子解像度は前回の3kmより高い1kmとされた。その結果、第2回MIP同様にほとんどの観測された高い大気中$$^{137}$$Cs濃度が良好に再現され、性能の高い数モデルにより性能の低いモデルの影響が打ち消されるマルチモデルアンサンブルの利点が示された。また、高い格子解像度により気象場が改善した結果、FDNPP近傍での$$^{137}$$Csの挙動が第2回MIPより合理的に再現された。さらにMIPの結果の解析により大気拡散シミュレーション結果の緊急時における有用性について調べたところ、各モデルの$$^{137}$$Cs濃度計算値の絶対値の差異がファクター3からファクター6である場合もマルチモデルアンサンブルによる観測されたプルームの見逃しはわずか3%であり、有効なマルチモデルアンサンブルには6から8モデルが必要であることが示された。

口頭

数値モデルによる移流拡散予測の相互比較実験

岩崎 俊樹*; 中島 映至*; 渡邊 明*; 鈴木 靖*; 近藤 裕昭*; 森野 悠*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 滝川 雅之*; 関山 剛*

no journal, , 

原子力災害等の緊急時における数値モデルの活用策を検討するため、福島第一原子力発電所事故を対象とした移流拡散予測の相互比較実験を行った。実験には、国立環境研究所によるWRF-CMAQ、原子力機構によるWSPEEDI-II、気象研究所によるNHM-Chemの3モデルが参加した。放射性物質の地上付近の濃度および気柱全体の鉛直積算値を比較対象とし、検証には、下層でプルームが通過したとみられるいわき市、および降水による湿性沈着が発生した福島市と柏市における空間線量率測定値を利用した。検証期間は3月15日00時JSTからの39時間と3月20日06時JSTからの39時間を選んだ。実験では、単位時間当たり放出量は一定値、湿性沈着は起こらないと仮定、初期値を与えた後の気象場は予測データを用いる、という共通条件を与えた。実験の結果、予測にはばらつきがあり、正確な放出情報が得られたとしても絶対値の利用は避けるべきであるが、時空間分布の予測情報は誤差を考慮すれば整合的であり、被ばく軽減に活用できること、また、マルチモデルの情報は予測の不確実性を知る上で有益であることが分かった。

口頭

2nd atmospheric model intercomparison project for Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident on March 2011; 2nd FDNPP-MIP

佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; Grahn, H.*; Br$"a$nnstr$"o$m, N.*; von Schoenberg, P.*; 近藤 裕昭*; 寺田 宏明; 永井 晴康; et al.

no journal, , 

福島第一原子力発電所から放出された放射性核種($$^{137}$$Cs)を対象とした第2回大気モデル相互比較が実施された。ラグランジュ型およびオイラー型の大気拡散モデルを含む13モデルがこのモデル相互比較に参加した。このモデル相互比較の目的は、(1)大気中輸送過程の理解、(2)モデル間の湿性および乾性沈着過程の不確実性の見積り、(3)$$^{137}$$Csプルーム再現のキープロセスの解明、(4)マルチモデルアンサンブル平均の評価、(5)モデルの物理過程改良に有用な知見の取得である。放出源情報によるモデルの不確実性を除外するため、全モデルは共通の放出源情報を使用した。気象場の違いによる不確実性低減のため、局所アンサンブル変換カルマンフィルターデータ同化システムと組み合わせた日本の現業予報モデルによる高時間空間分解能の気象データが全モデルで利用された。モデル間比較だけでなく、モデルと浮遊粒子状物質サンプリングネットワークによる観測値との比較も行われた。モデルと観測との比較から、降雨を経験していない原子力発電所近傍での$$^{137}$$Cs濃度は比較的良好な再現性を示したが、降雨を経験した$$^{137}$$Cs濃度はモデル間の差異が大きかった。発表では、$$^{137}$$Cs濃度を決定する物理過程に関するさらに詳細な解析について議論する。

口頭

Model intercomparison study for atmospheric $$^{137}$$Cs from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident using identical input data

佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; Qu$'e$lo, D.*; et al.

no journal, , 

2011年3月の福島第一原子力発電所事故により放出された$$^{137}$$Csの物理過程に着目した大気拡散モデル相互比較が実施され、12モデルが参加した。モデル計算結果の放出源情報及び気象場に起因する不確かさを除外するため、全モデルは同じ放出源情報及び気象場を使用した。浮遊粒子状物質モニタリングネットワークによる$$^{137}$$Csの大気中濃度と、航空機観測による地表沈着量を、モデル計算結果と観測値の比較に使用した。解析結果から、モデルアンサンブル平均のFMSは、積算沈着量について前回のモデル相互比較より向上したことが明らかとなった。また、モデルアンサンブル平均は観測値の高濃度をおよそ36%再現していた。捕捉率のモデル間の差異は8%から38%であった。これは、沈着及び拡散プロセスのモデル間の相違に起因していた。

口頭

原子力事故データの総合解析・事故時の有害物質大気中動態評価法の高度化

山澤 弘実*; 大浦 泰嗣*; 森口 祐一*; 寺田 宏明; 関山 剛*; 五藤 大輔*; 鶴田 治雄*

no journal, , 

本研究は、メソスケールを対象として、高精度気象場の構築機能と福島第一原子力発電所(1F)事故時の大気中濃度実測データ等により精度検証された国内の大気拡散モデル群によるアンサンブル評価機能から構成される事故時大気中動態評価法のプロトタイプを構築することを全体目標とし、以下の6サブテーマで構成される。(1)(名古屋大学): 国際モデル比較実験、各サブテーマ成果の集約による計算精度向上の検証、アンサンブル評価を用いた防災利用法の提案。(2)(首都大学東京): 大気環境測定局SPM計ろ紙分析による1F起源放射性プルームを網羅するCs-134, 137大気中濃度データセットの整備。(3)(東京大学): 大気中ダスト・土壌試料の測定結果等の測定値に基づく総合的なプルーム動態解析、他の観測データ及びモデル計算結果との整合性検証。(4)(原子力機構): ベイズ統計及びマルチスケール拡散計算による放出源情報推定手法の改良、種々の環境測定データからの1F事故の放出源情報の再推定。(5)(気象研究所): 高度なデータ同化による1F事故時の気象場の再構築とその精度検証。(6)(国立環境研究所): 大気中放射性物質の輸送・変質・沈着サブモデルの検証・改良、大気拡散モデルの高度化。

口頭

大気拡散モデルの原発事故環境データによる評価とその緊急時応用,3; 大気拡散モデルの緊急時利用法の検討

山澤 弘実*; 大浦 泰嗣*; 森口 祐一*; 寺田 宏明; 関山 剛*; 五藤 大輔*; 鶴田 治雄*; 佐藤 陽祐*

no journal, , 

福島第一原子力発電所(1F)事故の内部被ばく線量の評価では、大気中濃度実測値に基づく評価の代替として大気拡散モデルを用いる手法が使われてきた。しかし、(1)大気中濃度の分析が未了でプルーム動態が十分解明されていないこと、(2)放出源情報及びその推定方法と事故当時の気象場に不確かさが残されていること、(3)大気拡散モデルに不確かさが残されていることが課題であった。これら課題の解決は、今後の原子力事故を含む有害物質大気中放出事故の影響及びリスクの評価の不確かさを低減する上で不可欠であることが指摘されており、モデル予測結果の不確かさの低減と不確かさを踏まえた緊急時利用法の検討が必要である。そこで、環境研究総合推進費1-1802「原子力事故データの総合解析による事故時の有害物質大気中動態評価法の高度化」では、大気中濃度データ等からの放出源情報推定法の改良、データ同化を用いた気象場再現方法及び沈着過程に着目した大気拡散モデルの検証・改良、1F事故時の大気環境測定局SPM計ろ紙の分析等による大気中濃度データ整備、及び複数の大気拡散モデル計算値と測定値を総合化した情報提供法枠組みの提案を目的とした。本発表では、これらの研究成果全体を概観するとともに、主に大気拡散モデルの緊急時利用法についての検討結果を議論する。

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