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新里 忠史; 佐々木 祥人; 雨宮 浩樹*
第32回社会地質学シンポジウム論文集, p.13 - 16, 2022/11
福島の森林斜面および渓流におけるセシウム137の流出観測に基づいて、河川のセシウム137流出における森林域に存在するセシウム137の寄与を検討し、土砂流出量およびセシウム137濃度の観点から、比較的寄与が低い可能性を指摘した。
新里 忠史; 佐々木 祥人; 渡辺 貴善; 雨宮 浩樹*
第31回社会地質学シンポジウム論文集, p.19 - 22, 2021/11
福島の山地森林における林床状況とセシウム137(Cs)流出量の関連を把握するため、除染地,未除染地および林野火災の延焼跡地において3年間の長期観測を実施した。除染や延焼により失われた林床被覆が回復するのに伴い
Cs流出量は減少し、除染地では除染直後の3.24%から0.61%へ、延焼跡地では延焼直後の2.79%から0.03%へと低下した。林床被覆が60%を超えると未除染地や非延焼地と同程度の流出量となり、林床被覆60%は、観測地における流出影響の閾値と考えられる。延焼跡地では林床被覆の回復に伴い、流出物の主体が土壌粒子からリター片に変化したことも、
Cs流出量の低下に寄与した。山地森林の林床が本来有する土壌侵食に対する保護機能は、
Cs流出抑制に効果的である。
代永 佑輔; 佐野 直美*; 雨宮 浩樹*; 小北 康弘; 丹羽 正和; 安江 健一*
応用地質, 62(1), p.2 - 12, 2021/04
電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いた手法(重鉱物スクリーニング)の適用可能性を検証するため、堆積岩や苦鉄質岩が後背地となる北海道天塩郡幌延地域に分布する更新統更別層を事例対象として後背地解析を実施した。分析は16元素を測定対象として行い、得られた化学組成に基づいて鉱物種を判定した。加えて、薄片観察や礫種組成分析を行い、結果を比較した。その結果、薄片観察・礫種組成分析と重鉱物スクリーニングの結果は整合であることが確認された。更別層の後背地は宗谷丘陵・天塩山地であり、少なくとも1.5Ma以降に宗谷丘陵が隆起したことが推測される。一方で、宗谷丘陵や天塩山地で見られなかった角閃石が更別層から確認され、天塩川による運搬などで本地域より離れた所から供給された可能性が考えられる。これにより、重鉱物スクリーニングを用いることで礫種組成だけでは分からない新しい情報が得られることが確認された。
丹羽 正和; 雨宮 浩樹*; 代永 佑輔; 小北 康弘; 安江 健一*; 岩野 英樹*; 檀原 徹*; 平田 岳史*
地質学雑誌, 126(5), p.267 - 283, 2020/05
地層の堆積年代の決定や層序対比において有効な指標となるテフラの年代決定手法の高度化のため、北海道幌延地域の新第三系第四系に狭在する3試料のテフラを事例対象として、ジルコンの同一粒子に対しU-Pb年代とフィッション・トラック(FT)年代を求め、堆積年代を推定する手法を適用した。このうち2試料は、最若粒子集団のU-PbとFTの加重平均年代が誤差2
で一致し、降灰テフラの噴出年代を示すと考えられた。もう1試料についても、多くのジルコンでFT年代がU-Pb年代と同等かそれ以上に若返っており、全粒子のFT加重平均年代と最若粒子集団のU-Pb加重平均年代が誤差2
で一致するので、それらがテフラの噴出年代を示すと考えられた。また、本研究で得られた結果は、東西圧縮の地殻変動により、同一層でも西部より東部の方が年代が古くなるという本地域の新第三系
第四系における傾向を支持する結果となった。
石丸 恒存; 尾方 伸久; 島田 顕臣; 浅森 浩一; 國分 陽子; 丹羽 正和; 渡邊 隆広; 雑賀 敦; 末岡 茂; 小松 哲也; et al.
JAEA-Research 2018-015, 89 Pages, 2019/03
本報は、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第3期中長期目標期間(平成27年度平成33年度)における平成29年度に実施した研究開発に係る成果を取りまとめたものである。第3期中長期目標期間における研究の実施にあたっては、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針等の検討・策定に研究成果を適宜反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで進めている。本報告では、それぞれの研究分野に係る科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果及び今後の課題等について述べる。
野村 勝弘; 谷川 晋一*; 雨宮 浩樹; 安江 健一
JAEA-Data/Code 2016-015, 49 Pages, 2017/03
隆起は、侵食と合わさり、生活環境と処分施設との離間距離を短縮させることから、高レベル放射性廃棄物の地層処分を考える上で重要な自然現象である。これまで日本列島の過去十数万年間の隆起量は、海成段丘や河成段丘などを指標に取得されてきた。本資料では、過去十数万年間の隆起量に関連する情報として、位置座標、比高、比高の指標、指標の形成時期、比高の形成期間、隆起速度などを既存文献に基づいて抽出し、表形式で整理した。これらの情報は、隆起・沈降に関する調査技術の高度化・体系化や日本列島における大局的な地形発達の検討の基礎的な情報の一つになると考えられる。
桐島 陽*; 久野 温*; 雨宮 浩樹; 窪田 卓見*; 紀室 辰伍*; 天野 由記; 宮川 和也; 岩月 輝希; 水野 崇; 佐々木 隆之*; et al.
Chemosphere, 168, p.798 - 806, 2017/02
被引用回数:3 パーセンタイル:8.79(Environmental Sciences)高レベル放射性廃棄物地層処分における性能評価上重要な核種である3価マイナーアクチニド(MA(III))は、天然の地下水中に存在する懸濁粒子や溶存イオン、コロイドなどと吸着反応や錯形成反応などの相互作用を起こし、見かけ上の溶解度が増加する可能性が知られている。このため、これらの放射性核種と地下水中に含まれる物質との相互作用を理解しておくことは、地層中でのこれらの放射性核種の移行評価を行う上で重要である。本研究では、堆積岩地域である幌延地域の深部地下水を用いて、MA(III)のナチュラルアナログである希土類元素(REEs)を添加し、フィルターでろ過することにより、REEsの天然地下水中における挙動を調べた。その結果、イオン半径の小さいREEsほど地下水中に多く溶存している傾向が明らかになった。また、比較的大部分のREEsはリン酸塩として存在している可能性が強く示唆された。この結果は、高レベル放射性廃棄物の廃棄体から遠い将来に放出されると予想されているMA(III)の移行挙動を予測する上で、リン酸陰イオンが重要な役割を果たすことを示唆している。
都筑 和泰; 木村 晴行; 川島 寿人; 佐藤 正泰; 神谷 健作; 篠原 孝司; 小川 宏明; 星野 克道; Bakhtiari, M.; 河西 敏; et al.
Nuclear Fusion, 43(10), p.1288 - 1293, 2003/10
被引用回数:39 パーセンタイル:72.81(Physics, Fluids & Plasmas)JFT-2Mでは、原型炉のブランケット構造材料の候補である低放射化フェライト鋼とプラズマとの適合性を調べる実験を進めてきている。昨年度にはフェライト鋼内壁を真空容器内に全面的に設置する作業を行い、今年度より実験を開始している。プラズマ生成,制御は問題なく行われ、金属不純物の放出も検出限界以下であった。改善閉じ込め(Hモード)も実現され、そのしきいパワーもこれまでと同等であった。プラズマ安定性に関してもこれまでの所悪影響は観測されておらず、規格化が3を超える放電との共存性も示された。高速イオンのリップル損失に関しても顕著な低減が実証された。以上のように、フェライト鋼の悪影響は小さく、有望な結果を得ている。JFT-2Mでは、その他にも先進的、基礎的な研究を行っている。先進的粒子供給手法であるコンパクトトロイド(CT)入射実験においては、再現性よくプラズマ中へ入射が行われ、CT入射に伴う密度の急上昇が初めて明確に観測された。
雨宮 浩樹; 丹羽 正和
no journal, ,
百万年以上に及ぶ時間スケールでは山地の発達により動水勾配などが大きく変化する可能性があるため、山地の形成過程を把握する技術の整備が重要である。山地の形成過程を把握する手法の一つとして、堆積物を用いた後背地解析技術が有効と考えられている。東濃地科学センターでは、従来の後背地解析手法に加え、山地・丘陵から供給された砕屑粒子の物理・化学特性などを指標とした解析手法を導入することにより、山地・丘陵の隆起開始時期と形成過程の推定や古地形の復元に係る精度・分解能を向上させるための後背地解析技術の開発を進めている。後背地解析技術の一つの方法として帯磁率異方性の古流向解析への適用性の検討を行っている。北海道天塩郡幌延町問寒別地域の下部更新統・更別層の露頭観察結果と帯磁率異方性測定結果から推定される古流向は調和的であり、古流向解析手法の一つとして帯磁率異方性の適用が期待できる。
雨宮 浩樹; 丹羽 正和; 代永 佑輔; 堀内 泰治*
no journal, ,
後背地解析では、堆積物からその供給源や運搬経路の時間的・空間的変遷について検討することとなる。こうした検討に必要な情報の一つが、堆積物の流下方向(古流向)である。本発表では、鮮新-更新世堆積物を対象とした帯磁率異方性を用いた古流向解析の適用性を検討した。対象地域は北海道幌延地域である。その結果、露頭観察と帯磁率異方性測定から推定される古流向は調和的であり、鮮新-更新世堆積物を対象とした古流向解析手法の一つとして帯磁率異方性の測定が有効であることを確認した。また、帯磁率異方性測定結果から判読される古流向は、地形発達史を考慮すると主に更別層堆積時の潮の満ち引きを反映していると推定され、本地域における更別層の堆積環境や丘陵・盆地の形成過程を検討する指標の一つとなりうることがわかった。
代永 佑輔; 佐野 直美; 清水 麻由子; 雨宮 浩樹; 植木 忠正; 丹羽 正和
no journal, ,
後背地解析を実施する上で、限られた露頭やボーリングコアなどの試料から多量の重鉱物を取り出し、EPMAを用いた迅速な定量分析により、後背地の推定を行う手法が開発されてきた。本報告では北海道幌延地域を事例として、堆積岩や苦鉄質岩が後背地となる地域での手法の適用性を検証した。測定試料は、北海道天塩郡幌延町に分布する前期更新統の更別層とした。試料の前処理およびEPMA分析は清水ほかの文献に従い、重鉱物組成を求めた。結果は、問寒別地区東部は主に蛇紋石・クロム鉄鉱・酸化鉄から構成され、天塩山地を構成する蛇紋岩が供給源であることが推測される。一方で、問寒別地区西部及び上幌延地区は主に輝石・角閃石・イルメナイト・チタノマグネタイトから構成され、両地区の間に分布する宗谷丘陵を構成する新第三系の堆積岩が供給源であることが推測される。また、更別層の堆積年代から少なくとも1.0Ma頃には宗谷丘陵が隆起し、堆積物が供給されていたことが考えられる。これは、新里ほかの文献などで推測されている宗谷丘陵の隆起時期などと整合的である。以上のことから、本手法が堆積岩および苦鉄質岩が後背地となる地域においても適用可能であることが確認された。
代永 佑輔; 佐野 直美*; 雨宮 浩樹*; 丹羽 正和; 安江 健一*
no journal, ,
後背地解析を実施する上で、露頭分布に制約がある場合など地域的な制約に係る課題を解決するため、EPMAを用いて後背地推定を行う手法(重鉱物スクリーニング)が開発されてきた。本報告では、堆積岩や苦鉄質岩が後背地となる地域での本手法の適用性を検証した。測定試料は、北海道幌延地域の更別層と、その供給源として推測される天塩山地の白亜系および宗谷丘陵の新第三系とした。その結果、更別層は、問寒別地区東部では蛇紋岩・クロム鉄鉱・酸化鉄、問寒別地区西部では輝石・イルメナイト、幌延地区では角閃石・イルメナイトがそれぞれ卓越し、重鉱物組成の違いが認められた。供給源の岩石では、蛇紋岩は蛇紋石・クロム鉄鉱・酸化鉄、函淵層群は輝石、宗谷夾炭層・勇知層はイルメナイトが卓越する。これら結果から更別層の後背地は、問寒別地区東部は天塩山地、問寒別地区西部・幌延地区は宗谷丘陵が候補の一つと考えられる。特に、幌延地区については白亜系起源の鉱物がほとんど含まれておらず、更別層の堆積時期には既に宗谷丘陵の隆起が進行していたことを示唆する。以上のように、堆積岩や苦鉄質岩が後背地となる地域でも、本手法が適用できる見通しが確認できた。
佐々木 隆之*; 鴻上 貴之*; 雨宮 浩樹; 村上 裕晃; 天野 由記; 岩月 輝希; 水野 崇; 小林 大志*; 桐島 陽*
no journal, ,
地下水中のTh, Uおよび希土類元素(REEs)の濃度を熱力学的解析により評価するため、幌延深地層研究センター周辺に分布する地下水を対象に調査を行った。地下水は幌延深地層研究センターの研究坑道内、深度140mおよび250m坑道から掘削したボーリング孔より嫌気状態で直接採水した。コロイドの分布については、原位置において0.2mおよび10kDaの限外ろ過膜によるろ過により評価した。また、ろ過した地下水との比較のため、ろ過していない地下水も採取した。地下水の分析および熱力学解析の結果、ThおよびUについては溶解度がそれぞれThO
(cr)およびUO
(cr)に支配されていることがわかった。一方、REEsについては濃度が低く、また、軽REEsにおいてコロイドの影響が顕著であった。リン酸塩鉱物を溶解度制限固相として溶解度を算出した結果、分析結果が海水とリン酸塩鉱物間のREEの固液平衡によって説明可能であることがわかった。
鴻上 貴之*; 佐々木 隆之*; 雨宮 浩樹; 村上 裕晃; 天野 由記; 岩月 輝希; 水野 崇; 窪田 卓見*; 桐島 陽*
no journal, ,
高塩分濃度の地下水中の極微量元素であるU, Th及び希土類元素の定量法としてICP-MS分析フローを開発した。同法を幌延URLで採水した地下水に適用し、同元素濃度を測定した。
伊藤 映美*; 竹内 真司*; 新里 忠史; 佐々木 祥人; 雨宮 浩樹*
no journal, ,
福島第一原子力発電所の事故により、森林に沈着した放射性セシウムの多くは、林床表層に存在している。林床表層の改変による林床からの放射性セシウムの流出挙動の変化を明らかにするため、モミと広葉樹の混交林においてリター層の除去による影響を調査した。落葉の分解が進んでいないL層の除去による林床からの放射性セシウム流出への影響はほとんどないことが明らかになった。
天野 由記; 雨宮 浩樹; 村上 裕晃; 岩月 輝希; 寺島 元基; 水野 崇; 桐島 陽*; 久野 温*; 佐々木 隆之*; 窪田 卓見*; et al.
no journal, ,
幌延URLにて、ボーリング掘削による汚染の影響を極力排除し、原位置環境条件を保持した状態で、限外濾過手法を用いてコロイドを採取した。コロイド粒子と微量元素の相互作用に関する基礎情報を得るために、地下水及びコロイドの化学特性について評価した。
天野 由記; 佐々木 祥人; 南條 功*; 雨宮 浩樹; 水野 崇; 伊勢 孝太郎; 吉川 英樹
no journal, ,
地下環境における還元状態は、高レベル放射性廃棄物処分環境にとって非常に重要な条件である。しかしながら、地層処分のための地下施設建設時には、坑道周辺の酸化により鉱物と地下水の平衡状態が変化し、それに伴い微生物群集も影響を受けることが想定される。地下施設建設が周辺の地球化学状態変化に及ぼす影響を評価するための技術開発を目的として、地下施設建設過程における水理・地球化学・微生物学的特性についてモニタリングを実施した。その結果、周辺水圧の低下が確認されたが、塩分濃度についてはほとんど変化しないことが確認された。pHは時間の経過とともにわずかに上昇したが、酸化還元電位については還元状態のままほとんど変化が見られなかった。一方で、微生物群集組成については、初期には還元状態を好むFirmicutesおよびdelta-Proteobacteriaが優占していたが、時間の経過とともに比較的酸化還元ポテンシャルが高くても生息可能なbeta-Proteobacteriaが優占することが明らかになった。この結果は、坑道周辺が酸化の影響を受けているにもかかわらず、微生物の酸化還元反応により緩衝能力が機能し、還元状態が保持されていることを示唆している。
天野 由記; 伊勢 孝太郎; 寺島 元基; 佐々木 祥人; 雨宮 浩樹; 吉川 英樹
no journal, ,
天然バリア中の核種移行に関わる不確実性要因となりうる微生物影響評価の観点から、幌延地下施設を利用して地下環境における微生物群集の空間分布について調査を実施した。その結果、微生物分布は酸化還元状態や炭素源のような地球化学条件と密接に関連していることが示された。
雨宮 浩樹; 水野 崇; 岩月 輝希; 湯口 貴史; 村上 裕晃; 國分 陽子
no journal, ,
放射性廃棄物の地層処分において、地下深部の長期的な地球化学環境の変遷を推定することは重要な課題となっている。長期的な地球化学特性の変遷の調査解析は、地下水の滞留時間の範囲内においては、地下水を分析することにより直接的に地球化学的特性を把握することが可能である。一方、地下水の滞留時間を超える時間スケールを対象とする場合においては、過去の地球化学特性を反映した地下水を直接採取することができないため、地下水から沈殿した二次鉱物を利用し地球化学的特性(温度、塩分濃度、pHおよび酸化還元電位)を推測することが有効な方法のひとつである。演者は炭酸塩鉱物を用いて過去の地下水の地球化学特性を推定し地下深部における地球化学的条件の把握を試みたこれまでの研究をレビューした。その結果、炭酸塩鉱物沈殿時の地下水の温度と塩分濃度は定量的に評価できる一方、pHおよび酸化還元電位は定性的な評価しかできていないが、炭酸塩鉱物中のマンガン,鉄,ウランなどの重金属や希土類元素の含有量を用いて酸化還元電位を定量的に推定できる可能性が示唆された。
渡邊 隆広; 國分 陽子; 村上 裕晃; 横山 立憲; 雨宮 浩樹; 水野 崇; 久保田 満; 岩月 輝希
no journal, ,
地質環境の長期安定性を評価するためには、過去の地質環境の変動幅を把握し、その結果に基づいて将来の変動幅を推定するといった手法の構築が必要である。このためには、過去の地下水の流動特性や化学的条件(酸化還元電位やpH)を把握することが必要である。これまでに地下水の化学組成に基づいて、地下水の滞留時間を評価する試みが行われてきたが、過去の地下水の化学的条件の変遷を連続的に把握することは困難であった。一方、地下水から沈殿した炭酸塩鉱物は、沈殿当時の年代と化学的状態を示す成分(例えば、ウラン, 鉛, 鉄や希土類元素の相対量など)を保持している可能性が高い。岩盤中の割れ目を充填する炭酸塩鉱物を古環境指標として活用するためには試料の局所領域を数十マイクロメートル以下で分析可能なレーザーアブレーション付き誘導結合プラズマ質量分析装置(LA-ICPMS)が有効である。本技術開発においては、日本原子力研究開発機構土岐地球年代学研究所に導入したLA-ICP質量分析計を用いて、炭酸塩鉱物の局所領域のU-Pb年代測定について技術基盤の構築を進めた。さらに、過去の化学的状態を復元するため、炭酸塩鉱物と地下水間の鉄の分配係数をもとにした酸化還元電位推定手法の適用性を検討した。