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大坪 章; 羽賀 一男; 小綿 泰樹
JNC TN4420 2002-001, 102 Pages, 2002/10
本報告書では、(超)小型FBR即ち宇宙炉及び深海炉の研究現状について調査した。まず宇宙炉に関しては、原子力ロケットエンジン技術開発の世界の歴史、月面基地用のFBR発電所の建設、静的発電システムおよび核燃料供給について調査した。これはいわゆる「夢のある話」であって、本報告書では次に述べる深海炉研究の完了後の、2050以降の実現を想定している。深海炉に関しては本報告書では、昨年6月作成の報告書「海洋研究用に要望のある高速深海炉」以後の研究の進展について調査し、この報告書の補遺報告とした。具体的には我が国においても、自律型無人潜水船の技術の確立がされてきたので、今や海底基地即ち無人基地や少人数滞在型の有人基地については、いわゆる「夢のある話」でなく、「現実の話」になったことにつき述べた。深海炉研究の発表は海洋技術国際学会UT2002でも好評で、聴講されたIEEE(INSTITUTE OF ELECTRICAL AND ELECTRONICS ENGINEERS,INC.;米国電気電子技術者協会)のSENIOR EDITOR等の複数の外国技術者から、海洋研究用電源の開発の重要性に基づいて、高評価および積極的賛同が寄せられた。本研究については旧動燃時代に、プロジェクト化出来るかどうかの社内技術審査があり合格しているので、筆者は本研究がこれから日本で本格的になされるのが好ましいと考えている。更にこの度特殊法人改革でサイクル機構と原研が統合することになったが、この統合は筆者が2001年春の原子力学会の総論部門で発表した論文の内容と同種のものであるので、本報告書で改めて賛成意見をまとめた。
大坪 章; 羽賀 一男; 小綿 泰樹
Underwater Technology 2000, 0 Pages, 2000/00
None
大坪 章; 小綿 泰樹; not registered
JNC TN4420 98-001, 56 Pages, 1999/01
我が国では高速炉開発に関しては、大型高速増殖炉のみの開発が行われてきた。しかし世界的には大型高速増殖炉の開発と同時に、これと平行して、宇宙で利用される数十数百KWEの可搬型炉の開発が行われてきた。本報告書はこのような諸外国における可搬型炉の開発の歴史について調査するとともに、より小さな数WE200WEの電気出力の原子力電池の世界的な開発及び実用状況について調査したものである。このような可搬型高速炉及び、原子力電池は宇宙のみならず深海および地上の僻地での使用も期待されるものである。本報告書においては、このような可搬型高速炉及び、原子力電池の我が国における開発の意義について論じた。但し原子力電池については238PU電池および90SR電池の2種類があるが、前者の開発はその技術的課題を検討した結果、当面はわが国での開発は不可能と考えられる。
小綿 泰樹; 大坪 章
PNC TN9410 98-077, 69 Pages, 1998/07
陽子加速器駆動により未臨界高速炉を燃料自給型ハイブリッド高速炉として利用する場合の炉物理的成立性を検討するために、ターゲット部で発生する中性子の炉心内増倍効果および長期サイクル運転を達成できる炉心パラメータを求める解析を行った。炉心内にターゲット領域を設けた炉心で、DORTコードによる輸送計算を簡略的手法と現実的手法の2つで行い、両者の中性子束分布および未臨界増倍率を比較して前者の妥当性を評価した。前者はターゲット部を非増倍領域とした固有値計算、後者はそれを局所中性子源とした未臨界増倍計算である。簡略的な固有値計算では、高速中性子束分布はターゲット部に近い炉心領域ほど未臨界増倍計算のそれに比べて過小評価するが、未臨界増倍率は過大評価する。ターゲット領域を設けたハイブリッド高速炉の炉心拡散・燃焼計算を2DBURNコードで行った。前年度実施した予備解析の炉心条件に比べて炉心体積を約3倍増加させるとともに、加速器駆動のための実効増倍率変化範囲を0.90+-0.05に拡大した。初装荷燃料として10wt%濃縮ウランと一部にダミー燃料を併用し、取り替え燃料には天然ウランを使用すれば、約40年にわたる燃焼サイクルの達成が可能である。
小幡 立人; 小綿 泰樹
JNC TN3410 99-003, 600 Pages, 1998/03
None
大坪 章; 小綿 泰樹
PNC TN9420 97-006, 70 Pages, 1997/09
動燃では色々な型の新型高速炉の研究をしてきた。その中で深海高速炉はわが国の海洋/気象/海底油田/地震等の専門家からの開発研究に対する期待が大きく、また開発に要する予算も小さく、開発課題も殆ど無く、最も実現性の高いものである。本報告書では開発目標とする40kWe及び200-400kWeの深海高速炉の概要について説明するとともに、その利用法について調査検討をした。深海高速炉は海洋では、長期気候予測及び地球科学研究用無人海底基地、深海底油田基地等での電源としての利用がある。一方陸上においても、極地での研究施設の暖房と電力供給が考えられる。またより将来は、宇宙での利用も考えられる。現在、大型高速増殖炉開発計画は順調に進まず、実用化時期がかなり遠のいた状態にある。深海高速炉を一刻も早く実用化し、高速炉技術を現代社会にしっかりと植えつけることが、現時点で最も大切なことであると筆者は考える。
小綿 泰樹; 大坪 章
PNC TN9410 97-064, 42 Pages, 1997/06
加速器と未臨界高速炉とを組み合わせたハイブリッド炉(加速器ハイブリッド高速炉)の特徴(出力制御性、硬中性子スペクトル等)を生かし、これまで主として超ウラン元素(TRU)を消滅させる性能に着目して検討を行ってきた。使用する加速器の形式として、単位出力当りの中性子発生数の観点から、加速ビームが電子又は陽子の場合を比較した。その結果、ターゲット(タングステン)原子核とのスポレーション反応を利用する陽子加速器が優れており、当然TRU消滅特性も有利であることが分かった。本来、高速炉は転換比が高いので加速器のような外部中性子源を組み合わせれば、制御棒や高富化プルトニウム燃料を使用しなくても出力密度を高くして長期運転が可能であると考えられる。すなわち、核分裂性プルトニウムを自給できる(燃料自給)特性をもっている。従って、本報告書では、陽子加速器の高い中性子発生能力に基づく原子炉制御への適用性を利用し、陽子加速器ハイブリッド高速炉の炉心特性を2D-BURNコードを用いて概略的に検討した。出力密度300w/ccでターゲット部を無視した円筒炉心を想定し、炉心の寸法と全炉心体積に占める燃料の体積比をパラメータとして行った燃焼計算から燃料自給の可能性を検討した。この結果、炉心高さと半径がそれぞれ100cmの炉心では、初期炉心にのみ中富化度(約10wt%)のウラン又はプルトニウム燃料を装荷すれば、以後の燃焼サイクルには天然ウランのみを供給するだけで長期運転が可能になる見通しが得られた。なお、より詳細な解析は次年度に行う予定である。
大坪 章; 小綿 泰樹
PNC TN9410 97-029, 39 Pages, 1997/03
動燃では現在加速器による消滅処理研究の一環として、大電力電子線形加速器の研究をしている。そこで応用利用技術の一つとして、電子加速器とTRU燃料を用いた未臨界炉心体系を組み合わせたハイブリッド炉の核熱計算を昨年度行った。加速器と未臨界炉心体系を組み合わせたハイブリッド炉としては、良く知られているように電子加速器以外に陽子加速器を用いるハイブリッド炉がある。今年度は陽子加速器を用いるハイブリッド炉の核熱計算を実施して、両方のハイブリッド炉のTRU消滅特性を比較した。陽子加速器で加速された陽子ビームを、未臨界炉心体系の中央に位置するターゲット部に入射する。そして核破砕反応により中性子を発生させる。発生した中性子は周囲の未臨界炉心体系に入り、TRUを消滅させる。計算の結果、ビームパワー1MWの陽子線を1年間keffが0.95の未臨界炉心体系に入射した場合、TRU消滅量は約10kgになった。このTRU消滅量は、昨年度検討した電子加速器を用いるハイブリッド炉の場合のTRU消滅量の、約100倍である。
小綿 泰樹; 福村 信男; 猪原 敏照
Nuclear Science and Engineering, 127(1), p.89 - 103, 1997/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)本論文は、圧力管型炉の安全性確保に重要な冷却材ボイド反応度に関して燃料組織等を広範囲に変化させて設計コードで解析し、これまでの実験結果を理論的に裏付けたものである。具体的には、28本MOX燃料格子のボイド反応度の挙動解明のために行った重水臨界実験体系でのパラメトリック解析により、以下の結論を得た。(1)ボイド反応度を負側に低下される効果は、U燃料よりPu燃料の方が大きく、またMOX燃料中では239Pu含有率が高いほど顕著に大きくなる。(2)239Puのボイド反応度抑制効果についてのメカニズムは、0.3eVの共鳴の存在に起因している。これは、軽水の大きな中性子錯乱により、共鳴エネルギー幅内の窪んだ中性子束を回復させる効果がボイド率の増加に伴って低下し、共鳴核分裂率の減少が等与するためである。
小綿 泰樹; 福村 信男
PNC TN9410 96-131, 35 Pages, 1996/05
全炉心でMOX燃料を使用できる重水減速・沸騰軽水冷却圧力管型原子炉(HWR)の実用化検討で重要な冷却材ボイド反応度の評価に関しては、多くのパラメータについてその挙動を統一的に解明する必要がある。そのパラメータはプルトニウム富化度、プルトニウム同位体組成比、減速材と燃料の体積比等である。特に、ボイド反応度に及ぼすプルトニウムの寄与の解明は重要である。格子計算コードWIMS-D4を用いてHWRの無限格子の冷却材ボイド率を0100%に変化させた場合のボイド反応度の解析を行い、燃料核種又はプルトニウム同位体組成の相異がボイド反応度に及ぼす効果のメカニズムを解明した。格子計算においては格子内の空間及びエネルギー依存の中性子断面積と中性子束分布を用いて、ボイド反応度を燃料核種、反応断面積、中性子エネルギー群及び格子内領域の各種成分として分離することにより、ボイド反応度の挙動を解明できることが分かった。なお、本解析では使用する核データをオリジナルのUKAEAから日本版評価済みのJENDL-3.1に置き換えた。その結果、中性子スペクトル指標及び熱中性子束分布についてWIMS-D4コードの計算精度が向上することを確認した。本研究により、燃料のマクロ熱中性子吸収断面積が同一であれば、HWR格子における冷却材ボイド反応度は狭いピッチの格子ほど負側に移行し、またウラン格子よりプルトニウム格子の方がより負側に移行することが明らかになった。プルトニウムによるボイド反応度の低減効果は、239Puの0.3eVの共鳴吸収断面積の存在に起因する。即ち、239Puの含有率が高いほど0.3eVの共鳴エネルギー幅内で冷却材ボイド率の増加に伴う軽水の熱中性子散乱効果が減少することによって、中性子密度の回復効果が低下するからである。この結果、239Puの共鳴核分裂率が減少してボイド反応度に対して負側の寄与となることが分かった。
小綿 泰樹
PNC TN9410 93-279, 196 Pages, 1993/11
新型転換炉(ATR)実証炉の反応度投入事象に関する安全解析コードを整備するため、3次元空間依存動特性コードEUREKA-ATRの計算精度及び適用性の評価を実施している。これまでEUREKA-ATRコードを用いてSPERT-III・E炉心反応度投入実験及び「ふげん」再循環ポンプ切換時出力変化実験に関する実験解析を行うことにより、同コードの計算精度の確認がなされた。平成3年度は、本コードを用いてATR実証炉の起動時制御棒引抜き事象(低温・低出力時)の事例解析を行い、安全解析コードとしての適用性を検討した低温・低出力時の過渡変化事象においては、炉心温度上昇や冷却材中でのボイド発生がなく、中性子計装系の信号処理も比較的単純であった。それ故、新たにボイド率増加を伴なう反応度フィードバック効果及び高温・高出力状態の炉心で作動する原子炉安全保護系の各計算機能の確認を行なう必要がある。今年度は取替炉心サイクル初期における出力運転中制御棒引抜き事象を解析事例として選択し、高温・高出力状態での反応度投入事象に対する同コードの適用性を評価した。本事象では過渡変化時に炉出力上昇によって冷却材ボイド率や流量等が変化するので、反応度フィードバックが生じる。特に、正のフィードバックが予想されるボイド反応度及びボイド率,燃料温度等の変化を求める熱流動の各計算モデルの妥当性、更に中性子束分布の歪と炉出力とに依存している安全保護系の計算機能の妥当性をそれぞれ確認すう。以上に述べた解析モデル及び計算機能の妥当性を確認するために、制御棒引抜き速度、初期出力及び熱流動チャンネル分割を変化させた感度解析を実施する。本解析では、ATR実証炉に固有の安全保護系の設計条件を導入し、現実的評価を与える計算値を用いた。本事例解析により、以下の結論が得られた。1)炉心部の熱流動チャンネル・ノード分割数を10チャンネル・9ノードに設定することにより、3次元のボイド率分布及び中性子束分布が反映されたボイドフィードバック反応度が求められた。2)制御棒引抜きによる投入反応度は約6¢、ホイド反応度及びドップラ反応度はそれぞれ約1¢、-約4¢と小さいが、炉心状態の変化に応じてホイド率及びボイド率分布が領域毎に変化し、領域毎のボイド反応度成分は符号及び絶対値が異なる値が求められた。3)原子炉の安全保護系に用いているPRPMによるスク
小綿 泰樹; 福村 信男
Nuclear Science and Engineering, 115(3), p.205 - 218, 1993/00
被引用回数:1 パーセンタイル:18.76(Nuclear Science & Technology)ATR実証炉に装荷される計画であるガドリニア入燃料クラスタ(Gd入燃料)が,冷却材ボイド反応度に及ぼす影響について,DCAによる臨界実験及び解析より明らかになった。解析には,WIMS-ATR,CITATION,PERKY(摂動解析)の各コ-ドを使用した。Gd入燃料の装荷割合,Gd入燃料棒のクラスタ内位置及びガドリニア濃度を変化させて,ボイド率が 0%100%に変化した際のボイド反応度へ与える影響を考察した。また, Gd入燃料以外の標準燃料中の核種(U,Pu)の相違が, Gd入燃料装荷炉心のボイド反応度へ及ぼす効果も考察した。この結果,ガドリニアの添加,Gd入燃料装荷割合の増加はボイド反応度を正側へ移行させるが,Pu燃料の利用により正側への移行を抑制できることを炉物理的に明らかにした。
小綿 泰樹; 若林 利男
PNC TN9410 92-138, 271 Pages, 1992/05
EUREKA-ATRコードは、新型転換炉において、炉心内の出力分布や冷却材ボイド率分布の空間依存性を考慮できるように開発された3次元動特性解析コードである。平成2年度は、本コード用いてSPERT-III・E炉心反応度投入実験及び「ふげん」再循環ポンプ切換時出力変化実験の2種の実験解析を行い、その計算精度と適用性を確認した。平成3年度は、ATR実証炉の反応度投入事象に対する本コードの適用性を確認するため、低温低出力時の起動時制御棒引抜き事象に関する解析を実施した。実証炉の安全解析コードとしての適用性を確認する観点から、起動時制御棒引抜き事象のうちイベントシーケンスと半定量的な発生頻度を考慮して、設計基準事象(DBE)及び「幾分DBEを超える想定」の範囲に含まれる事象(BDBE)からそれぞれ代表的解析ケースを選定して事例解析を行った。各ケースについて3次元及び1点近似解析を実施し、設計に使用した1点近似解析の妥当性を評価した。また、実証炉の安全解析に関する幅広い事象への対応として、EUREKA-ATRコードの基本的解析手法を整備するため、投入反応度またはその他の結果に影響を与えると考えられる幾つかのパラメータについて感度解析を行った。EUREKA-ATRコードを用いて、ATR実証炉の最大反応度投入事象である起動時における制御棒引抜き事象(低温低出力時)を固有のシステム設計条件を含めて解析した結果、以下の結論が得られた。
小綿 泰樹
PNC TN9410 91-285, 27 Pages, 1991/08
燃料集合体内にガドリニア入燃料棒を数本組み込んだGd入燃料を、DCA炉心の中央部に少数体装荷した炉心を対象にして、圧力管型重水炉の冷却材ボイド反応度に及ぼすガドリニアの効果を実験及び解析によって考察した。ガドリニア濃度は0.0,0.1,0.5及び1.0wt%に変化させた。ボイド反応度の実験値と計算値の比較によって、解析に使用した核計算コードの計算精度は0.2となった。解析では、格子群定数計算に衝突確率法を用いた格子計算コードWIMS-D、炉心計算に少数群拡散計算コードCITATIONをそれぞれ使用した。ガドリニアの添加はボイド反応度を正側へ移行させるが0.5wt%以下の濃度で飽和させる。ボイド反応度の正側への変化量は、Gd入燃料の炉心への装荷割合が高いほど、またGD入燃料棒をクラスタの外側へ配置するほど大きい。しかしガドリニアを含まない標準燃料の核分裂性核種をウランからプルトニウムに変更すれば、この正側への変化量は緩和される。ガドリニアの添加がボイド反応度を正側へ移行させる主な理由は、ボイド発生によるGdの中性子吸収の増加が標準燃料領域で中性子インポータンスの増加を助長させて核分裂効果を高めるためである。
小綿 泰樹; 若林 利男
PNC TN9410 91-101, 246 Pages, 1991/03
新型転換炉実証炉(以下実証炉とよぶ)の空間依存性を考慮した動特性解析を行うために開発されたEUREKA-ATRコードの計算精度と適用性を明らかにするため、反応度添加特性及び事象の推移状況が異なる2種類の実験解析を実施した。1つは添加反応度が1$前後と大きくドップラーフィードバック効果の大きいSPERT-III-E炉心反応度添加実験、他は添加反応度は小さいがボイド発生とボイド率空間分布を伴う「ふげん」15サイクル再循環ポンプ切換時出力分布変化測定である。SPERT-III-E炉心実験解析では、冷温及び高温実験で各1ケース、高温高出力実験では2ケースの計4ケースをとり上げた。従来から行われてきた一点近似解析との比較も行うため、一点近似及び3次元の各解析を同一計算条件で行った。以上の2つの実験解析結果を総合することにより、EUREKA-ATRコードの計算機能及び計算精度が明らかになった。添加反応度の値及び反応度添加速度を広範囲に変化してみても、計算精度に大きな変化はなかった。解析による反応度添加後の出力及びフィードバック反応度の時間応答特性は、広い反応度添加範囲で実験結果とよく一致した。SPERT炉心のように炉心が小さい場合は、添加反応度の大小によらず3次元解析と一点近似解析の各結果には大きな差は生じない。また、「ふげん」の再循環ポンプ切換時のように、ボイド率空間分布が炉心内で片寄る場合には、3次元核・熱カップリングモデルの解析手法によって、領域ごとの測定量と比較ができ、かつ、精度良く再現できることが分かった。これより、EUREKA-ATRコードは、核的及び熱的諸量の空間依存性の評価が精度よくできることが確認された。
小綿 泰樹*
PNC TN9410 89-168, 26 Pages, 1989/12
軽水冷却圧力管型重水炉の減速材重水に用いられる2種の中性子吸収材が及ぼす冷却材ボイド反応度に対する炉物理効果について検討した。中性子吸収材は減速材に溶解したポイズンと局所挿入した制御棒であり,いずれも中性子吸収元素はほう素である。重水臨界実験装置を用いて,臨界水位差法によってボイド率を変えたときのボイド反応度を測定した。WIMS‐Dコードによる計算値と測定値を比較し,計算結果を摂動解析によって吸収材の効果を評価した。ボイド反応度の正側への移行の理由を記述した
小綿 泰樹*; 戸村 和二*; 佐々木 善行*; 岡崎 庸*; 葉山 勇*
PNC TN9410 88-135, 39 Pages, 1988/10
ATR実証炉に使われている燃料と同一形状の燃料体を装荷した炉心において、試験燃料体の燃料組成を変化させた場合の冷却材ボイド反応度を把握し、核設計コードの精度評価に寄与する。実証炉用燃料集合体をDCA(重水臨界実験装置)炉心の中央部に部分装荷して冷却材ボイド反応度を臨界水位差法により測定した。試験燃料体は下表に示すように、UO2及びMOXの両組成ごとに集合体各層の濃縮度(富化度)分布を変化させ、それぞれ2種(タイプ1、2)、3種(タイプ35)の計5種類である。まずタイプ1燃料体を炉心中心部の(33)チャンネルに装荷し、次に炉心中心チャンネルの燃料体1体を順次タイプ2、3、4又は5の燃料体に置き換えてボイド反応度を測定した。なお、試験燃料以外の燃料(1.2wt%UO2)チャンネルは常に100%ボイドとした。ボイド反応度は集合体内に濃縮度(富化度)分布がないか、又は小さければ、ボイド率の増加とともに単調に負側に移行する。しかし、集合体内に濃縮度(富化度)差を設ければ、局所出力分布の平坦化とは裏腹にボイド反応は正側へ移行する。
川太 徳夫*; 小綿 泰樹*; 若林 利男*
PNC TN9410 88-109, 171 Pages, 1988/08
DCA制御棒挿入炉心実験データ及び「ふげん」起動試験実績データに基づいて、WIMS-ATRコードによる制御棒反応度価値及びチャンネル出力分布の計算精度解析を実施した。本検討で得られた主要な結果を以下に示す。(1)METHUSELAH-2コードと比べWIMS-ATRコードは制御棒反応度価値を4%9%大きく評価する傾向を示す。(2)拡散係数としてセル定数を使用した"新"吸収面積法を使用すればWIMS-ATRコードによる制御棒反応度価値の計算精度は-6%+8%であり、10%の設計誤差で十分と考えられる。(3)マルチセル計算手法は非均質の核定数を使用すれば5%程度の計算精度で制御棒反応度価値を計算することが可能と思われ、設計バックアップ手法として適宜使用することが望ましい。(4)WIMS-ATR/LAYMON-2Aコードによるチャンネル出力分布の計算誤差はRMSで23%であり、実験値とよく一致している。
小綿 泰樹*; 福村 信男
Nuclear Science and Engineering, 99(4), p.299 - 312, 1988/08
置換法実験に摂動論を応用して28本クラタスのMOX燃料格子の冷却材ボイド反応度を求める実験データ解析手法を開発した。格子ピッチ燃料種類およびボイド率をパラメータとしてボイド反応度をパルス中性子法で測定した。この結果,ボイド反応度に及ぼす燃料核種の効果がボイド率変化に伴う中性子スペクトル変化及びPuの0.3Vの共鳴核分裂率変化の観点から説明できるようになった。格子計算コードWIMS-Dによる計算値は最大約30ドルの測定値に対して1.6ドル以内で実験値と一致した。本実験データ解析手法を用いれば,MOX燃料格子のボイド反応度は約10%の精度で決定できることが示された。