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阿久津 和宏*; 山田 悟史*; 上田 祐生; 元川 竜平; 成田 弘一*
Applied Sciences (Internet), 12(3), p.1215_1 - 1215_10, 2022/02
被引用回数:1 パーセンタイル:25.25(Chemistry, Multidisciplinary)液-液系の界面構造を知ることは、二相系の生物・化学反応の理解には必須である。本研究では、界面の層構造を観察できる中性子反射率(NR)測定用の新しいサンプルセルを開発し、典型的な界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の重トルエン-重水界面への吸着挙動を調べた。開発したセルは、滑らかな界面を作るためにPTFEフレームを底部に配置し、従来のセルに比べて小型化したことが特徴である。得られたNRプロファイルは容易に解析可能であり、重トルエン-重水系と空気-重水系では界面のSDS吸着層構造にわずかな違いがあることがわかった。これは、界面の条件によってSDS分子の吸着挙動が異なることに起因すると考えられる。
山田 弘一*; 櫻井 真治; 中村 誠俊
FAPIG, (187), p.28 - 31, 2014/02
核融合エネルギーの早期実現に向けて日欧協力で「幅広いアプローチ(BA)活動」が実施されており、その中で核融合エネルギーの早期実現を目指した研究開発のために日本原子力研究開発機構でJT-60SAの建設が進められている。JT-60では、高加熱プラズマの維持時間が制限されていたため、真空容器下部に設置されるダイバータターゲットは炭素タイル(C/C材)のネジ止め構造の慣性冷却であったが、改造後のJT-60SAでは100秒間の高熱負荷環境に耐えるためモノブロック構造受熱タイルを冷却管に冶金的接合した強制冷却ダイバータが適用される。しかしながら、受熱タイルと冷却管とでは適用される材料の線膨張率が異なり、その材料接合部間で欠陥が生じやすく、その欠陥が断熱箇所となり所定の除熱性能を得ることが難しい。そのため、当該機器製作では、受熱タイル構造の改善を行うことで対応した。本稿では、高い除熱性能を満足させるダイバータターゲット製作での実施内容について報告を行う。
土谷 邦彦; 星野 毅; 河村 弘; 三島 良直*; 吉田 直亮*; 寺井 隆幸*; 田中 知*; 宗像 健三*; 加藤 茂*; 内田 宗範*; et al.
Nuclear Fusion, 47(9), p.1300 - 1306, 2007/09
被引用回数:23 パーセンタイル:61.74(Physics, Fluids & Plasmas)原型炉用増殖ブランケット開発の一環として、「高温・高照射環境に耐えうる先進トリチウム増殖材料及び中性子増倍材料」の開発における最近の成果を本論文にまとめた。トリチウム増殖材料については、少量(約1mol%)の酸化物(CaO等)を添加したチタン酸リチウム(LiTiO)に着目し、1000Cまでの結晶粒成長の抑制が可能であること、熱伝導が無添加LiTiOと同程度であること、水素によるTiの還元を抑制が可能であること等が明らかになった。中性子増倍材料については、Be-Ti合金に着目し、1000Cにおける比強度が約200MPaと高いこと、第1候補材料であるベリリウムに比べて、F82H鋼との両立性が良いこと、乾燥空気中1000Cにおいても高い耐酸化特性を有していること、1%の水蒸気を含んだアルゴンガス雰囲気中における水素生成速度が1/1000以下になること、水素同位体のインベントリーが非常に小さいこと等を明らかにした。これらの知見により、少量の酸化物を添加したLiTiO,ベリリウム金属間化合物(BeTi等)を含んだベリリウム合金の良好な特性が明らかになり、原型炉用増殖ブランケットの開発に明るい見通しを得た。
土谷 邦彦; 星野 毅; 河村 弘; 三島 良直*; 吉田 直亮*; 寺井 隆幸*; 田中 知*; 宗像 健三*; 加藤 茂*; 内田 宗範*; et al.
Proceedings of 21st IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2006) (CD-ROM), 8 Pages, 2007/03
原型炉用増殖ブランケットに必要な「高温・高照射環境に耐えうる先進トリチウム増殖材料及び中性子増倍材料」の開発を全日本規模の産学官連携のもとで実施した。それらの開発に関する最近の成果について報告する。トリチウム増殖材料に関しては、LiTiOに酸化物を添加した材料の開発を行い、少量(約1mol%)の酸化物(CaO等)を添加することで、水素を添加したスイープガス中でもTiの還元を抑制することができる材料の開発に成功した。中性子増倍材料に関しては、ベリリウム金属間化合物であるBeTiに着目し、各種特性を定量的に評価し、比強度が高いこと、高い耐酸化特性を有していること、1%の水蒸気を含んだアルゴンガス雰囲気中における水素生成速度が1/1000以下になることなどを明らかにした。以上の知見により、原型炉用増殖ブランケットの開発に明るい見通しを得た。
山田 弘一*; 河村 弘; 長尾 美春; 高田 文樹; 河野 渉*
Journal of Nuclear Materials, 355(1-3), p.119 - 123, 2006/09
被引用回数:5 パーセンタイル:36.17(Materials Science, Multidisciplinary)ITERの冷却配管材料候補材であるSU316LN-IGを用いて、照射材と未照射材のレーザ溶接による接合材の曲げ特性を調べた。材料は曲げは未照射材を使用している接合材では未照射材部で発生し、照射材同志の接合材では溶融金属部及び熱影響部で発生する。しかしながら、曲げ発生か所が異なっても、溶接材の曲げ特性はほぼ同じような特性を示す。また、照射材と未照射材の組合せパターンや、溶接時の入熱方向と曲げ負荷方向の関係によって、曲げ特性が変化しないことが確認された。
山田 弘一*; 土谷 邦彦
FAPIG, (173), p.16 - 20, 2006/07
国際熱核融合実験炉(ITER: International Thermonuclear Experimental Reactor)の中で、炉内機器の一つである遮蔽ブランケットを補修・交換する際、ブランケット背面から伸びる冷却配管は溶接により既設の冷却配管と接続する必要がある。しかしながら、本体側冷却配管であるステンレス鋼は中性子により照射されているため、照射済ステンレス鋼と未照射ステンレス鋼を接合することになる。本稿では、レーザー溶接法を用いた照射済ステンレス鋼の接合に関する試験結果についてまとめた。本試験により、ITERの照射条件まで中性子照射したSUS316LN-IG材のレーザー溶接法による接合が可能であり、材料中に核変換で生成したヘリウムが約3appmであっても有意な接合試料の特性低下を引き起こさないことがわかった。
山田 弘一*; 佐藤 聡; 毛利 憲介*; 長尾 美春; 高田 文樹; 河村 弘
Fusion Engineering and Design, 81(1-7), p.631 - 637, 2006/02
被引用回数:1 パーセンタイル:9.91(Nuclear Science & Technology)ITER遮蔽ブランケット製作のためのステンレス鋼同士のHIP接合材の機械的特性に対する中性子照射効果を明らかにした。その結果、ITER日本チーム提唱のHIP条件は、ステンレス鋼同士のHIP接合材が中性子照射をうける場合でも、ステンレス鋼母材相当の強度を有するHIP接合材を製作できることを明らかにした。また、HIP接合面における表面粗さRmaxが1mから30mまでならば、ステンレス鋼同士の接合体の機械的特性に変化は無いことから、遮蔽ブランケット製作の際に、接合表面加工工程の簡素化により、製作コスト低減の可能性を見いだすことができた。
山田 弘一; 河村 弘
JAEA-Technology 2005-001, 28 Pages, 2006/01
国際熱核融合実験炉(ITER)における冷却配管のための銅合金とステンレス鋼の接合方法に関する研究として、銅合金にアルミナ分散強化銅(AlO含有率:0.5wt%(CuAl-25))及びCuCrZrを選定し、ステンレス鋼(SUS316LN-IG)との各種接合方法による接合材を製作し、中性子照射効果の評価を行った。照射試験として、高速中性子照射量約210n/m(E1MeV)及び照射温度約130Cにて中性子照射を行った後、照射後試験として、引張試験,硬さ試験及び破面観察を行った。その結果、中性子照射により、いずれの接合材も脆化したが、接合による影響に起因する中性子照射効果は認められなかった。接合による影響としては、硬さ試験の結果から、鋳込み接合法及び摩擦圧接法では、接合による影響で接合界面近傍の銅合金の硬さの低下が確認された。しかしながら、中性子照射前後とも、引張強度は接合材,銅合金ともに同等の特性であった。一方、ロウ付け接合材は照射材,未照射材とも、接合により著しい引張強度の低下が見られた。以上のことから、鋳込み接合材及び摩擦圧接接合材については、本研究で用いた接合要領が、核融合炉における異種接合方法として適用できることを明らかにした。
山田 弘一*; 河村 弘; 土谷 邦彦; Kalinin, G.*; 長尾 美春; 高田 文樹; 西川 雅弘*
Journal of Nuclear Materials, 340(1), p.57 - 63, 2005/04
被引用回数:5 パーセンタイル:35.62(Materials Science, Multidisciplinary)ITERでのステンレス鋼候補材SUS316LN-IGを用いて、中性子照射された材料(照射材)と未照射の材料(未照射材)に加えて照射材同士,未照射材同士をYAGレーザー溶接法により接合した材料に対して中性子照射を行い、それぞれの機械的特性の評価を行った。その結果、照射材を用いた溶接材も、未照射材のみによる溶接材も、中性子照射後にはともに照射材相当の機械的特性であることを明らかにした。これは、溶融金属部を含む未照射材部分に中性子照射により照射損傷が再度発生するためと考えられる。一方、SUS316LN-IG材において、照射材が中性子照射され照射損傷量が0.3dpaが0.6dpaとなっても、引張強度は大きく変化せず、硬さ特性では、照射損傷量が0.3dpaの部位も照射損傷量が0.6dpaの部位も同等の特性であることから、照射損傷量が0.3dpaから0.6dpaの間では、照射損傷量が変わっても、SUS316LN-IG材の機械的特性に対する中性子照射効果は変化しないことを明らかにした。
山田 弘一*; 河村 弘; 土谷 邦彦; Kalinin, G.*; 長尾 美春; 佐藤 聡; 毛利 憲介*
Journal of Nuclear Materials, 335(1), p.33 - 38, 2004/10
被引用回数:8 パーセンタイル:48.72(Materials Science, Multidisciplinary)分散強化銅(DSCu)とステンレス鋼はITER遮へいブランケットのヒートシンク材や構造材の候補材料であり、これらは高温静水圧(HIP)法により接合される。本研究では、照射損傷量が約1.5dpaの材料を用いて引張試験や衝撃試験を行い、HIP接合材の機械的特性に対する中性子照射効果を調べた。引張試験の結果、HIP接合材の引張強度はDSCu母材の引張強度と同等であり、中性子照射後も同様の特性を示した。一方、接合界面における主要元素の拡散による影響で、HIP接合材の衝撃特性はDSCu材の衝撃特性より小さかった。衝撃特性の低下は、中性子照射効果の影響より、接合による影響のほうが大きかった。
土谷 邦彦; 菊川 明広*; 星野 毅; 中道 勝; 山田 弘一*; 八巻 大樹; 榎枝 幹男; 石塚 悦男; 河村 弘; 伊藤 治彦; et al.
Journal of Nuclear Materials, 329-333(Part2), p.1248 - 1251, 2004/08
被引用回数:10 パーセンタイル:55.55(Materials Science, Multidisciplinary)チタン酸リチウム(LiTiO)は、核融合炉ブランケットで用いるトリチウム増殖材料の有望な候補材の1つである。大小2種類(直径2mm及び0.3mm)のLiTiO微小球を混合充填した充填体を中性子パルス運転が模擬できる照射試験体に装荷し、中性子吸収体を回転させた後一定出力とした時と、中性子吸収体を一定間隔でパルス運転した時のトリチウム生成回収特性を調べるための照射試験をJMTRを用いて行った。その結果、R/G(トリチウム回収率との生成率の比)はパルス運転に伴って、波を描きながら増加したが、マクロ的なトリチウム生成回収挙動は一定出力運転させたものと時定数がほとんど変わらないことがわかった。この原因は、トリチウム回収速度の時定数がパルスの周期より十分長いためで、パルス運転の影響はほとんどないことに起因しているものと考えられる。
山田 弘一*; 河村 弘; 土谷 邦彦; 石塚 悦男; 内田 宗範*; 圷 陽一; 本木 良蔵; 渡辺 渡; 平田 省吾*
JAERI-Tech 2004-036, 138 Pages, 2004/03
本報告書は、核融合炉ブランケット材料の照射後特性試験施設を設置するにあたり、施設概念を明らかにし、施設整備の第一段階である材料試験を行うための「トリチウム増殖関連材料実験設備」を焦点にして検討を行ったものである。核融合炉ブランケット研究開発を進めるために、37TBq(1000Ci)規模のトリチウムと線源を同時に有する試料の照射後試験を非密封で行える施設が必要である。そこで、本報告書では、合理的な照射後試験施設整備を進めるための検討の一環として、既存施設を有効利用して施設整備を行う場合を想定し、具体的に検討すべき項目やその内容についてのモデルケースをまとめた。具体的な既存施設としては、大洗研究所内に既存のRI利用開発棟施設を取り上げ、本施設への改造整備方法について検討を行った。
菊地 泰二; 山田 弘一*; 齋藤 隆; 中道 勝; 土谷 邦彦; 河村 弘
JAERI-Tech 2004-026, 28 Pages, 2004/03
トリチウム増殖材の照射試験は、照射試験後に内部のトリチウム増殖材を取り出し、各種照射後試験が実施される。照射試験体を切断する際には、トリチウム増殖材装荷部からはトリチウムガス再放出が考えられること、また、切断時にスイープガス配管内にカナル内の水が流れ込まないようにする必要があることなどから、スイープガス配管を閉止する必要がある。しかしながら、スイープガス配管の閉止に際しては、中性子照射の影響や非常に小さい装荷スペース及び高い密封性能に加えて、簡便な操作方法にする必要があること等の諸要求条件から、既存のバルブやプラグ等を用いることができない。そのため、上記条件に適合する閉止栓を検討する必要がある。本書では、照射試験体切断時にスイープガス配管を閉止するための閉止栓の開発及び実際の照射試験体切断における閉止栓の操作要領について報告する。
宇田 実*; 岩立 孝治*; 内田 宗範*; 山田 弘一*; 中道 勝*; 河村 弘
JAERI-Conf 2004-006, p.60 - 65, 2004/03
ITER遮蔽ブランケットの第一壁アーマ材料の候補であるベリリウム(Be)とヒートシンク材料の候補である銅合金(CuCrZr)を高温等法圧プレス(HIP)法で接合することが提案されている。本研究では、使用後のリサイクル性を向上させることを目的に開発された、中間層としてAlの箔とCrの蒸着層の複合層を用いたHIP接合体の熱サイクル特性を評価した。熱サイクル試験では、JMTRホットセル内の熱負荷試験装置(OHBIS)に試験体を装着して、電子ビームを照射し、試験体の表面温度,内部温度,外観及び接合部の変化を測定・観察することにした。表面熱負荷は5MW/cm、熱負荷時間は15秒として、最大1000サイクルまでの熱サイクルを与えた。その結果、開発された試験体は、1000サイクルまで良好に除熱性能を維持した。会議においては、実験結果の詳細及びHIP条件が熱サイクル特性に与える影響についても報告する。
土谷 邦彦; Alvani, C.*; 河村 弘; 山田 弘一*; Casado, S.*; Contini, V.*
Fusion Engineering and Design, 69(1-4), p.443 - 447, 2003/09
被引用回数:4 パーセンタイル:31.58(Nuclear Science & Technology)核融合炉ブランケットのトリチウム増殖材であるチタン酸リチウム(LiTiO)微小球の湿式法による製造に際しては、微細な結晶粒径を得るために酸化物(TiO等)の添加が不可欠である。しかしながら、TiOを添加したLiTiOの化学的特性については明らかにされていない。そのため、スイープガス中の水素によるLiTiOのTiO添加量に対する還元効果を調べた。この結果、500-800の温度範囲では、TiOを添加したLiTiOの還元反応率は、TiOを添加しない場合より減少することが分かった。また、LiTiOにTiOを添加したものは、水分及び不純物ガスの吸着量がTiOを添加しない場合より小さく、ブランケット初期装荷時におけるスイープガス中への不純物ガスの放出が低減できた。
山田 弘一*; 長尾 美春; 河村 弘; 中尾 誠*; 内田 宗範*; 伊藤 治彦
Fusion Engineering and Design, 69(1-4), p.269 - 273, 2003/09
被引用回数:14 パーセンタイル:66.77(Nuclear Science & Technology)核融合炉ブランケットの中性子増倍材として、ベリリウム金属(Be)を用いた場合と高温特性に優れたベリリウム金属間化合物(BeTi, BeWまたはBeV)を用いた場合とで、中性子1あたりのトリチウム生成量で定義されるトリチウム増殖比(TBR)にどのような違いがあるかを、2次元輸送コードDOT3.5により計算したTBR値の比較により検討した。その結果、BeTiではTBR目標値である1.3に近いTBR(1.26)が得られ、またそれはBeを用いた場合のTBR(1.29)相当であることから、中性子増倍材として使用できることを明らかにした。併せて、充填方法について、トリチウム増殖材と中性子増倍材を混合充填した場合の方が両者を分離充填した場合よりTBRが大きくなることを明らかにした。
河村 弘; 菊川 明広*; 土谷 邦彦; 山田 弘一*; 中道 勝; 石塚 悦男; 榎枝 幹男; 伊藤 治彦
Fusion Engineering and Design, 69(1-4), p.263 - 267, 2003/09
被引用回数:3 パーセンタイル:25.70(Nuclear Science & Technology)JMTRにて中性子パルス運転模擬照射試験体の照射試験を行い、ITERブランケットテストモジュールを設計するうえで必要不可欠な中性子照射下のチタン酸リチウム(LiTiO)微小球充填層中の見かけの熱拡散率を調べた。定速昇温法により測定した結果、LiTiO微小球充填層の見かけの熱拡散率は、照射温度と中性子照射量の増加とともに減少することがわかった。一方、スイープガス流量の影響は、0600cm/minの間では見られなかった。
河村 弘; 石塚 悦男; 土谷 邦彦; 中道 勝; 内田 宗範*; 山田 弘一*; 中村 和幸; 伊藤 治彦; 中沢 哲也; 高橋 平七郎*; et al.
Nuclear Fusion, 43(8), p.675 - 680, 2003/08
被引用回数:28 パーセンタイル:63.75(Physics, Fluids & Plasmas)核融合原型炉を実現するために、先進ブランケットの設計研究が行われている。これらの設計では、より高い発電効率を目指して冷却材温度を500以上としており、高温に耐え、また高中性子照射量まで使用できるブランケット材料(トリチウム増殖材料及び中性子増倍材料)の開発が求められている。本論文では、原研及び国内の大学、産業界が共同で実施してきたこれら先進ブランケット材料の開発の現状について報告する。トリチウム増殖材料に関しては、トリチウム放出特性に悪影響を及す高温での結晶粒径成長を抑制できる材料の開発として、TiOを添加したLiTiOに注目し、湿式造粒法による微小球の製造技術開発を実施した。この結果、固体ブランケットに用いる微小球製造に見通しが得られた。中性子増倍材料に関しては、融点が高く化学的に安定な材料としてベリリウム金属間化合物であるBeTi等に注目し、回転電極法による微小球の製造技術開発及び特性評価を実施した。この結果、ベリリウムの含有量を化学量論値より多くすることにより、延性を増すことによって、微小球の製造に見通しが得られた。また、BeTiはベリリウムより中性子照射によるスエリングが小さいことなど、優れた特性を有していることが明らかとなった。
河村 弘; 高橋 平七郎*; 吉田 直亮*; Shestakov, V.*; 伊藤 義夫*; 内田 宗範*; 山田 弘一*; 中道 勝; 石塚 悦男
Fusion Engineering and Design, 61-62, p.391 - 397, 2002/11
被引用回数:40 パーセンタイル:90.41(Nuclear Science & Technology)高温ブランケット用の中性子増倍材として期待されているベリリウム金属間化合物に関し、日本国内での開発現状について報告する。ベリリウム金属間化合物の開発は、原研,大学,企業が協力して実施している。ベリリウム金属間化合物の一つであるBeTiに関し、従来のベリリウム金属より、構造材との両立性が良いこと,スエリングが小さいこと,機械強度が高いこと,トリチウムインベントリが小さいことなどの優れた特性を有することが明らかとなった。また、ベリリウム金属間化合物は機械的に脆く、熱応力が生じる回転電極法で微小球を製造することができなかったが、組織制御によって延性を持たせることによって、微小球を製造できる見通しが得られた。
黒田 敏公*; 佐藤 和義; 秋場 真人; 江里 幸一郎; 榎枝 幹男; 大崎 敏雄*; 古作 泰雄; 佐藤 聡; 佐藤 真一*; 鈴木 哲*; et al.
JAERI-Tech 2002-044, 25 Pages, 2002/03
ITERの主要炉内機器である遮蔽ブランケットとダイバータに対し、それらが厳しい負荷に耐えつつ要求された機能を満たすために必要となる製作技術の開発を行った。前者ではHIP法を適用した異材接合技術及びウォータージェットと放電加工を用いてスリット加工技術を開発した。後者では、狭隘な設置スペースにも対応できる同軸二重冷却管の製作技術,また、冷却管として用いる銅合金の強度維持用熱処理をも考慮した。C/Cコンポジットと銅合金の1ステップろう付け技術等を開発した。いずれも、高熱負荷試験による性能確認を行うとともに、実規模大のモックアップを試作して製作性を確認し、実機製作への見通しを得た。