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村上 賢治*; 畑 直樹*; 吉田 裕一*; 桝田 正治*; 田中 淳; 鹿園 直哉; 長谷 純宏
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 86, 2007/02
ホウレンソウは、調理がしやすく栄養価が高いので、日本において不可欠な葉物野菜であるが、健康に害を及ぼす可能性のあるシュウ酸塩を多量に含むという欠点がある。また、ホウレンソウは典型的な雌雄異株植物であるが、稀に自家受精が可能な雌花同株が存在し、雌花同株の安定的な出現が突然変異育種に重要である。そこで本研究では、イオンビームを用いた雌花同株ホウレンソウの突然変異誘発と低シュウ酸塩変異体の取得を目的とした。種子照射の最適線量は、線で100Gy、炭素イオンで15から20Gy、ヘリウムイオンで150から200Gyであった。M2世代とM3世代で、変異株のシュウ酸塩含量に一定した傾向は認められなかった。変異体取得に向けて、100%雌花同株への最適線量の照射や反復照射などの条件改善が望まれる。
Ojiewo, C. O.*; Agong, S. G.*; 村上 賢治*; 田中 淳; 長谷 純宏; 桝田 正治*
Journal of Horticultural Science & Biotechnology, 81(4), p.559 - 564, 2006/07
は栄養価が高く薬用的価値もあるためアフリカで消費量が上昇している葉物野菜であるが、比較的早くに多数の種子をつけるため葉の収量が低いことが問題となっている。本研究では、この問題を克服するため、炭素イオンビーム照射による雄性不稔性誘発についての効果を調査した。生育抑制や種子稔性への影響を考慮すると20-30Gyの炭素イオン照射が適切と考えられた。炭素イオンビーム照射により、新規の雄性不稔変異体が得られた。この変異体は、春は不稔性を示すが、夏は中間型でやや稔性が回復し、秋には種子を形成した。季節に応じて稔性が回復する形質は、収量の増加と同時に種子の増殖に利用できる可能性がある有用な形質である。
Ojiewo, C. O.*; Agong, S. G.*; 村上 賢治*; 田中 淳; 長谷 純宏; 桝田 正治*
Journal of Horticultural Science & Biotechnology, 80(6), p.699 - 704, 2005/11
アフリカンナイトシェード( L. spp. )はアフリカでよく消費される葉野菜であるが、発芽から開花・結実までの期間が短いことから葉の収量が比較的少ない。つまり、生殖生長の開始後、花粉や種子,果実の発達に養分が送られるため、葉に対する養分の転流が少なくなることが原因である。本研究では、雄性不稔性を利用することによって、養分の転流を葉に向けることにより収量を増加させることを考え、線の種子照射により得られたさまざまな変異体を調査した。照射種子の発芽率,生存率,種子稔性並びに雄性不稔変異体誘発率から、100Gyの線が変異誘発に最適であると考えられた。M2世代で選抜された雄性不稔変異体には4つのタイプ、すなわち、(1)稔性は無いが酢酸カーミンで花粉が染色される個体、(2)酢酸カーミンで花粉が染色されない個体、(3)花粉が形成されない個体、及び(4)花粉量が著しく少ない個体、が見られた。本研究で得られた雄性不稔変異体は、生殖や果実形成を制限することによって、葉の収量の増加につながると期待される。
Ojiewo, C. O.*; 村上 賢治*; 桝田 正治*; 田中 淳; 長谷 純宏
no journal, ,
アフリカンナイトシェード(Solanum nigrum)はアフリカ及び東南アジアで広く栽培されている葉物野菜である。この植物は、栄養生長から生殖生長への移行が早く、自殖により多数の種子を形成するために、葉の収量が少ないという問題を抱えている。雄性不稔性の導入により結実を抑制することは葉の収量増加につながると考えられるため、炭素イオンを種子に照射し、雄性不稔変異体の作出を試みた。獲得された雄性不稔変異体は、酢酸カーミンやヨウ化カリウム溶液による花粉の染色の程度や葯の形態から4つのクラスに分類された。さらに温度依存的に雄性不稔性が発現する変異体も得られ、収量の増加と同時に種子の獲得が両立できる有用な遺伝資源であると考えられる。