Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
村松 寿晴; 松本 雅彦*
PNC TN9410 88-167, 129 Pages, 1988/12
高速増殖炉容器内に発生する温度成層化現象につき,乱流挙動に関する適切なモデルを確立するために,単相多次元熱流動解析コードAQUAの同現象に対する解析能力を水基礎実験を用いて再評価した。得られた結果は,以下の通りである。1)温度成層界面に揺動が発生する領域での解析では,高次差分法と乱流モデルの併用によって高精度な解析が可能である。2)温度成層界面に揺動が発生しない領域での解析では,界面の上昇速度は連行現象に起因する温度ゆらぎの高周波成分に大きく依存することが判明した。3)従来の乱流モデルでは,温度ゆらきの高周波成分を計算できないために温度成層界面の上昇速度を過小評価する。この高周波成分の欠落分を補償するために,乱流プラントン数をフラックス・リチャードソン数の関数として取扱う改良モデルをAQUAに追加した。この改艮モデルを用いて解析を行い,以下の結果を得た。1)温度成層界面に揺動が発生しない領域の水流動基礎実験では,成層界面の上昇速度が実験結果に近づくことが確認された。2)原型炉上部プレナム縮尺モデルによるNa実験の解析(揺動無)では,改良モデルの効果は小さい。これは,ナトリウムのペクレ数が水のそれに比べて2オーダー以上小さいため,現象自体が乱流拡散よりも分子拡散に強く支配されているためと考えられる。
村松 寿晴; 前川 勇*
PNC TN9410 87-130, 156 Pages, 1987/08
単相多次元熱流動解析コード"AQUA"にFuzzy理論を用いた適応制御システムを導入した。この適応制御システムは、与えられた計算体系および境界条件の下で計算安定性、計算精度および計算時間の最適化を計るものである。操作対象は、時間刻み幅tとSOR法を使用する上での加速係数である。時間刻み幅tの最適化については、外部より設定固定して計算を美行した場合に比べ計算時および計算精度につきこれを上回る良好な結果が得られた。例えば、完全陰解法を用いた定常計算については、計算精度を保障しつつ計算時間が約2/3に短縮された。加速係数の最適化についても、外部より設定固定した場合あるいは固有値計算より求められた理論値に基づいて設定固定した場合と比較して、計算時間および収束性等につきこれらと同等あるいはこれらを上回る良好な結果が得られた。以上得られた如見から単相多次元熱流動解析コードの最適化に対しFuzzy理論を用いた適応制御系が有効であることが確認された。
村松 寿晴; 前川 勇*; 松本 雅彦*
PNC TN9520 87-013, 156 Pages, 1987/05
本報告書は、単相多次元熱流動解析コードAQUAのプログラム構成および変数の意味等を詳述したプログラム解説書である。AQUAは、米国ANLで開発された有限差分法による単相多次元熱流動解析コードCOMMIX-1Aをベースに整備改良を施した改良版であり、COMMIXのPNC版として位置付けられる。主な改良項目は、以下の通りである。① K-2方程式乱流モデルの追加。② 高次差分法導入による高精度化。③ 圧力方程式解法の高速化。本書は、以上の改良項目を含めた形でコード無い処理概要を記し、以後の整備改良を効率良く実施できる様にしたものである。
村松 寿晴; 前川 勇*; 松本 雅彦*
PNC TN9520 87-012, 107 Pages, 1987/05
高速炉プラントにおける炉容器、あるいは大型機器内の多次元熱流動解析手法の確率を目的として単相次元熱流動解析コードAQUAを開発した。本コードは、1983年、米国アルゴンヌ国立研究所より導入したCOMMIX-1Aを基本に、実験検証ならびに大幅な数値計算法の改良・整備、機能の拡張、新たな機能の追加の結果を反映して、総合化された汎用多次元コードである。本コードの、COMMIX-1Aの無い主な特徴は次の通りである。① 対流項の離散化手法として、空間に2次の正確度をもつQUICK法、QUICK-FRAM法を採用した。この結果、従来より解の劣化の大きな原因となっていた数値拡散を防止することを可能にした。② 最も計算時間のかかる圧力に関するボアソン方程式の解法として、ICCG法を使用し、従来に比べ約2倍の高速化を達成した。③ 乱流モデルとしてk-2方程式モデルを採用し、解析精度、適用範囲の向上を計った。
村松 寿晴; 前川 勇*; 松本 雅彦*
PNC TN9520 87-011, 193 Pages, 1987/05
本報告書は、単相多次元熱流動解析コードAQUAの実行用入力データの作成方法およびAQUAより出力される解析結果を図形化するための図形処理プログラムについて記したものである。AQUAは、米国ANLで開発された有限差分法による単相多次元熱流動解析コードCOMMIX-1Aをベースに整備改良を施したPNC版である。したがって、AQUAを実行するための入力データの作成概念はCOMMIX-1Aのそれと同等であるが、新規に追加された機能に伴ない入力データを増している。本書は、改良項目により追加された入力データも含めた形で入力データの作成方法を記したものである。
村松 寿晴; 前川 勇*; 二ノ方 寿
PNC TN9410 87-040, 58 Pages, 1987/03
単相3次元汎用熱流動解析コードCOMMIX-PNCにオプションとして組み込んだICCG法および直接解法につき、高速化の観点から以下の改良を施した。〔ICCG法〕 行列要素の配列内格納法の改訂〔直接解法〕 ウェーブ・フロント法の採用。これらの改良の結果、旧ICCG法および直接解法に比べ、それぞれ以下に示す高速化が実現された。スカラー演算 ベクトル演算〔ICCG法〕 1.89倍 1.27倍〔直接解法〕1.28倍 1.15倍。また、各解法を倍精度化することにより、定常解到達までのCPU時間を減少させることができる。その結果は、「もんじゅ」PLOHS解析につき単精度計算に比べ、ICCG法で1.4倍、SOR法で1.2倍、直接解法で1.1倍の加速である。以下に、各計算における各解法の適応性を示す。〔定常計算〕(1)セル数および条件数によらず定常解到達までのCPU時間はICCG法が最も短い。(2)相対変動Vmax/Vmaxが大きい間はICCG法が、また小さくなるとSOR法が質量バランスを短時間の計算で満足する。(3) 直接解法の優位性は、現在の所定常計算では見出されない。しかし、質量バランスを厳密に取る必要がある場合には有効である。〔過渡計算〕(1)過渡変化の激しい問題にはICCG法が最も有効であり、SOR法がこれに続く。
村松 寿晴; 前川 勇*; 二乏方 壽*
PNC TN9410 86-008, 87 Pages, 1986/01
単相3次元汎用熱流動解析コード"COMMIX-1A"にオプションとして組み込んだI.C.C.G.法を、計算高速化の観点から改良を行ない、以下の結果を得た。(1)係数行列の格納にRow-by-Rowによる1次元格納法を採用したことにより、1回の反復のC.P.U.時間が約1/1.4倍に短縮された。(2) 定常状態到達までのC.P.U.時間が平均約1/1.2倍に短縮された。さらに、Yale大学で開発された消去法による直接解法をオプションとして追加し、以下の特性を得た。(1)グラフ理論に基づくMinimum Degree Algorithmを用いることにより、計算機記憶領域を大幅に低減できる。(2) 自然対流問題での運動量計算においては、解の精度の面で直接解法の面で直接解法が有利となる。解法選定に関する指標として以下の結果が得られた。 〔定常計算〕 1) 条件数が10E2以下の問題には、S.O.R法が有利である。(2)セル数が400位下でかつ条件数が3・10E2以上の問題には、直接解法が有利である。(3)上記以外の問題に対しては、I.C.C.G.法が有利である。〔過渡計算〕(1) セル数が350以下の問題には、直接解法が有利である。(2)上記以外の問題には、I.C.C.G.法あるいはS.O.R.法が有利である。
村松 寿晴; 前川 勇*; 二ノ方 寿
PNC TN941 85-90, 89 Pages, 1985/05
現在使用している単相多次元伝熱流動解析コードCOMMIX―1A(Verl2.0)の連立1次方程式解法はPSOR法であるが,計算セル数が5000を越えるような詳細問題では収束性が著しく悪い。そこで,理論的には有限回の反復で解を求めることができるCG法(ConjugateGradientMethod)にPrecnditioning機能を追加したPCG法をオプションとして追加し,PCG法の特性の把握を行なった。得られた結果は,以下に示す通りである。▲1)解くべき連立1次方程式の係数行列をバンド最小化することにより,反復回数が減少する。▲2)スケーリングおよび不完全コレスキー分解によるPreconditioningの効果は大きく反復回数を著しく減少させる。▲3)過渡変化の激しい非定常問題ではPCG法がSOR法よりもCPU時間の面で有効であるが,逆に過渡変化の緩やかな問題に対してはPCG法は不利となる。▲4)PCG法がベクトル計算機向きであることが確かめられ,またスカラー演算よりも有効であることが確認された。▲
村松 寿晴; 前川 勇*; 二ノ方 寿; 青木 忠雄
PNC TN941 85-14, 73 Pages, 1985/02
単相多次元熱流動解析コードCOMMIX―1A(Verl2.0)には,乱流現象を記述する物理モデルとして乱流運動エネルギーkに関する1方程式モデルが用意されている。しかし,1方程式モデルでは,乱流機構の基本的要素である特性距離-の見積りを個々の場合毎の経験的な代数的関係に委ねているため,一般性のある問題には不適当である。そこで,さらにもう1個の補助方程式を加え,-に関する情報を補なう2方程式モデルを追加した。今回追加した補助方程式の未知変数には,乱流運動エネルギーの散逸率を選定した。▲今回追加した2方程式乱流モデル(k―モデル)についての実験検証は,以下に示す3種類の問題について実施した。▲1)円管流れ▲2)拡流流れ▲3)浮力流れ▲1)の円管流れでは,半径10mmの管内乱流(Re=3.9105)を解析し,実験値と比較した。この結果,kの分布で最大73%の過少評価傾向が見られたが,流速分布は1%以内で一致した。2)の拡流流れでは,入口部高さ12.2mm,拡大部高さ24.4mmのダクトにおける乱流(Re=3104)を解析した。実験値との比較では,再付着点距離(ReattachmentLength)が約18%大き目に得られたが,流速,乱流パラメータは良く一致した。3)の浮力流れでは,温度壁を有する高さ33.8mmの矩形体系の流れを解析した。結果は,2次の精度を持つ文献記載のコード出力値に対し,温度,kおよびの分布はほぼ定性的に一致した。▲
前川 勇*; 高橋 実; 村松 寿晴; 長谷川 安成*; 二ノ方 寿; 青木 忠雄
PNC TN952 84-11, 101 Pages, 1984/07
COMMIX-1Aは、原子力プラント機器内の熱流動解折用に開発された単相多次元汎用コードである。当室は1983年、米国アルゴンヌ国立研究所より本コードを導入し、実験検証ならびに整備・改良を進めてきている。本報告書は、多次元熱流動解析手段として有力な本コードを、動燃内各部課室で容易に使用できることを目的として5月15日および16日に開催されたCOMMIX-1A講習会のテキストおよび配布資料をもとに、作成されたものである。本報告書は以下の内容より構成されている。(1)COMMIX―1Aの概要、(2)COMMIX-1Aの解析能力と範囲、(3)COMMIX-1Aの解析例、(4)主要入力データの概念と定義、(5)サンプル問題演習。以上の内容によって、COMMIX-1Aの全容および実際の使用方法の概略が説明されている。詳細使用方法を説明した「COMMIX-1A入力マニュアル」(PNC-TN952-84-08)とともに本報告書を参考とすることによって、COMMIX-1Aコードが、動燃内各所で、容易に使用可能となった。 今後本コードの整備・改良の都度、動燃内ユーザーに速報で通知するとともに、当室では、ユーザーの使用情報等を積極的に反映させて、信頼性の高い汎用コードに発展させる計画である。
村松 寿晴; 前川 勇*; 二ノ方 寿; 青木 忠雄
PNC TN941 84-98, 69 Pages, 1984/07
高速炉の燃料集合体出口部を対象に冷却材温度ゆらぎ量を解析するコード"NJS3D"を開発し,高速実験炉「常陽」に適用した。炉心上部構造物に高サイクル熱疲労を与えるような冷却材温度ゆらぎは,サーマルストライピング現象として注目され,その現象解明と対策が急がれている。今回のコード開発は,サーマルストライピングを特徴付けるゆらぎ量,ゆらぎ周波数および制限温度のうち,ゆらぎ量の解析を目的として作成されたものである。温度ゆらぎ量は,温度ゆらぎに関する生成,散逸,対流および拡散のバランス式を新たに追加し,平均流Navier-Stokes方程式およびk―乱流モデル方程式と連立して解くことにより評価した。検証は,以下の2つの試験により実施した。(1)円筒パイプモデルによる試験。(2)原型炉模擬7集合体モデルによる試験。(1)の試験解析では,メッシュ効果のサーベイを実施し,1.5mm/meshでその温度への影響は無視し得る程度まで減衰し,実験と解析における平均温度およびゆらぎ量分布はほぼ一致した。2)の試験解析での平均温度は測定値よりも平坦化された値が得られ,ゆらぎ量としては(集合体間流量比)=1.06で過大評価,=0.39で過小評価の傾向が見られた。「常陽」に対する解析では,最大97の温度ゆらぎが計算された。本現象は,いまだ明確なモデル化の手法が確立されておらず,本手法の有効性は今後の定量的評価作業の中でさらに検討する必要がある。
村松 寿晴; 庄野 彰*; 田村 誠司*; 池上 哲雄*; 綱島 幹泰*
PNC TN941 83-06, 70 Pages, 1983/02
高速実験炉「常陽」は,50MW出力上昇試験(1978年)を炉心燃料本数70体で開始して以来,サイクル運転の燃焼による反応度減少を炉心燃料本数の増加という手段で補なってきており,75MW最終定格運転サイクル時点(1981年)で79体炉心体系まで拡大された。そこで炉心体系拡大による炉心内流量配分変化を確認するために,低出力試験時(1977年6月,70体炉心構成時)の測定と同一の手法(永久磁石式流量計を集合体ハンドリングヘッドに密着させて測定)で合計89体の集合体流量の測定を実施した。得られた結果を以下に示す。高流量分布測定結果として,低出力試験時の結果と比べ炉心領域で平均6.3%の減少,内側ブランケット2領域で平均4.0%の増加,外側プランケット全体で平均2.5%減少した。低流量分布測定結果として,予測値と比べ各流量差は大きく,全て低目に測定された。試験期間中において,流量計をNa中に浸漬してから約115時間で出力電圧が約3.0%増加した。
村松 寿晴; 田村 誠司*
PNC TN941 82-269, 85 Pages, 1982/10
原子炉プラントを安全かつ効率よく運転させ得る計算機システム(DIAMINSYSTEM)を運転支援に利用することを目的として開発している。本システムは,従来のシーケンス制御を基盤としたプログラムによるものとは異なり,各異常状態に最適な対応手段を過去のデータ・ベースを参照し,探索・決定する。DIAMINSYSTEMの構成は,以下の4種に大別される。1)自然言語処理部(英文章解釈・作成)。2)ブラント制御処理部(プラント監視)。3)シミュレーション処理部(プラント・シミュレーション)。4)知識データ・ベース(知識バンク)、DIAMINSYSTEMを高速実験炉「常陽」に適用させた結果,以下のようなプラント異常状態を検出し,それぞれに対する異常処置ガイドを正常に実行することを確認した。1)中性子束高(熱出力調整時)。2)冷却系全停止(自然循環試験時)。3)2次系(A)流量低(ポンプ電動機故障時)。以上を通じて,本システムの応答性および信漏性についての検証がなされ,実用化の見通しが得られた。
村松 寿晴; 田村 誠治*; 大谷 秀二*; 綱島 幹泰*; 庄野 彰*; 奈良 義彦*
PNC TN941 82-176, 90 Pages, 1982/08
高速原型炉「もんじゅ」炉内計装用として開発された渦電流式温度流速計が昭和56年3月に「常陽」炉心中心孔プラグ内に設置された。本報告書は,75MW定格第4第6サイクル中に得られた上記検出器の持性について記したものである。得られた特性を以下に列記する。原子炉起動停止に伴なう熱サイクル印加に対し,各検出器の不平衡残留電圧最大変化は,第4サイクル時の値を基準にすると約-40%であった。中心検出器流速信号の1次系統流量に対する直線性は,フルスケール(2520m3/hr)に対し各ケースとも+-5%以内であった。中心検出器流速信号の温度依存性は,内蔵熱電対温度を基準とするとフルスケール600に対し各ケースとも+-4%以内であった。中心検出器温度信号の内蔵熱電対に対する直線性は,フルスケール(600)に対し各ケースとも+-1%以内であった。各検出器コイルの導通抵抗は,中性子束照射積算量約4.061019n/cm2に対し,有意な変化は認められなかった。
村松 寿晴; 佐野 健一*; 池上 哲雄*; 大谷 秀二*; 田村 誠司*
PNC TN941 81-75, 53 Pages, 1981/04
「常陽」中心燃料出口部に渦電流式温度流速計が設置されており,運転中の中心燃料集合体出口冷却材流速が測定できる。この情報は集合体毎に得られる出口Na温度情報と合わせて,炉内異常監視のための手法の1つとして活用される。本報告書は,50MW出力上昇試験時から75MW定格第3サイクル終了時までに得られた流速計の性能について記したものである。各種試験により得られた結果を以下に示す。不平衡残留電圧の正確な零調整を行なうことにより,1次系流量変化に対する流速信号の直線性および温度変化に対する流速信号への影響が,6%誤差内に納まる結果が得られた。不平衡残留電圧は,サイクル運転を行なうことにより大きな変化を起こし,毎サイクル開始前に零再調整を行なう必要が生じた。(1サイクルについて約4%の変化)原子炉定常状態において,フルスケールの2%程度に相当する流速信号のドリフトが見られた。和信号がスクラム時のNa温度変化を,ほぼ時間遅れなく忠実に検出していることが確認された。相関法を用いて流速を計算した結果,設計流量より20%程度低い値を示した。
妹尾 誠*; 田村 誠司*; 坂口 俊英*; 大谷 秀二*; 村松 寿晴
PNC TN941 80-145, 60 Pages, 1980/08
「常陽」データ処理装置のアプリケーション・プログラムの一部として納入された異常反応度監視システムの機能を検証するため,出力上昇試験の期間において検証試験を実施した。検証試験は,出力上昇試験における各種外乱応答試験時に異常反応度監視システムを動作させ各種のデータを取ってシステムの機能を確認する方法によった。試験は下記の5項目について実施した。1)制御棒小反応度外乱投入試験 2)炉出力変更試験 3)原子炉入口冷却材外乱試験 4)未知反応度投入試験 5)50MW時連続監視上記の5項目の試験に対し,それぞれ以下の結果を得た。1)の試験に対しては,制御棒の位置信号取込み周期と核出力信号の取込み周期のいずれにより残留反応度が制御棒位置変化時に大きくなるという問題があった。2)の試験については,約20MWの炉出力変化に対しても残留反応度が約2セント以内であり,かなり大きな炉出力変更に対しても対処できることがわかった。3)の試験では,炉入口冷却材変化に対しては残留反応度はほぼ零で問題ないが,流量変化に対して反応度変化の推定が悪い。4)の試験では,パイルオシレータロッドによる未知反応度を投入し,約10%の精度でその未知反応度の値を推定できることが確認された。5)の連続監視については,正常な通常運転において,残留反応度はほぼ2セント以内の値を示しており,異常反応度検出用判定値として約2.5セントが妥当と考えられる。
田村 誠司*; 村松 寿晴; 三田 敏男*; 池上 哲雄*
PNC TN941 80-03, 27 Pages, 1980/01
本報告書は,50MW出力上昇試験期間および50MW定格運転中に得られた燃料集合体出口温度の測定結果についてまとめたものである。炉心の中央部115体の燃料集合体出口に熱電対が設置され,運転中の冷却材温度が監視できる。この情報は,別に得られた集合体毎の流量と併わせて集合体毎の発熱および温度分布の推定に活用される。各種プラント状態で集合体出口冷却材温度測定により以下の結果が得られた。1)炉心冷却材温度250等温状態の測定温度の標準偏差は0.59で,+-2内に99.8%の測定点が入る。出力上昇試験前と1年後の2サイクル運転後における標準偏差の顕著な変化はない。2)50MW運転時の温度分布を計算値(計算による発熱分布と零出力時に測定した集合体毎の流量分布とより算出)と比較した結果,炉心部で約6,ブランケット部で約20程測定値が高い。検討の結果,低温等温状態の流量分布と高温運転時の流量分布とで差が生じていると思われる。3)原子炉入口温度をA,Bループで15の差をつけて集合体出口温度分布を測定した結果,炉心を2分する温度変化が観られ,炉容器下部プレナムではほとんどA,Bループの冷却材の混合はない。4)原子炉入口温度を370と250で運転した時の温度分布の比較で,370運転時で集合体流量の減少と思われ傾向が見られた。今後,集合体流量分布の温度依存性確認の観点より試験,検討を進めていく。
佐野 健一*; 村松 寿晴; 山本 寿*; 三田 敏男*; 大谷 秀二*; 池上 哲雄*; 田村 誠司*
PNC TN941 79-227, 50 Pages, 1979/12
高速炉の異常を早期に発見し,安全性及び経済性を高めるための信頼できる異常監視技術の開発が望まれている。▲異常監視技術には,いくつかの方法があるが,高速実験炉「常陽」では炉内の異常監視法の1つとして音響法を採用している。この方法は,炉内に設置した音響検出器からの信号のパワースペクトル及びRNS値を監視し,それらに正常時との差が生じたら異常の可能性有りと判断して原因を調査するものである。▲現在,音響検出器は炉心上部位恒に2体設固しており(炉心位置〔5A2〕及び〔5C2〕の制御棒予備孔位置),低出力試験及び50MW出力上昇試験期間中の正常時に収集した炉内音響データの解析結果を検討した。その結果は次のようになる。▲〔5A2〕と〔5C2〕炉内音響検出糸では特性が相当異なり,〔5C2〕炉内音響検出糸は回転プラグ上の騒音の影響を強く受け,また〔5A2〕炉内音響検出糸は高温時に信号の振幅が半減する。▲本検出糸は各種のノイズのためSN比が極めて悪く,炉内のナトリウム中を伝播してくる音響を,どの程度検出しているかは,現在のところ不明である。▲制御棒振動による衝撃音については,制御棒駆動機構ハウジンク音響検出器の方が,よく検出できた。▲現在までのところ,炉内音響監視からは特に異常は認められない。▲
三田 敏男*; 大谷 秀二*; 佐野 健一*; 牧戸 正紀*; 綱島 幹泰*; 村松 寿晴; 関口 善之*
PNC TN941 79-218, 99 Pages, 1979/12
高速実験炉「常陽」の動特性試験の一環として,炉雑音試験を行った8本試験では,50MWまでの出力上昇の各段階において,中性子束,燃料出口温度,主冷却系1次系回り及び2次系回りの温度信号のゆらぎを測定した。解析においては,各信号のパワースペクトル密度,相関関数,伝達関数及びコヒーレンス関数を求めて,これより原子炉の特性の解析を行った。▲主な試験結果は,以下の通りである。▲原子炉に不安定現象がないことを確認した。▲各信号とも低周波領域で変動が大きく,信号間の相関が強い。この領域における中性子束及び原子炉出口温度の定常変動の要因を検討した。▲中性子束の自己パワースペクトル密度には,約1.8Hz及び約0.025Hzに顕著なピークが存在するが,前者のピークは制御棒振動効果によるものであり,後者のピークは炉出力依存性が顕著であり,検出器位置による空間依存性が存在する。▲2次系回りの各信号の相互相関関数から各信号間の輸送遅れ時間を求めた。この結果は,流速と配管長から計算される値とよく一致した。▲
妹尾 誠*; 坂口 俊英*; 堀江 治*; 長広 義彦*; 村松 寿晴; 関口 善之*
PNC TN941 79-127, 236 Pages, 1978/12
この報告は「常陽」の出力上昇試験において実施したプラント安定性試験について述べたものである。プラント安定性試験はプラントに対する外乱の違いから,調整捧小引応答試験(PT―21)および主冷却出口温度変化応答試験(PT―22)の2つの試験に分けられている。調整棒小引抜応答試験は定常出力運転状態における反応度小外乱に対するプラント安定性の確認,主冷却器出口温度変化応答試験はA,B両ループ各2基の主冷却器に設けられている冷却材温度制御系の冷却器出口Na温度の設定値をステップで変更し,このNa温度外乱に対するプラント安定性の確認を目的としている。プラント安定性試験は,原子炉出力約20MW,25MW,40MW,50MWにおいて,調整棒小引応答試験に関しては+-3¢+-5¢の外乱,主冷却器出口温度変化応答試験に関しては+-5の温度設定値変更による外乱に対して実施した。試験の結果は下記の通りである。1)主冷却器出口温度変化応答試験では,制御系パラメータをNa側制御系の比例ゲインKc=2.5,積分時定数Tc=37.5秒,空気側制御系の比例ゲインKe=0.5,1次遅れ時定数C'c=40秒の各値に設定すれば全炉出力範囲にわたってプラント全体として安定に運転できることを確認した。2)調整棒小引抜応答試験では,+-3¢+-5¢の小反応度外乱に対してプラント全体としてきわめて安定で,冷却材温度制御系が「MANUAL」の状態においても安定性の点からは,問題のないことが確認された。