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永井 崇之; 岡本 芳浩; 山岸 弘奈*; 柴田 大輔*; 小島 一男*; 長谷川 毅彦*; 佐藤 誠一*; 深谷 茜音*; 畠山 清司*
JAEA-Research 2023-004, 45 Pages, 2023/09
ホウケイ酸ガラス中のガラス成分や廃棄物成分の局所構造は、その化学組成によって変化する。本研究は、ガラス固化体を模擬したガラス(以下、模擬廃棄物ガラス)を対象に軟X線領域のXAFS測定を実施し、原料ガラス成分のホウ素(B)やケイ素(Si)、廃棄物成分の鉄(Fe)やセシウム(Cs)の化学的状態等を評価した。模擬廃棄物ガラスの化学的安定性を把握するため、浸出試験に供したガラス表面を対象に、BのK吸収端、FeのL、L吸収端及びCsのM、M吸収端のXANESスペクトル測定を行った。その結果、浸出液に曝露されたガラス表面は変化し、明瞭なXANESスペクトルが得にくくなることが分かった。BのK吸収端XANESスペクトルから、浸出試験後の試料表面は未浸漬の試料表面と比較してB-Oの3配位構造(BO)が増加し、4配位構造(BO)が減少する傾向を確認した。FeのL、L吸収端及びCsのM、M吸収端のXANESスペクトルから、浸漬時間が長くなるに従って、ガラス表面に存在するCsが浸出液中へ溶出することを確認した。未浸漬の模擬廃棄物ガラスを対象に、SiのK吸収端XANESスペクトルを測定した結果、NaO濃度によるXANESスペクトルの変化が廃棄物成分濃度による変化より大きいことを確認した。
先崎 達也; 荒井 陽一; 矢野 公彦; 佐藤 大輔; 多田 康平; 小木 浩通*; 川野邊 崇之*; 大野 真平; 中村 雅弘; 北脇 慎一; et al.
JAEA-Testing 2022-001, 28 Pages, 2022/05
核燃料サイクル工学研究所B棟における試験、分析の実施により発生し、長期間グローブボックス内に保管していた核燃料物質について、当該施設の廃止措置の決定に伴い、高レベル放射性物質研究施設(CPF)の貯蔵庫においてポリ塩化ビニル製の袋(PVCバッグ)で密封して保管していた。CPF安全作業基準に基づく貯蔵物の定期点検においてPVCバッグが徐々に膨らむ状況が確認されたことから、当該試料中から放射線分解によると思われる何らかのガスが発生していると考えられた。ガスが滞留した状態で放置すると、PVCバッグの破裂・破損に繋がるため、ガスが発生しない状態に安定化する必要があると考えた。安定化処理までの処理フローを確立するため、当該核燃料物質の性状を調査した。また、その結果から模擬物質を選定してモックアップ試験を実施した。性状調査においては放射能分析や成分分析、熱分析を実施した。放射性物質濃度及び組成を明らかにするため、線スペクトロメトリーによる定性分析及び試料溶解による成分分析を実施した。次に、加熱処理による発熱反応を確認するため、酸素をコントロールした条件下で熱分析を実施した。熱分析の結果から有機物含有核燃料物質の組成を推定し、700Cの熱処理により安定化が可能と判断できたことから、全量を熱処理し安定化処理作業を完了した。核燃料物質の熱処理においては、まずは少量の試料により安全性を確認した後、処理規模をスケールアップした。熱分解処理後の重量減少量の測定により、核燃料物質に混合する有機物が完全に分解できたことを確認した。安定化処理後の核燃料物質はSUS製貯蔵容器に収納してバッグアウトし、CPFの貯蔵庫に貯蔵することで一連の安定化処理作業を完了した。今後の廃止措置においても、性状不明な核燃料物質の安定化処理が必要なケースが想定されることから、安定化処理において得られた知見について報告書にまとめる。
武田 哲明*; 稲垣 嘉之; 相原 純; 青木 健; 藤原 佑輔; 深谷 裕司; 後藤 実; Ho, H. Q.; 飯垣 和彦; 今井 良行; et al.
High Temperature Gas-Cooled Reactors; JSME Series in Thermal and Nuclear Power Generation, Vol.5, 464 Pages, 2021/02
本書は、原子力機構における今までの高温ガス炉の研究開発の総括として、HTTRの設計、燃料、炉内構造物や中間熱交換器などの要素技術の開発、出力上昇試験、950Cの高温運転、安全性実証試験などの運転経験及び成果についてまとめたものである。また、HTTRでの知見をもとに、商用炉の設計、高性能燃料、ヘリウムガスタービン、ISプロセスによる水素製造などの要素技術開発の現状について記述しており、今後の高温ガス炉の開発に非常に有用である。本書は、日本機械学会の動力エネルギーシステム部門による化石燃料及び原子力によるエネルギーシステムの技術書のシリーズの一冊として刊行されるものである。
近藤 恭弘; 平野 耕一郎; 伊藤 崇; 菊澤 信宏; 北村 遼; 森下 卓俊; 小栗 英知; 大越 清紀; 篠崎 信一; 神藤 勝啓; et al.
Journal of Physics; Conference Series, 1350, p.012077_1 - 012077_7, 2019/12
被引用回数:1 パーセンタイル:51.97(Physics, Particles & Fields)J-PARC加速器の要素技術試験に必要な3MeV Hリニアックを高度化した。イオン源にはJ-PARCリニアックと同じものを用い、RFQは、J-PARCリニアックで2014年まで使用した30mA RFQに代わり新たに製作した50mA RFQを設置した。したがって、このシステムはエネルギー3MeV、ビーム電流50mAとなる。このリニアックの本来の目的は、このRFQの試験であるが、J-PARC加速器の運転維持に必要な様々な機器の試験を行うことができる。加速器は既に試運転が終了しており、測定プログラムが開始されつつある。この論文では、この3MeV加速器の現状について報告する。
Adare, A.*; Afanasiev, S.*; Aidala, C.*; Ajitanand, N. N.*; 秋葉 康之*; Al-Bataineh, H.*; Alexander, J.*; 青木 和也*; Aphecetche, L.*; Aramaki, Y.*; et al.
Physical Review C, 83(4), p.044912_1 - 044912_16, 2011/04
被引用回数:9 パーセンタイル:49.6(Physics, Nuclear)重いフレーバーのメソンの崩壊からの電子の測定は、このメソンの収量が金金衝突では陽子陽子に比べて抑制されていることを示している。われわれはこの研究をさらに進めて二つの粒子の相関、つまり重いフレーバーメソンの崩壊からの電子と、もう一つの重いフレーバーメソンあるいはジェットの破片からの荷電ハドロン、の相関を調べた。この測定は重いクォークとクォークグルオン物質の相互作用についてのより詳しい情報を与えるものである。われわれは特に金金衝突では陽子陽子に比べて反対側のジェットの形と収量が変化していることを見いだした。
小坂部 和也; 加藤 大輔*; 鬼沢 邦雄; 柴田 勝之
JAEA-Data/Code 2006-020, 371 Pages, 2006/09
軽水炉構造機器の健全性に関する研究の一環として、平成8年度から確率論的破壊力学解析コードPASCALの開発を行っている。このコードは、原子炉圧力容器に加圧熱衝撃等の過渡荷重が発生した場合の破損確率を解析するコードである。既に公開されているPASCAL Version 1は、自動階層別モンテカルロ法,弾塑性破壊評価基準,半楕円き裂の詳細進展評価機能等に改良モデル等を導入していることが特徴である。平成14年度以降、経済産業省からの受託事業として、内部欠陥の評価手法の導入,破壊靱性評価手法の改良,応力拡大係数データベースの開発,トランジェントデータベースの整備,非破壊検査解析機能の改良等、解析機能や入出力機能の整備を実施した。そして、これら機能改良や感度解析を通じて得られた知見を取りまとめて標準的解析手法を提案するとともに、この標準的解析手法を反映したPASCAL Version 2用のグラフィカルユーザーインターフェースを整備した。本報告書は、PASCAL Version 2の使用方法と解析理論及び手法をまとめたものである。
伊藤 裕人; 加藤 大輔*; 鬼沢 邦雄; 柴田 勝之
JAEA-Data/Code 2006-001, 33 Pages, 2006/02
軽水炉構造機器の健全性に関する研究の一環として、流動加速腐食(FAC)による減肉配管の破損に対する構造信頼性学解析コードであるPASCAL-EC(PFM Analysis of Structural Components in Aging LWR - Erosion Corrosion)を開発した。このコードは、炭素鋼配管がFACにより減肉した場合の破損確率をモンテカルロ法により評価するものである。PASCAL-ECは経年劣化事象として減肉を対象としており、近年の試験・研究結果を反映した最近の破壊判定法が盛り込まれている。本報告書は、PASCAL-ECの使用方法と解析理論及び手法をまとめたものである。
沢 和弘; 植田 祥平; 柴田 大受; 角田 淳弥; 大橋 準平; 栃尾 大輔
JAERI-Tech 2005-024, 34 Pages, 2005/03
第四世代(GEN-IV)原子炉システムの有力な候補となっている超高温ガス炉(VHTR)では、燃料は1520%FIMA,高速中性子照射量610m(E0.1MeV)においても健全性を保つ必要があるが、従来のSiC被覆燃料粒子では、このような厳しい条件下で健全性を保ったデータはない。原研で開発してきたZrC被覆燃料粒子は、SiC被覆燃料粒子よりも高温かつ高燃焼度下で健全性を維持できると期待されている。原研では、(1)従来よりも大型の被覆装置によるZrC蒸着技術の開発,(2)ZrC検査技術の開発,(3)ZrC被覆層の照射試験及び照射後試験を開始する。また、反応度投入試験を実施して被覆燃料粒子の破損機構を把握し、反応度事故時の燃料温度制限の緩和を目指す。VHTRでは、炉心の黒鉛構造物も高い中性子照射条件下で健全性を維持しなくてはならない。そこで、黒鉛構造物の超音波伝播特性や微小硬度計による圧子の押込み特性により、黒鉛構造物の機械的特性を非破壊的に評価できる技術を開発する。本報は、文部科学省からの受託研究として2004年11月から開始したこれらの研究開発の計画と2004年度の成果についてまとめたものである。
高松 邦吉; 中川 繁昭; 坂場 成昭; 高田 英治*; 栃尾 大輔; 島川 聡司; 野尻 直喜; 後藤 実; 柴田 大受; 植田 祥平; et al.
JAERI-Tech 2004-063, 61 Pages, 2004/10
高温工学試験研究炉(High Temperature engineering Test Reactor: HTTR)は原子炉出力30MW,原子炉出口冷却材温度(定格運転850C/高温試験運転950C)の黒鉛減速ヘリウムガス冷却型の高温ガス炉である。HTTRでは高温試験運転として単独運転を2004年3月31日に開始し、4月19日に最大熱出力30MWの状態で1次冷却材原子炉出口温度950Cを達成した後、4月23日に使用前検査として冷却材飽和値確認検査を受検した。その後、徐々に出力を降下し、5月1日に原子炉を停止した。単独運転終了後、2次側の除熱性能の改善等を目的として炉容器冷却系熱交換器の洗浄等の作業を経て、並列運転を6月2日に開始し、6月24日に使用前検査として冷却材飽和値確認検査,放射性物質濃度の測定検査等を受検した。これにより、高温試験運転にかかわる原子炉の性能試験はすべて終了し、使用前検査合格証を受領した。高温ガス炉による原子炉出口冷却材温度950Cの達成は、今回HTTRが世界で初めて成功したものである。これにより、高温ガスタービンによる高効率発電が可能となるとともに、水を原料とした水素製造に十分な温度を達成したこととなり、原子力の非発電分野での利用の可能性が広がったことになる。本報は、高温試験運転の方法及び結果の概要を示したものである。
柴田 勝之; 鬼沢 邦雄; Li, Y.*; 加藤 大輔*
International Journal of Pressure Vessels and Piping, 81(9), p.749 - 756, 2004/09
被引用回数:5 パーセンタイル:34.16(Engineering, Multidisciplinary)PFMコードPASCALを使用し、原子炉容器の破損確率解析における破壊基準とき裂先端の破壊靱性評価の重要性について明らかにした。本論文では、PASCALに導入した弾塑性破壊評価基準並びに弾塑性破壊基準適用に際して必要な国産材及び米国材の標準J積分抵抗曲線データベースの作成について述べる。さらに、弾塑性破壊基準の効果に関するケーススタディを行った結果、弾塑性破壊基準及びき裂先端の破壊靱性評価方法は破損確率に顕著な影響を及ぼすことがわかった。
鬼沢 邦雄; 柴田 勝之; 加藤 大輔*; Li, Y.*
JSME International Journal, Series A, 47(3), p.486 - 493, 2004/07
原研では、軽水炉圧力容器の加圧熱衝撃(PTS)等の過渡事象時における信頼性評価のため、確率論的破壊力学(PFM)に基づく解析コードPASCALを開発している。3ループ型PWRに対する4ケースのPTS事象について、非破壊検査,破壊靭性曲線,き裂形状等の因子に着目して、PASCALによりPFM解析を実施した。この結果、PTS時における原子炉容器の破壊確率に対して、非破壊検査が最も大きく影響し、精度の高い国内の検査法モデルでは、検査をしない場合より3桁以上低下することがわかった。また、国内の破壊靭性評価法を適用した場合、米国の手法より破壊確率が低い場合があること、及び半楕円き裂形状としてき裂進展解析を行うことにより、無限長き裂に変換する場合における保守性を低減できることが示された。
鬼沢 邦雄; 柴田 勝之; 鈴木 雅秀; 加藤 大輔*; Li, Y.*
RPV Integrity and Fracture Mechanics (PVP-Vol.481), p.11 - 17, 2004/07
原研では、原子炉圧力容器を対象として、確率論的破壊力学(PFM)解析に基づく構造健全性評価についての標準的手法に関する検討を進めている。本報では、PFM解析コードに導入した内部欠陥の取扱い方法及び破壊靱性評価法について検討した結果を述べる。原研でこれまで開発してきたPFM解析コードPASCALに、内部欠陥に対する日本機械学会維持規格の評価法及び電中研の応力拡大係数算出法を導入し、内部欠陥の進展及び破壊確率評価法の検討,表面欠陥との破壊確率の比較等を行った。この結果、加圧熱衝撃時には、内表面側き裂先端における破壊評価が最も重要であること,内部欠陥に対する破壊確率は表面欠陥の場合と比較して約1桁低いこと等が明らかとなった。破壊靱性評価法に関しては、マスターカーブ法及びORNLの統計モデルを導入し、従来の評価法と比較した結果、両者に大きな差は生じないことがわかった。
鬼沢 邦雄; 柴田 勝之; 加藤 大輔*; Li, Y.*
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-11) (CD-ROM), 8 Pages, 2003/04
安全上重要な構造機器の信頼性評価やリスク管理において、確率論的破壊力学(PFM)解析手法の適用が検討されている。原研では、軽水炉圧力容器の加圧熱衝撃(PTS)等の過渡事象時における信頼性解析コードとして、PFMに基づくPASCALコードを開発している。本報告では、典型的な3ループ型PWRを対象として、4ケースのPTS事象についての熱応力解析結果を基に、非破壊検査,破壊靭性曲線,き裂形状等の重要な因子に着目して、PASCALを用いてPFM解析を実施した。解析結果から、PTS時における原子炉圧力容器の破壊確率に対して、非破壊検査の影響は最も大きく影響し、精度の高い検査を行うことにより、破壊確率は検査をしない場合より3桁以上低下することが分かった。また、我が国の脆化予測式及び破壊靭性曲線を適用することにより、米国の手法と比較して破壊確率が減少すること、及びき裂形状を半楕円き裂としてき裂進展解析を行うことにより、従来の無限長き裂に変換する場合における保守性を低減できることが示された。
Li, Y.*; 加藤 大輔*; 柴田 勝之; 鬼沢 邦雄
日本機械学会論文集,A, 69(678), p.239 - 245, 2003/02
確率論的破壊力学(PFM)コードPASCALでは、破損確率の精度及び信頼性向上を図るため、延性き裂進展による破壊抵抗の増大を考慮できる機能を導入している。すなわち、従来この種のコードで使用される線形破壊力学基準に加え、R6法カテゴリ1基準及び延性き裂進展を考慮するためR6法カテゴリ3基準を導入した。さらに、照射材の標準的な材料抵抗曲線も導入している。本論文では、R6法及び材料抵抗曲線の導入方法を述べるとともに延性き裂解析機能を用いた種々の解析により、圧力容器の破損確率に及ぼす材料の破壊抵抗曲線の影響,半楕円初期き裂の影響,入射時間刻みの影響などを検討した。例題解析の結果、延性き裂の進展を考慮した場合、圧力容器破損確率は大幅に低下し、破損確率の精度及び信頼性向上を図るためには、延性き裂の進展を考慮することが極めて重要であることがわかった。
柴田 勝之; 鬼沢 邦雄; Li, Y.*; 加藤 大輔*
Proceedings of 4th International Workshop on the Integrity of Nuclear Components, p.31 - 41, 2002/00
原研では、原子力機器の経年変化研究の一環として、確率論的破壊力学コードPASCALの開発を行っている。このコードでは、経年圧力容器の破損確率を解析する。通常、VISA-IIやOCA-P等の圧力容器破損確率解析コードでは、線形破壊力学に基づく亀裂進展,停止解析に基づき破損確率が求められる。一方、加圧熱衝撃等による破損解析では、板厚方向への亀裂進展にしたがって温度勾配による靱性増加のため脆性破壊から延性破壊へと破壊モードが遷移するケースが発生し、過度に安全側の評価となる可能性がある。このような破壊モードの遷移を適切に評価するためには、延性亀裂進展による破壊抵抗の増加を考慮することが必要になる。そこで、弾塑性破壊力学に対応できるR6法破壊規準をPASCALに導入するとともに、弾塑性破壊力学解析に必要な材料の破壊抵抗曲線のデータベースを導入した。例題解析の結果、弾塑性破壊力学の導入により、破壊確率が大幅に低減するとともに精度の良い破損確率が得られることがわかった。
柴田 勝之; 加藤 大輔*; Li, Y.*
Nuclear Engineering and Design, 208(1), p.1 - 13, 2001/08
被引用回数:21 パーセンタイル:80.2(Nuclear Science & Technology)確率論的破壊力学(PFM)は、材料や構造等の不確実性を確率論に基づき評価することにより、現行決定論的評価法に比べてより合理的に評価できる健全性評価法として、機器の設計基準や維持基準への導入が検討されている。しかし、PFM手法の導入に当たっては、最新の破壊力学評価法の反映及び解析コードの信頼性や精度の向上が未だ必要である。この観点から、原研では、弾塑性破壊評価法R6の導入や半楕円亀裂の進展評価モデルに特徴を有する新規PFMコードPASCAL(PFM Analysis of Structural Components in Aging LWR)の開発を進め、これまでに、ほぼコード開発を終えている。本論文は、開発コードの概要、コードの検証解析及び導入機能を使った例題解析の結果についてまとめたものである。検証解析及び例題解析は、NRC/EPRI PTSベンチマーク問題の入力データを用い、無限長亀裂または半楕円亀裂を有する圧力容器について実施した。コードの検証解析として、無限長亀裂及び初期アスペクト比一定の半楕円亀裂について破損確率を解析し、VISA-IIによる同一入力条件の解析結果との比較を行った。また、例題解析では、破壊基準、半楕円亀裂の進展評価法、高温予荷重の効果、クラッドの影響について、本コードの機能を用いた解析を行いこれらのパラメータの影響に関して知見を得た。
Li, Y.*; 加藤 大輔*; 柴田 勝之; 鬼沢 邦雄
International Journal of Pressure Vessels and Piping, 78(4), p.271 - 282, 2001/04
被引用回数:5 パーセンタイル:41.36(Engineering, Multidisciplinary)原研では、破壊評価モデルや数値解析法に新規モデルに導入したPFMコードPASCAL(PFM Analysis of Structural Components in Aging LWR)の開発を進め、これまでに、ほぼコード開発を終えている。本コードには、半楕円亀裂進展評価,破壊基準,焼鈍効果等に新規モデル導入しているが、その他、モンテカルロ解析法やクラッド部の応力拡大係数解析法にも新規の解析技法を開発し導入している。本論文は、解析の信頼性向上と効率化のため、数値解析法における新規モデルや改良点等をまとめたものである。本論文では、以下の項目について紹介している。(1)無限長亀裂の新規応力拡大係数式の作成と導入。(2)クラッド部熱応力による不連続部の応力拡大解析モデルの作成と導入。(3)層別モンテカルロ法における最適層分割及びサンプリング法の開発と導入。(4)その他: 乱数発生法,偏差再計算法等。
柴田 勝之; 加藤 大輔*; Li, Y.*
日本原子力学会誌, 43(4), p.387 - 396, 2001/04
被引用回数:2 パーセンタイル:19.6(Nuclear Science & Technology)確率論的破壊力学は、負荷、材料強度、欠陥分布、欠陥検査性能等の不確かさを確率変数として取り扱うことにより、構造機器の健全性・信頼性を合理的に評価できる手法として注目されている。欧米では、構造健全性評価にかかわる規制に取り込まれる動向にあり、評価法の確立、高度化をめざした国際ベンチマーク解析も実施されている。この背景から、変動荷重を受ける原子炉圧力容器等の信頼性評価を行うため、解析精度及び機能の向上を念頭において新規コードPASCAL (PFM Analysis of Structural Components in Aging LWR)の開発を進めている。すでに、コード主要部分の整備を完了し、検証解析及び例題解析に基づき、開発コード機能・性能評価及び種々の因子に関する破損確率への影響について評価している。本論文では、開発コードの機能・概要及び解析結果例を述べる。
柴田 勝之; 鬼沢 邦雄; Li, Y.*; 加藤 大輔*
JAERI-Data/Code 2001-011, 233 Pages, 2001/03
軽水炉構造機器の健全性に関する研究の一環として、平成8年度から確率論的破壊力学コードPASCAL(PFM Analysis of Structural Components in Aging LWR)の開発を行っている。このコードは、原子炉圧力容器に加圧熱衝撃(PTS: Pressurized Thermal Shock)等の過渡荷重が発生した場合の破損確率を解析するコードである。破壊力学の最新の知見や計算機性能の向上を踏まえ、新規解析法や詳細解析法の導入により解析精度と信頼性向上を図ることを目標に開発を進め、これまでにPASCAL-Version 1開発をおおむね完了している。本コードは、自動階層別モンテカルロ法、弾塑性破壊評価基準,半楕円亀裂の詳細進展評価機能,焼鈍効果の評価機能等に改良モデル等を導入していることが特徴的である。また、温度・応力分布作成用の専用入力データプロセッサーも用意している。ベンチマーク問題による検証解析及びケーススタディにより解析機能の検証を終えコードが良好に作動することを確認してる。本報告書は、上記開発経過を踏まえPASCALの使用方法と解析理論及び手法等をまとめたものである。
Li, Y.*; 加藤 大輔*; 柴田 勝之
JSME International Journal, Series A, 44(1), p.130 - 137, 2001/01
確率論的破壊力学(PFM)は、重要な機器の信頼性や寿命管理の合理的な評価法として近年適用されつつあり、VISAやPRAISEといった解析コードも開発されている。しかし、解析精度及び信頼性向上の観点から新規の破壊力学モデルや評価手法の導入も必要とされている。この観点から原研では、弾塑性破壊解析モデルや半楕円亀裂の進展解析法に特徴を有する新規PFMコードPASCAL(PFM Analysis of Structural Components in Aging LWR)の開発を進めている。本コードは、モンテカルロ法により変動荷重のもとでの圧力容器の条件付き亀裂進展・破壊確率を求めることができる。本報では、本コードを用いて行った圧力容器破壊確率のPTSベンチマーク問題に対する各種パラメータの感度解析結果を報告する。圧力、温度、圧力容器形状等は、国際ベンチマーク問題ICASの入力データを用いた。感度解析は、初期亀裂分布、初期アスペクト比、クラッドの効果、半楕円亀裂の進展判定法等について行った。この結果、半楕円亀裂について、良好な損傷確率を得るためには、表面方向と深さ方向独立に亀裂進展判定する方法を採用することが必要であること、内面クラッドは損傷確率を若干上昇させる効果を有する等のことを明らかにした。