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米田 安宏; 武田 博明*; 鶴見 敬章*
JPS Conference Proceedings (Internet), 1, p.012103_1 - 012103_4, 2014/03
層状ビスマス化合物であるビスマスタングステート(BiWO)は、BiOにWOが一枚挟まった構造を有するAurivillius化合物である。強誘電性のみならず、光触媒などの特性に優れ、多くの研究が行われてきた。高温相である常誘電体相からの構造相転移に関しては、これまで詳しく調べられてきたが、低温側の相転移に関しては詳細な報告はなかった。これは、BiWOが層状化合物であるため、コヒーレント長の異なる2つの構造がユニットセル内に存在するため、平均構造による相転移の議論が困難であったからである。今回、われわれはX線回折パターンを詳細に調べることによって低温側に新しい相転移を発見し、2体相関分布関数を使った局所構造解析を併用し、この相転移の存在を証明した。
米田 安宏; 小原 真司*; 武田 博明*; 鶴見 敬章*
Japanese Journal of Applied Physics, 51(9), p.09LE06_1 - 09LE06_6, 2012/09
被引用回数:14 パーセンタイル:51.32(Physics, Applied)高エネルギーX線回折で得られた2体相関分布関数を用いて層状化合物であるBiWOの局所構造解析を行った。BiWOは660Cで相転移を起こすが、この時の平均構造の変化が非常に小さいために相転移機構がよくわかっていない。高エネルギーX線回折を用いて得られた平均構造は室温では構造で660C以上では構造であった。しかし、両者の原子位置は非常によく似ており、Bragg反射の分裂や消滅は観測することができなかった。局所構造解析を行ったところ、平均構造のでもでも実験的に得られた2体相関分布関数を再現することはできなかった。そこで、層方向にBiを平均構造からシフトさせたところ、実験データと非常に良い一致を得ることができた。また、このBiの平均構造からのシフトは660C以上で消失しており、相転移とかかわりがあることは明らかである。BiWOは層状化合物であるため、BiO layerとWO layerとで異なったコヒーレント長を持っている。このコヒーレント長の変化を2体相関分布関数によって可視化することに成功した。
中里 智治*; 清水 俊彦*; 山ノ井 航平*; 酒井 浩平*; 武田 耕平*; 西 亮祐*; 南 佑輝*; Cadatal-Raduban, M.*; 猿倉 信彦*; 西村 博明*; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, 50(12), p.122202_1 - 122202_4, 2011/12
被引用回数:9 パーセンタイル:38.03(Physics, Applied)軟X線レーザー診断のための高空間分解能イメージングデバイスとして、水熱合成法により製作したZnOの励起子発光パターンを計測する方法の可能性を評価した。X線の集光点付近での発光パターンを計測し、ウエスト位置での半径を見積もることにより、Ni様AgプラズマX線レーザーのビームウエストでの半径が横方向と縦方向で29mと21m、発散角が7.2mradと11mrad、ビーム品質M2が47と50と見積もられた。空間分解能は6mで、拡大レンズを最適化し望遠鏡で拡大することによりさらに改善できる。今回の結果により、ZnOの軟X線光源の開発と応用で重要な役割を果たす画像計測素子としての利用がさらに加速されることが期待できる。
米田 安宏; 水木 純一郎; 武田 博明*; 塩嵜 忠*
IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics and Frequency Control, 55(5), p.971 - 974, 2008/05
LaTaGaO(通称LTG)のトポグラフィを行った。ランガサイト系の圧電体結晶は非常に良い結晶性を示すことが知られているが、ランガサイト系の単結晶の評価を行った。この研究の目的は、圧電体結晶をX線のチョッパーとして使用するための結晶性の評価である。現在、コマーシャルベースで販売されているランガサイト(LGS)を凌ぐような結晶は見つけることはできなかった。しかし、高エネルギーX線を用いたトポグラフィはランタンのような重い元素の含まれている材料でも、バルクライクな結晶性の評価ができることを示すことができた。
米田 安宏; 武田 博明*; 塩嵜 忠*; 水木 純一郎
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 46(10B), p.7163 - 7166, 2007/10
被引用回数:1 パーセンタイル:5.42(Physics, Applied)LaGaSiO(通称ランガサイト)は水晶と同じ点群に属しながら、融点まで相転移を示さずその圧電特性を保つため、近年、高温用圧電トランスデューサーや燃焼圧素子用の新素材として注目されている。一方で、ランガサイトは酸化物圧電体結晶のなかではとりわけ結晶性が良いため、X線光学素子としての利用も期待されている。ランガサイト単結晶を高周波数で発振させることによって放射光X線の連続スペクトルを時間的に切り出し時分割実験に利用することや、弾性表面波を利用したアッテネータなどへの利用が検討されている。このような光学素子利用のためのランガサイト単結晶の評価を行った。
米田 安宏; 岡島 由佳; 武田 博明*; 塩嵜 忠*; 水木 純一郎
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 31(1), p.7 - 10, 2006/03
圧電材料として有望なLaGaSiO(ランガサイト)は近年、チョクラルスキー法を用いて巨大単結晶が育成されるようになってきた。この単結晶を用いてX線トポグラフィで評価し、より高品位な結晶育成にフィードバックさせることを試みた。測定した単結晶試料の結晶性を評価するためにロッキングカーブの測定を行った。その結果、半値幅が16.75arcsecであり、われわれが期待したよりは結晶性が悪かった。この原因を明らかにするため、さらに詳細なX線回折測定を行ったところ、倍周期の超格子反射が見つかった。ランガサイトの空間群はであり、このサイトを占有するSiとGaのオーダーを示すと考えられる。さらに、非常に弱いながらも非晶質の散乱線が観測され、これは結晶化する直前の融液相の構造を反映していると考えられる。このような超格子反射や非晶質ピークはこれまでに報告例がなく、さらなる高品位結晶を得るための有力な情報として、現在解析をすすめている。
米田 安宏; 岡島 由佳; 水木 純一郎; 武田 博明*; 塩嵜 忠*
no journal, ,
LaTaGaO(LTG)は自動車エンジンのノッチングセンサとしての利用が期待されている圧電材料である。チョクラルスキー(Cz)法を用いて良質の単結晶が得られることから、LaGaSiO(LGS)と並んでマスプロダクションに向いた圧電材料と考えられている。Cz法で作製したLTGを輪切りにし、成長面の001面が出るように研磨した単結晶サンプルを用いて放射光X線を用いて評価した。実験は60keVのX線を使って行った。酸化物でありながら非常にシャープなピークを示している。しかし、結晶の場所によってピーク幅が2倍程度広がることがわかったため、トポグラフィを用いた評価も行った。トポグラフィの結果から、中心部分には不均一な歪みが存在していることがわかり、ロッキングカーブの位置依存性とも一致した。LTGはコングルエント組成で単結晶作製が可能であるため、組成ムラのない結晶が作製できると期待されたが、実際には中心部分に歪みが集積し、結晶性の低い部分があることがわかった。
米田 安宏; 小原 真司*; Han, J. S.*; 武田 博明*; 鶴見 敬章*
no journal, ,
ビスマス層状化合物のBiWOは非鉛系強誘電体として期待されている。キュリー点が約1000Cにあり、非常に高温である。したがって、フラックス法による結晶育成やPLD法による薄膜作製においてはキュリー点以下で合成することが可能となり、容易にシングルドメインのサンプルが得られると考えられていた。しかし、実際に作製されたBiWO結晶はシングルドメインとは考えられない観測結果が多く見いだされた。そこで、BiWOの高温X線回折実験を行い、相転移系列を再検証することが本実験の目的である。実験の結果、キュリー点以下でも明瞭な構造相転移が存在することがわかった。たとえ高温でのキュリー点以下で結晶を育成しても、その後の冷却過程で生じる別の相転移の存在によってドメインコンフィグレーションが変化すると考えられる。