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今井 洋輔*; 常磐 祐平*; 上野 周作*; 谷田 肇; 渡辺 巖*; 松原 弘樹*; 瀧上 隆智*; 荒殿 誠*
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 91(10), p.1487 - 1494, 2018/10
被引用回数:2 パーセンタイル:8.21(Chemistry, Multidisciplinary)吸着界面活性剤フィルムの極性基への二成分混合対イオンの競合結合を、全反射X線吸収微細構造(XAFS)分光法によって溶液表面で調べた。臭化物対イオンについて得られたEXAFSスペクトルは、完全に水和した臭化物イオン(バルクフリーBr)および界面活性剤イオンの極性基に結合し、部分的に脱水した臭化物イオン(束縛Br)のスペクトルの線形結合であった。対イオン混合系における束縛Brの割合から、トリメチルアンモニウム(TA)および3-メチルイミダゾリウム(MIM)極性基について、対イオン結合の2つの相対強度を提案した。(a)TA-SO TA-Cl TA-Br TA-BFと(b) MIM-Br TA-Br TA-BF MIM-BFである。TA極性基の場合、極性基の水和結合と対イオンの組み合わせは、コリンズの法則に従ってシリーズ(a)が得られ、これはイオンの水和エンタルピーの絶対値の組み合わせたときに、接触イオン対形成の傾向が大きくなることを示す。MIM極性基については、MIM極性基と対イオンとの間の水素結合の数が重要であり、これは、MIM極性基に対する対イオンと水の相互作用の競合のためにシリーズ(b)が得られる。
D.Cha*; 伊藤 久義; 森下 憲雄; 河裾 厚男; 大島 武; 渡辺 祐平; J.Ko*; K.Lee*; 梨山 勇
Mater. Sci. Forum, 264-268, p.615 - 618, 1998/00
六方晶シリコンカーバイド(6H-SiC)の照射欠陥を調べるために、P型6H-SiCへ3MeV電子線を110e/cm照射した。欠陥に関する情報を得るために4K~室温の電子スピン共鳴測定を行った。測定の結果PA、PB、PC、PD及びPEの照射欠陥に起因する5つのシグナルを観測した。PA、PBについては、4K~室温の広い範囲で、PCは4K~20K、PDとPEは~10Kで観測された。それらのシグナルの磁場vs試料の角度依存性を調べたところ、PAシグナルはシリコンの単一空孔に由来するシグナルであることが分かった。またPB~PEのシグナルは他のn型6H-SiCや3C-SiCの照射欠陥では見られないシグナルであり、P型特有のものであることがわかった。
伊藤 均; 大木 由美*; 渡辺 祐平; 須永 博美; 石垣 功
Radiation Physics and Chemistry, 42(4-6), p.597 - 600, 1993/00
被引用回数:2 パーセンタイル:29.79(Chemistry, Physical)本研究では、医療用具の滅菌に制動放射X線利用の実用化を目的としてBacillus属芽胞のX線照射の効果を線及び電子線照射の場合と比較を行った。その結果、ガラス繊維濾紙での無添加系では、B.pumilus,B.subtilis,B.megaterium,B.brevis芽胞の放射線感受性は線、電子線、X線で大差がなかった。一方、芽胞に対する添加物の影響については、線、電子線、X線ともに保護効果が現れて、電子線での効果が顕著でX線は電子線の中間か電子線に近くなり、これらの差は線量率によるものと思われる。このため、X線での滅菌条件も電子線と同じ規格基準が適用可能である。しかし、X線の場合、コンベアでの移動照射は照射野に大きな線量率分布があるため、線量評価には注意を要する。
伊藤 均; 大木 由美*; 渡辺 祐平; 須永 博美; 石垣 功
防菌防黴誌, 19(4), p.161 - 166, 1991/00
制動放射X線の滅菌条件を明らかにすることを目的としてBacillus pumilus E601株、B.subtilis IAM1069株、B.megaterium S31株、B.brevis S5株の芽胞について制動放射X線、線、電子線の放射線感受性の比較を行なった。ガラス繊維濾紙上で添加物が無い状態で乾燥した場合、各菌株の放射線感受性はX線、線、電子線でほとんど差がなく、D値はB.pumiluで1.5~1.6kGy、B.subtilisで1.4~1.5kGy、B.megateriumで1.9~2.0kGy、B.brevisで1.6~2.0kGyとなった。ガラス繊維濾紙上で添加物のペプトン2%+グリセリン1%で乾燥した場合、各菌株の電子線での感受性は、線と比べ若干低下した。添加物共存下での放射線抵抗性の増加はX線でも認められそれは線と電子線の中間であった。セルロース濾紙の場合、添加物による放射線抵抗性はB.megateriumとB.brerisのみ増加した。
三友 宏志*; 河野 昂*; 渡辺 祐平; 伊藤 均; 石垣 功
Reports on Progress in Polymer Physics in Japan, 34, p.415 - 416, 1991/00
微生物産生ポリエステルであるPHBおよびその共重合体Poly(HB-CO-20mol%HV)を線照射し、線量に対する分子量、融点およびガラス転移点の低下を調べた。PHBおよびP(HB-CO-HV)のDSC測定から求めた融点は照射線量に対してはほぼ直線的に低下するが、空気中照射に比べ真空中の方がその低下は小さい。また、GPCから求めた数平均分子量は低線量照射で急激に低下するが、その後は線量に対して徐々に低下した。真空中ではその度合いが小さくなり、酸素の影響が明らかに見られた。ほぼ同じ分子量を示す真空中照射試料の融点は空気中のそれより約15C低いところに現れ、細かく結晶が壊されているにもかかわらず分子間架橋のために分子量が高く見積もられているものと推定された。またガラス転移温度も空気中では直線的に低下したが、真空中ではS字型曲線に沿った減少を示し、架橋の生成が転移温度の低下を遅延させたと考えられる。
大木 由美*; 伊藤 均; 渡辺 祐平; 須永 博美; 石垣 功
食品照射, 25(1-2), p.71 - 74, 1990/00
近年、医療用具等の減菌に電子線が利用され始めているが、透過力が低いという欠点がある。このためX線を利用しようとする試みも始まっている。本研究では、Bacillus属殺菌の芽胞についてガンマ線と電子線で線量率効果と線質の影響、担体及び共存物の影響を検討すると共に、X線に対する感受性についても同様に比較検討した。ガンマ線と電子線での比較においては、放射線感受性はガンマ線の方が大きい。添加物の影響を比較してみると、B.pumillusとB.subtilisについては、ガラスろ紙においてのみ顕著となるが、B.megaterilum、B.brevisではセルロースろ紙においてもその影響は電子線同様に現われた。また生残曲線はB.megateriumでは大きな肩をもつフシグモイド型となった。変換X線との比較においては、D値は電子線とガンマ線の中間にくるようであった。
渡辺 祐平; 大木 由美*; 伊藤 均; 石垣 功
食品照射, 25(1-2), p.66 - 70, 1990/00
Bacillus属細菌芽胞の好気的条件下での放射線感受性は電子線と線の間に若干の差があり、電子線の方が低い。一方、医療用具に汎用される有機材料も空気中では線に比べて線量率の高い電子線の方が放射線劣化しにくいことが知られている。微生物の放射線失活の立場からこの点を明らかにするために、B.pumilus E601株とB.subtilis IAM1069株の芽胞について、電子線および線に対する感受性(D値)と酸素圧の関係を検討した。その結果、高真空下ではB.pumilusのD値(2.7~2.8kGy)およびB.subtilisのD値(2.4~2.5kGy)は電子線、線に対して同一となった。しかし、D値はある一定の酸素圧以上から酸素圧の増加と共に低下し始め、約0.1Torr以上の酸素圧では線に比べて電子線に対するD値の方が大きくなった。これらの現象を芽胞をとりまく芽胞殻、コルテックスを透過する酸素と線量率の関係から考察した。
渡辺 祐平; 伊藤 均; 石垣 功
防菌防黴誌, 17(7), p.311 - 317, 1989/00
医療用具の電子線滅菌を実用化するために、B. pumilus E601株の芽胞の電子線に対する基本的性質について線の場合と比較し、検討した。照射前のB. pumilus芽胞を乾燥状態で保存した場合には、安定した放射線感受性を与えたが、高温度下では保存中に菌数が減少するほか、放射線感受性も増大した。一方、照射芽胞は乾燥状態で保存しても不安定であり、見掛けの感受性は貯蔵期間が長くなるにつれて増大した。
渡辺 祐平; 伊藤 均; 石垣 功
食品照射, 24(1-2), p.16 - 20, 1989/00
放射線滅菌の指標菌として汎用されているB.pumilus芽胞の電子線および線に対する生残曲線は、室温で長期間放置するか加熱処理することにより変化する。この照射後の「後効果」現象を明らかにするためにB.pumilus芽胞の放射線失活に及ぼす照射後の熱処理の影響を熱失活のみの場合と比較検討した。その結果、空気中で照射した芽胞の生残分のうち照射後の加熱処理等で回復した分は、非照射芽胞に比べて熱感受性が高く加熱の初期に消滅するが、本来の生残分の熱失活曲線は非照射芽胞のそれとほぼ等しいことがわかった。
久米 民和; 渡辺 祐平; 広瀬 茂久*; 石垣 功
食品照射, 23(2), p.84 - 87, 1988/00
放射線失活法を用いて生物性物質の分子サイズを測定する上で、比較的低エネルギーの電子線を用いるための条件について線と比較しながら検討した。照射は3MeV、0.77mA(1kGy/pass)の電子線およびCo-線(10kGy/hr)を用いて室温で行った。
渡辺 祐平; 伊藤 均; 石垣 功
食品照射, 23(2), p.88 - 92, 1988/00
線減菌における指標菌として汎用されているB.pumilusの電子線に対する感受性について検討した。乾燥したB.pumilus芽胞に好気的条件下で0.5,1および3MeVの電子線を照射して得られた生残曲線は全て同一の直線で表わされ、B.pumilusの電子線感受性は0.5~3MeVの範囲のエネルギーには依存しないことが判明した。
渡辺 祐平; 伊藤 均; 石垣 功
食品照射, 22(2), p.12 - 15, 1987/11
B.pumilus E601芽胞の電子線感受性について検討した。電子線、線いずれの照射でも芽胞の担体としてセルロース繊維ろ紙を用いるとB.punmilus芽胞の生残曲線はペプトンやグリセリンが共存しても無添加の場合と一致した。しかし、担体としてガラス繊維ろ紙を用いると添加物の保護効果が現れ、無添加系、ペプトン添加系、ペプトン+グリセリン添加系の順に感受性は低下した。B.pumilus芽胞の電子線と線に対する感受性には若干の差が認められた。即ち、線では認められない小さな肩が電子線照射で現れ、また生残曲線の勾配から得られるD値は線と比較して若干高い傾向があった。
渡辺 祐平; 早川 直宏; 栗山 将*
Reports on Progress in Polymer Physics in Japan, 30, p.171 - 174, 1987/00
結晶性ポリマーの酸化反応機構におよぼすモルホロジーの影響を、分子構造の簡単な直鎖状ポリエチレン(PE)について検討した。
荒川 和夫; 瀬口 忠男; 渡辺 祐平; 早川 直宏
Journal of Polymer Science; Polymer Chemistry Edition, 20, p.2681 - 2692, 1982/00
5種類のポリエチレン(PE)、エチレン-ブテン共重合体(EB)、およびエチレン-プロピレン共重合体(EPR)を酸素圧力0~500torrの範囲で変えて、Co-60線を照射した。その結果、酸素の消費のG(-O)値は線量率が110rad/hのときPEで14~18.4、EBで11.6であり、EPRのG(-O)値は線量率が210rad/hのとき8.3である。定量された酸化生成物はカルボキシル基、水、一酸化炭素、および二酸化炭素である。低密度PE、EBおよびEPRの酸素消費量と酸化生成物の生成量は酸素の圧力に依存せず一定である。また、結晶化度が大きいほど酸素の消費量および酸化生成物の生成量が大きいことが明らかとなった。
瀬口 忠男; 荒川 和夫; 早川 直宏; 渡辺 祐平; 栗山 将
Radiation Physics and Chemistry, 19(4), p.321 - 327, 1982/00
高分子絶縁材料の放射線酸化劣化をゲル分率および膨潤比の測定から検討した。化学架橋したポリエチレン(PE)およびエチレン-プロピレンゴム(EPR)は真空中照射では架橋がさらに進行するのに対し、酸素加圧下で照射すると、切断が起りゲル分率が低下し、膨潤比が増大する。 EPRについては酸素下での照射量と膨潤比の変化に定量的な関係式が見出された。さらに酸化防止剤の効果が、ゲル分率、膨潤比の変化量から明瞭になり、定量化できた。
荒川 和夫; 瀬口 忠男; 渡辺 祐平; 早川 直宏; 栗山 将; 町 末男
Journal of Polymer Science; Polymer Chemistry Edition, 19, p.2123 - 2125, 1981/00
高分子中に充分酸素が溶解しており、酸素の拡散が律速とならないような条件で、放射線酸化反応の線量率依存性を調べた。試料は低密度ポリエチレンおよびエチレン-プロピレン共重合体で、酸素雰囲気中・室温で線量率は1.410から210rad/hrの範囲でCo-線を照射した。酸素の消費量はガスクロで、高分子中のカルボニルはNMRで測定した。ゲル分率は沸騰キシレンで抽出して求めた。その結果、酸素の消費のG値の線量率依存指数は-1/3であることを見い出した。また、カルボニル生成のG値およびゲル分率の低下の線量率依存指数も-1/3で、酸素の消費のそれとよく一致している。以上の結果にもとずき酸化反応機構について考察し、酸化反応において一分子停止反応と二分子停止反応の競争反応により-1/3の線量率依存指数を説明した。
吉井 文男; 渡辺 祐平; 嘉悦 勲
Eur.Polym.J., 15(4), p.323 - 324, 1979/00
被引用回数:3一連のガラス化性モノマーの重合反応の研究の際にアクリレートモノマーの重合の開始および成長ラジカルの同定が必要になってきたが、バルクだとラジカルが不安定なために同定がむずかしかった。そこですでに長鎖モノマーであるヘキサンジオールジアクリレートが尿素と包接化合物をつくり、後効果重合することを見出していたので、これを使って、後効果重合と関連ずけて、アクリレートラジカルの同定を行った。25Cの照射で水素付加型のESRスペクトルの分離のよい5本線の開始ラジカルがみつかり、それは、70Cに昇温したときに3本線の成長ラジカルに変わった。ラジカル濃度の温度依存性は、包接化合物の分解温度(90C)では速やかに減少するが、それ以下の温度ではきわめて長い時間成長ラジカルが観察され、尿素カナルの壁の保護効果がきわめて大きいことが分かった。さらにその減衰曲線は後重合挙動とよく対応し、重合をよく説明できた。
森田 洋右; 石垣 功; 熊倉 稔; 渡辺 祐平; 伊藤 彰彦
J.Appl.Polym.Sci., 23(11), p.3395 - 3409, 1979/00
被引用回数:21,3ジオキソランとテトラオキサンの固相共重合の機構を明らかにするために、1,3ジオキソランの消費速度がガスクロマトグラフによって測定され、また、共重合体(ポリマー)の共重合組成が高分解能NMR,DSCによって測定された。以上の結果から、本重合系に1,3ジオキソランを重合開始時に1度に添加すると、不均一組成分布をもった共重合体がえられる。しかしながら、このような固相共重合においても、1,3ジオキソランを重合の進行と共に加えていくと、均一な組成の共重合体がえられる。
森田 洋右; 石垣 功; 渡辺 祐平; 荒牧 輝夫*; 伊藤 彰彦
J.Appl.Polym.Sci., 23(11), p.3421 - 3426, 1979/00
被引用回数:01,3ジオキソランとテトラオキサンの固相共重合において、得られたポリマーを成型しその機械的物性を測定した。共重合体の物性は分子量分布及び共重合組成に大きく影響されることが判った。1,3ジオキソラン及びメチラールの重合系への添加方法を種々に変えて、共重合体の物性を変化させた。この結果、重合の進行に従って、1,3ジオキソランやメチラールを添加していく連続添加方法によって得られた共重合体の物性は、すでに市販されているデルリン500及びジュラコンM90の中間の性質を示した。
石垣 功; 渡辺 祐平; 伊藤 彰彦; 林晃 一郎*
J.Macromol.Sci.,Part A, 12(6), p.837 - 851, 1978/00
チオフェン(TP)と無水マレイン酸(MA)の放射線共重合を研究した。種々な溶媒のなかで最も高い重合速度を与えるクロロホルムを用いて本系の基礎的検討を行い、線量率、重合温度、モノマー組成濃度の影響を明らかにした。本共重合はラジカル機構で進行し、停止反応は生長鋭ラジカルの2分子停止が支配的であること、活性化エネルギーは約5.3kcal/moleであることなどを明らかにした。TP,MAともに、それぞれ単独では放射線重合しないが両者を共存させた場合にのみポリマーが得られ、当モル組成のときに最大の重合速度が得られること、CCl,CHClなどの塩素を含有した溶媒では比較的高い重合速度を与えることが明らかになった。生成ポリマーのNMR判定によりTPとMAがほぼ1対1に共重合し、しかも交互性のあることが判明した。