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酒井 健二; 大井 元貴; 渡辺 聡彦; 甲斐 哲也; 加藤 裕子; 明午 伸一郎; 高田 弘
JAEA-Conf 2015-002, p.593 - 598, 2016/02
安全で安定なビーム運転のために、MLFでは、統括制御、インターロック、サーバ、ネットワーク、タイミング配信システムからなる全体制御システム(MLF-GCS)を稼働している。2008年の最初の陽子ビームの受け入れ以来、MLF-GCSは、ビームパワー増強に伴うターゲット機器のアップグレードや、ユーザー実験装置の毎年の増設に対応しながらも、大きなトラブルもなく安定した運転を実現してきた。しかしながら、近年は、長期に渡る継続的な施設運転の観点から、GCSの大掛かりな改造が進められている。例えば、メンテナンス時の柔軟性を高める目的で、基盤ソフトウェアを変更することで、GCSの監視操作システムがアップグレードされた。またJ-PARCの安全体制の再構築に従い、GCSのインターロックシステムも改良された。本論文では、MLF-GCSの近年の進捗状況について報告する。
大井 元貴; 酒井 健二; 渡辺 聡彦; 圷 敦; 明午 伸一郎; 高田 弘
JPS Conference Proceedings (Internet), 8, p.036007_1 - 036007_5, 2015/09
J-PARC物質生命科学実験施設(MLF)では、PLC,操作端末(OPI),インターロックシステム,サーバー等で構成されるMLF統括制御システム(MLF-GCS)によって、MLFを構成する様々な機器を統括制御しているが、OPIに使用しているSCADAソフト(iFiX)のOS依存性やバージョン互換性に欠点があった。そこで、これらの問題を解決するため、EPICSをベースに使用したシステムへ更新した。OPIにはControl System Studioを採用し、データベースにPostgreSQLを採用した。新システムは2014年1月から既存のMLF統括制御システムに接続し運用を開始した。7月まで施設運転に供しながら不具合の修正を行い、特に問題なく動作することを確認した。本件では、約7000点のデータと130画面を有する新システムおよびその性能について報告する。
味村 周平*; Bezerra, T. J. C.*; Chauveau, E.*; Enomoto, T.*; 古田 久敬*; 原田 正英; 長谷川 勝一; Hiraiwa, T.*; 五十嵐 洋一*; 岩井 瑛人*; et al.
Progress of Theoretical and Experimental Physics (Internet), 2015(6), p.063C01_1 - 063C01_19, 2015/06
被引用回数:6 パーセンタイル:45.25(Physics, Multidisciplinary)J-PARC E56実験は物質・生命科学実験施設においてステライルニュートリノを探索する実験である。実験の妥当性を検証するために、われわれはMLF 3Fにバックグランドイベント用検出器を設置し、測定を行った。この検出器は500Kgのプラスチックシンチレータから構成されている。陽子ビーム入射によって線と中性子が生成され、宇宙線起源の線なども検出された。これらの結果について報告する。
酒井 健二; 甲斐 哲也; 大井 元貴; 渡辺 聡彦; 中谷 健; 髭本 亘; 明午 伸一郎; 坂元 眞一; 高田 弘; 二川 正敏
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.264 - 267, 2014/04
J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)は、陽子ビームをターゲットに入射し、大強度の中性子・ミュオンビームを発生させ、実験装置に供給する施設である。MLFでは、ビーム運転の他、機器保守、実験装置増強などの作業に対して安全を確保するために、MPS, TPS, PPSという3種類のインターロックシステムを運用している。これらのインターロックシステムは、J-PARCの中央制御室を通じて加速器や他実験施設と連動して運用される。MPSは想定外のビーム照射から機器を保護し、TPSは中性子ターゲットに特化して重大なトラブルを防ぐ役割を果たす。PPSは運転員を高放射線による被曝から保護する。さらに、PPSは、線源保守エリアへの入退室を制限したり、利用者の実験装置室への安全な入退室を管理する役割も持つ。MLFインターロックシステムは、2008年の5月にビーム運転を開始した後、ターゲット関連機器の増強や段階的な実験装置の増設に応じて対象を拡大しているが、これまでトラブルなく安定に運用されてきた。本発表では、MLFインターロックシステムの設計概念,構成,運転状況及びアップグレードなどについて報告する。
渡辺 聡彦; 酒井 健二; 大井 元貴; 明午 伸一郎; 高田 弘
JAEA-Technology 2013-028, 21 Pages, 2013/11
物質・生命科学実験施設(MLF)の全体制御システムは、OSなどの選択の自由度が小さく、メンテナンスコストがかかる欠ける欠点があったため、この課題を解決する目的で全体制御システムの基盤ソフトウエア及び運転制御に用いる各種ソフトウエアの見直しを行った。この検討では、複数台の専用の監視操作用PCから多数の現場制御盤を制御できること、共有サーバーが7000以上の運転情報を収集・蓄積し、これをWEB画面などの形式に変換し配信するといった機能を維持できること、を前提条件とした。さらに、プロトタイプシステムを製作し、実際の運転で使われているデータを用いて、PLCとの通信速度、画面表示機能、DSサーバー取込速度・容量、長期運転時の安定性など、具体的に性能を評価し、その妥当性を確認した。この結果、次期の全体制御システムでは、EPICSを基盤ソフトウエアとし、根幹的な要素を成すデータ入出力モジュール、ユーザーインターフェース用画面作成ソフトウエア及びデータストレージサーバー用ソフトウエアに、各々Takebishi製のOPCサーバー、Control System Studio(CSS)及びPostgreSQLを採用するという結論を得た。
石山 達也; 伊藤 雄一; 菊澤 信宏; 鈴木 隆洋; 大井 元貴; 明午 伸一郎; 酒井 健二; 加藤 裕子
Proceedings of 9th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.714 - 716, 2013/08
J-PARCでは、MLFとMRの両施設へのビーム打ち分け時に、MLFにてMPSが発報すると全ビームが停止となり、正常運転状態にあるMRへのビーム供給も停止してしまう。特にミュオンターゲット移動時にはMPSが必ず発報する仕様となっているため、ビーム行先をMRのみに切り替えてターゲットを移動する運用を行っていた。このビーム行先切り替えの際にも全ビーム停止となる。これらによるMR運転稼働率の低下が問題となっていた。そこで、現状のMLFのMPS信号をMLFインヒビットとして扱い、MLFインヒビット発報時には、MLF行きのビームのみを停止し、MR運転稼働率の向上を図ることとした。勿論、MLFインヒビットを実現するにあたり、安全性を保つことが必須である。今回新たに、MLFインヒビット発報中にMLFにてビーム検出がされた際に、通常のMPSを発報し全ビーム停止を行うロジックを組み込むことで、稼働率向上、安全性確保を両立したMLFインヒビットシステムの構築を行った。
酒井 健二; 坂元 眞一; 木下 秀孝; 関 正和; 羽賀 勝洋; 粉川 広行; 涌井 隆; 直江 崇; 春日井 好己; 達本 衡輝; et al.
JAEA-Technology 2011-039, 121 Pages, 2012/03
本報告では、東日本大震災の発生時におけるJ-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)の中性子源ステーションの挙動,被害,復旧状況を調査し、本ステーションの緊急事態に対する安全設計について検証する。大震災発生時、MLFでは、幾つかの機器で大きな揺れを検知した後、外部電源が喪失し、全循環システムが自動停止した。水素は設計通り屋外に放出され、機器異常による水銀,水素,放射性ガスの漏えいも生じなかった。一方、激しい揺れは、遮蔽体ブロックのずれ、建屋周辺の地盤沈下による外部供給配管の破断を引き起こした。この配管破断による圧縮空気の圧力低下は、水銀ターゲット台車固定装置などに影響を及ぼしたが、主要機器の大きな破損までは至らなかった。これらの結果は、本ステーションの緊急事態に対する安全設計の妥当性を実証できたとともに、幾つかの改善点も見いだされた。
酒井 健二; 二川 正敏; 高田 弘; 坂元 眞一; 前川 藤夫; 木下 秀孝; 関 正和; 羽賀 勝洋; 粉川 広行; 涌井 隆; et al.
Proceedings of 20th Meeting of the International Collaboration on Advanced Neutron Sources (ICANS-20) (USB Flash Drive), 6 Pages, 2012/03
本報告では、東日本大震災の発生時におけるJ-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)の中性子源ステーションの挙動、被害状況を調査する。大震災発生時、MLFでは幾つかの機器で大きな揺れを検知した後、外部電源が喪失し、全循環システムが自動停止した。水素は設計通り屋外に放出され、機器異常による水銀, 水素, 放射性ガスの漏えいも生じなかった。一方、激しい揺れは遮蔽体ブロックのずれ、建屋周辺の地盤沈下による外部供給配管の破断を引き起こした。この配管破断による圧縮空気の喪失は、圧空シリンダーを用いた固定装置や空気操作弁などに影響を及ぼしたが、主要機器の大きな破損までは至らなかった。これらの結果は、本ステーションの緊急事態に対する安全設計の妥当性を実証した。
前川 藤夫; 及川 健一; 原田 正英; 甲斐 哲也; 明午 伸一郎; 春日井 好己; 大井 元貴; 酒井 健二; 勅使河原 誠; 長谷川 勝一; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 600(1), p.335 - 337, 2009/02
被引用回数:42 パーセンタイル:92.89(Instruments & Instrumentation)J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)の中性子源JSNSの第10番目の中性子ビームラインであるNOBORUが建設された。NOBORUの第一目的はJSNSの中性子性能を研究することである。NOBORUにより、JSNSで発生する記念すべき最初の中性子パルスの測定を行い、そして施設診断を目的として中性子のパルス形状,スペクトル,強度分布等を測定する計画である。NOBORUはテストポートとしての性格も併せ持ち、革新的実験装置開発のための試験も積極的に受け入れる。現在、NOBORUを利用した幾つかの革新的実験装置の実証実験を計画中である。
及川 健一; 前川 藤夫; 原田 正英; 甲斐 哲也; 明午 伸一郎; 春日井 好己; 大井 元貴; 酒井 健二; 勅使河原 誠; 長谷川 勝一; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 589(2), p.310 - 317, 2008/05
被引用回数:54 パーセンタイル:95.02(Instruments & Instrumentation)中性子源特性試験装置NOBORUをJ-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)に建設した。NOBORUは、1MWの核破砕中性子源(JSNS)を「観測する」、すなわちJSNSの中性子特性を研究するために設計した。また、「研究」活動、すなわちR&Dや新しいアイデアを持っているトライアルユーザのためのテストポートとしても利用される予定である。本論文はNOBORUの設計と利用について記述し、期待される性能をモンテカルロシミュレーションにより検証した。
前川 藤夫; 及川 健一; 原田 正英; 甲斐 哲也; 明午 伸一郎; 春日井 好己; 大井 元貴; 酒井 健二; 勅使河原 誠; 長谷川 勝一; et al.
Proceedings of 18th Meeting of the International Collaboration on Advanced Neutron Sources (ICANS-18) (CD-ROM), p.118 - 126, 2007/00
JSNSでは、23本の中性子ビームラインのうちの1本(NOBORU)が、JAEA中性子施設開発グループに割り当てられている。このビームラインの第一目的はJSNSの中性子性能測定であるが、さまざまな研究のためのテスト実験も実施可能である。本論文では、2008年の初陽子ビーム受け入れ後の、JSNS試運転期間中におけるNOBORUを利用した実験計画について述べる。第一目的のための研究内容は、JSNS運転パラメータと中性子性能の相関,ユーザーに提供するためのビームパラメータ取得,JSNS中心機器の健全性確認,中性子工学設計の検証、及び測定手法開発である。さらに、われわれはラジオグラフィー,高圧実験装置の導入,eV中性子分光に興味があり、さらに新しい研究を生み出すための試験的利用も歓迎する。
大井 元貴; 甲斐 哲也; 明午 伸一郎; 木下 秀孝; 酒井 健二; 坂元 眞一; 神永 雅紀; 加藤 崇; 加藤 直彦*
Europhysics Conference Abstracts, 29J, 6 Pages, 2005/00
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の3GeV陽子ビーム輸送施設(3NBT)は、3GeVシンクロトロン施設(RCS)から物質生命科学実験施設(MLF)まで大強度の陽子ビームを輸送するための施設である。ハンズオンメンテナンスのために3NBTの設計目標は平均ビームロスで1W/m以下を目指している。そのため、電磁石の制御や陽子ビームモニターシステムは非常に重要である。J-PARCにおいては、加速器システム制御用に開発され、UNIXで稼動する制御用言語であるEPICSを制御システムに採用されており、3NBTの陽子ビームモニターにおいてもEPICSを使用する。本論文はEPICSを用いた陽子ビームモニター用DAQシステム開発の現状を紹介し、初めて25Hz周期で動作させた場合の性能を報告する。
島田 太郎; 助川 武則; 柳原 敏; 佐藤 忠道*; 酒井 伸一*
Proceedings of 9th Biennial International Conference on Nuclear and Hazardous Waste Management (Spectrum '02) (CD-ROM), 6 Pages, 2002/08
原子炉施設の廃止措置計画立案時に、作業従事者の被ばく線量を精度よく評価しておくことは、作業管理及びコスト評価上重要である。そこで、原子力施設解体時に作業従事者の外部被ばく線量を評価する計算プログラム(DOSE)を開発し、廃止措置計画の策定及び管理システムCOSMARDに組み込んだ。JPDR解体実地試験で得られた作業従事者の外部被ばくに関する知見に基づき、WBS(Work Break Structure)を考慮しCOSMARDで算出した作業別及び職種別の作業人工数に対して、作業従事者が作業する局所的な範囲における線量当量率を与えて外部被ばく線量を算出するプログラムを開発した。また、解体作業に特有な放射能の減衰及び作業場所からの撤去、さらに1日の作業における実質作業時間を考慮する評価方法もあわせて整備した。JPDR原子炉格納容器建屋内部の機器・構造物解体作業に対して評価を行った結果、集団外部被ばく線量の評価値は実績値とほぼ一致し、本計算プログラムが原子力施設の解体作業における作業従事者の外部被ばく線量評価に有効であることが示された。
岡根 哲夫; 藤森 伸一; 井野 明洋; 藤森 淳; Dhar, S. K.*; Mitra, C.*; Manfrinetti, P.*; Palenzona, A.*; 酒井 治*
Physical Review B, 65(12), p.125102_1 - 125102_7, 2002/03
被引用回数:13 パーセンタイル:55.62(Materials Science, Multidisciplinary)YbCoX(X=Ga, Al)は、同じ結晶構造を有し、X=Gaでは価数揺動系,X=Alでは反強磁性秩序を見せる近藤格子系の物性を示す。このXリガンドの違いに応じた物性の起源を明らかにするため、本研究はこれらの化合物の電子状態を高エネルギー分解能の光電子分光実験により調べた。X=AlではX=Gaに比べてYb4fエネルギーレベルが上昇していることが観測された。このエネルギーレーザーの上昇をYb4F-リガンドSP電子の混成の減少が、X=AlとX=Gaでの物性の違いの起源と考えられる。またX=Gaでは結合エネルギー26meVに近藤ピークを観測した。この近藤ピークのエネルギー位置と幅は不純物アンダーソンモデルから予想される値と近い値を持つが、顕著な非対称形状を示した。この非対称形状の起源として、電子-正孔体の形成を提案した。
加藤 哲朗; 酒井 伸一; 前川 嘉治; 二之宮 和重; 加藤 一馬; 島田 満*
JNC TN2420 99-003, 75 Pages, 1999/03
もんじゅは、平成7年12月に発生した二次主冷却系ナトリウム漏洩事故以来プラントは停止している。プラントは停止中であっても系統の安全確保のため主要機器は冷却等最低限の状態で運転が維持されている。そのためドレン等の廃液は放射性液体廃棄物処理系に移送され、濃縮・減容後プラスチック固化が行なわれる。本処理設備には廃液の蒸発・濃縮を行なう廃液蒸発濃縮器、濃縮器を加熱する廃液加熱器および蒸発・濃縮処理後の蒸気を冷却した凝縮液の脱気を行なう脱気器が設置されている。本報告書は廃液加熱器と脱気器の両機器で熱源として使用している補助ボイラ蒸気ドレン(凝縮水)の水質のうち、導電率の変動現象について、原因調査とその対策について取りまとめたものである。調査の結果、導電率の変動は補助ボイラ給水に脱酸素剤として注入されているヒドラジンの熱分解により発生したアンモニカが原因となっていることが判明した。このため、補助ボイラ給水へのヒドラジン注入方法を見直し、適正なヒドラジン濃度管理を維持することにより本事象が改善され、同時に補助ボイラ給水中のヒドラジン濃度の安定化も図られ、水質管理の向上に寄与することが確認できた。
及川 健一; 前川 藤夫; 原田 正英; 甲斐 哲也; 酒井 健二; 明午 伸一郎; 春日井 好己; 勅使河原 誠; 大井 元貴; 加藤 崇; et al.
no journal, ,
パルス核破砕中性子源JSNSの出力は、既存の核破砕中性子源の出力を約1桁上回り、試運転を開始した米国SNS(定格2MW)と並び、世界で初めてのMWクラスパルス核破砕中性子源となる。JSNSを安定かつ安全に運転し、ユーザーに高品質,大強度の中性子ビームを提供することが使命となる。そこで、中性子源施設として独自の中性子ビームラインを所有し、自ら責任を持って中性子ビームの質を把握し、より良い中性子ビームの提供を目指すために、中性子源特性試験装置(英語名:NeutrOn Beam-line for Observation and Research Use、略称:NOBORU)を建設する。本装置では「高品質大強度中性子ビーム提供のための中性子源特性測定」を行い、(1)各種運転パラメータと中性子ビームの相関把握,(2)ユーザーに対する中性子ビーム情報提供,(3)中性子源構成機器の健全性確認,(4)中性子源設計の妥当性検証,(5)測定手法開発を行って行く。
竹田 幸治; 岡根 哲夫; 大河内 拓雄; 小林 正起*; 藤森 伸一; 斎藤 祐児; 山上 浩志; 藤森 淳; 池田 修悟; 酒井 宏典; et al.
no journal, ,
今回われわれはUXY(X, Y=S, Se, Te)のうち、UTeSとUSeSに対してU 5f電子状態を調べるために、SPring-8のBL23SUのSXPES, XMCD実験ステーションにおいて、軟X線光電子分光(SXPES),内殻吸収磁気円二色性(XMCD)の測定を行った。UTeSのPES実験から、U 5f電子状態がフェルミ準位から約750meV深い価電子帯にあることがわかった。これはこれまでに報告されているほかの金属ウラン化合物の状態密度と異なり、フェルミ準位から大きく隔てたところに位置し、フェルミ準位上に状態密度がほとんどない少数キャリア系であることがわかった。またU N4,5吸収端における吸収(XAS)スペクトルとXMCDスペクトルの形状はウランモノカルコゲナイドと非常に似ている。XASスペクトルのカルコゲン依存性の傾向もウランモノカルコゲナイド化合物の傾向と類似しており、SeからTeに変わるとU5f電子数がわずかに増加していることを表している。
前川 藤夫; 及川 健一; 原田 正英; 大井 元貴; 酒井 健二; 明午 伸一郎; 甲斐 哲也; 春日井 好己; 勅使河原 誠; 長谷川 勝一; et al.
no journal, ,
J-PARCの1MWパルス核破砕中性子源JSNSの1つの中性子実験装置として、「中性子源特性試験装置(NOBORU)」を建設した。特性試験として、中性子パルスビームについて、パルスの時間構造,エネルギースペクトル,ビーム断面内の強度分布等の中性子性能を測定し、(1)水素減速材温度等の施設運転パラメータと中性子性能との相関把握,(2)実験と計算の中性子性能比較による設計計算の妥当性検証,(3)線源の健全性を確認と燃焼する中性子吸収材の寿命診断、等を行うことにより、ユーザーに対するより高性能で安定した中性子ビームの提供に資する。NOBORUは、さまざまな機器を持ち込める汎用実験室空間,JSNS最大の中性子ビームサイズ,大型試料設置にも耐えられる重厚な遮蔽などの特徴を有しており、テストポートとしての利用が可能である。現在幾つかの実験グループと、革新的アイデアによる中性子散乱実験装置のテスト実験,中性子照射実験,ラジオグラフィー実験等の実施を検討中である。J-PARCは広くユーザーに開かれた実験施設であり、原子力学会員によるNOBORUの積極的な利用を期待している。
原田 正英; 明午 伸一郎; 及川 健一; 大井 元貴; 酒井 健二; 前川 藤夫; 二川 正敏; 池田 裕二郎
no journal, ,
J-PARCの1MW核破砕中性子源JSNSの初中性子パルスを電流モードTOF法で測定することに成功した。He検出器によるTOF測定も行った。これらのエネルギースペクトル実験値を計算値と比較し、所定の中性子性能であることを確認した。
竹田 幸治; 岡根 哲夫; 大河内 拓雄; 小林 正起*; 藤森 伸一; 斎藤 祐児; 山上 浩志; 藤森 淳; 池田 修悟*; 酒井 宏典; et al.
no journal, ,
ウランミックスドカルコゲナイドUXcYc(Xc, Yc=S, Se, Te)は少数キャリア系でありながら強磁性を示す珍しい物質群である。今回、われわれはUS2(常磁性), USeS(強磁性TC=24K), UTeS(強磁性TC=87K)について、軟X線光電子分光(SXPES),軟X線磁気円二色性(XMCD)を用いて、これらの電子状態を調べた。SXPESの結果からはウラン5f電子状態がフェルミ準位に近いほうが強磁性状態が安定化する傾向がわかった。XMCDの結果からはウラン化合物に共通して見られるスペクトル形状が見られたこと、非磁性のリガンドサイトにもXMCDシグナルが観測され、強磁性発現機構解明への重要な知見が得られた。