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藤村 由希; 石川 法人; 近藤 啓悦
JAEA-Technology 2024-012, 26 Pages, 2024/10
高い高温強度・耐腐食性を有するセラミックス材料は化学的に安定であり、その中でも特に酸化アルミニウム(AlO)は、耐照射性にも優れた材料であることが分かっている。一方で、耐照射性が高いということは照射損傷の度合いが小さいということを意味しており、ごくわずかな照射影響について検知し、適切に評価するのは非常に困難である。本研究ではこの「微小な照射損傷」を捉えるため、金属などを主体とする他の構造材料における照射影響解析の場面で利用されている電子後方散乱回折(EBSD)パターンを用いた格子ひずみ(弾性ひずみ)の解析をセラミックス材料に適用した。照射損傷の影響を抽出するために、酸化アルミニウム(AlO)を原料とした単結晶サファイアを対象にし、いくつかの異なる照射量でイオン照射試験を行い、EBSD測定と格子ひずみ解析を実施したところ、これまでに分かっていた照射面と垂直方向の照射影響(格子膨張)に加えて、新たに水平方向の照射影響(格子収縮)を捉えることに成功した。さらに、照射量が増加するとともに照射損傷の程度も大きくなる傾向が見られた。以上のことから、EBSDは照射損傷によるセラミックス中の格子ひずみの照射量依存性を検知・評価できる有力な手法であることを明らかにした。
石川 法人; 福田 将眞; 中嶋 徹; 小河 浩晃; 藤村 由希; 田口 富嗣*
Materials, 17(3), p.547_1 - 547_21, 2024/02
被引用回数:1 パーセンタイル:71.29(Chemistry, Physical)340-MeV Auイオンビームを照射した天然ジルコニアにおいて形成されたイオントラックとナノヒロックを透過型電子顕微鏡で微細観察した。ナノヒロックの寸法が10nm程度であり、局所溶融した領域の寸法と同程度であることが分かった。したがって、一旦溶融した結果としてイオントラックとナノヒロックが形成されたことが分かる。次に、イオントラックを観察すると長方形の断面形状をしており、かつ結晶構造が大きく溶融前と変化していないことが分かった。したがって、他のセラミックスと異なり、ジルコニアにおいては、局所溶融後に、結晶構造を反映した異方的な再結晶化が起きていることが強く示唆される。一方で、イオントラックの中心部には、飛跡に沿った低密度のコア領域が形成されており、イオンビームが入射した表面への物質移動により物質欠損が形成されていることも判明した。物質欠損を伴う条件では再結晶化が不十分となり、飛跡のごく近くでは低密度コア領域が形成されていると説明できる。
成川 隆文; 近藤 啓悦; 藤村 由希; 垣内 一雄; 宇田川 豊; 根本 義之
Journal of Nuclear Materials, 587, p.154736_1 - 154736_8, 2023/12
被引用回数:1 パーセンタイル:41.04(Materials Science, Multidisciplinary)To evaluate the oxidation and embrittlement behavior of an oxide-dispersion-strengthened FeCrAl (FeCrAl-ODS) cladding tube under loss-of-coolant accident (LOCA) conditions, we conducted isothermal oxidation and ring-compression tests on unirradiated, stress-relieved FeCrAl-ODS cladding tube specimens. Further, we discussed the loss of coolable geometry of the reactor core loaded with the FeCrAl-ODS cladding tubes under LOCA conditions, using data from the ring-compression tests in this study and the integral thermal shock tests from our previous study. The results reveal that oxidation kinetics of the FeCrAl-ODS cladding tube at 1523 K is four orders of magnitude lower than that of a conventional Zircaloy cladding tube, which highlights the exceptional oxidation resistance of the FeCrAl-ODS cladding tube. The breakaway oxidation of the FeCrAl-ODS cladding tube was observed at 1623 K for durations equal to or exceeding 6 h, and melting was observed at 1723 K. The ring-compression and the integral thermal shock tests indicate that, depending on the oxidation time, the ductile to brittle transition threshold - as determined by the ring-compression test - exists between 1623 K and 1723 K. Meanwhile, the fracture threshold - established through the integral thermal shock test - falls between 1573 K and 1673 K. Therefore, taking a conservative approach based on available data, the fracture and non-fracture results from the integral thermal shock tests can define the lower and upper boundaries of the threshold for the loss of coolable geometry of the reactor core during a LOCA.
坂口 佳史*; 高田 慎一; 川北 至信; 藤村 由希; 近藤 啓悦
Journal of Physics; Condensed Matter, 35(41), p.415403_1 - 415403_11, 2023/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Condensed Matter)It is well-known that eutectic gold-silicon (Au-Si) alloys exhibit anomalous melting point depression, which is more than 1000 C from the melting point of elemental Si (1414 C). The melting point depression in eutectic alloys is generally explained in terms of a decrease of the free energy by mixing. However, it is difficult to understand the anomalous melting point depression only from the stability of the homogeneous mixing. Some researchers suggest that there are concentration fluctuations in the liquids, where the atoms are inhomogeneously mixed. In this paper, we measure the small-angle neutron scattering (SANS) of AuSi (eutectic composition) and AuSi (off-eutectic composition) at temperatures from room temperature to 900 C in both solid and liquid states to observe such concentration fluctuations directly.
成川 隆文; 近藤 啓悦; 藤村 由希; 垣内 一雄; 宇田川 豊; 根本 義之
Journal of Nuclear Materials, 582, p.154467_1 - 154467_12, 2023/08
被引用回数:3 パーセンタイル:80.03(Materials Science, Multidisciplinary)To evaluate the behavior of an oxide-dispersion-strengthened FeCrAl (FeCrAl-ODS) cladding tube under loss-of-coolant accident (LOCA) conditions of light-water reactors (LWRs), the following two laboratory-scale LOCA-simulated tests were performed: the burst and integral thermal shock tests. Four burst and three integral thermal shock tests were performed on unirradiated, stress-relieved FeCrAl-ODS cladding tube specimens, simulating ballooning and rupture, oxidation, and quenching, which were postulated during a LOCA. The burst temperature of the FeCrAl-ODS cladding tube was 200-300 K higher than that of the Zircaloy cladding tube, and the FeCrAl-ODS cladding tube's maximum circumferential strain was smaller than or equal to the Zircaloy-4 cladding tube. These results indicate that the FeCrAl-ODS cladding tube has higher strength at high temperatures than the conventional Zircaloy cladding tube. The FeCrAl-ODS cladding tube did not fracture after being subjected to an axial restraint load of 5000 N, which is more than 10 times higher than the axial restraint load estimated for existing LWRs, during quenching, following isothermal oxidation at 1473 K for 1 h. The FeCrAl-ODS cladding tube was hardly oxidized during this isothermal oxidation condition. However, it melted after a short oxidation at 1673 K and fractured after abnormal oxidation at 1573 K for 1 h. Based on these results, the FeCrAl-ODS cladding tube should not fracture in the time range expected during LOCAs below 1473 K, where no melting or abnormal oxidation occurs.
根本 義之; 石島 暖大; 近藤 啓悦; 藤村 由希; 加治 芳行
Journal of Nuclear Materials, 575, p.154209_1 - 154209_19, 2023/03
被引用回数:3 パーセンタイル:52.93(Materials Science, Multidisciplinary)著者らはこれまでジルコニウム合金製の燃料被覆管について、空気と水蒸気の混合雰囲気中での酸化試験を実施し、乾燥空気中よりも空気と水蒸気の混合雰囲気中において酸化が速くなる場合のあることを報告してきた。このような酸化は使用済み燃料プール(SFP)の重大事故時や、原子炉圧力容器への空気侵入事故時に起こることが懸念されるため、詳細な検討が必要である。そのためジルカロイ4製の被覆管の酸化試験を、空気と水蒸気の混合比を変化させた環境中で800Cの温度条件で実施し、酸化試験データに基づいて酸化速度定数の評価、酸化試験後の試料について、酸化層の詳細評価,水素吸収量の評価等を行った。その結果、酸化の極初期におけるジルコニウム窒化物(ZrN)の生成や、試料表面の全面に拡がる多孔質な酸化層の成長などが、空気と水蒸気の混合雰囲気中での酸化挙動に影響していることが確認された。以上に基づき、乾燥空気中と、空気と水蒸気の混合雰囲気中での酸化メカニズムの違いについて議論を行った結果を報告する。
平出 哲也; 古田 光*; 鳥養 佑二*; 藤村 由希; 満汐 孝治*
JJAP Conference Proceedings (Internet), 9, p.011106_1 - 011106_7, 2023/00
低エネルギー重水素プラズマに暴露した多結晶タングステン(ITERグレード)試料を、Naを陽電子源として用い、陽電子消滅寿命測定を実施した。重水素プラズマのエネルギーは低いため、その効果は表面付近のみに現れると予測された。しかしながら、プラズマに暴露した試料の陽電子消滅平均寿命は暴露処理していない試料よりも長くなった。さらに、試料が2mm程度の厚みであるにもかかわらず、プラズマを暴露した面ではない反対側の面の測定を実施しても、表面とほぼ同じ結果が得られた。タングステン中に水素や重水素が存在することで欠陥が導入されるという報告は今までにないが、この結果は試料内部において重水素の影響で欠陥が導入された可能性を示している。
石川 法人; 藤村 由希; 近藤 啓悦; Szabo, G. L.*; Wilhelm, R. A.*; 小河 浩晃; 田口 富嗣*
Nanotechnology, 33(23), p.235303_1 - 235303_10, 2022/06
被引用回数:6 パーセンタイル:59.05(Nanoscience & Nanotechnology)高速重イオンを微小入射角で照射したNb添加SrTiOの表面ナノ構造を調べた成果についてまとめた。セラミックスに対して高速重イオンを微小入射角で照射すると、ヒロックチェーン(イオンの飛跡に沿って、複数個並んで形成されるナノヒロック)が表面付近に形成されることが知られている。我々は、ヒロックチェーンの形態・性状をAFM(原子間力顕微鏡)とSEM(走査型電子顕微鏡)を利用して、詳細に調べた。その際に、全く同じヒロックチェーンを、AFMとSEMのそれぞれで観察することに成功した。AFMの観察データは、先行研究の示す通りに、ヒロックチェーンが形成されていることを示している一方で、SEMの観察データは(同じヒロックチェーンを観察しているにもかかわらず)ヒロックチェーンをつなぐ黒い線状コントラストも現れることが判明した。これらの新しい損傷データをもとに、ヒロックチェーンの形成メカニズムについて推論した。さらにTEM(透過型電子顕微鏡)観察し、微小入射角で照射した際に形成される特殊なイオントラック損傷の形成プロセスを明らかにした。
大久保 成彰; 藤村 由希; 友部 政勝*
Quantum Beam Science (Internet), 5(3), p.27_1 - 27_9, 2021/09
加速器駆動システム(ADS)において、核破砕ターゲットの隔壁であるビーム窓の材料は、過酷な条件下で重照射に晒される。ビーム窓材では、鉛ビスマス流れ環境下で高エネルギー中性子、あるいは陽子線照射により、弾き出し損傷と腐食とが同時に起こる。ADSで用いられる材料には、液体鉛ビスマス合金(LBE)内での液体金属脆化(LME)や液体金属腐食(LMC)に耐えるための共存性が必要である。本研究では、自己イオン照射した316Lに対して、照射後LBE中腐食試験によりLMC挙動を調べた。316L試料に対して、10.5MeVまで加速した鉄イオンを、450Cにて最大50dpaまで照射を行った。低酸素濃度のLBE中、450Cで腐食試験を行った結果、未照射部では、酸化皮膜は観察されずに局所腐食が見られた一方で、照射部は鉄/クロム系の酸化皮膜で覆われていた。また、高い酸素濃度のLBEの場合、未照射部は、鉄/クロム系酸化物の1層であった一方で、照射部は鉄酸化物と鉄/クロム系酸化物の2層酸化皮膜で覆われていた。316Lにおいて、自己イオン照射による残存空孔等の照射損傷が試料表面での鉄と酸素の拡散が促進されたことにより、酸化層の形成が促進したと考えられる。
社本 真一; Lee, M. K.*; 藤村 由希; 近藤 啓悦; 伊藤 孝; 池内 和彦*; 保田 諭; Chang, L.-J.*
Materials Research Express (Internet), 8(7), p.076303_1 - 076303_6, 2021/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)Pb, Ga、およびGaをドープした鉛フリーのSn-Ag-Cuはんだを使用して、銀被覆DI-BISCCOタイプHテープを使用した低接合抵抗率に対するガリウム効果を研究した。その結果について報告する。
石川 貴嗣*; 藤村 寿子*; 深澤 宏司*; 橋本 亮*; He, Q.*; 本多 佑記*; 保坂 淳; 岩田 高広*; 甲斐田 俊*; 笠木 治郎太*; et al.
Physical Review C, 101(5), p.052201_1 - 052201_6, 2020/05
被引用回数:4 パーセンタイル:40.64(Physics, Nuclear)Photoproduction of the omega meson on the proton has been experimentally studied near the threshold. The total cross sections are determined at incident energies ranging from 1.09 to 1.15 GeV. The 1/2 and 3/2 spin-averaged scattering length and effective range between the CO meson and proton are estimated from the shape of the total cross section as a function of the incident photon energy: = (-0.97 + (0.07 ) fm and = (+2.78 ) + (-0.01 ) fm, resulting in a repulsive force. The real and imaginary parts for and are determined separately for the first time. A small -wave contribution does not affect the obtained values.
喜多村 茜; 石川 法人; 近藤 啓悦; 藤村 由希; 山本 春也*; 八巻 徹也*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 44(3), p.85 - 88, 2019/06
高速重イオンがセラミックスに真上から入射すると、イオン一つに対してヒロック(ナノメートルサイズの隆起物)が一つ表面に形成される。一方で近年、SHIがチタン酸ストロンチウム(SrTiO)や酸化チタン(TiO)の表面をかするように入射した場合、表面にはイオンの飛跡に沿って連続的に複数個のヒロックが形成されると報告された。これらは原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察されており、観察結果にはAFMのプローブ寸法由来の測定誤差を含んでいる。そこで本研究では、ヒロックのサイズより十分小さい分解能(1.5nm)を有し、非接触で観察可能な電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて連続ヒロックを観察し、形状の違いを検討した。SrTiOはNbを添加することで電気伝導性が発現する。SrTiO(100)とNbを0.05wt%添加した単結晶SrTiO(100)に対し、350MeVのAuビームを、単結晶表面に対するイオンの入射角が2度以下となるよう照射した。照射後のFE-SEM観察によって、SrTiO(100)表面には長さ数百nmにわたって直径20nmのヒロックが連続的に形成されていた一方で、Nbを添加したSrTiO(100)表面では、ほぼ同じ長さで凹状に溝が形成されていることがわかった。これらの形状の違いは電気伝導性とそれによる熱伝導性の違いが起因し、イオントラックの温度が融点付近になるSrTiO(100)ではヒロックが、昇華温度にまで上昇するNb添加SrTiO(100)では溝ができると考えられる。
竹田 敏一*; 宇佐美 晋; 藤村 幸治*; 高桑 正行*
Proceedings of 21st International Conference & Exhibition; Nuclear Fuel Cycle for a Low-Carbon Future (GLOBAL 2015) (USB Flash Drive), p.560 - 566, 2015/09
本研究は、環境負荷低減のための研究開発国家プロジェクトの一環として2013年に開始されたものである。Na冷却型高速炉における効率的かつ安全なMA核変換技術の確立を目指しており、核変換効率と安全性を両立させる炉心概念の構築を、関連核特性の予測精度改善と合わせて実施している。具体的には、安全性や核変換効率の予測精度を改善するために、MA核変換における核種ごとの寄与を抽出評価する手法を考案し、核変換特性の予測精度を詳細分析してきている。また、予測精度の改善には核変換特性関連の実験データに対する解析精度を解析システムに反映することが効果的であり、そのために「常陽」、PFR等で取得された種々の実験データを収集整理し、整合性を確認することによって信頼性の高いMA実験データベースの構築を進めている。本発表では、当該プロジェクトの概要とともに、高速炉によるMA核変換に係る手法の開発と数値解析結果等について説明する。
久語 輝彦; 石川 眞; 長家 康展; 横山 賢治; 深谷 裕司; 丸山 博見*; 石井 佳彦*; 藤村 幸治*; 近藤 貴夫*; 湊 博一*; et al.
JAEA-Research 2013-046, 53 Pages, 2014/03
本報告書は、2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故の収束に貢献することを目的として、日本原子力研究開発機構と日立GEニュークリア・エナジーが、2011-2012年度の2年間にわたって共同で実施した研究の成果をまとめたものである。本研究ではまず、現状の福島第一原子力発電所において再臨界に到るシナリオを検討した。引き続いて、そのシナリオに応じた投入反応度及び反応度フィードバックメカニズムをモデル化して、シビアアクシデント後の原子力発電所における再臨界事象を評価できる手法を開発し、汎用炉心解析システムMARBLE上で稼働する臨界事故シミュレーションツールPORCASとして整備した。さらに、このPORCASを用いて、福島第一原子力発電所における代表的な再臨界シナリオの挙動解析を行い、この結果を用いて被ばく線量を評価することにより、公衆への影響の程度を概算した。
長尾 敬介*; 岡崎 隆司*; 中村 智樹*; 三浦 弥生*; 大澤 崇人; 馬上 謙一*; 松田 伸太郎*; 海老原 充*; Ireland, T.*; 北島 富美雄*; et al.
Science, 333(6046), p.1128 - 1131, 2011/08
被引用回数:131 パーセンタイル:94.74(Multidisciplinary Sciences)はやぶさが回収した小惑星イトカワの岩石粒子中の希ガス同位体組成を測定した結果、月試料に匹敵する高い濃度の太陽風起源He, Ne, Arを確認した。これらの希ガス組成は繰り返されたインプランテーションと、イトカワ上のレゴリス粒子同士の摩擦によってHeに富んだリムの除去による選択的Heの損失によって説明可能である。イトカワ上のレゴリスの照射時間はわずか1000万年未満であり、小さな小惑星上の物質が容易に宇宙空間に散逸してしまうことを反映している。
Zhang, W.; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*; 大貫 晃; 秋本 肇; 堀田 亮年*; 藤村 研*
Journal of Power and Energy Systems (Internet), 2(2), p.456 - 466, 2008/00
In relation to the design of an innovative FLexible-fuel-cycle Water Reactor (FLWR), investigation of thermal-hydraulic performance in tight-lattice rod bundles of the FLWR is being carried out at Japan Atomic Energy Agency (JAEA). The FLWR core adopts a tight triangular lattice arrangement with about 1 mm gap clearance between adjacent fuel rods. In view of importance of accurate prediction of cross flow between subchannels in the evaluation of the boiling transition (BT) in the FLWR core, this study presents a statistical evaluation of numerical simulation results obtained by a detailed two-phase flow simulation code, TPFIT, which employs an advanced interface tracking method. In order to clarify mechanisms of cross flow in such tight lattice rod bundles, the TPFIT is applied to simulate water-steam two-phase flow in two modeled subchannels. Attention is focused on instantaneous fluctuation characteristics of cross flow. With the calculation of correlation coefficients between differential pressure and gas/liquid mixing coefficients, time scales of cross flow are evaluated, and effects of mixing section length, flow pattern and gap spacing on correlation coefficients are investigated. Differences in mechanism between gas and liquid cross flows are pointed out.
Zhang, W.; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*; 大貫 晃; 秋本 肇; 堀田 亮年*; 藤村 研*
第12回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.85 - 88, 2007/06
二相流詳細解析コードTPFITによるサブチャンネル間流体混合の解析結果について、サブチャンネル間の差圧,気相混合係数と液相混合係数についての相関関数を用いた統計解析を行い、サブチャンネル間流体混合現象を支配する時間スケールを評価した。また、相関関数に与える、サンプリングデータ数と時間間隔,二相流の流動様式,燃料棒ギャップ幅及び混合部の入口と出口などの影響を検討した。さらに、流体混合の局所的特性と流れに伴う全体的変動特性を評価した。主な結果は以下の通り。(1)差圧と気相,液相の混合係数の間には強い相関があり、差圧による混合がサブチャンネル間の混合の主なメカニズムである。(2)サブチャンネル間に生じた圧力差により液相が先に移動し、この移動による流量の増加を補うため気相が移動することがわかった。したがって、気相の移動には、ある程度の時間と流れ方向の距離が必要であり、また、一度の混合で移動する気相と液相の体積は、必ずしも一致しない。(3)液相の混合は、局所的かつ瞬時的に発生するが、気相の混合には時間遅れがあり、これが流れの軸方向速度により下流に伝播することで、空間遅れが生じている。この研究に基づき、流体混合のモデル化には、時間遅れあるいは空間遅れを考慮に入れる必要があると予想される。また、流体混合に与える、燃料棒ギャップ幅,混合部長さなどのパラメータの影響を評価するために、さらなる数値シミュレーションが必要である。
Zhang, W.; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*; 大貫 晃; 秋本 肇; 堀田 亮年*; 藤村 研*
Proceedings of 15th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-15) (CD-ROM), 8 Pages, 2007/04
原子力機構において開発された二相流詳細解析コードTPFITによるサブチャンネル間流体混合の解析結果について、二相流の変動特性に着目し、サブチャンネル間の差圧,気相混合係数と液相混合係数についての相関関数を用いた統計解析を行い、サブチャンネル間流体混合現象を支配する時間スケールを評価した。また、相関関数に与える、サンプリングデータ数と時間間隔,二相流の流動様式,燃料棒ギャップ幅及び混合部の入口と出口などの影響を検討した。さらに、流体混合の局所的特性と流れに伴う全体的変動特性を評価した。
木内 清; 井岡 郁夫; 田邉 誠*; 南条 吉保*; 小河 浩晃; 石島 暖大; 塚谷 一郎; 落合 孝正; 木崎 實; 加藤 佳明; et al.
JAEA-Research 2006-023, 173 Pages, 2006/03
本報告は、将来の核燃料サイクル技術として、BWRでのMOX燃料の有効利用,経済性向上と廃棄物の低減を同時に達成するための100GWd/t級の超高燃焼度BWR用の高性能燃料被覆管材質の研究フェーズ2として、平成1317年度の5年間に実施した共同研究の成果である。本研究のフェーズ2では、フェーズ1で選定した超高純度UHPとSAR加工熱処理の仕様を持つ25Cr-35Ni-0.2Ti系改良ステンレス鋼製の被覆管と、Nb-Mo系合金製の耐PCIライナを用いた燃料要素の実用製造技術として、被覆管の製管工程,ライナの動的拡散接合技術及び端栓のレーザ溶接法等を開発した。それらの実環境適用性の基礎評価では、加速器TIARAや研究炉JRR-3を利用した照射試験等を行い、現行BWR炉心用の低炭素ステンレス鋼の重要課題である応力腐食割れに対する抵抗性を含む耐照射性を確認するとともに、長期耐久性にかかわるクリープや疲労の特性データを取得した。併せて、候補材の100GWd/t級の燃料被覆管としての成立性に関して、燃料安全性の観点からBWR燃料ふるまいコードを用いた数値解析を行い、燃料設計や基礎工学試験に必要な基盤データベースを整備した。
河合 信之輔*; 藤村 陽*; 梶本 興亜*; 高柳 敏幸
Journal of Chemical Physics, 120(14), p.6430 - 6438, 2004/04
被引用回数:8 パーセンタイル:24.85(Chemistry, Physical)O(D)+NO反応で生成するNO(v=0,1,2)の回転状態の分布を測定した。回転温度はおよそ20000Kであり、分布は位相空間理論で予想されるものに近いことがわかった。この結果は、反応中間体の寿命がそれほど長くはないが、分布はほぼ統計的であることを意味する。しかしながら、回転量子数の大きな場合には、分布は位相空間理論で予想されるよりも早く減衰した。このことを理解するため、分子軌道計算に基づいたポテンシャル曲面を用いて古典軌道計算を行った。その結果、実験で得られた高い回転量子数の分布が反応出口領域のポテンシャルの影響を強く受けることがわかった。