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藤田 達也
Journal of Nuclear Science and Technology, 9 Pages, 2025/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)本研究では、PWR-UO及びMOX燃料格子計算において、多群核反応断面積(XS)摂動に起因する間接効果が中性子無限増倍率の不確かさに与える影響を評価した。まず、XS共分散行列と感度係数を用いたサンドウィッチ式に基づき、間接関数の影響を簡易的に評価した。その結果、重核種の核分裂反応と(n,
)反応において間接効果の影響が顕著であり、またUO
及びMOX燃料集合体の燃焼度に対する依存性は小さいことを確認した。これを踏まえて重核種に着目し、中性子輸送計算や核反応断面積の共分散行列のエネルギー群数に対する間接効果の影響を比較した。
Puと
Puについては、MOX燃料棒体系において間接効果の影響が顕著に見られた。一方で、中性子輸送計算や核反応断面積の共分散行列のエネルギー群数を増加させることにより、これらの間接効果の影響を低減可能であることが分かった。以上から、中性子輸送計算や核反応断面積の共分散行列のエネルギー群数を適切に設定することにより、ランダムサンプリングにおける間接効果の取扱を明示的に考慮しないことが現実的に可能となった。
藤田 達也; 山本 章夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(2), p.179 - 196, 2025/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)本研究では、核反応断面積の摂動に伴う間接効果を考慮したランダムサンプリングに基づく不確かさ定量化を容易に実施可能とするため、核データ処理コードFRENDYバージョン2と3次元非均質中性子輸送計算コードGENESISからなる直接結合コードシステム(FRENDY-V2/GENESIS)を新たに構築した。GENESIS用に準備された多群断面積はFRENDYバージョン2により生成された。Dancoff係数はneutron current methodにより計算した。次に、Carlvik二項有理近似に基づいて背景断面積を計算した。FRENDY-V2/GENESISの計算精度を検証するため、無限中性子増倍率(k-infinity)とUO及びMOX燃料格子体系における核分裂反応率分布をMVP3と比較した。また、キャラクタリスティックス法のレイトレーシング等の離散化条件に関する感度解析も併せて実施した。FRENDY-V2/GENESISとMVP3の比較を通して、SHEM361群構造に基づくFRENDY-V2/GENESISは、k-infinityを約50pcm以内、核分裂反応率分布を平均二乗偏差で約0.1%以内で計算可能であった。以上の結果から、FRENDY-V2/GENESISの適用性が検証された。今後は、FRENDY-V2/GENESISは多群断面積の摂動に伴う間接効果に係る議論に活用される。
若狭 幸*; 石山 達也*; 廣内 大助*; 松多 信尚*; 藤田 奈津子; 越後 智雄*
Geomorphology, 468, p.109497_1 - 109497_8, 2025/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Geography, Physical)東北日本の北部太平洋沿岸における海岸隆起の長期的な速度を推定するために、露出した岩盤表面の陸域原位置宇宙放射性核種年代測定に基づいて、海成段丘と河成段丘の表面露出年代を決定した。海成段丘と河成段丘の再解釈に基づき、三陸沿岸北部と南部から試料を採取した。測定されたBe/
Be比から計算された石英中の
Be濃度から得られた地表露出年代は、海成段丘と河成段丘の中期から後期更新世の年代と、中間のタイムスケールにおける緩やかな海岸隆起速度を共通して示唆している。この結果は、沈み込む太平洋プレートの上にある東北日本弧北部における地殻の異なる歪適合様式を示している。
藤田 達也
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(5), p.470 - 479, 2025/01
本研究では、ランダムサンプリングに基づく核反応断面積(XS)共分散データに起因する不確かさ定量化手法を高度化するため、制御変量法(CV)とラテン超方格サンプリング(LHS)の併用効果について統計的なばらつきを考慮しつつ確認するとともに、CV適用時に必要な代替パラメータの選択による影響について感度解析を行った。PWRを想定したUO燃料集合体体系において、ランダムサンプリング中の中性子無限増倍率の不確かさに対する収束性能を、対称変量法(AS)、LHS、CV及びそれらを組み合わせた手法などの効率的サンプリング手法間で比較した。中性子無限増倍率の不確かさは、ENDF/B-VIII.0に基づくACE形式の摂動XSファイルを用いてSerpent2を多数回計算した結果を統計処理することにより評価した。CV+LHSは、AS、LHS、CV+ASよりも効率的に中性子無限増倍率の不確かさを評価した。また、CV適用時に必要な代替パラメータの選択に関する感度解析を行った。3
3燃料格子体系における計算を用いることで、CV+LHSの計算効率を改善することが可能であることを確認した。この理由は、3
3燃料格子体系における計算がGd同位体のXS共分散データの影響を捉えることができるためと定性的に考察される。結論として、ランダムサンプリング時の中性子無限増倍率の不確かさを評価するための収束性能の改善に対して、CV+LHSの適用性を確認した。
須山 賢也; 郡司 智; 渡邉 友章; 荒木 祥平; 福田 航大; 島田 和弥; 藤田 達也; 植木 太郎; Nguyen, H.
JAEA-Conf 2024-001, 40 Pages, 2024/07
第12回臨界安全性国際会議(ICNC2023)は2023年10月1日から10月6日に仙台国際センター(〒980-0856宮城県仙台市青葉区青葉山)において、日本原子力研究開発機構(原子力機構)の主催、日本原子力学会炉物理部会と経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)の共催によって開催された。最終的に査読を通過した224件の発表と273名のテクニカルセッション参加登録があり、同伴者を含めた総登録数は289名であった。テクニカルツアーもi)東京電力福島第一原子力発電所及び中間貯蔵工事情報センター、ii)原子力機構原子力科学研究所(STACY更新炉及びFCA)、iii)東北大学ナノテラス(放射光施設)及び東北電力女川原子力発電所の3コースで実施された。会議の概要とともに、発表された論文で予稿集掲載に合意されたものを本報告書に取り纏めた。
藤田 善貴; Hu, X.*; Yang, Y.*; 北川 大凱*; 藤原 靖幸*; 吉永 尚生*; 堀 順一*; Do, T. M. D.*; 鈴木 達也*; 末松 久幸*; et al.
KURNS Progress Report 2023, P. 122, 2024/07
核セキュリティ等の観点から放射化法((n,)法)による
Mo製造の研究開発が進められている。この方法を
Mo/
Tcジェネレータに適用するためには、Mo吸着材として用いられるアルミナ(Al
O
)の特性改善が不可欠である。本報告では、高いMo吸着特性を有すると報告されている2つの文献を基に3種類のアルミナを合成し、ジェネレータへの適用性を評価した。京都大学研究用原子炉(KUR)で照射したMoO
を溶解した溶液(Mo濃度10g/L、pH4)に、アルミナを添加し3時間静置した。静置後のアルミナをカラムに移し、24時間ごとに2日間ミルキングを実施した。その結果、全てのアルミナで現行のジェネレータに使用されているアルミナを大きく上回る90mg-Mo/g以上のMo吸着量を得た。一方で、表面に均一な細孔が観察されたアルミナではミルキングにおけるMo脱離量も多かった。したがって、本試験条件においては、アルミナの表面状態はMo吸着特性よりもMo保持能力に大きな影響を与える可能性が示唆された。今後、より実用的な条件下でのジェネレータへの適用性を評価する。
藤田 達也
炉物理の研究(インターネット), (77), 4 Pages, 2024/06
本報告は2024年4月に開催された炉物理に関する国際会議(PHYSOR2024)に関する報告である。炉物理部会報「炉物理の研究」では、大学教員・学生、メーカー技術者、研究機関職員のそれぞれの立場で参加報告を記載する。本報告は、そのうちの研究機関職員の立場から国際会議における発表内容等を記載するものである。
Hu, X.*; 藤田 善貴; 土谷 邦彦; 福谷 哲*; 堀 順一*; 鈴木 達也*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 333(11), p.6057 - 6063, 2024/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Analytical)難溶性である多孔質MoOターゲットを使用した新しい
Mo/
Tcジェネレータの製造方法を開発している。本方法では、水への溶解度の違いを利用してMoO
から
Tcを抽出する。まず、作製した多孔質MoO
ペレットをKUR(京都大学研究用原子炉)を用いて中性子照射した。照射した多孔質MoO
を水へ浸漬させ、
Tcの抽出率を調べた。この結果、MoO
から比較的低い
Mo/
Tc比で
Tcが抽出され、MoO
の水への溶解度は極めて低かった。さらに、
Moの溶解度はその他のモリブデンの安定同位体よりも高く、(n,
)反応により生成された
Moの溶解におけるホットアトム効果を明らかにした。本方法は、MoO
ターゲットの再利用も可能で、製造プロセスの持続可能性を有するものであり、(n,
)反応で生成された
Moを利用した水抽出による
Mo/
Tcジェネレータの実現が期待できる。
藤田 達也
Proceedings of Best Estimate Plus Uncertainty International Conference (BEPU 2024) (Internet), 14 Pages, 2024/05
OECD/NEA/NSC LWR-UAMベンチマークフェーズIIにおけるPWR燃料集合体体系の燃焼計算問題の不確かさ解析について、JENDL-5に基づき予備検討を実施した。集合体無限増倍率及び核種インベントリの不確かさを定量化するため、ランダムサンプリング法を用いて核反応断面積(XS)、核分裂生成物収率(FPY)、崩壊定数及び崩壊分岐比をランダムに摂動させ、SERPENT 2.2.1の計算を複数回実施した。ACEファイル中のXSについては、NJOY2016.72で生成した56群共分散行列を用いて、FRENDY 2.02のACEファイル摂動ツールにより摂動させた。独立FPYの摂動量は、JENDL-5で整備されているFPY共分散行列を用いて評価し、摂動後の累積FPYは独立FPYと累積FPYの関係から再構築した。崩壊定数は核種ごとに独立に摂動させた。崩壊枝比の摂動については、事前に一般化最小二乗法を適用して共分散行列を生成し、これに基づいて独立FPYと同じ手順でランダムに摂動した。概して、崩壊データによる影響はXSやFPYの不確かさによる影響よりも一桁小さかった。集合体無限増倍率と超ウラン核種のインベントリの不確かさについては、XSの不確かさによる影響が支配的であり、FPYと崩壊データの不確かさによる影響は1桁から数桁小さかった。一方、核分裂生成物(FP)核種のインベントリの不確かさについては、FPYの不確かさによる影響はXSの不確かさによる影響とほぼ同じか、それよりも大きかった。また、XSとFPYのいずれの不確かさによる影響が支配的かどうかはFP核種によって異なることが確認された。FP核種のXSの不確かさによる影響については、JENDL-5では整備されていないことから本論文では考慮されていないため、今後の研究で議論される予定である。
藤田 達也
Proceedings of International Conference on Physics of Reactors (PHYSOR 2024) (Internet), p.718 - 727, 2024/04
ランダムサンプリング法に基づく不確かさ評価における中性子無限増倍率の不確かさの収束過程を、複数の効率化サンプリング手法間で比較した。中性子無限増倍率の不確かさは、JENDL-5の断面積共分散データに基づく摂動ACEファイルを用いたSERPENT 2.2.1計算を多数回実施し、これを統計処理することにより評価した。本論文では、対称サンプリング(AS)、ラテン超方格サンプリング(LHS)、制御変量法(CV)及びこれらの併用手法に着目した。既往研究で議論されたように、PWR-UO燃料集合体体系においてAS及びLHSはこれらを用いない通常のサンプリングよりも高効率の収束を示した。CVについては、単独での適用時は中性子無限増倍率の不確かさの収束過程に大きくは影響しなかったが、既往研究で示されるとおり、ASと併用することで収束性能が改善した。また本論文では、LHSとCVによる新たな併用手法(CV+LHS)を提案した。CV+LHSは、中性子無限増倍率の不確かさの収束傾向を改善し、これはCV+ASよりも高効率であった。当該改善傾向の主な理由は、LHSを適用することにより、CVにおける代替パラメータの平均値の収束性が向上したためであると考えられる。以上から、本研究ではCV+LHSを新しい併用手法として提案し、PWR-UO
燃料集合体体系におけるランダムサンプリング法に基づく不確かさ評価においてその効率性を確認した。CV+LHSの核種燃焼計算への適用性については、今後の研究で確認する予定である。
Quach, N. M.*; Ngo, M. C.*; Yang, Y.*; Nguyen, T. B.*; Nguyen, V. T.*; 藤田 善貴; Do, T. M. D.*; 中山 忠親*; 鈴木 達也*; 末松 久幸*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 332(10), p.4057 - 4064, 2023/10
被引用回数:4 パーセンタイル:71.02(Chemistry, Analytical)テクネチウム-99m(Tc)は世界で最も広く使用されている医療用ラジオアイソトープであり、モリブデン-99(
Mo)から生成される。核不拡散の観点から中性子放射化法による
Mo生成は核分裂由来の
Moの代替法として注目を集めているが、
Mo比放射能が極めて低いという欠点が存在する。本研究では、
Mo抽出による比放射能向上を目的に、照射ターゲットとしてポーラス
-MoO
ワイヤーを準備した。ポーラス
-MoO
ワイヤーは、2段階の加熱手順によって金属Moワイヤーから調製する。中性子照射後のポーラス
-MoO
ワイヤーおよび抽出に用いた水の放射能測定と同位体測定から
Moのホットアトム効果を確認した。また、ポーラス
-MoO
ワイヤーと市販の
-MoO
粉末での
Mo抽出率を比較した結果、同等の抽出率が得られた。
Ngo, M. C.*; 藤田 善貴; 鈴木 達也*; Do, T. M. D.*; 関 美沙紀; 中山 忠親*; 新原 晧一*; 末松 久幸*
Inorganic Chemistry, 62(32), p.13140 - 13147, 2023/08
被引用回数:5 パーセンタイル:60.95(Chemistry, Inorganic & Nuclear)テクネチウム-99m(Tc)は放射性医薬品として最も用いられるラジオアイソトープである。
Tcは
Moの娘核種であり、
Mo/
Tcの生成には核分裂(n, f)法と中性子捕獲(n,
)法が存在する。この内、(n, f)法は世界の生産量の約90%で使用されているが、高濃縮ウランの使用、高放射性廃棄物の発生、核不拡散の観点からも問題となっている。そこで、(n,
)法は、(n, f)法の代替法として開発が進められている。本研究では、熱蒸着法で作製した
-MoO
ウィスカーと
-MoO
粒子を中性子照射して
Mo/
Tcを生成し、水に分散させることで
Mo/
Tcを抽出した。その結果、
-MoO
と比較して、
-MoO
ウィスカーでは高い
Mo抽出率が得られた。また、水に溶解した
Mo濃度を比較した結果、サンプルから
Moが水に移動するホットアトム効果を
-MoO
ウィスカーではより顕著に示した。本研究は、中性子捕捉法の照射ターゲットとして
-MoO
の使用を初めて実証したものであり、
-MoO
は、中性子捕捉によって
Mo/
Tcを生成し、水による放射性同位体抽出するための有望な照射ターゲットになると期待される。
藤田 善貴; Hu, X.*; 武内 伴照; 武田 遼真; 藤原 靖幸*; 吉永 尚生*; 堀 順一*; 鈴木 達也*; 末松 久幸*; 井手 広史
KURNS Progress Report 2022, P. 110, 2023/07
ウランを使用しないテクネチウム-99m(Tc)の国産化を目的に、(n,
)法によるモリブデン-99(
Mo)製造に関する研究を行っている。この方法で生成される
Mo比放射能は低いことから
Moの娘核種である
Tcを濃縮するため、メチルエチルケトン(MEK)を用いた溶媒抽出法によって
Tcを抽出し、アルミナカラムによって
Tcを濃縮する技術に着目した。還元された
TcはMEKに抽出されないとの報告があることから、本試験では、モリブデン酸ナトリウム水溶液への水素バブリングによる
Tc還元を試み、
Tc収率への影響を調査した。その結果、論文で報告されたMEKへの
Tc抽出に対する影響は確認されず、酸性カラムへの
Tc吸着を阻害する可能性が示された。また、
Tcの化学形を把握するための基礎的データとして、回収した
Tc溶液のラマン分光分析を実施した結果、1050cm
あたりにシャープな弱いピークが確認された。今後、Tcの還元を確認するため、Tcの化学形の違いによるラマンピークの違いなどを調査していく。
藤田 善貴; 関 美沙紀; Ngo, M. C.*; Do, T. M. D.*; Hu, X.*; Yang, Y.*; 武内 伴照; 中野 寛子; 藤原 靖幸*; 吉永 尚生*; et al.
KURNS Progress Report 2021, P. 118, 2022/07
核セキュリティ等の観点から放射化法((n,)法)による
Mo製造の研究開発が進められている。この方法を
Mo/
Tcジェネレータに適応するためには、Mo吸着材として用いられるアルミナ(Al
O
)の特性改善が不可欠である。これまで、開発したAl
O
試料から得られる
Tc溶液の品質を評価してきたが、溶液中への
Mo脱離が課題だった。本研究では、市販のジェネレータを模した形状のカラムにAl
O
試料を充填し、
Mo脱離低減のためのいくつかの措置を施して
Tc溶液の品質を評価した。以前実施した、Al
O
試料をMo溶液に浸漬させる静的吸着の条件と比較した結果、Mo溶液をAl
O
カラムに流す動的吸着の適用、Mo溶液の高濃度化、Mo添加量の低減により
Mo脱離量が大幅に改善された。したがって、吸着方法および吸着条件の最適化による品質向上の可能性が示唆された。今後、本結果に基づきカラム形状およびMo吸着条件の最適化を図る。
藤田 善貴; 新関 智丈*; 福光 延吉*; 有賀 克彦*; 山内 悠輔*; Malgras, V.*; Kaneti, Y. V.*; Liu, C.-H.*; 籏野 健太郎*; 末松 久幸*; et al.
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 95(1), p.129 - 137, 2022/01
被引用回数:10 パーセンタイル:60.41(Chemistry, Multidisciplinary)本研究では、異なるpHの様々なモリブデン酸イオン種を含む溶液に浸したアルミナの各種表面分析(FTIR, XPS,ラマン分光法)により、アルミナへのモリブデン酸イオンの吸着メカニズムを考察した。得られた結果は、モリブデン酸イオンを含む酸性溶液にアルミナを浸すと、表面に存在するヒドロキシル基が除去されて正に帯電したサイトが生成され、モリブデン酸イオン(MoOまたはAlMo
O
H
)が静電相互作用によって吸着されることを示した。アルミナは酸性溶液にわずかに溶解してAlMo
O
H
を形成し、これはMoO
よりも容易に脱離する。さらに、アルミナ表面を多くの-OH基で濃縮し、Mo溶液を最適化してアルミナへMoO
としてモリブデン酸イオンを吸着させることで、アルミナのMo吸着および脱離特性を向上できる可能性が示唆された。これらの発見は、医療用放射性同位体(
Mo/
Tc)ジェネレータ用の、より効率的で安定したアルミナベースのMo吸着剤の開発に貢献できる。
藤田 善貴; 関 美沙紀; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; 鈴木 達也*; 吉永 尚生*; 堀 順一*; 末松 久幸*; 土谷 邦彦
Journal of Physics; Conference Series, 2155, p.012018_1 - 012018_6, 2022/01
モリブデン-99(Mo)の娘核種であるテクネチウム-99m(
Tc)は、放射性医薬品で最も使用される放射性同位元素である。核不拡散や核セキュリティ等の観点から、放射化法((n,
)法)による
Mo製造技術開発が進められている。(n,
)法によって生成される
Moの比放射能は極めて低いため、(n,
)
Moをジェネレータに適応させるには高いMo吸着容量を有するAl
O
の開発が必要不可欠である。本研究では、材料が異なる3種類のAl
O
を準備し、静的および動的吸着でのジェネレータへの適応性を比較した。MoO
ペレット片(1.5g)は、京都大学研究用原子炉(KUR)を使用して5MW, 20分間照射した。照射後、MoO
ペレット片は6Mの水酸化ナトリウム水溶液で溶解し、動的吸着条件として1gのAl
O
を充填したPFAチューブ(
1.59mm)に添加し、生理食塩水によりミルキングした。動的吸着でのAl
O
の
Mo吸着容量は、静的吸着と比較してわずかに減少した。
Tc溶出率は、動的吸着では1.5mLのミルキングで約100%溶出されたが、静的吸着では約56-87%しか溶出されなかった。また、動的吸着では
Mo/
Tc比が、静的吸着と比較して大幅に減少した。以上より、
Tc溶出特性は、Moの吸着方法(カラムの形状,線形流量など)に大きく影響されることが示唆された。
藤田 善貴; 関 美沙紀; 滑川 要二*; 西方 香緒里; 大伍 史久; 井手 広史; 土谷 邦彦; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; 堀 順一*; et al.
KURNS Progress Report 2020, P. 136, 2021/08
高濃縮ウランの利用低減や核不拡散及び核セキュリティ、核分裂生成物の処理の観点から放射化法((n,)法)による
Mo製造の研究開発が進められている。放射化法で生成される
Moの比放射能は極めて低いことから、娘核種である
Tcを濃縮するためメチルエチルケトン(MEK)を用いた溶媒抽出法に着目した。照射ターゲットであるMoO
ペレットは、長時間照射すると還元されることが分かっている。本試験では、MoO
が還元した際に酸化剤としてNaOClを使用する可能性を考慮し、MoO
を溶解して得られたモリブデン酸ナトリウム水溶液中へのNaCl添加の有無が
Tc回収率に及ぼす影響を調べた。その結果、NaClはMEKへの
Tc抽出率を低下させる可能性が示唆された。
古屋 治*; 藤田 聡*; 牟田 仁*; 大鳥 靖樹*; 糸井 達哉*; 岡村 茂樹*; 皆川 佳祐*; 中村 いずみ*; 藤本 滋*; 大谷 章仁*; et al.
Proceedings of ASME 2021 Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2021) (Internet), 6 Pages, 2021/07
新規制基準では、深層防護を基本とし、共通要因による安全機能の一斉喪失を防止する観点から、自然現象の想定の程度と対策を大幅に引き上げ、機能維持と安全裕度の確保のための対策の多重化と分散化及び多様性と独立性が強化されている。このような中、設計基準を超える地震を含む外部ハザードに対して、設計基準事故及びシビアアクシデントの対策のための設備の機能喪失と同時に、重大事故等に対処する機能を喪失しないことを目的として、特定重大事故等対処施設の設置が定められた。当該施設の設備では、設計基準を一定程度超える地震に対して機能確保できる頑健性を有する設備が求められている。一方、安全性向上評価においては、確率論的リスク評価や安全裕度評価により設計上の想定を超える範囲も含めた評価が行われるため、耐震重要設備の耐力に係る知見を拡充させることが重要である。本報では、耐震重要設備の機能維持に対する考え方や地震を対象に考慮すべき損傷指標等に係る知見の調査と検討結果をまとめる。
榊原 博; 青木 伸廣; 武藤 雅祐; 小田部 隼; 高橋 謙二*; 藤田 直幸*; 檜山 和彦*; 鈴木 宏和*; 鴨川 敏幸*; 横須賀 徹*; et al.
JAEA-Technology 2020-020, 73 Pages, 2021/03
高速増殖原型炉もんじゅでは、現在、廃止措置が進められており、その第一段階として、炉心に装荷している燃料を取り出す工程がある。炉心の燃料集合体は、エントランスノズルが炉心支持板の連結管に挿入され自立しており、周辺の集合体によりパッド部を介して支え合い炉心体系を維持する構造となっている。そのため、燃料を取り出した場所に模擬燃料集合体を装荷し、燃料集合体を安定させる必要があった。このような背景を受け、もんじゅ炉心燃料集合体の製造経験のあるプルトニウム燃料技術開発センターへ、もんじゅ側から模擬燃料集合体の製造依頼があり、製造を行った。この報告書は、装荷する模擬燃料集合体の設計、製造、出荷について報告するものである。
藤田 善貴; 関 美沙紀; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; 北河 友也*; 松倉 実*; 堀 順一*; 鈴木 達也*; 土谷 邦彦
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 327(3), p.1355 - 1363, 2021/03
被引用回数:4 パーセンタイル:39.96(Chemistry, Analytical)表面構造の異なる3種類のAlO
を準備し、京都大学研究用原子炉(KUR)で照射した[
Mo]MoO
を用いて、
Mo吸着/
Tc溶離特性を調べた。
Moを含むpHの異なる溶液中でAl
O
にモリブデン酸イオンを吸着させた結果、pHが低いほどAl
O
のMo吸着容量が高くなることが明らかになった。次に、モリブデン酸イオンを吸着したAl
O
の
Tc溶離特性を生理食塩水を流すことによって調べた。その結果、
Mo吸着及び
Mo脱離特性はAl
O
の比表面積に影響され、
Tc溶離特性はAl
O
の結晶構造に影響されることが示唆された。