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錦織 良; 小島 有志; 花田 磨砂也; 柏木 美恵子; 渡邊 和弘; 梅田 尚孝; 戸張 博之; 吉田 雅史; 市川 雅浩; 平塚 淳一; et al.
Plasma and Fusion Research (Internet), 11, p.2401014_1 - 2401014_4, 2016/03
ITERやJT-60SAにおける中性粒子入射装置では、多孔多段(MAMuG)加速器による高エネルギー、大電流ビームの安定供給が要求されている。これらの加速器の設計に向けては、真空放電で決まる耐電圧の予測が重大な課題となっており、原子力機構では、MAMuG加速器をの耐電圧を物理理解に基づいて設計するために、真空放電の物理過程の研究を実施している。これまでの研究成果から、この真空放電は電界放出電子による暗電流が起点となっていると考えている。しかし、F-N理論によれば、暗電流は電界増倍係数によって決まるが、これまでは実験的にしか求めることができなかった。そこで、今回、の決定機構を調べるために、MAMuG加速器の大面積電極の電界の異なる3つの領域で独立に暗電流を測定した。その結果、は電極のコンディショニングと共に低下するが、絶縁破壊電界Eによって表される実効電界Eが一定で1MV/mmであることが分かった。これは、小型電極から求めた実効電界Eよりも1桁大きい値であり、面積の依存性を示唆していると考えている。このEの値を利用することにより、絶縁破壊電界時におけるを求めることができ、暗電流の評価と耐電圧の予測を関連付けることができると考えている。
平塚 淳一; 花田 磨砂也; 小島 有志; 梅田 尚孝; 柏木 美恵子; 宮本 賢治*; 吉田 雅史; 錦織 良; 市川 雅浩; 渡邊 和弘; et al.
Review of Scientific Instruments, 87(2), p.02B137_1 - 02B137_3, 2016/02
被引用回数:3 パーセンタイル:16.61(Instruments & Instrumentation)負イオンの引出・加速の物理を理解するために、ITER原型加速器において加速電極上の熱負荷密度分布を初めて測定した。熱負荷密度分布を測定するために、加速電極孔周辺領域をそれぞれが熱絶縁された34個の銅ブロックで構成し、それぞれの銅ブロックに熱電対を接合することで、空間分解能3mm程度の熱負荷密度分布測定に成功した。これはビーム径16mmのビームのテイル成分を測定するのに十分な分解能である。この測定により、加速電極孔周辺において熱負荷密度分布に2箇所のピークを発見した。ビームオプティクスやガス密度分布を変化させる実験により、これら2つのピークは負イオン及び2次電子の衝突であることが明らかになった。これは負イオンや2次電子の軌道を理解するために必要な初めての実験結果である。
吉田 雅史; 花田 磨砂也; 小島 有志; 柏木 美恵子; 梅田 尚孝; 平塚 淳一; 市川 雅浩; 渡邊 和弘; Grisham, L. R.*; 津守 克嘉*; et al.
Review of Scientific Instruments, 87(2), p.02B144_1 - 02B144_4, 2016/02
被引用回数:9 パーセンタイル:43.04(Instruments & Instrumentation)ITERおよびJT-60SAのような大型負イオン源では、大面積の引出領域から大電流負イオンビームを生成するために、負イオン生成を高めるセシウム(Cs)を供給する。しかし、この大型負イオン源内のCsの挙動と、負イオン生成の空間分布との関係は実験的に明らかにされていない。そこで、ITER級の大きさを有するJT-60負イオン源内のCsおよび負イオン生成の空間分布の時間変化を調べた。その結果、Csの供給量0.4gまでCsの指標となるCsの発光強度、および負イオン生成に変化はなかった。これは、Csが供給口付近の水冷されたイオン源内壁に吸着しているものと考えられる。その後、Csの発光強度および負イオン生成は供給口直下付近の引出領域から増加した。Csの中性・イオン輸送計算の初期結果によると、負イオン生成が増加し始めた領域と、供給口付近でプラズマによりイオン化したCsの輸送位置は概ね一致した。さらにCsを供給し続けることで負イオン生成の増加した領域は徐々に拡大し、供給量約2gで一様な大電流ビームを生成した。以上の結果より、負イオン生成にはイオン化したCsの輸送が重要な役割を担っていることが分かった。
小島 有志; 花田 磨砂也; 戸張 博之; 錦織 良; 平塚 淳一; 柏木 美恵子; 梅田 尚孝; 吉田 雅史; 市川 雅浩; 渡邊 和弘; et al.
Review of Scientific Instruments, 87(2), p.02B304_1 - 02B304_5, 2016/02
被引用回数:11 パーセンタイル:49.28(Instruments & Instrumentation)原子力機構では、ITERやJT-60SAで利用する中性粒子入射装置の実現に向けて、大面積多孔多段負イオン加速器を開発中であり、1MVや500kVの直流超高電圧を真空中で安定して保持できる耐電圧性能が要求されている。そこで、真空放電の物理理解に基づく耐電圧設計手法を確立することを目的として、今回、これまでの耐電圧試験結果に基づいて、多段の入れ子構造である加速電極支持構造の形状を、耐電圧や境界条件から最適化する手法を開発した。本手法では、ビーム光学から要求される電圧及びギャップ長から、電極平板部の面積、つまり同軸の入れ子構造となる円筒型電極の半径を決定することにより、耐電圧を満たすための同軸間ギャップ長を求める。これにより一段分の対向する陰極・陽極の電極構造が決まるため、本手法を段数分くり返すことにより、耐電圧を満たした加速電極支持構造を境界条件の中で一意に設計することが可能となる。得られた加速器の耐電圧を予測するために、未解明であった多段による耐電圧の劣化を、5段電極を用いて実験的に調べた結果、5段の耐電圧は1段耐電圧の段数倍よりも25%程度耐電圧が減少し、段数の増加による影響が見られた。この効果を考慮した結果、本手法によるJT-60用負イオン加速器の耐電圧解析が10%以下の誤差の範囲で一致し、ITERやJT-60SAの耐電圧設計の精度を向上することができた。
花田 磨砂也; 小島 有志; 戸張 博之; 錦織 良; 平塚 淳一; 柏木 美恵子; 梅田 尚孝; 吉田 雅史; 市川 雅浩; 渡邊 和弘; et al.
Review of Scientific Instruments, 87(2), p.02B322_1 - 02B322_4, 2016/02
被引用回数:11 パーセンタイル:49.28(Instruments & Instrumentation)本論文は原子力機構(JAEA)で開発中の負イオンビームに関する最新結果を報告するものである。JAEAでは、国際熱核融合実験炉(ITER)およびJT-60SAの実現に向けて、それぞれ1MeV, 40A,3600秒および22A, 500keV, 100秒の重水素負イオンビームの開発を行っている。これらの負イオンビームを開発するために、ITERやJT-60SAの設計と同様、多段静電加速器とセシウム添加型負イオン源を開発している。静電加速器の開発においては、長時間加速をした開発を指向しており、その課題である加速電極の熱負荷を、イオンビームの軌道を制御することにより、許容値以下に低減した。その結果、負イオンの加速時間を、従来の1秒未満から試験装置の電源の限界である60秒まで進展させた。また、セシウム添加型負イオン源の開発においては、大電流負イオンビームの長パルス生成を指向しており、これまでに15A、100秒のビーム生成を達成している。今後、長パルス生成時に顕在化した、イオン源内のアーク放電プラズマの放電破壊(アーキング)の問題を解決し、JT-60SAで要求される22Aを超える電流値で100秒以上の負イオンビーム生成を目指す。
吉田 雅史; 花田 磨砂也; 小島 有志; 柏木 美恵子; Grisham, L. R.*; 畑山 明聖*; 柴田 崇統*; 山本 崇史*; 秋野 昇; 遠藤 安栄; et al.
Fusion Engineering and Design, 96-97, p.616 - 619, 2015/10
被引用回数:11 パーセンタイル:67.6(Nuclear Science & Technology)JT-60SAのプラズマ加熱および電流駆動装置として利用する世界最大の負イオン源では、要求値となる22Aの大電流負イオンビームの100秒生成を目指している。そのためには、40cm110cm(全1000穴)のビーム引出面積から生成されるビームの一様性を改善する必要がある。そこで、負イオンビームの親粒子である水素原子および水素イオンをより一様に生成するために、磁場分布・高速電子分布計算結果および実験結果に基づいて、従来の横磁場構造からテント型磁場構造を基にした新たな磁場構造に改良した。これにより、全プラズマ電極に対する一様な領域は、従来よりも1.5倍まで改良し、この一様な領域からJT-60SAの要求値を満たす22Aのビーム生成を可能にした。このときのビーム電流密度は210A/mであり、これはITERの負イオン源にて要求される200A/mをも満たすビーム生成に成功した。
小島 有志; 梅田 尚孝; 花田 磨砂也; 吉田 雅史; 柏木 美恵子; 戸張 博之; 渡邊 和弘; 秋野 昇; 小又 将夫; 藻垣 和彦; et al.
Nuclear Fusion, 55(6), p.063006_1 - 063006_9, 2015/06
被引用回数:38 パーセンタイル:89.6(Physics, Fluids & Plasmas)原子力機構では、JT-60SAやITERで利用する中性粒子入射装置の開発に向けて、大型高エネルギー負イオン源による100秒を超える負イオン生成・加速の実証を目指した研究を進めている。まず、JT-60SA用負イオン源の負イオン生成部のプラズマ閉じ込め用磁石配置を変更することにより、生成されたプラズマの密度分布を一様化することに成功した。これにより、引出領域の83%から一様な負イオンビームを生成し、これまでの最高値17Aを大きく超える32Aの負イオン電流を1秒間引き出すことに成功した。この磁場配位とこれまでに開発した長時間負イオン生成用温度制御型プラズマ電極を適用し、さらに負イオン電流のフィードバック制御手法を用いることにより、15Aの大電流負イオンビームを100秒間維持することに成功した。これは、JT-60SAの定格の68%の電流に相当し、パルス幅は定格を満たしている。また、ITER用高エネルギー加速器の開発に向けては、負イオンビームが加速途中で電極に衝突して生じる熱負荷を低減するだけでなく、負イオンと同時に引き出される電子を熱的に除去することが重要であった。今回、冷却構造を改良することにより従来の5倍の電子熱負荷を許容できると共に、残留磁場で偏向する負イオンビームの軌道制御機構を組み合わせて、新しい引出部を開発した。その結果、700keV、100A/mの負イオンビームを従来の7倍以上長いパルス幅である60秒間維持することに成功した。
小島 有志; 花田 磨砂也; 吉田 雅史; 梅田 尚孝; 平塚 淳一; 柏木 美恵子; 戸張 博之; 渡邊 和弘; Grisham, L. R.*; NB加熱開発グループ
AIP Conference Proceedings 1655, p.060002_1 - 060002_10, 2015/04
被引用回数:6 パーセンタイル:87.34JT-60SA用負イオン源に向けては、22Aの大電流負イオンを100秒間生成することが大きな課題である。負イオンを長時間効率よく生成するためには、これまでの研究の結果、セシウム原子層が形成されることで負イオン生成が促進されるプラズマ電極の温度を、200C程度の高温に維持する必要があることが分かっている。そこで、1気圧で高沸点を有するフッ素系冷媒をプラズマ電極内に循環させて温度を制御する手法を開発し、目標の電流密度(120-130A/m)を100秒間維持する原理実証に成功した。その結果を基に、全引出領域において電極温度を制御する実機プラズマ電極を製作し、試験を開始した。初期結果として、原理実証用電極と同様の制御時定数が得られ、プラズマ電極の全引出領域において、温度を一定に制御することに成功した。また、セシウムを導入して負イオン電流量を増大させ、現在までに70%の出力に相当する15Aの大電流負イオンビームを100秒間一定に生成することに成功している。
梅田 尚孝; 小島 有志; 柏木 美恵子; 戸張 博之; 平塚 淳一; 渡邊 和弘; 大楽 正幸; 山中 晴彦; 花田 磨砂也
AIP Conference Proceedings 1655, p.050001_1 - 050001_10, 2015/04
ITER中性粒子入射装置では、1MeV, 40A(電流密度200A/m)の大電流の重水素負イオンビームを3600秒間にわたって加速することが要求されている。この負イオンビーム加速を実証するため、原子力機構のMeV級試験装置で長パルスのビーム加速試験を行っている。今回、冷却性能を上げるため磁石と冷却管位置を変更した長パルス用の引出電極を開発した。さらに、負イオンの衝突と2次電子の発生を抑制するため電子抑制電極の孔径を14mmから16mmに大きくし、電極へのビーム衝突を減らすため孔軸変位量も修正した。これにより負イオンの透過率が上がり、電極全体の熱負荷は14%から11%に低下した。そして、加速電圧700kV、ビーム電流密度100A/mの負イオンビームを装置の限界である60秒間安定に加速することができた。
平塚 淳一; 花田 磨砂也; 梅田 尚孝; 小島 有志; 柏木 美恵子; 渡邊 和弘; 戸張 博之; 吉田 雅史
Plasma and Fusion Research (Internet), 10(Sp.2), p.3405045_1 - 3405045_4, 2015/04
国際熱核融合実験炉(ITER)で必要な高電流密度(200A/m)、高エネルギー(1MeV)、長パルス時間(1時間)の負イオンビームを生成するために、電極孔位置の変位により偏向角を補正する技術を用いた負イオンと電極との直接衝突の抑制についての研究が注意深く行われてきた。偏向制御電極(SCG)の孔径14mmにおいて偏向角の非線形な依存性が現れている。この依存性からSCGの孔径と位置の変位量をそれぞれ16mm、0.7mmと決定し、ITERの原型加速器において試験を実施した。複数の電極孔のそれぞれのビームに対し加速器内の残留磁場による偏向は適切に補正され、電極熱負荷は大きく減少した。これにより加速ビーム電流は10%増加した。
秋野 昇; 遠藤 安栄; 花田 磨砂也; 河合 視己人*; 椛澤 稔; 菊池 勝美*; 小島 有志; 小又 将夫; 藻垣 和彦; 根本 修司; et al.
JAEA-Technology 2014-042, 73 Pages, 2015/02
日欧の国際共同プロジェクトであるJT-60SA計画に従い、JT-60実験棟本体室・組立室及び周辺区域に設置されている中性粒子入射加熱装置(NBI加熱装置)の解体・撤去、及びその後の保管管理のための収納を、2009年11月に開始し計画通りに2012年1月に終了した。本報告は、NBI加熱装置の解体・収納について報告する。
小又 将夫; 清水 達夫; 大関 正弘; 小島 有志; 花田 磨砂也
JAEA-Technology 2014-041, 50 Pages, 2015/01
超伝導コイルを用いた臨界プラズマ試験装置JT-60 Super Advanced(JT-60SA)のプラズマ加熱及び電流駆動を担う中性粒子入射装置においては、負イオン源1台あたり500keVのビームエネルギーで、22Aの負イオン電流を100秒間安定に生成することが要求されており、これまでの3倍以上の長時間運転が必要である。この長時間の大電流負イオンビームを実現するため、実機負イオン源及び実機電源設備を用いた長パルス負イオン源試験装置を建設し、長パルスの負イオンビーム生成に向けた技術開発を行っている。今回、負イオン源を長時間安定に制御するための装置を開発した。同装置においては、汎用の 計算機とProgrammable Logic Controller (PLC)を、用途や処理時間に応じて分散・配置して、電源機器を制御すると共に各種測定データを収集する分散型制御システムを採用した。開発した制御装置をJT-60負イオン源の試験運転で使用し、負イオンビームを、JT-60SAの仕様である100秒間の間、安定に引出すことに成功しており、本制御システムがJT-60SAで利用できる見通しを得た。
山中 晴彦; 前島 哲也; 照沼 勇斗; 渡邊 和弘; 柏木 美恵子; 花田 磨砂也
JAEA-Technology 2014-037, 12 Pages, 2014/12
国際熱核融合実験炉の中核加熱装置である中性粒子入射装置で使用する25Cから高温領域の180Cまでの温度範囲における純水の抵抗率を測定した。抵抗率は温度とともに減少するが、100C以上では、純度が異なる9M・cmの純水と5M・cmの純水でもほぼ同じ値で低下することが分かった。180Cにおける抵抗率は0.36M・cmであり、この値は理論純水の計算値と良い一致を示すことを確認した。
池田 佳隆; 岡野 文範; 逆井 章; 花田 磨砂也; 秋野 昇; 市毛 尚志; 神永 敦嗣; 清野 公広; 久保 博孝; 小林 和容; et al.
日本原子力学会和文論文誌, 13(4), p.167 - 178, 2014/12
JT-60Uを超伝導トカマクJT-60SAに改造するため、JT-60U本体を解体した。JT-60Uは18年間の重水素運転により放射化されており、このJT-60Uの解体は、放射化した核融合装置の解体として我が国初の解体であった。全ての解体品は、将来のクリアランスの適用を考慮し、線量当量率や材料、重量などのデータを記録した。切断技術や保管技術などは、効率的に解体を行うための鍵であった。解体に要した人工数や解体品の放射化レベルなど、他の核融合装置で解体を行う際に有用となる情報を報告する。
戸張 博之; 花田 磨砂也; 松山 久好*; 森川 一文*
セラミックス, 49(12), p.1050 - 1055, 2014/12
ITER中性粒子入射装置において、絶縁ガス雰囲気の高電圧電源から伝送される最大100万ボルトが印加された導体を、真空中に設置されるビーム源に接続する絶縁導入碍子(HVブッシング)のために、外径1.56m、肉厚50mの大口径セラミックリングが必要とされた。このセラミックリングは、放射線環境下で、内外で最大0.9MPaの圧力差に耐え、100万ボルトを絶縁する過酷な条件下で使用されるものである。しかしながら、開発当初の技術では外径1m程度が限界であり、大口径化が課題であった。本稿では、ITER用HVブッシングの実現に向けて、世界最大口径となるセラミックリングを成形するために新たに開発した冷間静水圧成形法とその型枠の開発、大型リングの焼成のための温度履歴の最適化、及び実用化に向けた耐電圧試験など、日本原子力研究開発機構で実施してきた大口径セラミックリングの製作技術開発について報告する。
岡野 文範; 池田 佳隆; 逆井 章; 花田 磨砂也
第27回原子力施設デコミッショニング技術講座テキスト, p.73 - 102, 2014/10
臨界プラズマ試験装置(JT-60)は、日欧共同で進めるサテライト・トカマク計画として、長パルス化と高圧力プラズマを目指した超伝導核融合実験装置JT-60SAに改修するため、JT-60トカマク本体及び周辺設備を解体・撤去する必要があった。JT-60解体は、核融合実験装置として放射線障害防止法に基づいて実施した最初のケースである。具体的な解体作業では、トロイダル磁場コイル(TFコイル)の補強溶接部の切断と真空容器の2分割が、工程的,技術的に大きな課題であったが、それぞれの解決策を見出して作業を進め、平成24年10月に3年に亘る解体を無事故・無災害で完遂することができた。
池田 佳隆; 岡野 文範; 花田 磨砂也; 逆井 章; 久保 博孝; 秋野 昇; 千葉 真一; 市毛 尚志; 神永 敦嗣; 清野 公広; et al.
Fusion Engineering and Design, 89(9-10), p.2018 - 2023, 2014/10
被引用回数:2 パーセンタイル:16.53(Nuclear Science & Technology)JT-60U本体の解体は、18年間の重水素運転の後、2009年から開始し、2012年10月に終了した。JT-60本体は電磁力に耐えるため複雑で溶接構造を有しており、機器は放射化している。本解体作業は、日本で初めての放射化した核融合装置の解体であり、注意深く実施された。約3年間で、約41,000人日の作業を行い、解体品総数は約13000個、総重量は5400トンに達した。全ての解体品は線量当量率等の測定を行っており、ほとんどの解体品は、将来、クリアランス検認を行えば、非放射化物となると期待できる。この解体が終了し、JT-60SAの組立が2013年1月から開始した。
岡野 文範; 池田 佳隆; 逆井 章; 花田 磨砂也; JT-60チーム
プラズマ・核融合学会誌, 90(10), p.630 - 639, 2014/10
臨界プラズマ試験装置(JT-60)の本体解体に平成21年度から着手し、平成24年度(平成24年10月)に完遂した。JT-60は、日欧共同で進めるサテライト・トカマク計画として、長パルス化と高圧力プラズマを目指した超伝導核融合実験装置JT-60SAに改修するため、JT-60トカマク本体及び周辺設備を解体・撤去する必要があった。JT-60解体は、核融合実験装置として放射線障害防止法に基づいて実施した最初のケースである。具体的な解体作業では、トロイダル磁場コイル(TFコイル)の補強溶接部の切断と真空容器の2分割が、工程的、技術的に大きな課題であったが、それぞれの解決策を見出して作業を進め、平成24年10月に3年にわたる解体を無事故・無災害で完遂することができた。本報告では、JT-60トカマク解体の概要を紹介する。
岡野 文範; 池田 佳隆; 逆井 章; 花田 磨砂也; JT-60チーム
NIFS-MEMO-67, p.344 - 352, 2014/02
臨界プラズマ試験装置(JT-60)は、日欧共同で進めるサテライト・トカマク計画として、長パルス化と高圧力プラズマを目指した超伝導核融合実験装置JT-60SAに改修するため、JT-60トカマク本体及び周辺設備を解体・撤去する必要があった。JT-60は、18年間の重水素実験で発生した中性子により放射化している。そのため、解体作業は放射線障害防止法に基づいて実施した。実際のJT-60本体解体においては、トロイダル磁場コイル(TFC)の補強溶接部の切断と真空容器の2分割が工程的,技術的に大きな課題であった。これらの課題をR&Dを実施して、解決し、解体を進めた。平成21年度に開始した、長期間に亘る解体作業を平成24年10月に完遂した。
小島 有志; 花田 磨砂也; 吉田 雅史; 戸張 博之; 柏木 美恵子; 梅田 尚孝; 渡邊 和弘; Grisham, L. R.*
Review of Scientific Instruments, 85(2), p.02B312_1 - 02B312_5, 2014/02
被引用回数:12 パーセンタイル:48.61(Instruments & Instrumentation)JT-60SAに向けて、500keV, 22Aの負イオンビームを100秒間生成するためには、大電流負イオンを長時間生成することが大きな課題である。これまでの結果から、Csによる表面生成方式を用いて負イオンを長時間効率よく生成するには、Csの付着したプラズマ電極の温度を200C程度に維持する必要があることが分かっていた。しかしこれまでのプラズマ電極では慣性冷却方式を採用しており、パルスとともに電極温度が上昇することが問題であった。そこで、沸点の高いフッ素系冷媒を200C程度でプラズマ電極内を循環させ、プラズマ電極を高温に保ちながらプラズマからの熱を冷却するシステムを開発した。その結果、7秒程度の短い時定数でプラズマ電極の温度を長時間一定に制御することが可能となり、1/10の引出領域から120A/mの高密度負イオンビームを、JT-60SAの目標である100秒間生成することに成功した。