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池田 侑典*; 松村 大樹; 辻 卓也; 生井 飛鳥*; 井元 健太*; 所 裕子*; 中林 耕二*; 大越 慎一*
Inorganica Chimica Acta, 550, p.121434_1 - 121434_8, 2023/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Inorganic & Nuclear)A film of a cyanido-bridged Cu-Mo assembly Cu[Mo(CN)
]
8H
O (CuMo-film) was electrochemically synthesized. Unlike analogs with a formula of M
[Mo(CN)
]
zH
O (M = Mn, Fe, Co), which show tetragonal crystal structures, the CuMo-film shows a monoclinic structure in the C2/m space group with cell parameters of a = 17.2461
= 125.1089
, and V = 1774.44
. Extended X-ray absorption fine structure analysis traced the bond distances around the Cu site as 1.93-2.30
for Cu-N and 2.01-2.40
for Cu-O. CuMo-film exhibits photo-switchable magnetization with T
= 18 K and dielectric relaxation related to the hydrogen bond network. The change of activation energy (E
) of the dielectric relaxation around 157 K (from E
= 49.9 kJ mol
to E
= 27.3 kJ mol
on cooling) suggests that the development of the hydrogen bond network occurs below 157 K.
横田 裕一郎; 舟山 知夫; 池田 裕子; 坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 小林 泰彦
JAEA-Review 2015-022, JAEA Takasaki Annual Report 2014, P. 67, 2016/02
本研究ではバイスタンダー効果における一酸化窒素(NO)の役割を調べた。ヒト正常線維芽細胞に線(LETは0.2keV/
m)あるいは炭素イオンビーム(108keV/
m)を照射した後、非照射細胞と共培養した。24時間の共培養後に非照射細胞の生存率と培養液に含まれるNOの酸化物である亜硝酸イオンの濃度を測定した。非照射細胞の生存率低下は照射細胞に曝露する線量に依存したが線質には依存しなかった。非照射細胞の生存率と亜硝酸イオン濃度には負の相関関係が認められた。一方で、NO発生剤であるNOC12を培養液に加えるだけでは、細胞の生存率は低下しなかった。以上の結果から、細胞内で生成されるNOの量がバイスタンダー効果の決定因子の一つであるが、細胞間情報伝達因子ではない可能性が示された。
横田 裕一郎; 舟山 知夫; 池田 裕子; 小林 泰彦
Isotope News, (741), p.21 - 25, 2016/01
International Journal of Radiation Biology誌2015年5月号で我々が発表した論文を中心にバイスタンダー効果について概説した。実験では、バイスタンダー効果の線量及び線質依存性と、それに関連する分子メカニズムを調べるため、線あるいは炭素イオンビームで照射したヒト正常線維芽細胞を非照射細胞と共培養した。その結果、照射細胞に曝露する線量が増加すると非照射細胞の生存率は低下し、一酸化窒素(NO)ラジカルが酸化して生じる培養液中の亜硝酸イオン濃度は上昇した。それらの線量応答は
線と炭素イオンビームで類似した。また、NOラジカルの特異的消去剤を投与すると非照射細胞の生存率低下は抑制された。さらに、非照射細胞の生存率と培養液中の亜硝酸イオン濃度は負に相関した。以上の結果から、NOラジカルが媒介するバイスタンダー効果は放射線の線量に依存するが線質には依存しないことが明らかになった。NOラジカル産生はバイスタンダー効果の重要な決定因子の一つかもしれない。バイスタンダー効果を制御することで放射線がん治療の副作用低減や治療効果を増強できる可能性にも言及した。
横田 裕一郎; 舟山 知夫; 武藤 泰子*; 池田 裕子; 小林 泰彦
International Journal of Radiation Biology, 91(5), p.383 - 388, 2015/05
被引用回数:12 パーセンタイル:67.00(Biology)本研究ではバイスタンダー効果の線量及び線質依存性と関連する分子メカニズムを調べるため、線あるいは炭素イオンビームで照射したヒト線維芽細胞を非照射細胞と共培養した。その結果、照射細胞に曝露する線量の増加につれて非照射細胞の生存率は低下し、一酸化窒素(NO)ラジカルが酸化して生じる培養液中の亜硝酸イオン濃度は上昇した。それらの線量応答は
線と炭素イオンの間で類似していた。また、NOラジカルの特異的消去剤で処理することで非照射細胞の生存率低下は抑制された。さらに、非照射細胞の生存率と培養液中の亜硝酸イオン濃度は負に相関した。以上の結果から、ヒト線維芽細胞においてNOラジカルが媒介するバイスタンダー効果は放射線の線量に依存するが線質には依存しないことが明らかになった。NOラジカルの産生は
線及び炭素イオンが誘発するバイスタンダー効果の重要な決定因子の一つかもしれない。
鈴木 雅雄*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 武藤 泰子*; 鈴木 芳代; 池田 裕子; 服部 佑哉; 小林 泰彦
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 78, 2015/03
これまでに、バイスタンダー効果で誘発される細胞死や染色体変異における照射イオン種依存性の解析を進めてきた。2015年度の研究では、バイスタンダー効果による遺伝子の変異誘発におけるイオン種依存性を、ヒト正常線維芽細胞を用いて解析した。コンフルエントに培養した細胞試料に対し、16
16マトリックス照射法で、異なる核種(炭素,ネオン,アルゴン)のマイクロビーム照射を行った。
遺伝子の変異誘発頻度は、6-チオグアニン耐性コロニーの頻度で測定した。炭素イオンマイクロビーム照射した試料では、非照射試料およびギャップジャンクション経由の細胞間情報伝達に特異的な阻害剤で処理した試料と較べ、変異頻度が6倍高くなった。一方、ネオン及びアルゴンマイクロビームで照射した試料では、このような変異頻度の上昇が認められなかった。この結果は、ギャップジャンクションを介したバイスタンダー効果による突然変異誘発において、イオン種依存性が存在すること意味する。
鈴木 芳代; 服部 佑哉; 坂下 哲哉; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 池田 裕子; 小林 泰彦
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 88, 2015/03
The nematode is a good
model system to examine radiation effects on vital functions such as locomotion, feeding, learning and memory. Using
, we recently investigated the radiation effects on locomotion (snake-like crawling motion) and found that whole-body irradiation significantly reduced locomotion. Furthermore, we focused on the pharyngeal pumping motion (chewing and swallowing), which is a rapid periodic motion, and found that the proportion of pumping-motion arrest increased after whole-body irradiation. As the next step, we started to examine whether or not the effects observed after whole-body irradiation could be induced by microbeam irradiation to a very limited region. In this report, we summarize the results of microbeam irradiation experiments we carried out in the past few years. Main findings in this study are the following: (1) Effects of the region-specific microbeam irradiation differ depending on types of motion, and (2) effects of whole-body irradiation tend to be more effective than those of the region-specific microbeam irradiation at the same irradiation dose. Further studies on the mechanisms underlying the radiation-induced changes of movements are required.
保田 隆子*; 尾田 正二*; 浅香 智美*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 武藤 泰子*; 池田 裕子; 小林 泰彦; 三谷 啓志*
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 85, 2015/03
本研究では、卵殻が透明で発生までの全過程を生きたまま詳細に観察可能なメダカ胞胚期に重イオン照射を行い、その後の発生を詳細に観察した。メダカ胞胚期に炭素線をブロードビーム照射した結果、10Gyでは体軸形成不能、5Gyでは体軸形成異常、2Gyでは器官形成異常が観察され、全て早期胚死となり孵化には至らなかった。次に、炭素線マイクロビーム(ビーム径120および180m)を用いて胚盤(約500
m径)中央を局部照射し、胚盤全体をブロードビーム照射した試料と比較した。その結果、局部照射した試料では、発生遅延や、眼組織における器官形成異常が観察された。一方、孵化率では、全体照射した試料では2Gyでほとんどの胚が孵化できなかったが、炭素イオンマイクロビームで胚盤中央部のみを50Gyで局部照射した試料では約半数の胚で正常な孵化が観察された。
松本 英樹*; 冨田 雅典*; 大塚 健介*; 畑下 昌範*; 前田 宗利*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 鈴木 芳代; 坂下 哲哉; 池田 裕子; et al.
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 76, 2015/03
低線量/低線量率放射線に対して生物が示す特異的な応答様式には、放射線適応応答、放射線誘発バイスタンダー応答、放射線超高感受性、遺伝的不安定性等がある。我々は、原子力機構において開発された細胞局部照射装置(HZ1)および深度制御種子照射装置(HY1)を用いて、放射線誘発バイスタンダー応答による放射線適応応答の誘導機構の解析を実施した。中央にスポットしたコロニーの細胞に520MeV Ar
をマイクロビーム照射し、4-6時間培養後に同
Ar
をブロードビーム照射した結果、放射線適応応答の誘導が認められ、この誘導はNO特異的な捕捉剤であるcarboxy-PTIOの添加でほぼ完全に抑制された。このマイクロビーム照射による放射線適応応答の誘導が起きた細胞で、
遺伝子の発現が特異的に発現誘導されていることが見いだされ、放射線適応応答の誘導にNOを介したバイスタンダー効果の誘導が関与していることが強く示唆された。
坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 服部 佑哉; 池田 裕子; 武藤 泰子*; 横田 裕一郎; 舟山 知夫; 浜田 信行*; 白井 花菜*; 小林 泰彦
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 74, 2015/03
昆虫・哺乳動物等を用いた実験から、放射線被ばくにより学習障害等の神経系への影響がもたらされることが示唆されている。我々は、神経系を研究するためのモデル生物として知られる線虫を用いて、化学走性学習が、特定の条件下においてのみコバルト60線照射の影響を受けることを明らかにした。しかし、線虫のどの部位における放射線応答が、化学走性学習行動の変化を誘導するかは明らかでない。そこで、我々は、炭素イオンマイクロビームを用いて、線虫の化学走性学習に対する直接的な放射線の影響部位を明らかにすることを目的とした。マイクロビーム照射技術は、細胞あるいは組織レベルでの直接的な放射線の影響を調べるための有効なツールとして知られている。本報告では、2つの線虫変異体(
,
)に対して、マイクロビームの局部照射を行った結果について報告する。
横田 裕一郎; 舟山 知夫; 池田 裕子; 坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 小林 泰彦
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 75, 2015/03
本研究では、異なる線量の線あるいは炭素イオンビームによって誘発されるバイスタンダー効果の線量及び線質依存性と、一酸化窒素(NO)ラジカルの役割について調べた。ヒト正常繊維芽細胞を実験に用い、
線あるいは炭素イオンを照射した細胞と非照射細胞を多孔性メンブレンの上側と下側で24時間培養した。培養後、非照射細胞の生存率は照射細胞に曝露した線量の増加とともに低下し、0.5Gy以上では下げ止まった。このことから、バイスタンダー効果は照射細胞に曝露した放射線の線量に依存するが、線質には依存しないことが明らかになった。さらに、NOラジカルの特異的消去剤であるc-PTIOをあらかじめ培養液に加えておくと、非照射細胞の生存率の低下が抑制された。以上の結果から、
線や重イオンビームによって誘発されるバイスタンダー効果にNOラジカルが重要な役割を果たすことが示された。
鈴木 雅雄*; Autsavapromporn, N.*; 宇佐美 徳子*; 舟山 知夫; Plante, I.*; 横田 裕一郎; 武藤 泰子*; 鈴木 芳代; 池田 裕子; 服部 佑哉; et al.
Journal of Radiation Research, 55(Suppl.1), P. i54, 2014/03
It is essentially important for evaluating risk such a low-dose-rate exposure as the accident of Fukushima Daiichi Nuclear Power Plants to examine bystander effects induced by low-LET electromagnetic radiations, such as X or rays. We have been studying the cellular responses in normal human fibroblasts by targeted cell nucleus irradiations with monochromatic X-ray microbeams (5.35 keV) produced by Photon Factory in High Energy Accelerator Research Organization. The results indicated that the bystander effect in cell- killing effect was observed in the targeted cell nucleus irradiation, not in the random irradiation containing both cell nucleus and cytoplasm by Poisson distribution. The results suggest that energy deposition in cytoplasm is an important role of inducing bystander effects in case of low-LET radiations. We have also been investigating high-LET-radiation induced bystander effects using the heavy-ion microbeams at Takasaki Ion Accelerators for Advanced Radiation Application in Japan Atomic Energy Agency. Only 0.04% of the total numbers of normal human fibroblasts were irradiated with C-ion (220 MeV), Ne-ion (260 MeV) and Ar-ion (460 MeV) microbeams collimated at 20 micro meter in diameter. Cell-killing effect and gene mutation at HPRT locus in the cells irradiated with C ions were higher beyond our expectations and returned the estimated values that only 0.04% of the total cells were irradiated when using the specific inhibitor of gap junctions. On the other hand, no induced biological effects were observed in Ne and Ar ions whether the inhibitor was applied or not. The result suggested that the C-ion microbeam was capable of inducing bystander cellular effects via gap junction mediated cell-cell communication. There is clear evidence that bystander cellular effects are dependent on radiation quality.
Autsavapromporn, N.*; 鈴木 雅雄*; 舟山 知夫; 宇佐美 徳子*; Plante, I.*; 横田 裕一郎; 武藤 泰子*; 池田 裕子; 小林 克己*; 小林 泰彦; et al.
Radiation Research, 180(4), p.367 - 375, 2013/10
被引用回数:60 パーセンタイル:88.72(Biology)ヒト正常培養細胞集団のごく一部に照射を行い、照射シグナルの伝達に細胞間ギャップ結合が果たす役割を解析した。コンフルエント培養した細胞に、X線および重イオンビーム(炭素、ネオン、アルゴン)のマイクロビームを用いて照射を行い、培地へのギャップ結合阻害剤添加の有無によるバイスタンダー効果誘導の違いを比較した。X線と重イオンの双方のマイクロビーム照射によって、線量に応じた微小核形成のバイスタンダー効果誘導が認められた。ギャップ結合阻害剤の添加によって、重イオンマイクロビームによって誘導されたバイスタンダー効果は抑制されたが、X線マイクロビームによるバイスタンダー効果は抑制されなかった。この結果は、バイスタンダー効果の誘導には線質が重要であることを示す。
天野 光; 高橋 知之*; 内田 滋夫*; 松岡 俊吾*; 池田 浩*; 林 寛子*; 黒澤 直弘*
Journal of Nuclear Science and Technology, 40(11), p.975 - 979, 2003/11
被引用回数:2 パーセンタイル:18.49(Nuclear Science & Technology)環境中に放出される放射性核種等の環境負荷物質について、挙動を予測するための汎用計算コードシステムMOGRAを開発した。MOGRAは動的コンパートメントモデルを基本とし、コンパートメント内の物質量が時間で変動する系を解析できる。MOGRA はPC上で放射性核種等の挙動が評価できるシステムであり、使い易さを基本としGUIやMOGRA用に開発した種々のデータベースを用いることができる。複数の土地利用形態から構成される仮想的陸域環境がCsで汚染したと仮定してMOGRAの機能試験を行い、正常に作動することを確認した。
天野 光; 高橋 知之*; 内田 滋夫*; 松岡 俊吾*; 池田 浩*; 林 寛子*; 黒澤 直弘*
JAERI-Conf 2003-010, p.112 - 121, 2003/09
原研が中心となって開発した環境負荷物質陸域移行予測コードMOGRAを使用して、原子力施設の事故等によって放射性核種等の環境負荷物質が地表に沈着した場合の陸域移行予測を実施している。本研究では、土地利用形態別にコンパートメントモデルを構築し、負荷物質が種々の土地利用形態間を移行するような仮想的陸域環境系について解析することにより、MOGRAの機能を検証した。すなわち、整備されたテンプレートを用いて仮想的広域環境を構築し、地表がCs-137(1.0Bq/m)で汚染したという仮定のもとでの機能評価を行った。
天野 光; 高橋 知之*; 内田 滋夫*; 松岡 俊吾*; 池田 浩*; 林 寛子*; 黒澤 直弘*
JAERI-Conf 2003-010, p.32 - 36, 2003/09
陸域に負荷される放射性物質や重金属等の挙動を解析・予測する目的で、動的コンパートメントモデル解析部を中核とする環境負荷物質陸域移行予測コードMOGRAを開発した。本発表ではMOGRA開発の現状と将来計画につき紹介する。MOGRAはさまざまな評価対象系に対応し得る汎用コードであり、動的コンパートメントモデル解析部を中核とし、グラフィカルユーザインターフェイスによる入出力部やライブラリデータ等から構成されている。本コードは、コンパートメントの作成・削除、コンパートメント間の移行の設定等がマウスによる簡単な操作で可能であるとともに、種々の核種への対応等の汎用性、拡張性に優れている。評価を行う際には、評価対象となる陸域生態圏を土地利用形態(例えば森林,畑,水田等)等によって分割(モジュール化)し、各モジュールで任意にコンパートメントモデルを設定する。モジュール間の物質の移行に関しても任意に設定できる。またMOGRAは分配係数や移行係数などの種々のデータベースを備えている。
高橋 知之*; 天野 光; 内田 滋夫*; 池田 浩*; 松岡 俊吾*; 林 寛子*; 黒澤 直弘*
環境衛生工学研究, 17(3), p.340 - 344, 2003/07
陸域生態圏に付加された放射性物質等の環境負荷物質による環境影響を評価するため、日本原子力研究所は、パーソナルコンピュータ上で環境負荷物質の挙動を予測できる計算コードMOGRA (Migration Of GRound Additions)を開発した。MOGRAを用いて陸域生態圏における環境負荷物質の挙動を解析・予測するためには、土地利用形態等に即した種々のテンプレートが必要であり、本研究ではこれらのテンプレートの整備を行った。また、本研究で整備したテンプレートを使用して圃場系に付加されたセシウムの挙動に対し、稲等への移行に関し評価解析を実施した。
坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 武藤 泰子*; 服部 佑哉; 池田 裕子; 横田 裕一郎; 舟山 知夫; 浜田 信行*; 深本 花菜*; 小林 泰彦
no journal, ,
神経系のモデル生物として知られる線虫を用いて、これまでに、化学走性学習に対する放射線の影響を調べた結果、全身照射した線虫の化学走性学習が特定の条件下においてのみ一時的に亢進することを明らかにした。しかし、線虫のどの部位における放射線応答が、化学走性学習の亢進を誘導するかは明らかでない。そこで、マイクロビームを用いて、線虫の化学走性学習に対する直接的な放射線の影響部位を明らかにすることを目的とした。炭素イオンマイクロビームを、シリコン樹脂製小動物用マイクロデバイスを用いて、非麻酔下の線虫の頭部(哺乳類での中枢神経に相当する神経環がある部位),腸部,尾部に照射し、化学走性学習への影響を調べた。その結果、線虫の頭部と尾部への照射により、化学走性学習の有意な亢進が観察された。この結果は、全身照射実験で明らかとなったGPC-1タンパク質の局在性(頭部,尾部)と関係している可能性がある。線虫で見いだされた神経機能への放射線影響メカニズムは、ヒトなど高等生物の脳神経系機能に対する放射線照射の影響の解明に役立つ可能性がある。
池田 裕子; 横田 裕一郎; 舟山 知夫; 金井 達明*; 小林 泰彦
no journal, ,
本研究では、ヒト胎児肺由来の正常線維芽細胞株WI-38と、ヒト肺がん細胞株H1299/wtを用いた共培養実験を実施し、放射線誘発バイスタンダー効果がそれぞれの細胞に及ぼす影響を網羅的に検出することを目的とした。実験では、炭素線照射(WI-38: 0.13Gy、H1299/wt
: 0.5Gy)した細胞と、非照射の細胞を6時間又は24時間共培養した後、非照射細胞でコロニー形成を行い生存率の算出を行った。その結果、照射したWI-38と非照射のWI-38の共培養では非照射細胞の生存率が低下したが、照射したH1299/wt
と非照射のWI-38の共培養では非照射細胞の生存率が増加する現象を見いだした。このことから、照射したWI-38は細胞死の誘導などにかかわる因子を放出し、照射したH1299/wt
は細胞増殖の促進などにかかわる因子を放出する可能性が考えられた。そこで、この現象に関与する分子機構を解明するため、原子力機構高崎量子応用研究所の重イオンマイクロビーム細胞照射装置を利用し、正常細胞とがん細胞の混在培養系に対して一部の細胞のみを狙って照射する実験系を構築中であり、そこから得られた知見について報告する。
鈴木 芳代; 服部 佑哉; 坂下 哲哉; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 武藤 泰子; 池田 裕子; 小林 泰彦
no journal, ,
これまでに、モデル生物線虫を用いて運動機能に対する放射線影響を調べ、全身照射によって全身運動や咽頭ポンピング運動(餌の咀しゃく・嚥下)が一時的に低下することを明らかにした。しかし、放射線による筋運動の低下が全身の組織への影響によるものか一部の細胞への影響によるものかは判別できなかった。本研究では、線虫の体のごく一部を狙って重イオンマイクロビームを照射し、筋運動に対する放射線影響が照射部位によって異なるか否かを調べることを目的とした。高崎量子応用研究所のマイクロビーム細胞局部照射装置を用いて、線虫(成虫)の頭部,中央部,尾部の直径20mの範囲の細胞群を狙って炭素イオンマイクロビームを照射した。各個体1箇所のみを狙った。照射直後に線虫を寒天平板上に移して運動を撮影し、動画をもとに全身運動については20sの頭部屈曲回数を、咽頭運動については1s間のポンピングストローク回数を計数した。なお、照射時に線虫の運動を抑制するために、線虫の腹囲程度の溝が形成されたシリコン樹脂製マイクロデバイスを使用した。全身運動は、頭部,中央部,尾部への照射のいずれでも非照射群に対して有意に低下したことから、体の一部でも照射されれば低下することが明らかになった。一方、咽頭ポンピング運動は、頭部及び中央部への照射では非照射群に対して有意に低下したが、咽頭運動にかかわる神経・筋が存在しない尾部への照射では変化しないことが初めて明らかになった。
保田 隆子*; 尾田 正二*; 日比 勇祐*; 漆原 祐介*; 三谷 啓志*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 武藤 泰子; 池田 裕子; 小林 泰彦
no journal, ,
原子力機構・高崎量子応用研究所TIARAの重イオンマイクロビーム細胞照射装置を用いて、メダカ胚の脳のさまざまな部位を特異的に狙って照射し、重粒子炭素線照射後の影響を、whole-mountアクリジンオレンジ染色により調べたところ、炭素線マイクロビーム照射によって、胚の脳に照射された部位にのみ放射線誘発アポトーシスが誘発される結果から、メダカ後期胚期の狙った部位にのみ照射することが可能であることが示された。しかしながら、脳の中央部に照射した場合、その部位のみではなく、脳全体に放射線誘発アポトーシスが観察され、照射野と放射線誘発アポトーシスの起こる部位が一致しないという、予想外の結果が得られた。この結果は、脳中央部に存在する脳下垂体のホルモンが脳全体へ影響を及ぼす可能性が予測された。