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小松 一生*; 服部 高典; Klotz, S.*; 町田 真一*; 山下 恵史朗*; 伊藤 颯*; 小林 大輝*; 入舩 徹男*; 新名 亨*; 佐野 亜沙美; et al.
Nature Communications (Internet), 15, p.5100_1 - 5100_7, 2024/06
被引用回数:2 パーセンタイル:72.94(Multidisciplinary Sciences)水素結合の対称化とは、水素原子が水素結合の中心に位置する現象である。理論的研究により、氷VIIの水素結合は、圧力が増加するにつれて、水素の分布を変化させながら、いくつかの中間状態を経て、最終的に対称化すると予測されている。これまで、多くの実験的研究が行われてきたにもかかわらず、その水素の位置や転移圧力は一貫していない。われわれは、100GPa以上の圧力で中性子回折実験を行い、氷中の水素分布を決定し、隣接酸素間での分布が80GPa付近で2つから1つになり水素結合が対称化することを世界で初めて観測した。
山下 恵史朗*; 小松 一生*; Klotz, S.*; Fabelo, O.*; Fernndez-D
az, M. T.*; 阿部 淳*; 町田 真一*; 服部 高典; 入舩 徹男*; 新名 亨*; et al.
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 119(40), p.e2208717119_1 - e2208717119_6, 2022/10
被引用回数:4 パーセンタイル:25.06(Multidisciplinary Sciences)氷の多形体は、圧力や温度により驚くほど多様な構造を示す。水素結合の乱れは、その構造多様性の重要な要因であるだけでなく、その物性をも支配している。しかし、観測可能な逆格子空間が限られていることや、高圧下で測定されたデータの不確かさにより、高圧下において氷多形体の乱れた構造を明らかにすることは困難であった。今回、単結晶および粉末中性子回折の両方を用いて、2.2GPa, 298Kにおいて主要な高圧氷である氷VIIの乱れた構造を初めて明らかにした。最大エントロピー法を用いることにより3次元的な原子分布を導くことに成功し、水素がこれまで言われていた離散的なサイトではなく、リング状に分布をしていることを発見した。また、274Kでの全散乱実験により、氷VIIの水素秩序相である氷VIIIとは、同じ分子構造を持つにもかかわらず、その分子間構造が異なることを明らかにした。今回の単結晶と粉末回折の相補的な構造解析によって、氷VIIのユニークな無秩序構造が明確に示された。今回の発見は、圧力によって大きく変化するプロトンダイナミクスと関連しており、圧力下における氷VIIの異常な物性の構造的な起源を理解することに役立つと考えられる。
山下 恵史朗*; 小松 一生*; 大原 高志; 宗像 孝司*; 入舩 徹男*; 新名 亨*; 杉山 和正*; 川又 透*; 鍵 裕之*
High Pressure Research, 42(1), p.121 - 135, 2022/03
被引用回数:4 パーセンタイル:42.95(Physics, Multidisciplinary)We improved diamond anvil cells with a tubular frame made of Zr-based bulk metallic glass and nano-polycrystalline diamond anvils for single-crystal neutron diffraction. The thicker tubular frame was confirmed through experimentation as stably generating 4.5 GPa. Its feasibility for neutron diffraction was assessed at the Laue-TOF diffractometer at the BL18 (SENJU) beamline in the MLF J-PARC using time-resolved two-dimensional detectors covering wide solid angles. In addition to ambient-pressure measurements of NHCl, diffraction patterns of a high-pressure phase of ice were also collected in-situ. The obtained intensities are of refinable quality sufficient for structure analysis.
小松 一生*; Klotz, S.*; 中野 智志*; 町田 真一*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 山下 恵史朗*; 入舩 徹男*
High Pressure Research, 40(1), p.184 - 193, 2020/02
被引用回数:14 パーセンタイル:68.77(Physics, Multidisciplinary)ナノ多結晶アンビルを用いた中性子回折実験のための新しい高圧セルを紹介する。このセルのデザインやオフライン圧力発生テスト,ガス圧媒体の装填方法が書かれている。その性能は、氷II相の約82GPaまでの中性子回折パターンによって図示されている。またこのセルを用いた常圧におけるFeO
の単結晶中性子回折実験のテストを紹介し、現在の限界と将来の開発を示す。
石松 直樹*; 佐田 祐介*; 圓山 裕*; 綿貫 徹; 河村 直己*; 水牧 仁一朗*; 入舩 徹男*; 角谷 均*
放射光, 28(1), p.3 - 11, 2015/01
純鉄の圧力誘起-
構造相転移における局所構造変化を、静水圧的高圧下におけるEXAFS測定によって精密解析した。マルテンサイト変態で生じるシェアー型とシャッフル型の原子変位を分離してそれぞれ決定することに成功し、相転移のトリガーがシェアー変形であることを支持する結果を得た。
浦川 啓*; 染谷 恵子*; 寺崎 英紀*; 桂 智男*; 余越 祥*; 舟越 賢一*; 内海 渉; 片山 芳則; 末田 有一郎*; 入舩 徹男*
Physics of the Earth and Planetary Interiors, 143-144, p.469 - 479, 2004/06
被引用回数:71 パーセンタイル:75.13(Geochemistry & Geophysics)スプリングエイト放射光と組合せた大容量マルチアンビル高圧装置を用いて、硫化鉄のエックス線回折実験を22GPa, 1600Kまでの高温高圧下にて行った。単斜晶系のFeS III相と六方晶系のFeS IV相の境界及びFeS IV相と砒化ニッケル構造のFeS V相の境界が、精密に決定され、各相の状態方程式が測定された。この結果をもとに、火星内部の構造モデルを議論した。
一色 麻衣子*; 入舩 徹男*; 廣瀬 敬*; 小野 重明*; 大石 泰生*; 綿貫 徹; 西堀 英治*; 高田 昌樹*; 坂田 誠*
Nature, 427(6969), p.60 - 63, 2004/01
被引用回数:235 パーセンタイル:95.95(Multidisciplinary Sciences)マントル主要鉱物である炭酸鉱物の一つのマグネサイトのマントル最深部における安定性を調べるために、ダイアモンドアンビルセルレーザー加熱技術によりマントル最深部と同等の100万気圧2000度に至る高温高圧条件を試料に与え、その条件下での構造をSPring-8の放射光を用いてその場観察を行った。その結果、同条件下においてもマグネサイトは分解せず存在し、しかしながらより浅部における構造とは異なる構造をとることが明らかとなった。このことはマントル最深部まで炭素が供給されることを示唆する結果である。
大高 理*; 福井 宏之*; 舟越 賢一*; 内海 渉; 入舩 徹男*; 亀卦川 卓美*
High Pressure Research, 22(1), p.221 - 226, 2002/01
被引用回数:30 パーセンタイル:76.30(Physics, Multidisciplinary)高温高圧下での酸化ジルコニウムと酸化ハフニウムの相関係と状態方程式を放射光設置のマルチアンビル装置を用いたX線回折実験により決定した。酸化ジルコニウムは、3-4GPa付近において、Baddeleyite 構造が、温度によって2種の構造に転移する。すなわち、600 以下では斜方晶相へ、600
以上では、菱面体相になる。両相とも12.5GPaで、PbCl
型の別の斜方晶相へ転移し、この相は、24GPa ,1800
まで安定である。一方酸化ハフニウムは、斜方晶相が4GPaから14.5GPa,1250-1400
以下では安定であり、これ以上の温度では正方晶相へ転移する。14.5GPa以上ではコチュナイトタイプの別の斜方晶相へと転移する。
大高 理*; 福井 宏之*; 国定 泰一*; 藤沢 友之*; 舟越 賢一*; 内海 渉; 入舩 徹男*; 黒田 幸治*; 亀卦川 卓美*
Physical Review B, 63(17), p.174108_1 - 174108_8, 2001/05
被引用回数:137 パーセンタイル:97.03(Materials Science, Multidisciplinary)高温高圧下におけるZrOの相関係と体積変化をマルチアンビルと放射光を用いたその場X線観察によって研究した。3-4GPa付近において、Baddeleyite 構造は、温度によって2種の構造に転移する。すなわち、600
以下ではOrthorhombic相へ、600
以上では、tetragonal 相になる。両相とも12.5GPaで、PbCl2型の別のOrghorombic 相へ転移し、この相は、24GPa,1800
まで安定である。
内海 渉; 舟越 賢一*; 八木 直人*; 浦川 啓*; 大高 理*; 桂 智男*; 入舩 徹男*; 井上 徹*; 内田 雄幸*
岩石鉱物科学, 30(2), p.100 - 101, 2001/03
鉱物や岩石試料の高温高圧下での振るまいを、その構造面から明かにしたい場合、放射光が強力な武器になる。 高圧実験においては、試料体積が本質的に小さいこと、試料が高圧発生機器や圧力媒体などに囲まれ、それらを通してしか試料を覗けないこと、の2点が大きな原因となって、プローブに高エネルギー、高輝度のX線を必要とするからである。現在、静的高圧実験に用いられる装置としては、ダイヤモンドアンビルセルと、油圧プレスを用いたマルチアンビルと呼ばれる高圧発生装置が2大主流である。本稿では、現在国内で共同利用に供されている放射光実験用マルチアンビル装置を列挙するとともに、SPring-8設置のSPEED-1500を例にとって、その実験方法を解説する。
舟越 賢一*; 内海 渉; 大高 理*; 入舩 徹男*; 井上 徹*; 伊藤 英司*; 桂 智男*; 久保 敦*; 廣瀬 敬*; 安東 淳一*; et al.
岩石鉱物科学, 30(2), p.102 - 103, 2001/03
高温高圧下でのX線回折は、地球や惑星内部の岩石・鉱物試料の構造や状態を直接観察することのできる非常に有効な手段である。放射光とマルチアンビルを組み合わせた高温高圧X線回折の歴史は、高エネルギー加速器研究機構の放射光実験施設に初めて一段式マルチアンビルMAX80で実験が開始された1983年から始まる。さらに1997年には一段式よりも高圧力の発生可能な2段式マルチアンビルSPEED-1500による実験がSPring-8で開始され、およそ2500、30GPaまでの高温高圧X線実験が可能になった。本稿ではSPring-8の2段式マルチアンビルを例にとり、最近の研究例を中心に紹介する。
入舩 徹男*; 宮下 穣*; 井上 徹*; 安東 淳一*; 舟越 賢一*; 内海 渉
Geophysical Research Letters, 27(21), p.3541 - 3544, 2000/11
被引用回数:39 パーセンタイル:65.55(Geosciences, Multidisciplinary)ダイオプサイドCaMgSiO
の高温高圧下での相転移を放射光その場X線回折により観測し、立方晶CaSiO
と斜方晶MgSiO
への分解を確認した。この結果から天然ダイヤモンドに取り込まれているパイロキシン組成の不純物鉱物は、下部マントル起源であることが強く示唆される。
黒田 幸治*; 入舩 徹男*; 井上 徹*; 西山 宣正*; 宮下 穣*; 舟越 賢一*; 内海 渉
Physics and Chemistry of Minerals, 27(8), p.523 - 532, 2000/09
被引用回数:40 パーセンタイル:76.49(Materials Science, Multidisciplinary)放射光によるその場X線回折と急冷回収法の両者を用いて、MgSiOのイルメナイト-ペロフスカイト相転移境界を決定した。境界は、1200
から1800
のあいだで、P(GPa)=25.0-0.003T(C)と求まった。これは、Mg
SiO
におけるポストスピネル境界にくらべて、0.5GPa程度低圧側にある。
内海 渉; 舟越 賢一*; 浦川 啓*; 入舩 徹男*; 田村 剛三郎*; 乾 雅祝*; 辻 和彦*; 下村 理
放射光, 12(1), p.17 - 23, 1999/02
SPring-8共用ビームラインとして建設された高温構造物性ビームラインBL04B1実験ステーションの概要。2つの実験ステーションがタンデムに設けられており、上流側では、最大荷重1500トンをかけられる固体圧縮大型高圧プレスが、下流側には、ヘリウムガスを媒体とするガス圧装置が設置されている。それぞれ、エネルギー分散法による回折実験が可能である。
内海 渉; 舟越 賢一*; 入舩 徹男*
産業と電気, (554), p.11 - 16, 1998/11
第三世代の放射光施設SPring-8がその運用を開始した。放射光とは何か、そこでどのような研究が行われようとしているかを、地球内部研究への応用を例に解説する。
入舩 徹男*; 西山 宣正*; 黒田 幸治*; 井上 徹*; 一色 麻衣子*; 内海 渉; 舟越 賢一*; 浦川 啓*; 内田 雄幸*; 桂 智男*; et al.
Science, 279(5357), p.1698 - 1700, 1998/03
被引用回数:210 パーセンタイル:93.46(Multidisciplinary Sciences)MgSiO
のスピネルとぺロフスカイト+ペリクレスの相境界をSPring-8放射光とマルチアンビル型高圧装置を用いて、その場X線観察の手段により決定した。1600
における同境界は、21.1GPaあたりにあり、従来の試料急冷回収法による推測より約2GPa低かった。
入舩 徹男*; 黒田 幸治*; 西山 宣正*; 井上 徹*; 船守 展正*; 内田 雄幸*; 八木 健彦*; 内海 渉; 宮島 延吉*; 藤野 清志*; et al.
Geophysical Monograph 101 (Properties of Earth and Planetary Materials at High Pressure and Temperature), p.1 - 8, 1998/00
従来のWCアンビルに代わる材料として焼結ダイヤモンドが注目されている。シリコン系のバインダーを用いたADC焼結ダイヤモンドは、X線吸収が少ないため、放射光実験に適していると考えられる。本ADCアンビルを用いて、2段式マルチアンビル装置での加圧実験を行い、放射光と組み合わせての能力を試験した。