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論文

Hydrogen-trapping energy in screw and edge dislocations in aluminum; First-principles calculations

山口 正剛; 板倉 充洋; 都留 智仁; 海老原 健一

Materials Transactions, 62(5), p.582 - 589, 2021/05

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)

アルミニウム結晶中のらせん転位および刃状転位の水素トラップエネルギーを第一原理から計算した。詳細な計算条件を記述した。トラップ可能なあらゆるサイトを調べ尽くすことは計算時間の制約上困難であるが、計算した範囲内においてはらせん転位は最大で0.11eV/atom、刃状転位では最大で0.18eV/atomというトラップエネルギーが得られた。実験値との際について議論した。

論文

Hydrogen trapping in Mg$$_2$$Si and Al$$_7$$FeCu$$_2$$ intermetallic compounds in aluminum alloy; First-principles calculations

山口 正剛; 都留 智仁; 海老原 健一; 板倉 充洋; 松田 健二*; 清水 一行*; 戸田 裕之*

Materials Transactions, 61(10), p.1907 - 1911, 2020/10

 被引用回数:2 パーセンタイル:26.63(Materials Science, Multidisciplinary)

アルミニウム合金中の金属間化合物Mg$$_2$$Si及びAl$$_7$$FeCu$$_2$$の水素トラップエネルギーを第一原理から計算した。Mg$$_2$$Siは水素をトラップしないが、Al$$_7$$FeCu$$_2$$はその結晶内部に水素原子を0.56eV/atomという強いトラップエネルギーでトラップすることが分かった。このことは、合金の製造過程でAl$$_7$$FeCu$$_2$$化合物の生成を適切に制御できれば、水素脆化の防止に役立つことを意味している。

論文

Hydrogen-accelerated spontaneous microcracking in high-strength aluminium alloys

都留 智仁; 清水 一行*; 山口 正剛; 板倉 充洋; 海老原 健一; Bendo, A.*; 松田 健二*; 戸田 裕之*

Scientific Reports (Internet), 10, p.1998_1 - 1998_8, 2020/04

 被引用回数:5 パーセンタイル:69.45(Multidisciplinary Sciences)

鉄やチタンと異なりアルミニウムは熱処理で他の相が生成することがないため、高強度アルミニウム合金の生成には析出物による時効強化が唯一の方法として用いられてきた。そのため、高濃度に分布した析出物は機械特性や水素脆化に重要な役割を果たす。これまで、7000番のアルミニウム合金における析出物とマトリクス界面は整合であるため、水素によるデコヒージョンの要因になると考えられていなかった。本研究では、実験と理論、および第一原理計算を連携することで、欠陥にトラップされる水素分配を理論的に予測することに成功した。さらに、アルミニウム合金で観察される擬へき開破壊のメカニズムについて、析出物界面にトラップされた水素は占有率が上昇しても安定にトラップし続け、自発的に破壊することがその要因であることを明らかにした。

論文

Estimation of planes of a rock mass in a gallery wall from point cloud data based on MD PSO

松浦 勇斗*; 早野 明; 板倉 賢一*; 鈴木 幸司*

Applied Soft Computing, 84, p.105737_1 - 105737_9, 2019/11

 被引用回数:1 パーセンタイル:16.64(Computer Science, Artificial Intelligence)

三次元レーザスキャナの計測では、計測対象物表面に対して高解像度の距離計測が行われ、その計測結果として、計測対象物表面の三次元形状を表す点群データが取得される。取得される点群データは、トンネル壁面の岩盤に分布する割れ目といった不連続面の抽出に活用することができ、その際、点群データから小平面を推定する必要がある。本研究では、点群データから小平面を推定するアルゴリズムとして多次元粒子群最適化(MD PSO)に基づく手法を開発した。MD PSOでは、点群データをバウンディングボックスにより区分し、それぞれの点の法線ベクトルを求め、それに基づき点群データを複数のクラスターに分類する。そして、それぞれのクラスターの点群データに対する最小二乗法により面が推定される。新しく開発されたMD PSOに基づくアルゴリズムを実際の坑道壁面の点群データを用いて適用性を評価した。MD PSOアルゴリズムを適用した場合、従来手法の可変格子分割法(VBS)に基づくアルゴリズムと比較して、7%高い正確性を示した。

論文

水素分配制御によるアルミニウム合金の力学特性最適化

戸田 裕之*; 山口 正剛; 松田 健二*; 清水 一行*; 平山 恭介*; Su, H.*; 藤原 比呂*; 海老原 健一; 板倉 充洋; 都留 智仁; et al.

鉄と鋼, 105(2), p.240 - 253, 2019/02

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Metallurgy & Metallurgical Engineering)

本レビューでは、高強度アルミニウム合金の水素脆化に関する研究活動、特に様々なトラップサイトでの水素トラップとそれによる水素脆化への影響に焦点を当てて報告する。高亜鉛濃度Al-Zn-Mg合金において、高分解能TEM法による析出物のナノ構造及び界面構造の分析や、高分解能X線マイクロトモグラフィー技術による詳細な破壊マイクロメカニズムとマイクロ構造-破壊特性関係の調査がなされ、さらに、ごく最近実現された超高分解能X線顕微鏡により特徴的な局部的変形、亀裂の発生・成長が観察されている。また、第一原理シミュレーションによる数々の水素トラップサイトのトラップエネルギー導出を元に、変形・破壊中の水素再分配が解析された。水素の再分配と3つの異なるミクロ機構による水素脆化との間の関係を論じ、水素脆化が起こるための現実的な条件を説明する。

論文

First-principles calculation of multiple hydrogen segregation along aluminum grain boundaries

山口 正剛; 海老原 健一; 板倉 充洋; 都留 智仁; 松田 健二*; 戸田 裕之*

Computational Materials Science, 156, p.368 - 375, 2019/01

 被引用回数:11 パーセンタイル:71.82(Materials Science, Multidisciplinary)

金属の応力腐食割れメカニズム解明を目的として、アルミニウム結晶粒界に対する水素偏析の影響を第一原理計算により調べた。水素の溶解度が高い場合には、高エネルギー粒界には水素の偏析が可能であることが分かった。またアルミニウム粒界には水素が大量に偏析可能であり、それとともに粒界が膨張することで電子密度が低下していき、その結果粒界の凝集エネルギーが大きく低下することが分かった。

論文

アルミニウムのポア内表面における水素解離吸着と表面エネルギー低下

山口 正剛; 都留 智仁; 海老原 健一; 板倉 充洋

軽金属, 68(11), p.588 - 595, 2018/11

アルミニウム合金中の水素が力学特性に与える影響を把握するには、水素の存在状態を理解することが必要である。そのため、アルミニウム中のポア内表面における水素解離吸着とそれによる表面エネルギー低下について、統計熱力学的取り扱いとともに、第一原理計算や実験データを参考にした具体的な数値データを示した。理想気体からのずれも取り入れた。実験的には不明な解離吸着エネルギーが0.0-0.1eV/atomHの範囲とすると、室温で圧力100MPaの高圧水素ガスに対して、表面吸着占有率は0.08-0.8程度、表面エネルギー低下は1-13%程度になるという見積り結果となった。

論文

数値シミュレーションによるアルミニウムの水素昇温脱離曲線の解釈

海老原 健一; 山口 正剛; 都留 智仁; 板倉 充洋

軽金属, 68(11), p.596 - 602, 2018/11

水素脆化は応力腐食割れの原因の1つとして考えられている。鉄鋼材料と同様に高強度アルミニウム合金の開発では水素脆化は重大な問題となっている。アルミニウム合金における水素脆化の研究は鉄鋼材料における水素脆化機構の解明に示唆を与えると考えられる。水素脆性を理解するためには、合金中の水素トラップ状態を知ることは避けられず、それは水素の熱脱離分析法を用いて同定することができる。本研究では、円筒状試料および板状試料について報告されたアルミニウム中の水素の熱脱離スペクトルを数値シミュレーションし、それらに含まれる脱離ピークをトラップサイト濃度およびトラップエネルギーに基づいて解釈した。その結果、最低温度側の脱離ピークは粒界から生じることが明らかとなり、他の脱離ピークは報告された解釈が合理的であることが確認された。さらに、試料を加熱する過程で転位や空孔のトラップサイト濃度が変化する可能性を示す結果を得た。この結果は、鉄鋼材料において昇温脱離曲線から水素トラップ状態を解釈する上で有意な示唆を与えるものである。

論文

First-principles study of hydrogen segregation at the MgZn$$_{2}$$ precipitate in Al-Mg-Zn alloys

都留 智仁; 山口 正剛; 海老原 健一; 板倉 充洋; 椎原 良典*; 松田 健二*; 戸田 裕之*

Computational Materials Science, 148, p.301 - 306, 2018/06

 被引用回数:21 パーセンタイル:76.28(Materials Science, Multidisciplinary)

高強度の7000番台アルミニウム合金の水素脆化はAl合金の実用における重要な問題と考えられてきた。しかし、近年の観察技術の発展にもかかわらず、Al合金中の水素の挙動を実験的に捉えることは非常に困難である。本研究では7000番台の特徴であるMgZn$$_{2}$$析出物に着目して、析出物内部及びAl-析出物界面における水素偏析を第一原理計算を用いて体系的に検討した。零点エネルギーを考慮したトラップエネルギー解析により、MgZn$$_{2}$$の内部には9つの格子間サイトが存在することが確認されたものの、Alの四面体サイトより不安定であることから析出物内部への偏析は生じないことがわかった。一方、Al-析出物界面の安定なサイトではトラップエネルギーが-0.3eVと非常に大きいことがわかった。これはAl中の粒界などのトラップサイトより大きく、Al-析出物界面がAl合金中の優先的な偏析サイトになることを示唆している。

論文

岩盤における不連続面の自動推定に向けた3次元点群データの可変格子分割法

松川 瞬*; 板倉 賢一*; 早野 明; 鈴木 幸司*

Journal of MMIJ, 133(11), p.256 - 263, 2017/11

LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)は、岩盤表面を点群の形式で取得することができる。先行研究では、必要なパラメータを手動で設定して、点群から岩盤の不連続面を取得するアルゴリズムが開発されてきた。DiAna(Discontinuity Analysis)アルゴリズムは、点群を格子状に分割して半自動的に岩盤の面を推定するアルゴリズムである。しかし、適切な格子サイズを決定するには熟達した技術が必要である。そこで本研究では、場所によって適切な格子サイズを自動決定するVBS(Variable-Box Segmentation)アルゴリズムを開発した。VBSアルゴリズムは、小さな格子を結合して適切なサイズの格子を作り、面を推定する。VBSアルゴリズムの性能は、DiAnaアルゴリズムと比較して評価した。その際、手動で岩盤表面を推定して作成した参照面との類似度を用いた。比較結果では、VBSアルゴリズムはDiAnaアルゴリズムよりも参照面に類似した面を推定した。よって、VBSアルゴリズムは場所により自動的に適切な格子サイズを決定し、適切に面を推定した。

論文

三次元レーザスキャナ計測の坑道壁面の割れ目観察への適用性

早野 明; 板倉 賢一*

Journal of MMIJ, 133(4), p.76 - 86, 2017/04

大規模地下施設建設の坑道掘削時に行われる割れ目観察は、調査員の目視観察とクリノメーターを使用した割れ目方位の簡易計測といった従来からの手法に基づいている。そのため、調査の規模が大きいほどデータ品質の確保と調査員の安全確保が依然として課題である。計測対象物の三次元形状を表す点群を瞬時に取得できる三次元レーザスキャナ計測は、これらの課題解決に有効である。本研究では、レーザ計測の坑道壁面の割れ目観察への適用性を確認するために、坑道壁面の形状を表す点群から割れ目の方位やトレース長などの空間分布に関する情報を取得する方法を検討した。その手法は、坑道壁面形状を表す判読画像を用いた割れ目判読を基本としている。そして、その手法を掘削長50m程度の水平坑道に適用し、点群から取得できる割れ目データがどの程度従来手法に基づく割れ目データを再現しているのか確認した。その結果、調査員が目視観察により抽出した割れ目のうち8割強の割れ目が抽出され、割れ目方位も従来手法と比べて遜色ないことを確認した。点群から抽出できなかった割れ目のほとんどは、透水に寄与しないトレース長が短く密着性の良い割れ目であった。

論文

Analysis of intergranular cracking in an alloy steel by hydrogen-enhanced decohesion

山口 正剛; 海老原 健一; 板倉 充洋

Proceedings of 2016 International Hydrogen Conference (IHC 2016); Materials Performance in Hydrogen Environments, p.563 - 571, 2017/00

原子炉内構造材料の応力腐食割れメカニズム解明の一環として、鉄鋼の水素脆化メカニズム候補の一つである凝集エネルギー低下(Hydrogen-Enhanced DEcohesion = HEDE)説の検証のため、第一原理計算を用いた研究を行っている。鉄粒界凝集エネルギー低下をもたらす水素の効果を、炭素やその他の偏析元素の影響を加えつつ計算した。その第一原理計算結果と破壊力学試験を組み合わせた解析から、粒界に偏析した水素がもたらすHEDE以外にも、モバイル水素によるHEDEが生じていることが示唆された。

論文

Studies of high density baryon matter with high intensity heavy-ion beams at J-PARC

佐甲 博之; 原田 寛之; 坂口 貴男*; 中條 達也*; 江角 晋一*; 郡司 卓*; 長谷川 勝一; Hwang, S.; 市川 裕大; 今井 憲一; et al.

Nuclear Physics A, 956, p.850 - 853, 2016/12

 被引用回数:11 パーセンタイル:71(Physics, Nuclear)

We are designing a large acceptance heavy-ion spectrometer at J-PARC based on a Toroidal magnet to measure hadrons, lepton pairs, and event-by-event fluctuations. We are also designing a closed geometry spectrometer to measure hypernuclei to study weak decays and magnetic moments. In this presentation, the preliminary version of the designed acceleration scheme, as well as the spectrometers and their expected performance and physics results are presented.

論文

Multiscale thermodynamic analysis on hydrogen-induced intergranular cracking in an alloy steel with segregated solutes

山口 正剛; 海老原 健一; 板倉 充洋

Corrosion Reviews, 33(6), p.547 - 557, 2015/11

原子炉材料劣化メカニズム研究の一環として、不純物元素(Sb, Sn, P)の粒界偏析を伴うNi-Cr鋼(降伏強度840MPa)の粒界水素脆性メカニズムを調べるため、粒界凝集エネルギーの第一原理計算を行い、破壊靭性試験データと組み合わせた解析を行った。粒界凝集エネルギーの計算には、亀裂の進展中に動きまわり破面形成を助長するように破面吸着するモバイル水素の影響を考慮した。さらに不純物元素の偏析による効果を加えた上で、非常に低い固溶水素濃度(10$$^{-8}$$原子分率)においても20-30%程度の十分な凝集エネルギー低下が生じうることを示した。解析により、水素ガス環境下で生じる低速な粒界破壊に対して測定された限界応力拡大係数$$K_{rm th}$$と粒界凝集エネルギーとのマルチスケールな関係を求め、$$K_{rm th}$$の変化が粒界凝集エネルギー変化によってよくコントロールされていることを示した。

論文

Web3Dと時空間データベースを援用した地下空間開発支援システムの設計とその実装

Xu, Z.*; 山地 宏志*; 佐藤 稔紀; 松井 裕哉; 板倉 賢一*

土木学会論文集,F3(土木情報学)(インターネット), 71(1), p.43 - 55, 2015/10

地下空間開発の過程では、調査・計画・設計・施工の各ステージにおいて膨大な情報が収集される。地下空間の合理的設計・施工を実現するためには、これらの情報を適確に設計施工へとフィードバックすることが重要となる。また、構造物管理の面においてもこれらの情報はその基礎資料となるものである。しかしながら、実際に収集される情報量は余りにも膨大なため、個人の能力でこれらを管理することは不可能に近い。本論文では、WEB3DとRDBMSを援用して4次元仮想現実空間をPC上に構築し、この仮想現実空間内を自由に移動することで、この膨大な情報群を直感的に管理・処理することのできるシステムの基本構造を設計し、その実用性を検証した。

論文

Application of three-dimensional laser scanning data to acquire geometrical data for fractured rock mass modeling

早野 明; 松川 瞬*; Xu, Z.*; 板倉 賢一*

Proceedings of 8th Asian Rock Mechanics Symposium (ARMS-8) (USB Flash Drive), 9 Pages, 2014/10

坑道壁面の地質観察は、亀裂性岩盤のモデル化に用いられる割れ目の幾何学的パラメータの設定に必要となるデータが取得できる調査のひとつである。しかしながら、高レベル放射性廃棄物の処分場建設時に行われる坑道壁面の地質観察は、数キロ四方にわたって展開される坑道群に対して行われることから、観察作業の効率化が必要である。また、地質専門家の経験や知識の違いから生じるデータの品質のばらつきを低減するために、客観的なデータ取得手法を用意することも必要である。これらの課題解決には、三次元レーザスキャナの活用が考えられる。本研究では、三次元レーザスキャナを適用した地質観察手法の整備の一環として、亀裂性岩盤のモデル化に必要となる割れ目の幾何学的データを明確にし、それらデータを三次元レーザスキャナデータから取得することを試みた。その結果、三次元レーザスキャナにより生成した傾斜図と傾斜方位図の目視判読により割れ目が抽出され、その割れ目のトレースマップと走向・傾斜が取得された。そして、地質専門家による観測結果と遜色のない割れ目のトレースマップと割れ目の走向・傾斜を取得することが可能であることが確認できた。

論文

水素脆化モデル構築のための原子及び連続体手法による粒界面上微小き裂近傍の応力分布の考察

海老原 健一; 蕪木 英雄; 板倉 充洋

「鋼の機械的特性に及ぼす水素の効果とその評価」シンポジウム予稿集(USB Flash Drive), 6 Pages, 2014/09

水素脆化は鉄鋼材料の強度低下や破壊をもたらす要因の1つであり、その機構の解明が求められている。高強度鋼の遅れ破壊や溶接部の低温割れは、偏析水素による粒界強度低下が主な原因と考えており、その機構は応力腐食割れと同様と考えられる。粒界強度低下に基づく水素脆化モデルでは、水素による粒界強度低下を原子レベルスケールの計算で評価し、その情報を用い巨視的スケールの強度やき裂進展の評価がなされているが、両スケール間におけるスケールのモデル化についてはあまり明確でない。特に、微視き裂先端での応力集中について、き裂周囲を弾性体とするモデルがあるが、その妥当性も明確でない。本研究では、微視き裂を含みその周囲に転位がない系の引張によるき裂周囲の応力を分子動力学(MD)と連続体計算(FEM)の計算手法で評価し、その差異について考察した。その結果、1%以下の低いひずみでは、両手法による応力分布は同様の結果となったが、それ以上になるとき裂先端の応力集中部から両者の差が大きくなった。また、応力集中のモデル化については、き裂周辺を単なる弾性体とするだけではMDの結果を再現できなかった。

論文

トンネルのライフサイクルマネージメントシステムとプロダクトデータモデルについて

Xu, Z.*; 板倉 賢一*; 山地 宏志*; 大津 慎一*; 早野 明; 松井 裕哉; 佐藤 稔紀

平成24年度(2012年)資源・素材学会秋季大会講演集, p.63 - 66, 2012/09

近年、構造物には所要の機能や安全性だけではなく、その全期間に渡る利便性の最大化と必要コストの最小化を図るライフサイクルマネージメント(以下、LCM)が求められつつあり、地下構造物についても急速にその対応が必要とされる。地下構造物のLCM戦略を立案するためには、設計・施工・維持補修の過程で発生する各種情報を総合的に管理し、これをフィードバックすることのできる柔軟な戦略構築体系が必要である。プロダクトデータモデルは、情報化施工により得られた各種情報をLCM戦略に展開する方法論として最も適する手法の一つであると考えられる。著者らは、トンネル施工の合理化を図るために、設計・施工・維持補修の各段階で発生するデータを包括的に管理し、各段階の作業にフィードバックすることのできる総合施工管理システムの設計と構築に取り組んできた。このシステムでは、WEB3DのCG技術とRDBMS機能のデータ検索・処理機能を融合することで、PC上に仮想の地下空間を構築し、その仮想空間内から必要とするデータにアクセスすることができる。本研究では、より実用的なシステムとするために機能拡張を行い、中小トンネルの施工現場への適用を試みた。

論文

Mobile effect of hydrogen on intergranular decohesion of iron; First-principles calculations

山口 正剛; 亀田 純*; 海老原 健一; 板倉 充洋; 蕪木 英雄

Philosophical Magazine, 92(11), p.1349 - 1368, 2012/04

 被引用回数:37 パーセンタイル:88.41(Materials Science, Multidisciplinary)

鉄の体心立方構造$$Sigma$$3(111)対称傾角粒界に沿って生じる粒界水素脆性の原子論的メカニズムを、第一原理計算により調べた。粒界脆性が生じるときの水素のモバイル(動く)効果とインモバイル(動かない)効果について調べるため、粒界と破壊表面における水素の偏析エネルギーの被覆率依存性を、水素原子間の反発相互作用を取り入れたマクリーン式の一般化を通して調べた。その結果、両者の効果が働くことによって最大で70-80%もの非常に大きな粒界凝集エネルギー低下が生じることがわかり、それは10$$^{-9}$$原子分率という非常に低い水素濃度でも生じることがわかった。これは、インモバイル効果のみによる粒界凝集エネルギー低下が最大でも10-20%であることと対照的である。鉄における水素のモバイル効果は、非常に大きな粒界凝集エネルギー低下をもたらし、粒界水素脆性を支配する重要な要素の一つと考えられる。

論文

Evaluation of stress and hydrogen concentration at grain boundary of steels using three-dimensional polycrystalline model

海老原 健一; 板倉 充洋; 山口 正剛; 蕪木 英雄; 鈴土 知明

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 2, p.38 - 43, 2011/10

鉄鋼材料の水素脆化を説明するモデルとして、鉄鋼中の粒界に水素が偏析し粒界強度が低下するとした粒界剥離モデルが提唱されているが、このモデルの妥当性を検証するためには、実際の引張試験条件下において、粒界での応力と水素濃度を評価する必要がある。そこで、本研究では三次元多結晶体モデルを用い、その粒界において応力及び水素濃度の評価を行った。なお、多結晶は、乱数を用いたボロノイ分割により生成し、各粒には異なる結晶方向を与えた。また、計算の境界条件としては、引張試験条件の下で、切欠き付き丸棒試料モデルにおいて計算した結果から切り抜いたデータを用いた。得られた粒界応力の評価結果によると、評価した応力は評価した水素量の条件下で第一原理計算により見積もられた破断応力には達せず、結晶の異方性のみによる応力集中では粒界剥離は起こらないと考えられ、他の要因を考察する必要があることが明らかとなった。

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